登山用語一覧|ルンゼ・コル・下界…地形と歩き方の言葉の意味
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山の記録や登山地図を読んでいると、意味の分からない言葉が急に出てきます。「ルンゼを詰める」「コルで一本」「空身でピストン」——どれも登山では日常語ですが、辞書には載っていないものが混じっています。

このページは、そういう言葉を引きに来た人がその場で分かるように作った用語集です。地形・歩き方・道の目印・時間の言い方を、実際に使われている場面ごとにまとめました。装備の名前は末尾の表にまとめ、詳しい解説記事へつないでいます。

このページの調べ方
探している語が決まっているなら、次の早見表から探してください。地形の語は岩と斜面、道の状態は歩き方の章にまとめています。

登山用語の早見表

登山用語の早見表

よく検索される語を、意味を1行にしてまとめました。それぞれの詳しい説明は、この下の章にあります。

岩と斜面の地形

用語 読み 意味
ルンゼ るんぜ 岩壁に刻まれた急な溝。雪崩と落石の通り道になる
ガリー がりー ルンゼの英語。岩壁や山肌に切れ込んだ細い急な溝
クーロワール くーろわーる ルンゼの仏語。ヨーロッパアルプスの記録でよく見る
チムニー ちむにー 体がすっぽり入る幅の岩の割れ目。煙突が語源
スラブ すらぶ 凹凸の少ないなめらかな一枚岩の斜面
クラック くらっく 岩の裂け目。幅で指・手・拳と呼び分ける
ガレ場 がれば こぶし大から人頭大の石が積もった斜面
ザレ場 ざれば 砂と小石の斜面。ガレ場より粒が細かく滑る

尾根と谷の地形

用語 読み 意味
尾根 おね 山頂から谷へ下る、盛り上がった線
稜線 りょうせん 山頂と山頂をつなぐ、尾根のいちばん高い線
鞍部・コル あんぶ 稜線上の、馬の鞍のようにくぼんだところ
かた 山頂の手前で傾斜がゆるむ平坦地。地名にも使われる
キレット きれっと 稜線が深く切れ落ちた場所。「切戸」が語源
カール かーる 氷河が削った、山頂近くの半円形のくぼ地
さわ 山の中を流れる小さな川と、その谷
ザイテングラート ざいてんぐらーと 主稜線から枝分かれした支尾根。独語で「側面の稜」

歩き方・行動

用語 読み 意味
トラバース とらばーす 斜面や壁を横切って進むこと
登り返し のぼりかえし いったん下ってから、また登ること
空身 からみ 荷物を置いて、身軽な状態で歩くこと
ピストン ぴすとん 往路と同じ道を戻ること。往復
縦走 じゅうそう 稜線をたどって複数の山頂を続けて越えること
巻き道 まきみち 山頂や難所を通らず、斜面を回り込む道
一本 いっぽん 休憩のこと。「一本取る」で休むという意味
下界 げかい 山の上から見た、ふもとの町や日常生活のこと

ルンゼとは — 岩壁に刻まれた急な溝

岩壁に刻まれたルンゼの地形

ルンゼは、岩壁や山肌に刻まれた急な溝を指します。南アルプス市芦安山岳館の用語集では「急峻な岩溝。積雪期には点発生の雪崩がおきやすい場所でもある」と説明されています。

もとはドイツ語で、日本の登山界にはドイツ経由で入ってきた言葉です。水や雪が流れた跡が浸食されてできるため、断面は浅いV字になっていることが多く、上から下まで一本につながっています。

ルンゼが登山で重要な理由

ルンゼは、地形として2つの顔を持っています。

  • 登りやすい … 溝の中は両側の岩壁より傾斜がゆるいことが多く、岩壁を越えるルートとして選ばれます
  • 危ない … 上から落ちてきたものが全部集まる構造なので、落石と雪崩の通り道になります

記録に「ルンゼを詰める」と書いてあれば、この溝を上へたどったという意味です。逆に「ルンゼは通過が早いほどよい」といった書き方をしている記録は、落石を警戒しています。

ルンゼ・ガリー・クーロワールは同じ地形の別名

この3つは言語が違うだけで、指している地形はほぼ同じです。

呼び方 由来 よく見る場面
ルンゼ ドイツ語 日本の山の記録・ルート名(滝谷第四ルンゼなど)
ガリー 英語 英語圏の記録、岩場のルート名
クーロワール フランス語 ヨーロッパアルプス、山スキーの記録

厳密な線引きはなく、書き手の好みで使い分けられているのが実情です。あえて幅の傾向でいえば、ルンゼ・クーロワール・ガリーの順に狭くなる感覚で使う人もいます。読むうえでは「同じものを指している」と考えて差し支えありません。

チムニーとの違いは「体が入るかどうか」

ルンゼとチムニーは、よく並べて出てくるので混同されます。分かれ目はスケールと、体の使い方です。

  ルンゼ チムニー
できかた 水や雪の浸食でえぐれた溝 岩そのものの割れ目が広がったもの
大きさ 数十mから数百mの規模になることもある 体が入る程度の幅
断面 浅いV字が多い 両側が平行に立った溝
登り方 溝の底や縁を、歩くように詰めていく 体を挟み込み、背中と足で突っ張って登る

チムニーは煙突が語源で、名前のとおり体をすっぽり入れて突っ張りながら登るのが基本の技術です。岩の裂け目は幅によって呼び分けがあり、指が入る幅ならフィンガー、手が入ればハンド、拳ならオフウィズス、そして体が入る幅になるとチムニーになります。

スラブとは — 手がかりの少ない一枚岩

スラブは、凹凸の少ないなめらかな一枚岩の斜面です。溝であるルンゼとは反対に、引っかかりが乏しいのが特徴といえます。

手で持てるところがほとんどないため、靴底の摩擦だけで立つ技術が要ります。傾斜が寝ていれば歩けますが、濡れると一気に滑るので、雨のあとのスラブは通過の判断が変わってきます。

ガレ場・ザレ場・岩場の違い

石が積もったガレ場の登山道

同じ「石がある道」でも、粒の大きさで呼び名と歩き方が変わります。山行記録に出てきたとき、どんな道なのかを想像できると計画が立てやすくなります。

呼び名 石の大きさ 歩くときに気をつけること
ザレ場 砂〜小石 下りで滑る。かかとから踏まず、足裏全体を置く
ガレ場 こぶし大〜人頭大 石が動く。乗る前に安定を確かめ、落石を起こさない
岩場 動かない大きな岩 三点支持で登る。手足のうち3つは常に岩に置く
ゴーロ 大きな岩がごろごろ 沢の下流に多い。岩から岩へ渡るので体力を使う

ガレ場で自分が石を落としてしまったときは、大きな声で「ラク!」と叫びます。これは落石を知らせる合図で、下にいる人が身を守る時間を作るための言葉です。

山の名前につく言葉

地図を見ていると、山名の後ろや前に決まった言葉が付いています。これらは地形や位置関係を表しているので、意味が分かると地図が読みやすくなります

つく言葉 意味
〜岳(だけ) 険しく岩の多い山に付くことが多い 燕岳、赤岳
〜峰(みね・ぽう) 連なりの中のひとつの高み 白馬三山の各峰
前〜 主峰の手前にある山 前穂高岳
奥〜 登山口から見て、より奥にある山 奥穂高岳
〜肩(かた) 山頂手前の平坦地。小屋や分岐が置かれる 車山肩、谷川岳の肩
〜乗越(のっこし) 尾根を越えて反対側へ抜ける鞍部 涸沢の横尾本谷など
〜平(だいら・ひら) 傾斜のゆるい広い場所 雲ノ平
〜池・〜沼 水場や休憩地の目印になる 白駒池

「肩」は地名として使われることも多く、たとえば車山肩は車山の山頂手前にある平坦地で、駐車場と登山口が置かれています。地図で「〜肩」を見つけたら、そこは傾斜がゆるむ休憩適地だと読めます。

「山に登る」の言い分け — 登山・登攀・ハイキング

稜線をたどって歩く登山者

「山に登ること」を表す言葉は複数あり、どこを登るか・何を使うかで使い分けられています

言葉 読み 指している行為
登山 とざん 山に登る行為の総称。いちばん広い言葉
ハイキング はいきんぐ 整った道を歩く、負荷の軽い山歩き
トレッキング とれっきんぐ 山頂を目指すより、山域を歩くことに重きを置く
縦走 じゅうそう 稜線をたどって山頂をいくつも越える
登攀 とうはん 岩壁や氷壁を、手足を使ってよじ登る
沢登り さわのぼり 沢の中を、滝を越えながらさかのぼる
バリエーション ばりえーしょん 整備された登山道以外を通るルート全般

言い換えとして日常でよく使われるのは「山歩き」「山行(さんこう)」あたりです。山行は1回の登山という単位を指す言葉で、「今年は12回の山行」といった使い方をします。

山を登り切ることは何と言う?

これは何を登り切ったのかによって言葉が変わります。よく混同されるので、区別を整理しておきます。

言葉 何を達成したか 使う場面
登頂 山頂に立った いちばん一般的。「富士山に登頂した」
完登 ルートを最後まで登り切った 岩登りや、決めた課題に対して使う
踏破 長い行程を歩き通した 縦走路や長距離の道に対して使う
制覇 対象をすべて登り終えた 「日本百名山を制覇」のようにまとまりに使う

いちばん無難なのは登頂です。ひとつの山の頂上に立ったことを言いたいなら、これで通じます。

道の目印にまつわる用語

登山道には、進む方向を示すための目印が置かれています。読み違えると道迷いに直結するので、意味を知っておく価値があります。

  • ピンクテープ(ピンテ) … 木の枝や幹に巻かれたピンク色の目印。ただし登山道を示すためとは限りません
  • ケルン … 石を積み上げた目印。視界が悪いときのルート確認に使われる
  • 道標(どうひょう) … 方向と地名を記した標識
  • 赤ペンキ・丸印 … 岩に直接塗られたルート表示。ガレ場でよく見る

ピンクテープは林業の作業用に巻かれていることがあり、たどると登山道から外れる場合があります。詳しくは山のピンクテープの意味と、たどってはいけない場合にまとめました。

下界とは — 山の上から見たふもとのこと

下界は、山の上から見おろした、ふもとの町や平地のことを指します。もとは仏教で天上界に対する人間の世界を意味する言葉で、それが山の上と下の対比に転用されました。

登山では、地形というより気分を含んだ言い方として使われます。

  • 「下界は35度らしい」 … 山の上の涼しさと、ふもとの暑さを比べている
  • 「下界に戻る」 … 下山して日常に帰ること
  • 「下界の灯り」 … 稜線から見える町の明かり

標高が上がると気温は下がり、その割合はおおむね100mにつき0.6度とされています。標高2,000mの稜線は、ふもとより12度ほど低い計算です。「下界は暑い」という言い方には、この差が背景にあります。

時間と距離の言い方

計画を立てるときに出てくる言葉です。登山計画の立て方とあわせて読むと、地図の数字が読めるようになります。

用語 意味
コースタイム 地図に書かれた区間ごとの標準的な所要時間。休憩は含まない
標高差 登山口と山頂の高さの差。累積標高差は登り下りを足し上げた値
ピッチ 岩登りでロープ1本分の区間。歩きでは休憩までの一区切り
行動時間 歩き始めから下山までの、休憩を含めた総時間
日没時刻 引き返す時刻を逆算するときの基準になる

天気の用語

山にかかった雲とガス

  • ガス … 山にかかった霧や雲のこと。「ガスって何も見えない」
  • 雲海 … 稜線から見おろす、海のように広がった雲
  • ブロッケン現象 … 背後から日が差したとき、前方の霧に自分の影が虹の輪とともに映る現象
  • 御来光(ごらいこう) … 山の上から見る日の出
  • ホワイトアウト … 雪と雲で視界が真っ白になり、地面と空の区別がつかなくなる状態

山の天気の調べ方は山の天気予報はどこを見るかにまとめています。

体の状態にまつわる用語

  • シャリバテ … 食べる量が足りずに動けなくなること。「シャリ」は米飯を指す隠語から
  • バテる … 疲れて動けなくなること
  • 高山病 … 標高が上がって酸素が薄くなることで起こる頭痛や吐き気。高山病の症状と予防
  • 汗冷え … 濡れた衣類が体温を奪い、休憩中に急に寒くなる状態。メッシュインナーの選び方
  • 膝が笑う … 下りで太ももが限界に近づき、脚が震える状態

記録でよく見る略語

山行記録は短く書かれるため、略語が多用されます。意味が取れないと行程そのものを読み違えます。

略語 元の言葉 意味
CT コースタイム 「CT比0.8」なら地図の標準時間の8割で歩いたという意味
ギア 装備・道具の総称 ザックから小物まで、山で使う道具をまとめて指す
ソロ 単独行 ひとりで登ること
ヘッデン ヘッドランプ 「ヘッデン下山」は暗くなってから下りたという意味
テン泊 テント泊 山中でテントを張って泊まる行程
日帰り その日のうちに下山する行程。泊まりの装備を持たない
前泊・後泊 登る前日・下山後にふもとで泊まること
エスケープ エスケープルート 途中で下山するための逃げ道

山小屋と手続きの用語

泊まりの計画を立てるときや、登山口で出てくる言葉です。予約の可否や料金の扱いに関わるので、意味を取り違えると計画が崩れます。

用語 意味
登山届・登山計画書 行程と装備を記して提出する書類。条例で義務づけている山域がある
小屋閉め その年の営業を終えること。水場やトイレも使えなくなる
素泊まり 食事を付けずに寝床だけ借りること
テント場・幕営地 テントを張ってよい場所。多くは有料で、小屋で受付する
避難小屋 管理人がいない小屋。緊急時の使用が前提で、寝具や食事は無い
水場 水を汲める場所。枯れることがあるので事前確認が要る
乾燥室 濡れた衣類や靴を乾かす部屋。小屋によって有無が違う
歩荷(ぼっか) 小屋へ物資を背負い上げること。またその仕事をする人
入山料・協力金 保全や安全対策のために徴収されるお金

山小屋がいつまで開いているかは山小屋の営業はいつまでかにまとめました。行程の組み方は初心者の山の選び方も参考になります。

装備の用語と、詳しい解説へのリンク

登山装備一式

装備の名前は、それぞれ選び方が変わる話なので、専用の記事にまとめています。

用語 意味 詳しく
レイヤリング 肌着・中間着・上着を重ねて体温を調節する考え方 重ね着の基本
ベースレイヤー 肌に直接着る層。汗を肌から離す役割 メッシュインナー
ミドルレイヤー 中間着。空気をためて保温する層 中間着の選び方
シェル いちばん外側の上着。雨と風を止める レインウェア / ソフトシェル
ザック 登山用の背負い袋。容量はリットルで表す ザックの選び方
登山靴 足首の覆い方でロー・ミッド・ハイに分かれる 登山靴の選び方
ワイズ(足囲) 足の甲まわりの太さ。同じ長さでも幅で履き心地が変わる トレッキングシューズ
ゲイター 靴と脚を覆い、砂や雪の侵入を防ぐ布 ゲイターは要るか
アイゼン 靴底に着ける金属の爪。凍った斜面で使う 軽アイゼンの選び方
ストック 歩行を支える杖。トレッキングポールとも呼ぶ ポールの選び方
ヘッデン ヘッドランプの略。頭に着ける明かり ヘッドライトの選び方
ツェルト 緊急時にかぶる簡易テント。軽くて小さい 山岳テント

用語に出てくる道具の実物

ここまでの表に出てきた道具は、名前だけでは形や使い方が想像しにくいものも多くあります。用語の意味と実際の製品を照らし合わせておくと、山行記録や道具の紹介記事も読みやすくなります。

ストックの実物

表にあるストックは、歩行を支える杖でトレッキングポールとも呼びます。下りで先に地面へ突くことで、膝への負担を分散させる使い方が基本です。グリップの高さを調整する仕組みや、先端のキャップの形は実物で確認できます。


ヘッデンの実物

表にあるヘッデンは、頭に着けて使う明かりです。早朝の出発や日没後の下山で両手を空けたまま足元を照らせるため、日帰りの計画でも予備を含めて持つ人が多い道具です。


ゲイターの実物

表にあるゲイターは、靴と脚を覆って砂や小石、雪の侵入を防ぐ布です。ザレ場やガレ場を歩くとき、靴の中に小石が入り込むのを防ぐ役割があります。丈の長さは製品ごとに違い、写真のようなセミロング丈もそのひとつです。


アイゼンの実物

表にあるアイゼンは、靴底に着けて凍った斜面での滑りを防ぐ金属の爪の総称です。雪山の急斜面で使う本格的なものから、日帰りコースの凍結箇所で使う軽量タイプまで幅があり、写真は後者にあたる簡易的なタイプです。


ツェルトの実物

表にあるツェルトは、緊急時にかぶる簡易テントです。軽くたためるため、ビバーク(予定外にその場で夜を明かすこと)になったとき、風雨と体温の低下から身を守る道具として使われます。


読図に使うコンパスの実物

この先の章で紹介する読図は、地形図から現在地や地形を読み取ることです。コンパスは地図の向きを実際の地形に合わせる作業に使う道具で、道に迷ったときの確認手段としても基本になります。


読図に使う地図の実物

登山専用の地図には、コースタイムや水場、危険箇所が書き込まれています。国土地理院の地形図と役割が違うので、読図の練習はまずこうした登山地図を実際に広げて現在地を探すところから始めると取り組みやすくなります。


知っていると記録が読みやすくなる言い回し

山の記録や山小屋の会話には、独特の言い方が残っています。検索しても辞書に出てこないものが多いので、まとめておきます。

  • 山ヤ(やまや) … 山を主軸に生活している人。自称として使われることが多い
  • ヤブ漕ぎ … 背丈ほどの笹や低木をかき分けて進むこと
  • 詰める … 沢やルンゼを源頭までたどること
  • 捲く(まく) … 難所を避けて回り込むこと
  • エスケープルート … 天候悪化などで途中から下山するための道
  • デポ … 荷物を途中に置いておくこと。空身で山頂を往復するときに使う
  • アプローチ … 登山口や岩場の取り付きまでの道のり
  • 取り付き … ルートの登り始めの地点
  • 源頭(げんとう) … 沢のいちばん上、水が湧き出している地点
  • 二俣(ふたまた) … 沢が二つに分かれる場所。沢登りの目印になる
  • 高巻き(たかまき) … 滝などを避けて、斜面を高く登って回り込むこと
  • 詰め上がる … 沢を最後までたどって稜線に出ること
  • ビバーク … 予定外にその場で夜を明かすこと
  • ラッセル … 深い雪をかき分けて道を作りながら進むこと
  • トレース … 先に歩いた人が残した足跡。雪山では道の代わりになる
  • 幕営(ばくえい) … テントを張って泊まること
  • コースアウト … 登山道から外れてしまうこと
  • 読図(どくず) … 地形図から現在地や地形を読み取ること

かっこいいと言われる登山用語

響きが独特なため、覚えておくと記録を書くときに使える言葉です。どれも実際に現場で使われています。

言葉 意味
ナイフリッジ 両側が切れ落ちた、刃物のように細い尾根
モルゲンロート 朝日で山肌が赤く染まる現象。ドイツ語で「朝の赤」
アーベントロート 夕日で山が赤く染まる現象。モルゲンロートの対
シュカブラ 風が雪面に刻んだ波模様
エビの尻尾 風上に向かって成長する、樹氷の海老のような形
ゴルジュ 両岸が壁のように迫った狭い谷。仏語で「喉」
ピークハント 山頂を踏むことを目的にした登り方
アルペン的 岩と雪に囲まれた、ヨーロッパアルプスを思わせる景観

よくある質問

Q. ルンゼとガリーはどう違いますか?

指している地形はほぼ同じで、ルンゼがドイツ語、ガリーが英語という違いです。日本の山の記録ではルンゼ、英語圏の記録ではガリーが使われます。厳密な線引きは無く、書き手の好みで選ばれています。

Q. ルンゼとチムニーの見分け方は?

体がすっぽり入る幅で、両側が平行に立っていればチムニーです。ルンゼは水や雪の浸食でできた溝で、規模が大きく断面は浅いV字になります。登り方も違い、チムニーは背中と足で突っ張って登ります。

Q. 山を登り切ることは何と言いますか?

山頂に立ったなら登頂、決めたルートを登り終えたなら完登、長い縦走路を歩き通したなら踏破を使います。ひとつの山について言うなら、登頂がいちばん通じます。

Q. 下界とはどこを指しますか?

山の上から見おろした、ふもとの町や平地のことです。地形の名前ではなく、山の上と日常生活を対比する言い方として使われます。

Q. 「一本取る」とはどういう意味ですか?

休憩することです。荷物を下ろして休むことを指し、「そろそろ一本取ろう」のように使います。かつて木材を運ぶときに背負子を杖で支えて休んだことに由来するといわれています。

Q. 鞍部とコルは同じ意味ですか?

同じ地形を指します。鞍部が日本語、コルがフランス語由来の呼び方です。稜線がくぼんだ場所で、風の通り道になるため休憩地点として使うときは注意が要ります。

Q. 空身とデポはどう違いますか?

空身は「身軽な状態」、デポは「荷物を置く行為」を指します。ザックをデポして空身で山頂を往復する、というように、セットで使われることが多い言葉です。

Q. 登り返しとは何ですか?

いったん下ったあとに、また登ることです。稜線を歩いていると、ピークとピークの間の鞍部へ下ってから次のピークへ登る場面が繰り返し出てきます。地図上の距離が短くても登り返しが多いコースは、累積標高差が大きくなり体力を消耗します。行程を見積もるときは、標高差だけでなく累積標高差を確認してください。

Q. 山の斜面の呼び方にはどんなものがありますか?

向きと形で呼び分けます。日が当たる南向きの斜面を陽(ひ)当たり斜面、日陰になる北側を北面(ほくめん)と呼び、北面は雪が遅くまで残ります。傾斜が急なら急斜面、崩れて石が積もっていればガレ場、砂状ならザレ場です。一枚岩ならスラブ、溝状に切れ込んでいればルンゼになります。

Q. 尾根と尾根の間は何と呼びますか?

谷、または沢です。尾根が盛り上がった線であるのに対して、その間のくぼんだ線が谷にあたります。水が流れていれば沢と呼ぶことが多く、沢をさかのぼる登り方を沢登りといいます。なお、同じ尾根の上で低くなった場所は谷ではなく鞍部(コル)です。

Q. 登山でピッチとは何を指しますか?

使われる場面で2つの意味があります。岩登りではロープ1本分の登攀区間を指し、「3ピッチのルート」といえばロープを3回伸ばして登る長さです。一方、歩きの登山では休憩までの一区切りを指し、「1ピッチ1時間で歩く」のように使われます。

まとめ

山頂から見おろした下界の景色

登山の用語は、ドイツ語・英語・フランス語・日本語がそのまま混ざって定着しています。ルンゼとガリーのように同じものの別名である場合が多く、由来を知ると整理しやすくなります。

読むうえでとくに押さえておきたいのは、次の3つです。

  • ルンゼは落石と雪崩の通り道。記録でこの語を見たら、通過に時間をかけない場所だと分かる
  • ピンクテープは登山道の印とは限らない。たどると外れることがある
  • コースタイムに休憩は含まれない。計画では別に足す

言葉が分かると、他の人の記録から読み取れる情報が一気に増えます。行きたい山の記録を読むところから始めてみてください。

用語に慣れるだけなら、山を舞台にした作品を読むのも近道です。物語の中で自然に使われている言葉は、定義を覚えるより頭に残ります。おすすめの登山漫画15選では、遭難や救助を扱った作品も紹介しています。

実際に歩き始めるときは、登山の始め方登山計画の立て方を先に読んでおくと、ここで挙げた言葉が地図の上でどう使われているのかが分かります。

出典

※定義は2026年8月13日時点で上記の資料に記載されている内容を確認しました。登山用語には公的な標準がなく、書き手や地域によって使い方に幅があります。

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