ソフトシェルとは|ハードシェルとの違いを耐水圧で解説+7選

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「ソフトシェルとは何なのか、検索しても今ひとつ分からない」——このページに来た方の多くが、まずそこでつまずいています。

ソフトシェルとは、防水膜を持たず、表面の撥水加工と伸縮性のある生地で風と軽い雨をしのぐ、動きやすさ優先のアウターです。完全防水のハードシェルとは、そもそも作りの前提が違います。この違いを分かっていないと、店頭で「防水ですか」と聞いて店員を困らせることになります。

この違いを知らずに選ぶと、雨の予報を見誤って行動中に濡れたり、逆に不要な重装備を担いで疲れたりします。正しい理解は、そのまま荷物の軽さにつながります。

この記事では、ソフトシェルの定義から、ハードシェル・ウインドシェル・フリース・レインウェアとの違い、着るべき場面と着てはいけない場面、裏起毛タイプとの使い分けまでを整理し、最後に実際に選べる7点を紹介します。製品を先に見たい方はおすすめ7選へどうぞ。

ソフトシェルとは|まず定義から

登山でソフトシェルジャケットを着用するイメージ

ソフトシェルは、特定の生地の名前ではありません。「摩耗に強く撥水加工した表地」を軸に、モデルによっては伸縮性のある中間層や、保温用の裏地を組み合わせたジャケットの分類名です。ブランドやモデルで生地構成は変わりますが、共通しているのは防水膜を持たないこと伸縮性が高いことの2点です。

この2点が、ソフトシェルというジャンルの正体です。防水膜がない代わりに生地そのものが通気するため蒸れにくく、伸縮性のおかげで腕を上げても突っ張りません。登山中に脱ぎ着する手間を減らしたい人向けに生まれた発想だと考えると理解しやすくなります。

「シェルジャケット」は上位概念、ソフトシェルはその一部

「シェルジャケットとは」で検索した方向けに整理します。シェルジャケットは、防風・防水のアウター全般を指す総称です。その中に、完全防水の「ハードシェル」と、撥水どまりで動きやすい「ソフトシェル」という2つの系統があります。「シェルジャケット」という単体の製品カテゴリーがあるわけではなく、この2つのどちらかを指している、と考えれば迷いません。

ソフトシェルとハードシェルの違いは「耐水圧」で説明できる

ソフトシェル素材のウェアで山道を歩くイメージ

ソフトシェルとハードシェルを分けているのは、見た目でも価格帯でもなく、生地が防水膜を持つかどうかです。この差は「耐水圧」という数値で説明できます。

耐水圧とは何か

耐水圧は、生地の上に1cm四方の筒を立てて水を注ぎ、生地が水を通し始める高さをmm(ミリメートル)で表した数値です。ワークマン公式サイトの説明による目安は次のとおりです。

耐水圧の数値 耐えられる雨の目安
300mm 小雨
2,000mm 中雨
10,000mm 大雨
20,000mm 嵐(登山向けレインウェアの目安ライン)

ハードシェルは20,000mm以上、ソフトシェルは「非公表」が普通

登山向けのレインウェア(ハードシェル)は、モンベル公式が「レインウエアに求められる耐水圧20,000mm以上をクリアした素材のみを使用」と明言しているとおり、20,000mmが実質的な最低ラインになっています。

一方、ソフトシェルは今回紹介する7点を含め、耐水圧を公表している製品がほとんどありません。これは測り忘れているわけではなく、「防水を主目的にした製品ではない」ということの裏返しです。ソフトシェルの表地に施されているのは撥水(DWR)加工で、生地の内部に防水膜を持たないため、そもそも耐水圧という指標になじみません。マムート公式のソフトシェル解説でも、ソフトシェルには「ハードシェルのような完全防水メンブレンは備わっていない」とはっきり書かれています。数値が無いのは手抜きではなく、設計思想の違いだと理解してください。

比較表|ハードシェル・ソフトシェル・ウインドシェル・フリース・レインウェアの違い

似たような見た目のアウターが並ぶと、違いが分からなくなります。軸になるのは「防水性」「透湿性」「伸縮性」「防風力」「蒸れにくさ」の5つです。1つの製品が全部で満点を取ることはなく、どれかを立てればどれかが下がる関係になっています。

種類 防水性(耐水圧) 透湿性 伸縮性 防風力 蒸れにくさ 向く場面
ハードシェル 完全防水膜あり。目安20,000mm以上 高い(透湿膜による) 低め 最強 動き続けると蒸れやすい 本降りの雨、岩稜帯、悪天候
ソフトシェル 防水膜なし。撥水のみ。非公表がほとんど 非常に高い 高い 中程度 蒸れにくい 風対策、行動中の着っぱなし
ウインドシェル 防水膜なし。撥水のみか無処理 非常に高い 低め〜中程度 高い 非常に蒸れにくい 軽量重視の風よけだけが目的の場面
フリース なし 制限なしに近い(膜がない) 起毛の柔らかさ次第 低い 蒸れにくい 中間着、休憩時や停止時の保温
レインウェア 完全防水膜あり。目安20,000mm以上 モデル差はあるが高い やや低め(軽量モデルはやや高い) 最強 動き続けると蒸れやすい 突然の雨、畳んで携行

登山道でジャケットを着て休憩する登山者のイメージ

表を見ると、ハードシェルとレインウェアがほぼ同じ性質であることに気づきます。実際、仕組みは同じ防水透湿素材です。山道具としては「行動中ずっと着る前提の頑丈なものがハードシェル」「にわか雨でサッと羽織る軽量なものがレインウェア」という使い分けをします。詳しい違いはハードシェルジャケットとレインウェアの違いにまとめてあります。

そしてソフトシェルは、この表のどの項目でも1位を取りません。そのかわり、どの項目でも及第点を取るという立ち位置です。「ソフトシェル 最強」を求めて比較しても、実は的外れな探し方になります。詳しくは後半のよくある質問で答えます。

ソフトシェルを着るべき場面

登山用ジャケットを選んでいる場面のイメージ

雨が降らない日の風対策

稜線に出ると、晴れていても風は吹きます。ウインドシェルより厚みがある分、ソフトシェルは1枚で防寒と防風を同時にこなせます。行動中の汗で内側が蒸れる心配も少なく、休憩のたびに脱ぐ必要がありません。

行動中に脱ぎ着したくない場面

レインウェアは防水性が高い代わりに蒸れやすく、行動中はこまめな脱ぎ着が前提になります。ソフトシェルは通気性が高いぶん、着たまま歩き続けられるのが最大の強みです。登り始めから山頂まで、ジッパー1本の開け閉めだけで体温を調整できます。

冬の低山

厳冬期の高山ではハードシェルや防寒着が必須ですが、気温が氷点下まで下がらない冬の低山であれば、ソフトシェル1枚で行動できる場面が多くあります。伸縮性が高いため、アイゼンなしで歩く程度の行動なら体の動きを妨げません。

ソフトシェルを着てはいけない場面

ソフトシェルは雨具の代わりになりません。ここを誤解したまま持ち出すと、山の中で後悔することになります。

本降りの雨

すでに説明したとおり、ソフトシェルの表地は撥水加工であって防水ではありません。小雨や霧雨には耐えても、本降りの雨では生地の内側まで水がしみてきます。雨予報が濃厚な日にソフトシェル1枚で出かけるのは避けてください。

行動中ずっと雨に当たり続ける縦走

1日の大半を雨の中で行動するような縦走では、途中でソフトシェルの撥水が切れた瞬間に体が濡れます。この場面が想定されるなら、最初から完全防水のハードシェルを選ぶべきです。本降りが予想される日は、レインウェアの選び方を先に確認し、防水透湿のハードシェルを用意してください。ソフトシェルの上から重ねて着るか、最初からレインウェアだけで行動するかを、天気予報を見て事前に決めておきましょう。

裏起毛タイプと薄手タイプ、どちらを選ぶか

ソフトシェルには、生地の裏側にフリースなどの起毛素材を貼り合わせた「裏起毛タイプ」と、裏地のない「薄手タイプ」があります。この違いを知らずに選ぶと、暑すぎたり寒すぎたりする1着を買うことになります。

裏起毛タイプの得意なこと

裏起毛タイプは、フリースの起毛が体温を内側に閉じ込めながら湿気を逃がすため、1枚で高い保温効果を発揮します。気温が低い日でも中間着を重ねずに済むのが利点です。ただし、極寒の環境ではダウンジャケットや化繊インサレーション、ハードシェルの組み合わせには及びません。生地が厚くなるぶん、伸縮性と蒸れにくさでは薄手タイプに劣ります。

薄手タイプ(今回紹介する7点)の得意なこと

薄手タイプは裏地を持たないか、あっても最小限です。軽さと伸縮性、蒸れにくさを最優先にした作りで、行動中の体温調整に向いています。今回紹介する7点は、いずれもこの薄手タイプに当たります。保温力そのものを重視する場合は、フリースなどミドルレイヤーを中間着として別に組み合わせる方法も検討してください。動きやすさと保温を両方満たす1着を探すより、役割を分けたほうが結果的に軽くなることがあります。

用途に合わせて選ぶ ソフトシェルジャケット7選

登山用ソフトシェルジャケットの着用イメージ

ここからは具体的なモデルです。素材構成・重量・価格は変更されることがあるため、数値は各販売ページでご確認ください。いずれも裏起毛ではない薄手タイプで、耐水圧は非公表(撥水加工のみ)という前提で紹介します。

Karrimor(カリマー)softshell zip-up

カリマー公式サイトによると、2-way Stretch Nylon(ナイロン88%・ポリウレタン12%)を使用し、重量は280g。表地にはDWR撥水加工を施しています。ダブルジッパー仕様で、内側で留めればレギュラーシルエット、外側で留めればリラックスシルエットに変化する2wayの作りです。裏地には凹凸があり、肌に貼りつきにくくなっています。

防風性と耐摩耗性のバランスを重視した基本形で、街から低山まで幅広く使える1着です。


Karrimor(カリマー)arete LT parka はっ水 ストレッチ

カリマーの人気シリーズ「arete」の軽量パーカーです。軽量なナイロンストレッチ生地の表面に撥水加工を施し、ダブルジッパー、チェストポケット、メッシュ裏地のベンチレーションポケットを備えています。フードは丸めて襟元に収納できる仕様です。

軽さを優先したい春秋の低山ハイクや、行動中の中間着としても使いたい人に向いています。


Columbia(コロンビア)ライトキャニオン ソフトシェルジャケット PM0373

Primeflex 4方向ストレッチ素材を採用し、ポリウレタンを使わないポリエステル100%で作られています。コロンビア独自の撥水・防汚加工「Omni-Shield」と、UPF40の紫外線カット機能「Omni-Shade」を両方備え、コンパクトに折りたためるポケッタブル仕様です。

日差しの強い低山から中級山まで、UVカットも同時に済ませたい人に向いています。


MAMMUT(マムート)グラナイト ソフトシェル フーデッド ジャケット アジアンフィット

マムート公式サイトによると、ポリエステル100%の織物生地で、重量は235g。PFCフリーの耐久撥水(DWR)加工が施され、YKK Vislonの滑りの良いフロントジッパー、2点で調節できるフード、ジッパー付きサイドポケット2つを備えています。日本人の体型に合わせた「アジアンフィット」の縫製です。

山岳ブランドらしい基本性能と、体に合わせやすいフィット感を両方重視する人に向いています。


THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)エイペックスフレックスフーディ

ゴールドウィン公式サイトによると、4way Stretch Doubleweave Recycled Nylon(ナイロン83%・ポリウレタン17%)というリサイクル素材を使用し、表地に撥水加工を施しています。左右の脇にファスナーポケットを備え、袖口とフード口はバインダー仕様で風の侵入を抑えます。

ハイキングだけでなくランニングなど運動強度の高い場面でも使いやすく、リサイクル素材を選びたい人にも向いています。


THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)Mountain Softshell Hoodie

ゴールドウィン公式サイトによると、APEX Softshell Super Light(ナイロン84%・ポリウレタン16%)という薄手素材を使い、立体裁断とはっ水加工を組み合わせた1着です。フードは顔まわりの視界を妨げにくい構造で、左胸と両サイドにファスナーポケットを配置しています。

「ソフトシェルの定番」と呼ばれるモデルで、薄手・軽量を優先し行動中ずっと着ていたい人に向いています。


phenix(フェニックス)Theodore Jacket(ソフトシェルジャケット)

製品名に「(ソフトシェルジャケット)」と明記されたモデルです。スキー・スノーボードウェアで培った防風性重視のもの作りを、街でも使いやすいソフトシェルに落とし込んでいます。生地の詳しい混率は販売ページによって表記が異なるため、購入前に販売ページで確認してください。

他の6点とはブランドの毛色を変えたい人、選択肢を広げたい人向けの1着です。


まとめ

山を歩く登山者とソフトシェルジャケットのイメージ

ソフトシェルとは、防水膜を持たず、撥水加工と伸縮性で風と軽い雨をしのぐアウターです。ハードシェルのように耐水圧の数値を競う製品ではなく、非公表であること自体が「防水が目的ではない」ことの証明になっています。

選ぶときの軸は3つです。

  • 本降りの雨には使わない — 撥水と防水は別物です。悪天候が濃厚な日はレインウェアを用意してください
  • 裏起毛か薄手かで役割が変わる — 保温重視なら裏起毛、動きやすさ重視なら薄手。今回の7点はすべて薄手タイプです
  • 「最強」を探さない — ソフトシェルはどの項目でも1位を取らない代わりに、どの場面でも及第点で動ける道具です

晴れた日の風対策、行動中の脱ぎ着を減らしたい場面、氷点下まで下がらない冬の低山。この3つに心当たりがあるなら、ソフトシェルはあなたの装備に合っています。反対に、本降りの雨が濃厚な日は、主役をレインウェアに切り替えてください。

よくある質問

Q. ソフトシェルとは何ですか?

A. 防水膜を持たず、表面の撥水加工と伸縮性のある生地で風と軽い雨をしのぐアウターです。完全防水のハードシェルとは違い、動きやすさと蒸れにくさを優先した作りになっています。

Q. ソフトシェルとハードシェルの違いは何ですか?

A. 防水膜の有無です。ハードシェルは耐水圧20,000mm以上が目安の完全防水膜を持ちますが、ソフトシェルは撥水加工のみで、耐水圧を公表している製品はごくわずかです。

Q. ソフトシェルは防水ですか?

A. 防水ではありません。生地の内部に防水膜を持たず、表面に撥水(DWR)加工を施しているだけの構造です。小雨や霧雨には耐えますが、本降りの雨では内側まで水がしみてきます。

Q. ソフトシェルは雨の日に着られますか?

A. 小雨程度なら問題ありません。ただし本降りが予想される日は、ソフトシェル単体で行動しないでください。レインウェアを別に用意するか、ソフトシェルの上から羽織って使ってください。

Q. ソフトシェルとウインドシェルはどう違いますか?

A. どちらも防水膜を持たない点は共通ですが、ウインドシェルは生地がより薄く、風よけに特化しています。ソフトシェルはやや厚みがあり、防風に加えて多少の保温性も兼ねます。

Q. 裏起毛のソフトシェルと薄手のソフトシェルはどちらを選ぶべきですか?

A. 保温を重視するなら裏起毛、動きやすさと蒸れにくさを重視するなら薄手タイプです。今回紹介した7点はすべて薄手タイプで、保温力が欲しい場合はミドルレイヤーを別に重ねる方法もあります。

Q. 「最強」のソフトシェルはどれですか?

A. 数字だけで決まる「最強」は存在しません。ソフトシェルは防水性・透湿性・伸縮性のどれか1つに突き抜けた製品ではなく、全部を及第点でこなす道具です。用途を先に決めてから選ぶほうが失敗しません。

Q. ソフトシェルは何度くらいの気温で着られますか?

A. 目安は氷点下まで下がらない気温帯です。行動中の体温調整に向いた作りなので、じっとしている時間が長い厳冬期の稜線では防寒着やハードシェルとの併用を検討してください。

Q. 撥水性能は洗濯すると落ちますか?

A. 落ちることがあります。撥水加工は摩耗や洗濯で少しずつ効果が薄れる消耗品です。柔軟剤を使わずに洗い、乾燥機やアイロンの低温設定で軽く熱を加えると、撥水性能が一時的に戻る製品もあります。

出典

※本記事の内容は2026年8月13日時点の情報です。耐水圧・透湿性の測定方法はメーカーや規格によって異なる場合があります。製品の仕様・価格は変更されることがありますので、購入前に各販売ページでご確認ください。

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