登山計画の立て方|登山届の出し方とコースタイムの決め方
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登山計画とは、行き先の山とルート、かかる時間、必要な装備、そして万が一のときの連絡手段までを、出発前に紙の上で組み立てておく作業です。「登山計画の立て方が分からない」「なんとなく計画は立てたけれど、登山届までは出していない」という人は少なくありません。

このページでは、山選びからコースタイムの見積もり、日没からの逆算、エスケープルートの決め方、天気の読み方、装備の選び方、そして計画の仕上げとなる登山届の出し方まで、7つの手順に沿って順番に解説します。登山届は、道に迷ったり動けなくなったりしたときに、家族や捜索隊が頼れる唯一の記録です。立てた計画は、届け出てはじめて安全対策として機能します。

初めての一座でも、経験を積んだ山でも、計画の組み立て方は変わりません。順番に読み進めれば、次の登山までに必要な準備がひと通りそろいます。

登山計画は7つの手順で立てる

登山計画で決めることは多く見えますが、実際にやることを分解すると7つの手順に整理できます。まずは全体の流れを一覧で確認してから、それぞれを詳しく見ていきましょう。

やること 何を見るか 決まること
山を選ぶ 体力・経験、標高差、歩行時間の目安 登る山とおおまかなコース
コースタイムを積む 地図の標準コースタイム(休憩を含まない数字) 休憩込みの行動時間
日没から逆算する 国立天文台の日の入り時刻 出発時刻と下山の目標時刻
エスケープルートを決める 地図上の下山可能な分岐・登山道 撤退するときにどこで降りるか
天気を読む 前日・当日朝の天気予報、天気図 決行・延期・ルート変更の判断
装備を決める 季節・標高、日帰りか泊まりかの行程 持っていく装備一覧
登山届を出す その山域が条例の対象かどうか、提出先 提出方法と提出のタイミング

山を選ぶ

登山計画の第一歩として地図を広げて山を選ぶ登山者

登山計画の出発点は、山選びです。富士山や槍ヶ岳、穂高岳、燕岳など憧れの山はあっても、最初は自分の体力や経験に合った山から少しずつ挑戦していきましょう。

目的で選ぶ

「新緑を楽しみたい」「山頂からの眺望を満喫したい」など、登山の動機に合わせて山を選ぶと満足度が上がります。季節によっても山の表情は大きく変わるため、春の新緑、秋の紅葉など、季節ごとの特徴を踏まえた山選びもおすすめです。

体力・経験に合わせて選ぶ

初心者や体力に自信がない方は、標高差600m前後・歩行時間4時間前後の低山から始めると無理がありません。初心者同士、あるいは初心者だけのグループで登る場合は、複数人で行動することをおすすめします。着実にステップアップしたい方も、まずは標高差600m・歩行時間4時間以内のコースから経験を積み、少しずつ難易度の高い山へと進んでいくのが安全です。

自分の体力に対してどのくらいの難易度の山なのかをもっと詳しく知りたいときは、山のグレーディング表を使うと、体力度と技術的な難易度を数字で比較できます。

ガイドブックとネットの情報を組み合わせる

どの山を選べばいいか迷ったら、ガイドブックで候補を眺めてみるのも一つの方法です。

「ヤマケイアルペンガイドNEXT 東海周辺 週末の山登り ベスト120」は、東海地方とその周辺の120コースを収録したガイドブックです。三河・尾張の山から南アルプス、中央アルプス、鈴鹿、伊勢の山まで、日帰りで狙える週末の山登りコースがまとまっており、自分の体力や行きたいエリアに近いコースを探すときの候補選びに役立ちます。


インターネットの登山記録やレビューもあわせてチェックすると、最新の登山道の状況や混雑具合まで把握しやすくなります。

交通アクセスと安全を優先する

交通アクセスが良い山なら、登山以外の部分でのストレスを減らせます。車や公共交通機関でのアクセスのしやすさに加え、ロープウェイがある山なら、疲れたときやトラブルが起きたときにロープウェイで降りてくる選択肢も持てるので、初心者には心強いポイントです。

いきなり難易度の高い山に挑戦するのは危険を伴います。自分の体力と技術を踏まえ、「登れる山」を慎重に選んでください。目的・季節・体力を考えながら、安全を最優先に山を決めていきましょう。

山選びチェックリスト

ガイドブックやインターネットの情報を上手に活用しながら、次のポイントを確認しておくと安心です。

  • 目的を具体化する:「新緑を楽しみたい」「眺めの良い山頂を目指したい」など、行きたい山のイメージを具体的にする
  • 自分のレベルに合わせる:体力や登山経験を踏まえ、無理のない山を選ぶ
  • 情報を幅広く集める:ガイドブックやWebサイトで山の特徴・レビュー・コースの詳細を調べる
  • 数字で確認する:歩行時間3〜4時間程度、累積標高500〜600m前後を、初心者向けの目安として押さえる

ルート・コースを選ぶ

登山ルートを地図で確認しコースを選ぶ場面

山を選んだあとは、実力に合うルートを選び、コースの特徴を把握しましょう。登ってみたいコースを先に調べてから山を選ぶ、という順番でも問題ありません。

コースの種類を知る

登山道には、同じ道を往復する「ピストン」、景色が変わる「周回コース」、複数の山をつなぐ「縦走コース」があります。最初はシンプルな往復コースから始め、徐々に周回・縦走へとステップアップしていくのがおすすめです。SNSで見て憧れたからといって、いきなり北アルプスの縦走に挑戦するのは避けましょう。ハードなコースに挑む前に、簡単なハイキングから経験を積むことが大切です。

初心者向けコースの見分け方

登山道がしっかり整備され、急な坂や岩場の少ないコースは初心者向けです。道標や目印が多く、ルートが明確なコースを選べば、道迷いのリスクも下げられます。他の登山者が多いコースなら、もしものときに助けを求めやすいうえ、先輩登山者の歩き方から学べる機会も増えます。

何が起こるかわからないのが登山です。天気や体調の変化にいつでも対応できるよう、余裕を持った計画を立てましょう。

これらのポイントを押さえておけば、初めての登山でも安全に楽しめる準備が整います。事前の準備と計画があってこそ、登山道の先にある景色を安心して楽しめます。

コースタイムを積む

山とルートが決まったら、次はコースタイムの見積もりです。「登山計画 立て方」でつまずきやすいのが、まさにこの工程です。

地図のコースタイムには休憩が含まれていない

登山地図に書かれているコースタイムは、そのまま鵜呑みにすると計画が狂います。昭文社のエアリアマップでは、コースタイムを「平均的なペースで歩いた場合の、休憩時間を含まない正味の所要時間」と定義しており、40〜50歳程度の登山経験者・2〜5名のパーティ・山小屋泊まりの装備・夏山の晴天時という条件が前提になっています。つまり、体力に自信がない人や、休憩をこまめに取りたい人がそのままの時間で歩けるとは限りません。

1.2〜1.5倍を目安に見積もる

地図のコースタイムに対しては、休憩や個人差を見込んで1.2倍程度、体力に自信がない場合や悪天候が予想される場合は1.5倍程度を目安に、余裕を持った時間で計画しましょう。

行動時間の見積もり方
行動時間の目安 = 地図のコースタイム × 1.2〜1.5 + 休憩の時間
・体力に余裕がある/歩き慣れている → 1.2倍
・初心者/悪天候が予想される → 1.5倍
・休憩(食事・写真・小休止)は別枠で加算する

コースタイムを多めに見積もっておくと、次に説明する「日没から逆算する」計算の精度も上がります。

日没から逆算する|行動終了時刻を決める

登山計画のなかでも見落とされがちなのが、日没からの逆算です。出発時刻から積み上げるのではなく、日没の時刻から逆算して行動計画を組み立てるのが安全な考え方です。

国立天文台の日の入り時刻を確認する

日の入りの時刻は季節と場所によって変わり、しかも秋にかけて急激に早まります。国立天文台の暦計算室では、全国の地点ごとに日の出・日の入りの時刻を公表しています。たとえば東京の日の入りは、2026年8月14日が18:32、8月31日が18:10と、半月ほどで20分以上早まります(国立天文台暦計算室2026年8月確認時点)。夏の感覚のまま秋の登山計画を立てると、下山が暗くなってから、という事態になりかねません。

行動終了は日の入りの1時間前が目安

下山予定時刻は、日の入りの1〜2時間前までに設定するのが登山ガイドや山岳メディアで広く共有されている目安です。本サイトでは、日の入り時刻から1時間を引いた時刻を登山口への帰着目標として計画することをおすすめしています。

下山時刻の逆算式
登山口帰着の目標時刻 = その日の日の入り時刻 - 1時間
引き返し時刻 = 登山口帰着の目標時刻 - 下りのコースタイム

秋の月別の日の入り時刻や、東京・長野・大阪それぞれの引き返し時刻の早見表は、登山の日没は秋に早まる|東京・長野・大阪の月別早見表と引き返し時刻の逆算法で詳しく解説しています。

日の入りの1時間前に下山する計画を立てていても、コースタイムの見積もりがずれれば、暗くなってから歩く可能性はゼロになりません。ヘッドライトは「使わずに済むための保険」として、日帰りの行程でも必ず携行しましょう。

ペツルの「ティキナ」は、公式スペックで最大300ルーメン・重量92gのヘッドライトです。手元や足元を広く照らすワイドな配光が特徴で、単4形電池3本で動作します。下山中に予定より暗くなっても行動を続けられる明るさを確保できるので、日没から逆算した計画の最後の保険として備えておきたい装備です。


エスケープルートを決めておく

エスケープルートとは

エスケープルートとは、登山の途中で天候不良や体調不良などが起きたときに、計画していた縦走路や周回コースを最後まで歩かず、短時間で下山できる分岐や登山道のことです。撤退の判断を実際の行動に移すための「逃げ道」と言い換えることもできます。

地図で先に探し、時間も把握しておく

エスケープルートは、トラブルが起きてから地図で探すのでは遅くなります。計画の段階で、稜線や縦走路の途中から林道・登山口・山小屋へ短時間で下れる分岐をあらかじめ地図でチェックし、そこまでの目安時間もメモしておきましょう。「山と高原地図」のような登山地図には、多くのコースでこうした分岐やコースタイムが記載されています。

エスケープルートを使ったあと、そこから交通機関のある場所まで実際に移動できるかどうかも、あわせて確認しておくと安心です。単独で登る場合は、複数人での登山よりも撤退の判断を自分一人で下すことになるため、より厳しめの基準が必要になります。単独登山ならではの撤退判断の考え方はソロ登山のコツで詳しく解説しています。

天気を読む

登山の天気は、平地の予報どおりにいかないことが珍しくありません。前日と当日朝、それぞれのタイミングで天気予報を確認し、気圧配置がわかる天気図にも目を通しておくと、天候の崩れ方をイメージしやすくなります。

決行・延期・ルート変更を出発前に決めておく

少しでも荒天の兆候があれば、稜線を歩く行程を短くする、ルートを変更する、日程そのものを延期するといった判断を、出発前に決めておいた基準に沿って行いましょう。当日の天候を見てから迷っていると、判断が後手に回りがちです。天気図の読み方やおすすめの天気予報アプリ・サイトの比較は、山の天気予報はここを見る!おすすめアプリ&ウェブサイト紹介で詳しく紹介しています。

装備を決める

登山計画に合わせてザックや地図などの装備をそろえる準備の様子

適切な装備をそろえることは、安全性と快適な山行を実現するうえで欠かせません。自分が登る山の天候や地形、季節を考慮して、必要なものをリストアップしましょう。

地図・コンパス・マップケースを持つ

「山と高原地図」は昭文社が60年以上にわたって発行している登山地図シリーズで、日本百名山を含む主要な山域をカバーしています。各山域を担当する執筆者による現地調査に基づくコースタイムや、水場・山小屋の位置、危険箇所の拡大図に加え、水に濡れても破れにくい耐水紙を採用しているのが特徴です。エリアごとに1冊ずつ分かれて発行されているので、購入するときは自分がこれから登る山を含む号を選んでください。ここで紹介する「剱・立山 2026」は、剱岳・立山・薬師岳・黒部五郎岳・水晶岳・鷲羽岳・雲ノ平・毛勝山エリア向けの号です。


進む方角を確認するコンパスも、紙の地図と組み合わせて携行したい装備です。スントの「A-10NH」は、サイズ56×104×10mm・重量30gとコンパクトなベースプレート型コンパスで、地図の縮尺に合わせて使えるスケール定規を備え、北半球での使用に合わせて調整されています。電池を使わない道具なので、スマートフォンの故障や電池切れとは無関係に方角を確認できる備えになります。


雨や汗で地図が濡れると、紙の地図もスマートフォンと同じように扱いにくくなります。HAMILOの防水マップケースは、両面がクリアになった折り畳み式のケースで、地図を入れたまま行動中も見やすく携行できます。4個セットなので、予備や同行者の分と一緒にそろえられます。地図アプリと紙地図をどちらも使うべきか迷う場合は、登山アプリの比較で電池切れ時のリスクも含めて解説しています。


基本の装備リスト

季節や地形に合わせて、次のようなアイテムを準備しましょう。

服装:登山用の快適で動きやすい衣服

リュック:日帰りの山行であれば25〜30L程度の容量が目安

トレッキングシューズ:しっかりしたグリップ力と歩きやすさを備えたもの

レインウェア:急な雨にも対応できるように

帽子・手袋:天候や気温の変化に対応するため

ヘッドライト:日帰りでも、暗くなったときの備えとして必ず携行する

ストック:膝への負担軽減や、バランスをとりやすくするため

山を登る際は、必要最低限の荷物で身軽に動けるよう、装備の選択と荷造りを工夫しましょう。

セーフティーギア

安全のための装備も忘れずに準備してください。

ホイッスル:非常時に仲間や他の登山者に知らせるための信号

ファーストエイドキット:怪我をしたときの応急処置用

携帯電話またはGPSデバイス:緊急時の連絡や位置情報の確認に

装備は安全のために重要ですが、過剰な荷物は行動の負担になります。計画に応じて必要なものを選びましょう。

登山計画書を書く

登山計画書に山行の予定を書き込む手元

無事に登山を終えて安全に下山するためには、事前の計画作成が欠かせません。ここまで集めた情報を、登山計画書という一つの書類にまとめましょう。

集めた情報を計画書にまとめる

登山計画では、次のように段階を踏んで情報を整理します。

  1. どの山に登るか:自分の体力や経験に合う山を選ぶのが基本です。
  2. どの道を登るか:地図でルートを確認し、途中にどのくらい難しい場所があるかを把握します。
  3. どれくらい時間がかかるか:コースタイムを積み上げ、山頂に着く時間や下山する時間を決めます。
  4. アクセスはどうか:登山口までの行き方と、公共交通機関の時刻を確認します。
  5. 天気はどうか:出発前に天気予報を確認し、必要なら計画を変更します。

登山計画書に書く5項目

万が一のために、次のような情報を登山計画書にまとめておきましょう。

  • 基本データ:誰がいつ行くのか、連絡先はどこか
  • 行程:どこでどのくらい休むか、全体の所要時間はどれくらいか
  • 身につけるもの:濡れても大丈夫な服装や、念のための防寒具・雨具
  • 持ち物リスト:地図やコンパス、食料、飲料水、応急処置セット
  • 共有先:家族や友人に見せるだけでなく、次で説明する登山届として提出する

計画書をきちんと作っておくことで、安全に、そして安心して山を楽しめます。

登山届の出し方

登山計画書と登山届の関係

ここまで作ってきた登山計画書は、それ自体が登山届の中身になります。書いてまとめただけでは家族や警察には伝わらないため、警察や指定の窓口へ提出してはじめて、道に迷ったり動けなくなったりしたときの「唯一の記録」として機能します。

都道府県の条例で提出が義務の山域がある

登山届の提出は多くの山域で任意ですが、次の4県は条例によって特定の山域での提出を義務付けています。

都道府県 対象山域・期間 提出期限 罰則
長野県
(長野県登山安全条例)
県が指定する登山道(バリエーションルートや県境をまたぐ場合も対象) 登山前 罰則規定なし
岐阜県
(北アルプス地区及び活火山地区における山岳遭難の防止に関する条例)
北アルプス地区、御嶽山・焼岳・白山・乗鞍岳 登山前 5万円以下の過料
富山県
(富山県登山届出条例)
剱岳周辺、12月1日〜翌年5月15日 登山の20日前まで 5万円以下の罰金
群馬県
(群馬県谷川岳遭難防止条例)
谷川岳の危険地区、3月1日〜11月30日
(冬季12月1日〜2月末は危険地区への登山自体が禁止)
登山の10日前まで 3万円以下の罰金

この4県以外の山域でも、登山届は捜索の初動を大きく左右します。義務がない山域であっても、日帰りだからと省略せず提出しておくことをおすすめします。

提出先は主に3つ

登山届の提出方法は、主に次の3つです。

  • オンラインの登山届システム「コンパス」:全国の山域に対応しており、パソコンやスマートフォンから作成・提出できます。決まった様式に縛られず、画面の入力欄を埋めていくだけで登山計画書と登山届を兼ねる書類が仕上がります。スマートフォンの登山アプリからコンパスと連携して提出できる場合もあり、アプリごとの対応状況は登山アプリの比較で確認できます。
  • 都道府県警察のオンライン届出システム:長野・岐阜・富山・群馬など条例のある県では、県警や自治体が独自の届出窓口を用意している場合があります。
  • 登山口のポスト:登山口に設置された登山届ポストに、備え付けの様式か、自分で用意した用紙を投函する方法です。オンラインでの提出が難しい場合の備えとして、紙の様式も携行しておくと安心です。

条例で義務付けられている山域では、提出先や提出期限が個別に定められています。入山前に、該当する県警や自治体の公式ページで最新の情報を確認してください。単独登山の場合の登山届の書き方や、より厳しめに設定すべき撤退の判断基準については、ソロ登山のコツで詳しく解説しています。

登山当日は予定より早めの行動を

日の出前の登山口で出発準備をする登山者

登山計画をどれだけ丁寧に立てても、当日の行動が計画どおりでなければ意味がありません。「早起きは三文の得」ということわざのとおり、予定より早めの行動を心がけましょう。

早起きのメリット

朝早くに起きることで、通常は目にすることのできない美しい朝焼けを見られたり、ゆっくりと準備する時間を持てたりします。朝の空気は爽やかで、1日を長く使えるという「得」もあります。

余裕を持った行動とチームワーク

道中では、登山道が思ったより歩きにくかったり、細かな分岐で迷ったりと、予期せぬことが起こるものです。予定より早くスタートしておけば、こうした場面でも焦らずに対応できます。

複数人での登山はチームワークも重要です。声を掛け合い、状況を確認しながら進みましょう。登山は山頂を目指すだけでなく、道中の景色や自然の音を楽しむ時間でもあります。早起きして準備万端で出発し、仲間と力を合わせて登ることが、安全で楽しい登山の秘訣です。

一人でも安全に|ソロ登山のコツ

山道を一人で歩くソロ登山者の後ろ姿

一人での登山も近年増えており、しっかりとした計画と準備を行うことで、ソロ登山ならではの楽しさを味わえます。ただしソロ登山は、複数人で登る場合よりも高い安全対策が求められます。事故や怪我が起きたときのリスクも異なるため、初心者のうちはツアーやグループでの参加をおすすめします。

安全に楽しむために、次のポイントを押さえた準備をしましょう。

  • 安全が第一:トラブルが起きたときに自己判断で行動する必要があるため、ルート選定や装備はとくに慎重に行います。身体のサインに敏感になり、無理をせず引き返す勇気も必要です。
  • 事前の準備:計画を事前にしっかり立て、登山届を提出するなど、万が一の状況でも迅速に救助が受けられるよう備えます。
  • 適切な装備:天候に左右されやすい山の環境のなか、一人での行動はさらに装備が重要になります。気温の変化に対応できる衣類や、緊急用の体温保持用品を準備しましょう。
  • 技術向上:初めて登る山は簡単なルートから始め、徐々にレベルアップしていくことが大切です。
  • 通信手段の携行:携帯電話や登山用GPSに加え、山岳救助隊への連絡を想定したココヘリなどの安全機器も携帯することをおすすめします。
  • 山岳保険に加入する:何かあった際の救助費用は高額になることがあります。ある程度のレベルの山に行く場合は、山岳保険(登山保険)への加入も検討しておきましょう。

ソロ登山ならではの登山届の書き方、撤退の判断基準、単独登山の遭難統計については、ソロ登山のコツで詳しく解説しています。重複する内容は避けますので、単独行を予定している方はあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 登山計画書と登山届の違いは何ですか?

基本的には同じ内容を指す言葉として使われることが多く、行程や装備、連絡先などをまとめた書類を作った時点では「登山計画書」、それを警察や指定の窓口へ提出した状態を「登山届」と呼ぶのが一般的です。書類自体は1つ作れば、計画書と届の両方を兼ねます。

Q. 登山届はどこに提出すればいいですか?

主に、オンラインの登山届システム「コンパス」、都道府県警察のオンライン届出システム、登山口に設置されたポストへの投函、の3つの方法があります。長野・岐阜・富山・群馬など条例で提出が義務付けられている山域では提出先が個別に決まっているため、入山前に該当する県警・自治体の公式ページで確認してください。

Q. 日帰り登山でも登山届は必要ですか?

義務ではない山域でも、提出をおすすめします。日帰りであっても道に迷ったり怪我をしたりする可能性はゼロではなく、登山届は家族や捜索隊にとって唯一の手がかりになるからです。

Q. コースタイムはどのくらい余裕を見ればいいですか?

地図に記載されたコースタイムは休憩を含まない数字なので、休憩や個人差を見込んで1.2〜1.5倍を目安に計画しましょう。体力に不安がある場合や悪天候が予想される場合は、多めの倍率で見積もっておくと安心です。

Q. エスケープルートはどうやって探せばいいですか?

登山地図で、稜線や縦走路の途中から林道・登山口・山小屋へ短時間で下れる分岐を探します。「山と高原地図」のような登山地図には、多くのコースでこうした分岐やコースタイムが記載されています。

Q. 天気が悪くなりそうなときはどう判断すればいいですか?

前日と当日朝の天気予報に加えて、天気図で気圧配置の変化も確認しましょう。荒天の兆候があれば、稜線を歩く行程を短くする、ルートを変更する、日程を延期するといった判断を、出発前に決めておいた基準に沿って行います。詳しい読み方は山の天気予報のページで解説しています。

Q. 登山計画は出発の何日くらい前に立てればいいですか?

富山県の剱岳周辺のように、登山届の提出そのものに20日前という期限がある山域もあります。遅くとも2〜3週間前には山とルートを決め、コースタイムや登山届の要否を確認しておくと安心です。前日は天気予報の最終確認と装備の最終チェックに充てましょう。

まとめ

登山計画を立てて山頂からの景色を眺める登山者

ここまで、登山計画に必要な知識やポイントを見てきました。最後に、7つの手順としてまとめておきます。

  1. 山を選ぶ:登山の目的、体力や経験に合わせた山を選びます。
  2. ルート・コースを選ぶ:実力に合った往復・周回・縦走のコースを決めます。
  3. コースタイムを積む:地図のコースタイムに1.2〜1.5倍の余裕を見て、行動時間を見積もります。
  4. 日没から逆算する:日の入り時刻から、下山の目標時刻と出発時刻を決めます。
  5. エスケープルートを決める:撤退するときにどこで降りるかを、地図で先に確認しておきます。
  6. 天気を読み、装備を決める:天気予報と天気図を確認し、季節や行程に合った装備をそろえます。
  7. 登山計画書を作り、登山届として提出する:計画をまとめた書類を、コンパスや県警のオンライン窓口、登山口のポストなどへ提出します。

以上の7つの手順を丁寧に進めることで、初心者でも安心して登山を楽しめます。準備を入念に行い、自然をリスペクトする心を忘れずに、安全第一で山の魅力を満喫しましょう。

出典

※条例・罰則・製品スペックは2026年8月14日時点で各公式ページに記載の内容です。罰則の金額や提出期限は変更される場合があるため、入山前に必ず該当する都道府県・警察の公式ページでご確認ください。

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