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テント泊登山の持ち物を調べ始めると、たいてい途中で手が止まります。品目が多すぎて、何が必須で何が省けるのかが分からなくなるからです。
そこで、先に全体の構造だけ書いておきます。
- テント泊は「日帰りの装備+衣食住」です。ゼロから揃え直すわけではありません
- ザックは50〜60L。30〜45Lは山小屋泊の数字で、テント泊には足りません
- 最初から全部買わない。テント・寝袋・マットはレンタルで一度試してから決めるほうが失敗しません
この記事では、日帰りから何が増えるのかを表で示し、カテゴリ別のチェックリスト、忘れやすいもの、そしてテント場でのマナーまでをまとめました。リストだけ先に見たい方は持ち物チェックリストへどうぞ。
日帰り → 山小屋泊 → テント泊で、何が増えるのか
持ち物リストが長く見えるのは、日帰りで既に持っているものまで並んでいるからです。増える分だけを取り出すと、実はそれほど多くありません。
| 段階 | 増えるもの | ザック |
|---|---|---|
| 日帰り | レインウェア・水・行動食・ヘッドライト・地図・救急用品 | 20L前後 |
| 山小屋泊 | +着替え・洗面用具・インナーシーツ・防寒着(夜用) | 30〜45L |
| テント泊 | +テント・寝袋・マット・バーナー・クッカー・食器・食料 | 50〜60L |
ザックの容量はモンベル公式の「登山装備ガイド 泊まり登山編」に、山小屋泊30〜45L・テント泊50〜60Lと示されています(2026年8月12日確認時点)。
同ガイドでは、山小屋泊は「日帰り登山に若干の装備を追加すれば山泊を楽しめる」のに対し、テント泊は「衣食住のすべてを背負うことになり荷物の重量は一気に増える」と書かれています。この一文が、テント泊の本質をよく表しています。
ザックは50〜60L|30〜45Lでは入りません
ここは最初につまずきやすい点です。山小屋泊の感覚で40L前後を選ぶと、テント泊では確実に入りません。
理由は単純で、寝袋とマットだけで10L近くを占めるからです。そこにテント本体・ポール・ペグ、さらに調理器具と食料が加わります。
- 50L — 装備を軽量なもので揃えられる人。1泊向き
- 60L — 標準的な装備。2泊以上や、寒い時期にも対応できる
- 65L以上 — 冬季や、2人分の共同装備を持つ場合
ザックは体に接する装備なので、背面長(首の付け根から腰骨まで)が合っているかが容量より重要です。詳しい選び方はテント泊のザック選びにまとめてあります。
テント泊登山の持ち物チェックリスト
カテゴリごとに分けます。「寝る」「食べる」「着る」「守る」の4つで考えると、抜けが出にくくなります。
① 寝る(テント泊の中心)
| 品目 | 選ぶときの要点 |
|---|---|
| テント | 自立式は設営が簡単。ダブルウォールは結露に強い。シングルウォールは軽いが結露しやすい |
| 寝袋(シュラフ) | 季節と標高で選ぶ。夏の低山と2,500m級では必要な保温力がまったく違う |
| マット | 寝袋と同じくらい重要。地面からの冷えは寝袋では防げません |
| エアピロー | 無くても寝られるが、睡眠の質が変わる。軽量で場所を取らない |
| シュラフカバー | 結露から寝袋を守り、保温力も足せる。春秋や高標高で効く |
初心者が最も軽視しがちなのがマットです。「寝袋があるから大丈夫」と考えて薄いものを選ぶと、背中側の断熱が足りずに眠れません。寝袋は体の上側、マットは下側を担当する、と分けて考えてください。
テント本体の選び方は登山用テント、寝袋は登山用シュラフで詳しく扱っています。
② 食べる(自炊が基本)
| 品目 | 選ぶときの要点 |
|---|---|
| バーナー・燃料 | ガス缶は現地調達できないことが多い。残量を必ず確認する |
| クッカー | 湯を沸かすだけなら小さいもので足りる |
| 食器・カトラリー | 洗い物を減らすため、クッカーで直接食べる人も多い |
| 食料 | フリーズドライやレトルトなら湯を注ぐだけ。調理器具も燃料も減らせる |
| 水 | テント場に水場があるかを事前に確認。無ければ全部担ぐことになる |
| 保温ボトル | 朝の冷え込みで効く。無くても成立するが快適さが違う |
水は事前確認がすべてです。水場のあるテント場なら数百グラムで済み、無ければ数キロを担ぐことになります。同じ山でも季節によって涸れることがあるため、直近の情報を調べてください。
沢や水場の水を使う場合は浄水が要ります。選び方は登山用浄水器にまとめました。
③ 着る(夜の寒さが本番)
テント泊で服装が難しいのは、行動中と夜で必要な保温力がまったく違う点です。
- レインウェア(上下) — 雨具であり防風着。テント泊では必携です
- 防寒着 — 夜と早朝用。行動中は暑くても、日が落ちると一気に冷えます
- 着替え — 汗をかいたまま寝ると体温を奪われます。乾いた1枚が必要です
- 手袋 — 夜の設営や炊事で手が冷えます。薄手で構いません
- サンダル・テントシューズ — 登山靴を脱いだあとの足元。あると滞在が楽になります
「行動中の服のまま寝ない」——これが快適さを大きく左右します。汗を含んだウェアは夜のあいだ乾かず、体温を奪い続けます。
④ 守る(緊急時と衛生)
- ヘッドライト — 予備電池とセットで。テント内での作業にも使います
- 救急用品 — 絆創膏・テーピング・常備薬
- 携帯トイレ — トイレの無いテント場に備える
- エマージェンシーシート — 軽く、場所を取らない
- モバイルバッテリー — 泊数分の容量を計算する。地図アプリの電池切れは道迷いに直結します
- ゴミ袋 — 持ち帰り前提。においの出るものは二重に
⑤ 荷物の整理(あると効率が変わる)
テント泊は荷物の点数が多いため、ザックの中で分類できているかどうかが出し入れの速さを決めます。スタッフバッグやドライバッグで用途ごとに分け、色で見分けられるようにしておくと、暗いテント内でも探せます。
詰め方の順番は登山のパッキングにまとめてあります。重いものを背中側の上寄りに置くのが基本です。
忘れやすいもの
リストに載りにくいのに、無いと困るものを挙げておきます。
| 忘れやすいもの | 無いとどうなるか |
|---|---|
| ガス缶の残量確認 | 途中で切れると湯が沸かせない。現地調達はできないと考える |
| ペグとガイライン | 風でテントが煽られる。テント本体だけ持って行きがち |
| テント場の料金(現金) | キャッシュレス非対応の場所が多い |
| 耳栓 | 隣のテントの音や風の音で眠れないことがある |
| 下山後の着替え | 車や駅に置いておく。汗のまま帰ることになる |
| トレッキングポール | 荷物が重いぶん膝への負担が増える。日帰りで使わない人ほど効く |
とくにトレッキングポールは、日帰りでは不要と感じていた方でも、テント泊の重量では印象が変わります。
テント泊登山の注意点とマナー

テント泊登山を楽しむ上で、以下のような注意点とマナーを意識しましょう。
指定された場所以外にテントを張らない
テント泊登山では、指定された場所以外にテントを張ってはいけません。テント場は管理されており、安全性や環境保護の観点から、決められた場所にのみテントを設営することが求められます。指定外の場所にテントを張ると、他の登山者の迷惑になったり、自然破壊につながる可能性があります。
早めに到着してスペースを確保する
人気のテント場は、午後には平らな場所が埋まります。傾斜地や石の多い場所しか残っていないと、その夜の睡眠に直結します。行動計画は「早く着く」方向に寄せてください。予約が必要なテント場もあるため、事前に確認しておきましょう。
火気の取り扱いに十分注意する
テント泊では、調理や暖をとるために火を使うことがあります。しかし、火災の危険性が高いため、十分な注意が必要です。炎の取り扱いには細心の注意を払い、消火の準備も怠らないようにしましょう。また、テント内や可燃物の近くでの喫煙は禁止されています。
自然環境を汚さないよう、ゴミは必ず持ち帰る
テント泊登山では、自然の中で過ごすことになるため、ゴミの処理には特に気をつける必要があります。使用したティッシュやレトルト食品の容器など、すべてのゴミは必ず持ち帰り、自然環境を汚さないよう心がけましょう。「始めから持っていかない工夫」——包装を家で外しておく、余分な袋を持ち込まない——も有効です。
他の登山者の迷惑にならないよう、静かに行動する
テント泊では、他の登山者が近くにいる可能性が高いため、静かに行動することが重要です。大声で話したり、音楽を大きな音量で聴いたりすると、周囲の人の睡眠を妨げてしまう可能性があります。他の登山者への配慮を忘れずに、静かに過ごしましょう。
これらの注意点とマナーを守ることで、テント泊登山をより快適に、そして安全に楽しむことができます。初心者の方も、これらのポイントを意識しながら、自然の中でのキャンプを満喫してください。
失敗しないための準備

家でテントを一度張っておく
準備のなかで、これがいちばん差になります。初めての設営を、風の吹く現地でぶっつけ本番でやらない。庭やベランダ、公園で一度張っておけば、ポールの順番も、ペグの本数も、足りない部品も事前に分かります。
バーナーの点火も同じで、家で一度使ってからにしてください。
天気予報を確認して装備を決める
テント泊登山では天候の変化に備えることが重要です。事前に天気予報をしっかりとチェックし、雨や風、気温の変化などに対応できる装備を選びましょう。とくに夜間の最低気温は、寝袋と防寒着の判断に直結します。
登山計画を立てて共有する
登山ルートや宿泊地、予定時間などを明確にし、家族や友人に行動予定を共有しておきましょう。万が一の事態に備えて連絡先や遭難時の対応方法も確認しておくと安心です。
最初は近場の低い山から
テント泊登山は装備の準備や設営、山行管理など慣れが必要です。1回目は「登る」より「泊まる」を目的にするくらいでちょうどよく、標高が低く、登山口から近いテント場を選ぶと、何かあっても引き返せます。
まず借りて試すという選択

テント・寝袋・マット・ザックをすべて新品で揃えると、それだけでかなりの金額になります。そして、テント泊が自分に合うかどうかは、1回やってみないと分かりません。
レンタルが向いている人
- まだ1回もテント泊をしたことがない — 合わなかったときの損失が大きすぎます
- 年に1〜2回しか行かない見込み — 保管場所と手入れの手間も考える必要があります
- 重さの感覚を掴みたい — 「50〜60Lを背負って歩く」がどういうことか、実物で知れます
買うほうがよい人
年に何度も行くと決まっているなら、買ったほうが早く元が取れます。1回借りてみて「また行きたい」と思えたら、そこから揃え始める——この順番が最も失敗しにくいはずです。
インターネットでも借りられるレンタルサービスのサイトを載せておくので、参考にしてみてください。
⇒⇒⇒やまどうぐレンタル屋
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よくある質問
Q. テント泊のザックは何リットル必要ですか?
A. 50〜60Lです。モンベル公式の登山装備ガイドでも、山小屋泊30〜45L・テント泊50〜60Lとされています(2026年8月12日確認時点)。寝袋とマットだけで10L近くを占めるため、40L前後では入りません。
Q. 日帰りの装備から何を足せばいいですか?
A. テント・寝袋・マット・バーナー・クッカー・食器・食料、そして着替えです。日帰りの持ち物はほぼそのまま使えるので、ゼロから揃え直す必要はありません。
Q. マットは無くてもいいですか?
A. 必要です。地面からの冷えは寝袋では防げません。寝袋は体の上側、マットは下側を担当します。夏でも、地面に接する背中側から体温が抜けていきます。
Q. 水はどれくらい持っていけばいいですか?
A. テント場に水場があるかどうかで、まったく変わります。水場があれば数百グラムの空ボトルで済み、無ければ調理と飲用の分をすべて担ぐことになります。季節によって涸れることもあるため、直近の情報を確認してください。
Q. 最初から全部買うべきですか?
A. 勧められません。1回レンタルで試してからのほうが失敗しにくくなります。テント泊が自分に合うか、重さに耐えられるかは、実際にやってみないと分かりません。
Q. テント場の予約は必要ですか?
A. 場所によります。予約が必要なテント場が増えているため、事前に確認してください。予約不要の場所でも、人気のテント場は午後には平らな区画が埋まります。
Q. 初めてのテント泊で、いちばん多い失敗は何ですか?
A. 現地で初めてテントを張ろうとすることです。ポールの順番が分からない、ペグが足りない、部品が入っていない——これらは家で一度張れば全部分かります。強風のテント場で説明書を読むことになると、その日の予定が崩れます。
まとめ
テント泊登山の持ち物は、「日帰りの装備+衣食住」と考えると整理できます。ゼロから揃え直すわけではありません。
押さえるべき点は3つです。
- ザックは50〜60L — 30〜45Lは山小屋泊の数字。寝袋とマットで10L近く食われます
- マットを軽視しない — 地面からの冷えは寝袋では防げません
- 家で一度テントを張る — 現地でのぶっつけ本番が、最も多い失敗の原因です
そして、最初から全部買わないでください。1回借りて、また行きたいと思えたら揃え始める。この順番なら、合わなかったときの損失が最小限で済みます。
※本記事のザック容量はモンベル公式「登山装備ガイド 泊まり登山編」の記載にもとづき、2026年8月12日時点で確認したものです。製品の仕様・価格は変動しますので、購入前に各販売ページでご確認ください。





