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2026年8月16日時点、伊吹山の麓から山頂へ向かう一般登山道は、ルートを問わず全面通行止めです。表登山道(上野登山口ルート)、弥高登山道、上平寺登山道のいずれも対象で、米原市側の麓から歩いて入ることはできません。米原市の伊吹山特設サイトには、季節やルートを問わず入山できない旨が「令和8年現在」の表記とともに示されており、冬山登山も含まれます。
では伊吹山にはまったく近づけないのかというと、そうではありません。伊吹山ドライブウェイの営業期間中に限り、9合目にあたる山頂駐車場から山頂へ向かう西・中央・東の3本の登山道(遊歩道)が使えます。「伊吹山 登山 初心者」で情報を探している人にとって、2026年夏の現実解はいまのところこれひとつです。
週末の予定を組みながら、スマホで登山口行きのバスの時刻表を開いている——そんな段階の人ほど、この前提を先に知っておく価値があります。麓まで移動してから封鎖を知る空振りが、いちばんもったいない。山選びそのものを一段引いて考え直したい場合は、初心者の山の選び方もあわせてどうぞ。
- 麓からの登山道(表・弥高・上平寺)は2023年7月12日の大雨による大規模崩壊以降、全面通行止め。復旧時期は公表されていません
- いま歩けるのは、ドライブウェイ営業期間中の山頂駐車場(9合目)発の西・中央・東の3ルートのみ
- 東登山道は下り専用。岩が露出して道幅も狭く、遊歩道という言葉の印象より足元は荒れています
- 費用は普通車のドライブウェイ往復3,400円、または登山バス1日券4,000円(いずれも2026年8月16日確認時点)
通行止めの範囲や解除の有無、ドライブウェイの営業状況は状況によって変わります。出発前に、米原市・滋賀県・伊吹山ドライブウェイの各公式ページで必ず確認してください。本記事の内容はすべて2026年8月16日確認時点のものです。
麓からは登れない ― 2023年7月の土砂災害から続く通行止め
きっかけは2023年7月12日の大雨でした。上野登山口から山頂へ向かう登山道が大規模に崩壊し、以後、米原市側の麓からの入山は認められていません。上野登山口を案内する米原市のページには「令和5年7月に発生した土砂災害により現在封鎖中です。登山することはできません。」と、余白のない一文が置かれています。
被害はその年で終わりませんでした。滋賀県の資料によれば、令和6年7月にも土砂の流出が3度発生し、麓の民家や生活道路が被災しています。山の上の話ではなく、山のふもとで暮らす人の生活に直接届いてしまった。これが、通行止めが長期化している理由の中核にあります。
行政も手をこまねいているわけではなく、滋賀県と米原市は合同の保全対策ロードマップを2025年3月21日に策定しました(同ページの更新は2025年5月2日)。山肌が植生を失って地面がむき出しになる裸地化、そしてそこから進む土壌侵食への対策が現在進行形で進められています。
復旧の見通しについて、公式には時期が明言されていません。「来年には開くらしい」「◯年ごろ再開見込み」といった話を見かけても、出所が公式でなければ、それは予想です。再開の判断は米原市・滋賀県の発表でしか確認できません。
編集部の見立て:通行止めを「不便」として受け取るか、「山が壊れている最中」として受け取るかで、この記事から先の読み方が変わります。カラフル登山道 編集部としては後者の立場で書いています。
検索で出てくる記事の多くが、まだ古い
「伊吹山 登山 初心者」で検索したとき、上位に並ぶ記事の中には、麓から登れる前提のまま更新が止まっているものがあります。編集部が2026年8月16日に確認した範囲では、上位3件のうち2件がその状態でした。装備リストも、コースタイムも、登山口までのバスの案内も、2023年6月までなら正しかった情報がそのまま残っている。
これは、どこかのサイトが悪意で嘘を書いている、という話ではありません。山の記事は一度書けば数年読まれ続けるため、状況が変わっても書き手が気づけない構造的な問題です。名指しで批判しても、読者の空振りは減りません。
そこで、伊吹山にかぎらず使える防ぎ方を1つだけ。
- 記事の公開日ではなく最終更新日を探す(見当たらない記事は判断材料が足りない、と考える)
- 通行止め・営業期間・料金の3つは、記事を読んだうえで必ず一次情報(自治体・運営会社)で裏を取る
- 登山口の写真や動画が新しくても、撮影日が書かれていなければ現況の証拠にはならない
面倒に見えますが、確認にかかるのは数分です。片道2時間のドライブが無駄になる可能性と比べれば、割に合う手間ではないでしょうか。
いま登れるのは山頂駐車場からの3ルートだけ
伊吹山は標高1,377m、滋賀県の最高峰で、日本百名山であり花の百名山にも数えられます。そのうち、いま自分の足で歩ける区間は山頂駐車場から上だけです。この駐車場は9合目にあたり、標高差の大部分は車かバスで詰めることになります。
| ルート | 距離(片道) | 所要時間 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 西登山道 | 1km | 約40分 | 傾斜が緩やか。上りに使いやすい |
| 中央登山道 | 500m | 約20分 | 最短だが急斜面と階段が主体 |
| 東登山道 | 1.5km | 約60分 | 下り専用。岩が露出し道幅が狭い |
表を見て気づくのは、東登山道が下り専用に指定されている点です。上りに使えないという意味であり、山頂から戻るときの選択肢として考えます。西から上がって東で下りる周回が、公表値どうしを足すと合計約100分。昼食や写真の時間を足せば、半日仕事の行程になります。
「9合目からの遊歩道」と聞くとサンダルでも歩けそうに思えますが、東登山道は岩が露出し、道幅も狭いと公式に明記されています。足首まで覆う靴のほうが安心できる区間です。靴の選び方はトレッキングシューズの選び方にまとめています。
ちなみに、通行止め中の上野登山口から山頂までは標高差約1,200m、往復で約7〜8時間というのが米原市の公表値でした。標高差1,200mは、階高3mのビルに置き換えると400階ぶん。9合目スタートとの落差の大きさが、数字で見るとよくわかります。山ごとの難しさをどう比べるかは、登山道のグレーディングの考え方が参考になります。
行き方と費用 ― マイカーと登山バスの比較(2026年8月16日確認時点)
山頂駐車場までの手段は、大きく2つです。運転する人がいるかどうかで、選択はほぼ決まります。
| 項目 | マイカー(ドライブウェイ) | 伊吹山登山バス |
|---|---|---|
| 費用 | 普通車 往復3,400円 | 1日券(往復)4,000円/山の日限定3,000円 |
| 出発地 | ドライブウェイ入口(関ケ原) | JR米原駅(ドライブウェイ経由・9合目行き) |
| 運行・営業 | 2026年度は4月18日(土)8:00〜11月23日(月・祝)予定 | 7月18日〜8月31日は毎日、9月は土日祝 |
| 時間の自由度 | 営業時間内なら自由 | 便の時刻に行動を合わせる |
ドライブウェイの営業時間は季節で3区分に分かれています。4月の開通から7月の第3金曜までが8:00〜20:00、7月の第3土曜から8月31日までが3:00〜21:00、9月は8:00〜20:00です。真夏だけ午前3時に開くのは、ご来光を目的にする人のための設定と読めます。
費用の感覚としては、2人で行くならマイカーが1人あたり1,700円、バスなら1人4,000円。ここに高速代とガソリン代が乗るため、単純にどちらが安いとは言い切れません。運転して山道を往復したあとに歩く体力を残せるか、という点も含めて決めるほうが実用的です。
編集部の見立て:登山バスの運行が7月18日〜8月31日の毎日と9月の土日祝に限られているのは、裏を返せば10月・11月にバスで行く計画は立てにくい、ということです。紅葉の時期を狙うなら車の確保から考える必要があります。
「9合目から」でも、そこは標高1,300m台の山の上
山頂駐車場まで車で上がれると、どうしても観光地の気分で足を運びがちです。けれど公表されている気象の傾向を並べると、印象はかなり変わります。
| 項目 | 公表値 |
|---|---|
| 気温 | 山麓比でマイナス6〜10度 |
| 平均風速 | 約10.1m/s |
| 霧の日数 | 年間約300日 |
| 積雪 | 6〜7m |
平均風速10.1m/sは、時速に直すとおよそ36km。自転車を思いきり漕いだときの向かい風が、「平均」として吹き続けている計算になります。霧が年間およそ300日という数字も見逃せません。晴天の展望を前提に予定を組むと、外れる日のほうが多いくらいです。
気温のほうは、麓側の平年値と並べるとつかみやすくなります。気象庁の平年値(彦根)は9月23.6℃、10月17.7℃、11月11.7℃。ここから公表されている差を単純に引くと、9月でも山頂側は13〜17℃台、11月なら1〜5℃台という桁になります。半袖で駐車場に降りた瞬間に後悔する温度差です。
持ち物で優先すべきは、風を止める上着(ウインドシェル)と、汗冷えを防ぐ着替え。傘は風速を考えると当てになりません。寒さは気温よりも風で決まります。
守るべきルール ― 山が回復している最中だからこそ
伊吹山にはローカルルールが8項目にわたって定められています。登山道の外を歩かない、動植物を採らない、ペットは山頂駐車場までとする、火気の使用とテント泊は禁止、といった内容です。どれも一見きびしく感じますが、裸地化と土壌侵食への対策が進んでいる最中の山だと知ると、意味がつながってきます。踏まれた場所から植生は消え、消えた場所から土は流れる。麓の被災と地続きの話です。
山頂のお花畑は、標高1,200m以上の「伊吹山頂草原植物群落」として平成15年7月に国の天然記念物へ指定されています。ロープの外側にきれいな花を見つけても、一歩踏み出さない。それが最短で効く保全です。
手続き面では2つ。登山届の提出は必須で、上野登山口のボックス、最寄りの警察署、滋賀県警のインターネット登山箱、コンパス、YAMAPアプリのいずれかで出せます。書き方や計画の立て方に迷うなら、登山計画の立て方を先に読んでおくと手が止まりません。
もう1つが入山協力金です。1人300円(子ども・障がい者を除く/任意)、年間カードは1,000円(2026年8月16日確認時点)。任意という位置づけではあるものの、使い道は山の保全と安全対策にあたります。缶コーヒー2本ぶんで山の維持に手を貸せる、と考えると出しやすい金額ではないでしょうか。
編集部の見立て:ルールの多い山は窮屈だと敬遠されがちですが、伊吹山の場合は「壊れた部分を抱えたまま開けている」という条件つきの開放です。守る側に回ることが、次に登れる日を早める行動になります。
この記事が当てはまらない人・向かない人
正直に書きます。次のような人にとって、いまの伊吹山は答えになりません。
- 麓から自分の足で標高差を登りたい人:現在は代替ルートがありません。標高差約1,200mを登る体験は、当面のあいだ伊吹山では得られません
- ドライブウェイの営業期間外に行きたい人:2026年度は4月18日〜11月23日の予定で、期間外は山頂駐車場まで到達する手段そのものがありません
- 悪天候が読めない日程しか取れない人:霧が年間約300日という山で、予備日のない計画は分が悪い
- 「登った」という達成感を求める人:片道20〜60分の行程では、長い上りを終えたときの感覚は得にくいのが実情です
代わりの行き先を探すなら、関西圏からのアクセスなら六甲山、標高を稼いだうえで歩く時間もほしいなら御在所岳が同じ発想の山です。伊吹山の花や草原の風景に惹かれていたのなら、高原歩きの霧ヶ峰が近い体験になります。東海圏に住んでいて日帰りの選択肢を増やしたい場合は、愛知の低山のほうが結果的に回数を重ねられるはずです。
よくある質問
Q. 麓から登れるようになるのはいつですか
A. 復旧時期は公表されていません。滋賀県と米原市が2025年3月21日に保全対策ロードマップを策定し、裸地化・土壌侵食への対策が進行中という段階です。再開の判断は行政の発表を待つ以外にありません。封鎖中の登山道に立ち入るのは、当然ながら避けてください。
Q. 山頂駐車場から山頂までは何分かかりますか
A. ルートによって変わります。公式に示されているのは西登山道が約40分、中央登山道が約20分、東登山道が約60分という3つの値で、全体をひとつの数字にまとめた案内はありません。「約20分」という数字だけを見かけたら、それは中央登山道の値だと考えるほうが安全です。
Q. 入山協力金は必ず払う必要がありますか
A. 米原市の案内では任意とされており、金額は1人300円(子ども・障がい者を除く)、年間カードが1,000円です(2026年8月16日確認時点)。対象や徴収の方法は運用で変わる場合があるため、細かい条件は公式ページで確認してください。
Q. スニーカーでも歩けますか
A. 西登山道は傾斜が緩やかとされる一方、東登山道は岩が露出して道幅が狭いと公式に説明されています。滑りにくい靴底で、足首を守れる靴のほうが不安は減ります。舗装路を歩く感覚のまま向かうと、下りで足を使いすぎることになりがちです。
まとめ:今日やることは1つ
伊吹山は、麓から登る山としては現在閉じており、9合目から歩く山として開いています。この2つを混ぜずに理解できていれば、計画の8割は済んだと言ってよいでしょう。残りは、行く日のドライブウェイやバスの運行状況を確かめるだけです。
そして繰り返しになりますが、通行止めの範囲・規制の内容・営業期間は、米原市、滋賀県、伊吹山ドライブウェイの各公式ページで出発前に必ず確認してください。本記事の数値はすべて2026年8月16日確認時点のもので、以降の変更を保証するものではありません。
- 米原市の伊吹山特設サイトで、麓の登山道の状況が変わっていないかを確認する
- 伊吹山ドライブウェイ公式で、行く日の営業時間と通行料金を確認する(バス利用なら近江バス・湖国バスの運行日も)
- 西登山道で上り、東登山道で下る想定にして、風を止める上着を1枚荷物に足す
参考・出典
- 伊吹山特設サイト/米原市 https://www.city.maibara.lg.jp/mtibuki/index.html (2026年8月16日確認)
- 伊吹登山口(上野登山口)/米原市 https://www.city.maibara.lg.jp/mtibuki/access/20604.html (2026年8月16日確認)
- 伊吹山の見どころ/米原市 https://www.city.maibara.lg.jp/mtibuki/mtibuki_enkaku/20237.html (2026年8月16日確認)
- 登山届・利用のルール/米原市 https://www.city.maibara.lg.jp/mtibuki/about_tozan/20363.html (2026年8月16日確認)
- 伊吹山入山協力金/米原市 https://www.city.maibara.lg.jp/mtibuki/about_tozan/20361.html (2026年8月16日確認)
- 伊吹山の保全対策/滋賀県 https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kankyoshizen/shizen/343605.html (2026年8月16日確認)
- 伊吹山ドライブウェイ 公式(お知らせ) https://www.ibukiyama-driveway.jp/news/4578/ (2026年8月16日確認)
- 伊吹山ドライブウェイ 公式(2026年度営業期間) https://www.ibukiyama-driveway.jp/news/9217/ (2026年8月16日確認)
- 伊吹山ドライブウェイ ハイキング情報 https://www.ibukiyama-driveway.jp/hiking/ (2026年8月16日確認)
- 伊吹山ドライブウェイ ご利用案内 https://www.ibukiyama-driveway.jp/guide/ (2026年8月16日確認)
- 伊吹山登山バス2026/近江バス・湖国バス https://www.ohmitetudo.co.jp/bus/icoico/event/ibukiyamatozanbus2026/ (2026年8月16日確認)
- 気象庁 平年値(彦根) https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_sfc_ym.php?prec_no=60&block_no=47761 (2026年8月16日確認)
