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クライミングを始めると、登っていない時間もクライミングの話に触れていたくなります。指皮が回復するまでの数日、雨で外岩に行けない週末、仕事帰りの電車のなか。その「登れない時間」を埋めてくれるのが漫画です。名古屋市港区のボルダリングジム「カラフルロック」編集部が、2026年8月時点で読める作品を整理しました。競技クライミングから山岳ドラマ、日常系まで30作品。巻数・完結状況・出版社は各版元や電子書店の情報を確認したうえで記載し、確認が取れなかった項目は「確認できていない」と正直に書いています。

先に結論

  • まず1作なら『のぼる小寺さん』。全4巻で読み切れて、ジムに通ったことがある人なら必ず「これ分かる」という場面に当たります
  • 競技クライミングを見たいなら『フリクションガール』。ジムとコンペを舞台にした青春もので、全3巻。もっと熱量が欲しければ『壁ドン!』(全5巻)へ
  • 山の重さを知りたいなら『孤高の人』。全17巻という量に見合うだけの読後感が残ります。長さがつらければ『神々の山嶺』(全5巻)から

この3本を軸に、下の系統別カタログで自分の好みに合う作品を足していってください。

クライミング漫画は3つの系統に分かれる

クライミング・登山漫画は、①競技クライミング、②アルピニズム・山岳ドラマ、③日常系・趣味の3系統に大別できます。読み味がまるで違うため、作品名より先に系統を決めるほうが早く当たりを引けます。

同じ「壁を登る漫画」でも、コンペの制限時間と観客のなかで課題を落とす話と、酸素の薄い岩壁で生き延びる話では、読んでいるときの体温がまったく違います。前者はスポーツ漫画の文法で書かれ、後者は人間ドラマの文法で書かれます。そして三つ目に、山やジムを「生活の楽しみ」として描く系統があり、ここが近年もっとも作品数が増えている領域です。

系統 舞台と題材 読み味 代表作
①競技クライミング ジム・人工壁・コンペ会場 スポーツ漫画。勝敗と成長が軸 フリクションガール/壁ドン!/いわかける!
②アルピニズム・山岳ドラマ 高所・岩壁・遭難現場 人間ドラマ。生と死の距離が近い 岳/孤高の人/神々の山嶺
③日常系・趣味 ジム通い・週末の山・山ごはん 読後に体を動かしたくなる軽さ のぼる小寺さん/ヤマノススメ/山と食欲と私
クライミング漫画の3系統。競技クライミング・アルピニズム・日常系それぞれの舞台と代表作を並べた分類図

系統を選ぶときの目安はシンプルです。すでにジムに通っている人は①から入ると「あるある」の密度が高く、山に登ったことがない人が②から入ると重さに面食らうことがあります。逆に、クライミングをまだやっていないけれど物語として濃いものが読みたい人は、②から入ったほうが満足度が高い傾向にあります。

なお、どの系統の作品にも「ムーブ」「ガバ」「カチ」「ランジ」といった専門用語が説明なしで出てきます。読んでいて引っかかった語がある場合は、ボルダリング用語集に一通りまとめてありますので、隣に開いておくと読みやすくなるはずです。

POINT

迷ったら「完結済みで巻数が少ない作品」から入るのが安全です。全3〜5巻なら週末ひとつで読み切れて、合わなければ損失も小さい。長編の全巻セットは、短い作品で好みの系統を確かめてからで遅くありません。

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ジムでよく聞かれるのが「クライミングの漫画って、実際どのくらい正確なんですか」という質問です。スタッフの間での評価をざっくり言うと、競技系はムーブの再現がかなり真面目に描かれている作品が多く、山岳系は装備やロープワークの細部まで作り込まれているものが目立ちます。少なくとも「壁に張り付いて力任せに登る」という誤解を助長するような作品は、いま挙げられる範囲ではほとんど見当たりません。

【系統①】競技クライミングを描いた漫画6作品

競技クライミング系は、ジムの人工壁とコンペを舞台にした作品群です。ボルダリング・リード・スピードという種目の違いや、オブザベーションの緊張感まで踏み込んで描かれます。

この系統の面白さは、読者が実際にジムでやっていることと、作中のキャラクターがやっていることがほぼ一致する点にあります。課題を眺めて手順を考える時間、あと一手が止まる感覚、隣で登っている人のムーブを盗む瞬間。どれも自分の体験と重なるので、感情移入の速度がとにかく速い。

ザ・ボルダー(蜜浦ミノル・全3巻/完結)

ボルダリングに出会った少年が、ジムの仲間やライバルと競い合いながらコンペの舞台へ進んでいく、直球のスポーツ漫画です。週刊少年マガジン(講談社)連載らしく、1本の課題を落とすまでの過程がページ数をかけて盛り上げられます。全3巻で完結しており、最終巻は2021年1月に発売されました。

クライマー目線で評価したいのは、課題を「読む」場面の描き方です。スタートホールドの前で立ち止まり、手順を頭のなかで組み立てる時間が、きちんと見せ場として扱われています。ランジやデッドポイントといった動的なムーブは見開きで描かれ、体が伸び切る瞬間の重心の位置まで追える構図になっています。少年漫画的な誇張はありますが、壁への向き合い方そのものは真面目です。

スポーツ漫画の熱量でボルダリングを知りたい人、そして「短くまとまった競技クライミング漫画」を探している人に刺さります。

フリクションガール(noga・全3巻/完結)

秋田書店のヤングチャンピオンで連載された、女子高生とクライミングの青春漫画です。ジムを舞台に、登ることでしか埋まらない距離を詰めていく人間関係が描かれます。全3巻で完結しているため、初めての1作としても手が出しやすい長さでしょう。

この作品でクライマーが唸るのは、ホールドの質感と保持の描き分けです。ガバをしっかり握る手と、カチを指先で押さえる手が、明確に別のものとして描かれます。またチョークの飛び方やマットへの落ち方といった、ジムの空気を構成する細部が丁寧に拾われており、通っている人ほど「見たことのある光景」が多いはずです。当ジムでも取り上げたことのある作品で、『フリクションガール』の紹介ページに別の角度からの感想をまとめてあります。

ジムに通い始めて数ヶ月、そろそろ自分の弱点が見えてきた——という時期の人にいちばん響く作品です。

壁ドン!(佐久間力・全5巻/完結)

小学館の週刊ビッグコミックスピリッツで連載された、オリンピックを見据えた競技クライミングの物語です。全5巻で完結しています。主人公が壁と向き合いながら、競技としてのクライミングの厳しさと面白さを知っていく構成になっています。

青年誌らしく、トレーニングや体づくりの描写に現実的な手触りがあるのが特徴です。指の状態、体重、休息の取り方といった、実際に強くなろうとすると必ずぶつかる要素が物語に組み込まれています。競技クライミングが五輪種目として扱われるようになった時期の空気も作品に残っていて、いま読むと当時の熱の記録としても面白い。

「趣味として楽しむ」から一歩進んで、競技として強くなることを考え始めた人向けの作品です。

タイトルの取り違えに注意

『壁ドン!』は、恋愛表現として広まった「壁ドン」とはまったく無関係の競技クライミング漫画です。書店や電子書店で検索すると別ジャンルの作品が大量に出てくるため、作者名「佐久間力」まで含めて確認してください。同じく『のボルダ』(鬼頭莫宏・全4巻)と『ザ・ボルダー』(蜜浦ミノル・全3巻)は作者も出版社も別の作品です。タイトルと巻数が近いので、購入前に作者名で照合することをおすすめします。

いわかける!―Climbing Girls―(石坂リューダイ・全4巻/新装版)

小学館・サイコミの競技クライミング漫画で、高校のクライミング部を舞台に女子高生たちがボルダリングとリードに打ち込みます。新装版は全4巻。2020年10月から12月にかけて『いわかける!-Sport Climbing Girls-』としてTVアニメ化されており、競技クライミング漫画としては貴重なアニメ化作品です。

クライマー目線での見どころは、種目ごとのルールと戦い方の描き分けにあります。制限時間内の完登数とアテンプト数で順位が決まるボルダリングと、どこまで高く登れたかを競うリードでは、必要な思考も配分もまったく違う。その違いが物語のなかできちんと機能しているため、競技クライミングの入門書としても読めます。オブザベーションで手順を組み立てる場面の密度も高い。

競技としてのクライミングのルールを、物語のなかで自然に覚えたい人に最適です。

いわかける!!―Try a new climbing―(石坂リューダイ・全6巻/完結)

上の『いわかける!』の続編にあたるシリーズで、2020年10月から2022年7月まで連載され、全6巻で完結しました。前作と合わせると全10巻になります。前半で基礎を固めたキャラクターたちが、より上のステージへ進んでいく構成です。

続編では、選手としての伸び悩みや、体格差・リーチ差との折り合いといった、実際のクライマーが直面する問題により踏み込みます。強いだけでは勝てない場面が増えることで、競技の解像度が上がっている印象です。なおアニメ化されたのは前半シリーズの範囲までで、この続編はアニメになっていません。アニメから入った人が「続きが見たい」と思ったら、この漫画へ進む形になります。

アニメ『いわかける!』を観終えて、その先の展開を知りたい人向けです。

オーバーハング!(本橋ゆうこ・全87話/完結)

マンガアプリ「ganma!」で連載されたWeb漫画で、全87話で完結しています。競技クライミングを題材にした青春もので、Web上で基本的に無料で読めるのが最大の特徴です。単行本については紙での巻数構成を本記事では確認できていないため、まずは連載媒体で読み始めるのが確実でしょう。

Web漫画ならではの縦テンポで、1話ごとに壁の課題が一つ提示されて解決していくリズムが心地よい作品です。ジム内の人間関係の描き方が生々しく、「うまい人が来ると壁の空気が変わる」といった感覚が拾われています。無料で試せるので、競技系が自分に合うかどうかを確かめる最初の一歩としても使えます。

課金する前に競技クライミング漫画の手触りを確かめたい人に向いています。

【系統②】アルピニズム・山岳ドラマの漫画8作品

山岳系は、遭難救助や高所登山を通して人間そのものを描く系統です。『岳』『孤高の人』『神々の山嶺』の3作はどの紹介記事にも登場する定番で、まずここから読むのが定石になります。

この系統を読むときに知っておくと良いのは、扱われているのがスポーツではなく「生き方」だという点です。勝敗ではなく、登るという選択を続けた人がどうなるかが描かれます。読み終えたあとに残るものが重いぶん、心に残る度合いも段違いです。

岳 みんなの山(石塚真一・全18巻/完結)

北アルプスを舞台に、山岳救助ボランティアとして活動する島崎三歩を主人公にした群像劇です。小学館のビッグコミックスで全18巻・完結。2011年には小栗旬主演で実写映画化されました。全9巻の完全版も刊行されています。

クライマーとして評価したいのは、山が特別に美しくも特別に残酷にも描かれていないところです。装備、天候判断、搬送の手順といった要素が過度に演出されず、事実として積み上げられます。全編を貫く三歩の「また来いよ」という姿勢は、山を趣味にする人間の距離感として、きわめて健全なものでしょう。読んだあと、自分の装備を見直したくなる作品でもあります。

山岳漫画をこれから読む人が、最初に手に取るべき1作です。

孤高の人(坂本眞一・全17巻/完結)

新田次郎の同名小説を原作に、坂本眞一が作画、鍋田吉郎が構成を担当した集英社の作品です。2007年から連載され、全17巻で完結しました。実在の登山家・加藤文太郎をモデルにしていますが、原作小説とは異なる現代を舞台にした翻案になっています。

とにかく画の力が突出しています。岩壁の質感、指先が岩を捉える瞬間、高所での視界の狭まり方。ページから寒さと標高が伝わってくるタイプの作画で、クライマーが見ても保持や体勢に嘘がありません。同時に、単独で登ることを選び続ける人間の孤独が容赦なく描かれるため、読後感はかなり重い。それでも読む価値があると断言できる作品です。全17巻という長さは、この物語には必要な長さでした。

物語として濃いものを求める人、そして「なぜ人は登るのか」に興味がある人へ。

神々の山嶺(夢枕獏・谷口ジロー・全5巻/完結)

夢枕獏の小説を谷口ジローが漫画化した作品で、集英社から全5巻・完結。エベレストにまつわる古いカメラの謎を追ううちに、羽生丈二という孤高のクライマーの人生に迫っていくミステリー仕立ての山岳ドラマです。2016年には岡田准一主演で実写映画化されました。

谷口ジローの緻密な描線が高所の空気を作り出しており、山岳漫画の到達点のひとつと評価されています。全5巻という長さで、アルピニズムの狂気と魅力の両方を過不足なく描き切っている点が驚異的です。ロープワークやビバークの描写も丁寧で、山を知っている人ほど画の説得力に唸ることになります。

長編を読む時間はないが、山岳漫画の代表作を押さえておきたい人に最適です。

K(遠崎史朗・谷口ジロー・全1巻/完結)

1993年に刊行された、双葉社のアクションコミックスの1冊です。遠崎史朗が原作、谷口ジローが作画を担当し、約290ページの全1巻で完結しています。ヒマラヤを舞台に「K」と呼ばれる謎めいたクライマーが遭難者を救い出していく、連作短編のような構成です。

1冊で完結するため、山岳漫画の入り口として非常に扱いやすい作品です。谷口ジロー作品らしく、岩と氷と人体の描写に一切の妥協がありません。刊行から30年以上経った作品ですが、高所での判断や救助の緊張感の描き方は今読んでも古びていません。『神々の山嶺』が気に入った人が、次に手を伸ばすべき作品でもあります。

1冊で完結する山岳漫画を探している人、谷口ジローの画をもっと見たい人へ。

THE ALPINE CLIMBER 単独登攀者・山野井泰史の軌跡(よこみぞ邦彦・山地たくろう・全7巻/完結)

実在のクライマー・山野井泰史の歩みを描いた作品です。よこみぞ邦彦が原作、山地たくろうが作画を担当し、小学館のビッグコミックで2022年から2024年にかけて連載され、全7巻で完結しました。山野井泰史は2021年にピオレドール生涯功労賞を受賞したクライマーです。

実話ベースであることの強さが全編に出ています。単独登攀という選択の意味、失うものと引き換えに得るもの、そして登り続けるという行為の重さが、脚色に頼らず積み上げられていきます。クライマーとして特筆したいのは、フリークライミングと高所登山を地続きのものとして描いている点です。ジムで課題を落とす行為の延長線上に何があるのかを、この作品は具体的な人生の形で見せてくれます。

実在の人物の記録として読みたい人、アルピニズムの現在地を知りたい人に薦めます。

POINT|タイトル表記について

この作品は紹介媒体によって「アルパインクライマー ―単独登攀者・山野井泰史の軌跡―」とカタカナで表記される場合がありますが、単行本の正式タイトルは英字の「THE ALPINE CLIMBER」です。同一作品ですので、検索時に別作品と勘違いしないようご注意ください。

氷壁の達人(神田たけ志)

登山家・小西政継をモデルにした実話ベースのアルピニズム作品で、レジェンドコミックから配信されています。本記事では電子書店で第1巻の配信を確認できましたが、全何巻の構成なのかは確認が取れていないため、断定を避けます。購入の際は電子書店の作品ページで巻数をご確認ください。

冬季の岩壁登攀を主題にした作品は数が少なく、その意味で貴重な1本です。氷と岩が混在する壁でのアックスとアイゼンの扱い、そして寒さそのものが敵になる状況の描写が中心になります。ジムのボルダリングからは遠い世界ですが、「登る」という行為がどこまで広がっているのかを知るには良い教材でしょう。

冬季登攀や日本の登山史に関心がある人に向いた作品です。

岳人列伝(村上もとか・全1巻/完結)

1980年代前半に小学館の少年ビッグコミックで連載された、山に生きる人々を描いたオムニバス作品です。全1巻で完結。1982年度の第6回講談社漫画賞・少年部門を受賞しています。

山岳漫画の系譜を辿るうえで外せない古典です。1話完結の形式で、それぞれの登山者が抱えるものが短いページ数で切り取られます。現代の作品に比べれば装備も時代がかっていますが、山に向かう人間の動機は当時からほとんど変わっていないことが分かる点が面白い。読むと、いま自分がジムで触っている課題も同じ流れの先端にあるのだと感じられます。

山岳漫画のルーツを1冊で押さえたい人、名作の受賞歴に惹かれる人へ。

しずかの山(愛英史・松本剛・全3巻/完結)

愛英史が原作、松本剛が作画を担当した講談社イブニング連載の作品で、全3巻・完結。山を舞台にしたミステリー・サスペンス色の強い物語です。遭難や山中での事件を軸に、人の内面が少しずつ剥がれていきます。

純粋な登山漫画というより、山という舞台装置を使った人間ドラマとして読むのが正解です。それでも山の恐ろしさの描き方は真面目で、視界がきかなくなる状況や、判断が一つずれたときに事態がどう転がるかが説得力を持って提示されます。全3巻とコンパクトなので、山岳ミステリーという切り口を試してみたい人には手を出しやすいでしょう。

物語の緊張感で読ませてほしい人、ミステリー好きの入り口として。

読んでいるうちに壁を触りたくなったら、名古屋市港区のカラフルロックへどうぞ。通常利用は予約不要で、シューズとチョークのレンタルがあるため手ぶらで来店できます。初めての方には、スタッフが登り方の基本を一通りご案内します。料金の詳細は料金ページを、貸切のご予約は予約ページをご確認ください。

【系統③-A】ジムと日常を描いたボルダリング漫画4作品

日常系ボルダリング漫画は、勝敗ではなく「登ることのある生活」を描く系統です。ジムの空気やクライマー特有の会話が中心で、通っている人ほど笑える場面が増えます。

この系統は競技系ほど熱くならず、山岳系ほど重くもありません。そのぶん読者との距離が近く、「明日ジムに行こう」と思わせる力がいちばん強い。ボルダリングを始めたばかりの人や、家族や友人にクライミングを説明したいときに渡す1冊としても機能します。

のぼる小寺さん(珈琲・全4巻/完結)

講談社のgood!アフタヌーンで連載された全4巻の作品です。ただひたすらに壁を登る女子高生・小寺さんと、その姿を見て少しずつ動き出す周囲の人々を描きます。小寺さん自身の内面はあまり語られず、彼女を見ている側の変化が物語を進めていく構成が独特です。

クライマー目線でこの作品を高く評価したいのは、登っている最中の「無」の状態が描けている点です。上手い人が黙々と登っているときの、周りの音が消えていく感じ。ジムにいると必ず遭遇するあの空気が、そのまま紙の上にあります。ホールドを取りにいく手の形や、足を置く前の一瞬の間といった細部も丁寧で、クライミングを知らない読者にも「これは特別な集中だ」と伝わるように作られています。

まず1作だけ選ぶなら、この作品です。全4巻で読み切れて、ジム経験の有無を問わず刺さります。

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「クライミングってどこが面白いの」と聞かれたとき、言葉で説明するより『のぼる小寺さん』を1巻だけ貸すほうが早い、という話をスタッフの間でよくします。実際、この作品をきっかけにジムへ来られる方は今でもいらっしゃいます。

ぽちゃクライム!(みんたろう・全2巻/完結)

一迅社のコミック百合姫で連載された全2巻の作品で、体型にコンプレックスを抱える主人公がボルダリングと出会う物語です。2020年に2巻が刊行され完結しています。日常系×百合というジャンルの枠組みのなかで、クライミングが自己肯定のきっかけとして描かれます。

「体重が重いとクライミングは不利なのか」という、ジムでも実際によく出る話題に正面から向き合っている点が、この作品の誠実なところです。答えを単純化せず、体の使い方や課題の選び方で登れる範囲が広がっていく過程が描かれます。ジムに来ることへの心理的なハードルを、物語として下げてくれる作品でもあります。

体型や運動経験を理由にジムを敬遠している人に、そっと渡したい2巻です。

のボルダ(鬼頭莫宏・全4巻/完結)

『なるたる』『ぼくらの』で知られる鬼頭莫宏が、2022年から新潮社のくらげバンチで連載した全4巻の作品です。大人が趣味としてボルダリングに向き合う姿を描いており、学生の部活ものとは違う手触りがあります。

大人のジム通いにつきまとう現実——時間が取れない、体が言うことを聞かない、若い子がどんどん上手くなる——が、まっすぐに描かれます。それでも通い続ける理由が説教くさくならずに提示されるのは、作者の筆力によるところが大きいでしょう。ムーブの解説も実用的で、読んだ翌日に試したくなる内容が入っています。社会人からクライミングを始めた層の共感度が非常に高い1本です。

仕事のあとにジムへ寄る生活をしている大人のクライマーへ。

くにくにのぐだぐだ(SNS発の短編クライミング漫画)

Instagramを中心に発表されているクライミングあるある系の短編漫画で、4コマ・6コマ形式の作品です。SNS上での不定期連載という形をとっており、巻数という概念がありません。作者のプロフィールや正式な発表媒体については本記事で一次情報を確認できていないため、詳細な紹介は控えます。

内容は、クライマーなら誰もが一度は経験する場面をブラックユーモア寄りに切り取ったものです。指皮が終わる、ホールドが替わって落とせなくなる、休みの日に限って混む。この手の「共感で笑わせる」タイプの作品はSNSと相性がよく、短時間で読めるのも利点でしょう。無料で読めるため、まずは検索して数本読んでみるのが手っ取り早い。

通勤時間などの隙間に、軽くクライミング成分を補給したい人向けです。

【系統③-B】山を暮らしの中で楽しむ漫画12作品

日常系の登山漫画は、遭難や記録ではなく「週末の山」を描く系統です。装備選びや山ごはん、登山口までの移動といった実務が物語に組み込まれており、そのまま入門書として使えます。

クライミングと登山は隣接した趣味で、ジムに通っている人が山にも行く例は珍しくありません。この系統の作品は、その一歩を踏み出すための情報量とハードルの低さを兼ね備えています。近年もっとも新刊が動いている領域でもあります。

ヤマノススメ(しろ・既刊27巻/連載中)

アース・スターエンターテイメントのコミックアース・スターで2010年から続く長寿シリーズです。インドア派の女子高生・あおいが、幼なじみのひなたに誘われて山を登り始めます。2026年8月時点で既刊27巻(27巻は2026年3月12日発売)、28巻は2026年12月に刊行予定とされています。2013年からTVアニメ化され、シーズンを重ねてきました。

登山入門書としての完成度が非常に高い作品です。靴の選び方、レイヤリング、行動食、コースタイムの読み方といった実務が、物語の必然として登場します。高尾山から始まって段階的に標高を上げていく構成も、実際の登山者の成長曲線どおりです。クライミング的な要素は多くありませんが、岩場や鎖場の場面では手足の置き方がきちんと描かれます。

山にまだ登ったことがない人が、最初に読むべき登山漫画です。

山と食欲と私(信濃川日出雄・既刊21巻/連載中)

新潮社のバンチコミックスから刊行されている、単独登山女子・日々野鮎美を主人公にした作品です。2026年8月時点で既刊21巻、21巻は2026年8月7日に発売されたばかりという、現在進行形で動いているシリーズになります。2015年連載開始。

山ごはんという切り口で知られていますが、本質はソロ登山の哲学を描いた作品です。一人で登る理由、他人のペースに合わせない自由、そして時々訪れる人との交わり。レシピは実際に山で作れる分量と手順で書かれており、そのまま真似できます。ジムでも「これ作った」という話題が出るくらいには実用性があり、クライミングの後の食事の組み立てにも応用が利きます。

一人で行動するのが好きな人、そして食べる楽しみから山に入りたい人に薦めます。

山を渡る -三多摩大岳部録-(空木哲生・既刊8巻/連載中)

KADOKAWAのハルタコミックスから刊行されている、大学の山岳部を舞台にした作品です。2026年8月時点で既刊8巻・連載中(8巻は2025年10月15日発売)。廃部寸前の山岳部に新入部員が集まり、部として山に向かっていく過程が描かれます。

部活動としての登山、つまり「組織で山に入る」ことの描写が丁寧です。計画書の作成、装備の分担、パーティーとしてのペース管理といった、ソロ登山の作品には出てこない要素が中心に据えられます。読み込むほど、山岳部という仕組みが安全のために設計されていることが分かる作りです。人間関係のドラマも過剰にならず、静かに進みます。

チームで動くことの面白さを知りたい人、山岳部・サークルに興味がある人向けです。

つばめアルペン(南文夏・全4巻/完結)

集英社のヤングジャンプで連載された全4巻の作品で、北海道の高校山岳部を舞台にしています。競技としてのインターハイ登山を扱っている点が特徴で、装備の重量やタイムだけでなく、読図や幕営技術も採点対象になる世界が描かれます。

「登山が競技として成立する」という事実そのものが新鮮に映るはずです。テントを張る速度や炊事の手際まで評価される競技構造は、クライミングのコンペとはまるで違うルールで、比較して読むと面白い。北海道の山と気候の描写にも説得力があります。全4巻で完結しており、テンポよく読み切れます。

スポーツ漫画としての登山を読みたい人、部活ものが好きな人へ。

ざつ旅-That's Journey-(石坂ケンタ・既刊15巻/連載中)

KADOKAWAの電撃コミックスNEXTから刊行されている、行き当たりばったりの一人旅を描く作品です。2019年に電撃マオウで連載を開始し、2026年8月時点で既刊15巻・連載中2025年4月から6月にかけて全12話でTVアニメ化され、TOKYO MXやBS11などで放送されました。

厳密には登山漫画ではありませんが、旅の目的地として山が繰り返し登場します。計画を詰めすぎない旅のスタイルは、天候次第で予定が変わる山遊びとの相性がよく、遠征のついでに岩場へ寄る感覚に近い。実在の土地が細かく描かれるため、旅程の参考にもなります。アニメ化によって2026年時点で最も勢いのある「山に近い漫画」のひとつになりました。

山だけに絞らず、外へ出かける気分そのものを味わいたい人に向いています。

夕焼けトラバース(久家健史郎・連載中)

集英社のCOMIC OGYAAA!!で2024年7月に連載を開始した新しい作品です。女子高生のソロ登山を題材にしており、電子で連載が続いています。単行本第1巻の存在は確認できましたが、現在の最新巻数までは本記事で確認が取れていないため、購入前に配信ページでご確認ください。

2024年開始という新しさが、そのまま作品の空気に出ています。登山アプリやSNSが前提にある世代のソロ登山が描かれ、装備も現代的です。タイトルの「トラバース」は斜面を横方向に移動する動作を指す言葉で、クライミングでも同じ用語が使われます。この手の用語がタイトルに置かれている時点で、作者が山に対して本気なのは伝わってきます。

いま連載中の新しい山漫画を追いかけたい人に薦めたい1作です。

でこでこてっぺん(ゲキ・全1巻)

雑誌『山と溪谷』(山と溪谷社)で連載された女性登山の漫画で、単行本は連載200回を記念した1冊にまとめられています。1993年から続いた連載で、女性向け山漫画の原型といえる作品です。通常の「巻を重ねるシリーズ」とは構造が違い、全1巻の合本という形をとります。

90年代の山の空気が記録として残っている点に価値があります。装備も情報の入手方法も今とはまったく違う時代に、女性が山へ入るとはどういうことだったのか。それが軽妙な絵柄で描かれるため、資料的でありながら読みやすい。現代の登山漫画がどれだけ整備された環境の上に立っているかを実感できます。

山の文化史に興味がある人、レトロな絵柄が好きな人へ。

未亡人登山(板橋大祐・全2巻/完結)

小学館の月刊!スピリッツで2018年9月から2019年10月まで連載された全2巻の作品です。タイトルの印象より落ち着いた、大人の日常系登山漫画になっています。人生の途中で山と出会った人物の心境が主題です。

この作品の良さは、山が問題を解決してくれるとは描かないところにあります。登っても状況は変わらないが、歩いている間だけ考え方が少し動く。その距離感が誠実です。クライミングにも共通する感覚で、壁を触っている間だけ余計なことを考えずに済む、という経験がある人には響くはずでしょう。全2巻と短いのも利点です。

大人になってから趣味を探している人に、静かに刺さる作品です。

ハイジと山男(安藤なつみ・全3巻/完結)

講談社のBE・LOVEで連載された全3巻の作品です。山に打ち込む男性と、その世界に触れることになるヒロインの関係を描いた、女性読者向けの山漫画になります。恋愛要素を軸にしつつ、山という趣味が生活に与える影響が描かれます。

「山に夢中な人のパートナーはどう感じるのか」という、山岳漫画があまり扱わない視点が入っているのが特徴です。これはクライミングにもそのまま当てはまる話で、休日のたびに岩場へ行く人と、そうでない人との温度差はジムでも定番の話題になります。趣味を続けるうえで避けて通れないテーマを、物語として扱った珍しい作品です。

登山やクライミングにハマった人の家族・パートナーにこそ読んでほしい3巻です。

高尾の天狗と脱・ハイヒール(氷堂リョージ・全4巻/完結)

竹書房のバンブーコミックスから刊行された全4巻の作品で、最終巻は2018年12月に発売されました。高尾山を舞台に、山に不慣れなヒロインが山慣れした人物に導かれていくコメディ調の物語です。

高尾山という具体的な山を舞台にしているため、ガイドブックとしての実用性があります。コースの選択肢、混雑する時間帯、装備の最低ライン。都市近郊の山に初めて行く人が知りたい情報が、笑いのなかに配置されています。登山を「特別な行為」ではなく「電車で行ける休日の選択肢」として提示している点が、入門作として優秀です。

まずは低山から始めたい人、コメディ寄りの軽い読み口が好きな人に向いています。

山賊ダイアリー(岡本健太郎・全7巻/完結)

講談社のイブニングで連載された全7巻の作品で、作者自身の狩猟生活を描いた実話ベースのエッセイ漫画です。厳密には登山漫画ではありませんが、山に入って自然と向き合うという点で、この系統の読者層と重なります。

山を「登る対象」ではなく「入っていく場所」として描いている点が、他の作品にはない視点です。獲物を追って藪を漕ぎ、地形を読み、獲ったものを食べる。登山道の外側にある山の姿が具体的に分かります。読み終えたあと、山という空間の解像度が明らかに上がる作品です。狩猟の描写があるため、その点が苦手な方はご注意ください。

山という場所そのものへの興味が強い人、実話系のエッセイ漫画が好きな人へ。

ヤマビヨリ(KUJIRA)

2011年2月から9月にかけてWebスピカで連載された、山を題材にした短期連載作品です。単行本化の有無については本記事で確認が取れていないため、断定を避けます。読みたい場合は電子書店での検索が必要になるでしょう。

短期連載ゆえにボリュームはありませんが、2010年代前半に山ガールブームと並走して生まれた作品群のひとつという位置づけで、当時の空気を知る手がかりになります。日常のなかに山を差し込む描き方は、その後の『ヤマノススメ』以降の作品にも通じるものがあります。

山漫画をひととおり読んでしまった人が、次に探す1本として。

目的別の早見表|30作品を巻数と完結状況で比較する

作品選びで迷ったら、まず「読みたい理由」と「読める量」で絞ってください。完結済みの短編は3〜5巻、長編は17〜18巻、連載中の作品は21〜27巻という規模感になります。

こういう気分のとき おすすめ作品 巻数 系統
とにかく1作だけ読みたい のぼる小寺さん 全4巻・完結 ③日常系
コンペの緊張感を味わいたい フリクションガール 全3巻・完結 ①競技
競技のルールごと知りたい いわかける!+いわかける!! 全4巻+全6巻 ①競技
本気で強くなる話が読みたい 壁ドン! 全5巻・完結 ①競技
山の重さを知りたい 孤高の人 全17巻・完結 ②山岳
短く名作を押さえたい 神々の山嶺 全5巻・完結 ②山岳
山の入門書として読みたい ヤマノススメ 既刊27巻・連載中 ③日常系
実在のクライマーを知りたい THE ALPINE CLIMBER 全7巻・完結 ②山岳
社会人の趣味として共感したい のボルダ 全4巻・完結 ③日常系
お金をかけずに試したい オーバーハング! 全87話・完結 ①競技

もうひとつ、系統をまたいで全作品の基本情報をまとめた表を置きます。巻数と完結状況は2026年8月時点の確認結果で、連載中の作品は今後増えていきます。

作品名 作者 出版社 巻数・状況
ザ・ボルダー 蜜浦ミノル 講談社 全3巻・完結
フリクションガール noga 秋田書店 全3巻・完結
壁ドン! 佐久間力 小学館 全5巻・完結
いわかける!―Climbing Girls― 石坂リューダイ 小学館 全4巻(新装版)
いわかける!!―Try a new climbing― 石坂リューダイ 小学館 全6巻・完結
オーバーハング! 本橋ゆうこ ganma!(Web) 全87話・完結
岳 みんなの山 石塚真一 小学館 全18巻・完結
孤高の人 坂本眞一ほか 集英社 全17巻・完結
神々の山嶺 夢枕獏/谷口ジロー 集英社 全5巻・完結
K 遠崎史朗/谷口ジロー 双葉社 全1巻・完結
THE ALPINE CLIMBER よこみぞ邦彦/山地たくろう 小学館 全7巻・完結
氷壁の達人 神田たけ志 レジェンドコミック 巻数は未確認
岳人列伝 村上もとか 小学館 全1巻・完結
しずかの山 愛英史/松本剛 講談社 全3巻・完結
のぼる小寺さん 珈琲 講談社 全4巻・完結
ぽちゃクライム! みんたろう 一迅社 全2巻・完結
のボルダ 鬼頭莫宏 新潮社 全4巻・完結
ヤマノススメ しろ アース・スターEN 既刊27巻・連載中
山と食欲と私 信濃川日出雄 新潮社 既刊21巻・連載中
山を渡る 空木哲生 KADOKAWA 既刊8巻・連載中
つばめアルペン 南文夏 集英社 全4巻・完結
ざつ旅-That's Journey- 石坂ケンタ KADOKAWA 既刊15巻・連載中
夕焼けトラバース 久家健史郎 集英社 連載中(巻数は未確認)
でこでこてっぺん ゲキ 山と溪谷社 全1巻(合本)
未亡人登山 板橋大祐 小学館 全2巻・完結
ハイジと山男 安藤なつみ 講談社 全3巻・完結
高尾の天狗と脱・ハイヒール 氷堂リョージ 竹書房 全4巻・完結
山賊ダイアリー 岡本健太郎 講談社 全7巻・完結
ヤマビヨリ KUJIRA Webスピカ 短期連載(単行本化は未確認)
くにくにのぐだぐだ SNS発 巻数の概念なし

なお、作中に出てくるグレード表記(級・段、Vグレード、フレンチグレード)の対応関係が気になった場合は、ボルダリングのグレードの読み方と換算にまとめてあります。漫画では「三段」「5.12」といった数字が説明なしで飛び交うため、対応表を一度見ておくと登場人物の実力がつかめるようになります。

初心者にまず薦める3冊

クライミング未経験、あるいは始めたばかりの人に薦めるなら『のぼる小寺さん』『ヤマノススメ』『神々の山嶺』の3冊です。合計でも短時間で読め、3系統すべての手触りが分かります。

この3冊を選んだ理由は、それぞれが違う扉を開けてくれるからです。『のぼる小寺さん』は「登る人を見る目」を、『ヤマノススメ』は「山に行くための実務」を、『神々の山嶺』は「登ることの重さ」を渡してくれます。1冊だけ読んで「クライミング漫画はこういうものか」と判断してしまうと、自分に合う系統を取りこぼしかねません。

  1. 1冊目:『のぼる小寺さん』全4巻。まずここから。読み終えた時点で、ジムに行きたいかどうかの答えが自分のなかに出ています
  2. 2冊目:『ヤマノススメ』1〜3巻あたり。既刊27巻ありますが、最初の数巻だけでも十分に山の入り口が見えます。全部読む必要はありません
  3. 3冊目:『神々の山嶺』全5巻。ここで一気に温度が変わります。合えば『孤高の人』全17巻へ、重すぎれば③日常系に戻ればよい
  4. 4冊目以降:3冊のうちいちばん手応えのあった系統から、上のカタログで巻数の少ない作品を足していく
初心者の読む順。まず『のぼる小寺さん』を読み、壁を触りたい人と山が気になる人で2ルートに分かれる図

POINT

漫画で興味が湧いたら、次は実用書に進むと理解が一気に深まります。ムーブの名前や体の使い方を体系的に押さえたい方向けに、ボルダリングの教則本・技術書の選び方をまとめました。漫画で「なんとなく分かった」ことに名前がつくと、実際の壁での再現度が変わります。

2024〜2026年の新しい動き

この2年で押さえるべきは、『夕焼けトラバース』の新連載開始(2024年7月)、『ざつ旅』のTVアニメ化(2025年)、そして『山と食欲と私』21巻・『ヤマノススメ』27巻・『山を渡る』8巻という最新刊の動きです。

クライミング・登山漫画の紹介記事は、公開されてから数年そのままになっているものが多く、巻数が古いまま止まっている例が目立ちます。ここでは2026年8月時点で確認した最新の状況を整理しておきます。

作品 2024〜2026年の動き 確認時点
夕焼けトラバース 2024年7月にCOMIC OGYAAA!!で新連載開始。女子高生のソロ登山もの 2026年8月
ざつ旅-That's Journey- 2025年4〜6月にTVアニメ化(全12話)。既刊15巻 2026年8月
山と食欲と私 21巻が2026年8月7日発売。連載継続中 2026年8月
ヤマノススメ 27巻が2026年3月12日発売。28巻は2026年12月刊行予定 2026年8月
山を渡る 8巻が2025年10月15日発売。完結していない 2026年8月

逆に、この期間にクライミング・ボルダリングへ完全に特化した新規連載が始まったという情報は、今回の調査では確認できませんでした。競技クライミングの漫画は『いわかける!!』の完結(2022年)以降、新しい大型作品を待っている状態と言えます。オリンピック種目として定着した以上、いずれ次の作品が出てくるはずですが、現時点で「新しさ」を語るなら既存作品のアニメ化と最新刊が中心になります。

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ジムでは「新しいクライミング漫画ないですか」と聞かれることがしばしばありますが、正直なところ競技系の新作は近年少なめです。そのぶん、登山側の日常系が元気なので、そちらに範囲を広げて薦めることが多くなりました。壁の話をしていたはずが、いつのまにか低山の話になっているのはよくある光景です。

アニメ化・実写化された作品まとめ

この分野でアニメ化された主な作品は『いわかける!』『ヤマノススメ』『ざつ旅』、実写映画化されたのは『岳』(2011年・小栗旬主演)と『神々の山嶺』(2016年・岡田准一主演)です。

映像から入るという選択も十分にありです。特に競技クライミングは動きが主役なので、アニメで見たあとに漫画へ戻ると、コマの意図が分かりやすくなる場合があります。

作品 映像化の形 時期・補足
いわかける!―Climbing Girls― TVアニメ『いわかける!-Sport Climbing Girls-』 2020年10〜12月。アニメ化は前半シリーズの範囲
ヤマノススメ TVアニメ(複数シーズン) 2013年から。セカンド〜サードシーズンまで制作
ざつ旅-That's Journey- TVアニメ(全12話) 2025年4〜6月。TOKYO MX・BS11ほか
岳 みんなの山 実写映画 2011年公開。小栗旬主演
神々の山嶺 実写映画『エヴェレスト 神々の山嶺』 2016年公開。岡田准一主演

なお『壁ドン!』については、実写化されたという確かな情報を今回の調査では確認できませんでした。「壁ドン」という言葉が別の文脈で有名なため、無関係な実写作品と結びつけて紹介されている例を見かけますが、当記事では未確認のものを確認済みとしては扱いません。

買い方の話|完結済み長編は全巻セットという選択肢がある

完結済みの長編は、1巻ずつ買うより全巻セットのほうが探しやすく、読む順番で迷いません。『岳』全18巻、『孤高の人』全17巻、『THE ALPINE CLIMBER』全7巻あたりが該当します。

この分野の作品は、途中で止めると面白さが分かりにくいものが多くあります。特に山岳系の長編は、序盤で提示された問いが終盤まで回収されない構成が普通です。『孤高の人』は10巻を過ぎたあたりから加速するので、途中で買うのをやめると印象がまるで変わってしまいます。

一方、連載中の『ヤマノススメ』『山と食欲と私』『山を渡る』『ざつ旅』は、途中の巻から読み始めても成立する構成です。まず1巻を試して、合えば追いかけるという買い方で問題ありません。電子書籍であれば置き場所も要らず、ジムの休憩時間や移動中にも読めます。

紙で揃えるか電子にするかは好みですが、全18巻・全17巻という規模になると、置き場所の問題は現実的に効いてきます。何度も読み返したい作品だけ紙にする、という使い分けが無難でしょう。

漫画を読んだあと、実際に登ってみたくなったら

クライミング漫画を読んだ直後は、いちばん壁を触りたくなっているタイミングです。ボルダリングは道具をひとつも持っていない状態から始められるので、その勢いのまま来店して問題ありません。

必要なのは動きやすい服装だけです。シューズとチョークはレンタルがあり、着替える場所もあります。漫画で見たガバやカチが実物としてどう並んでいるのか、スタートホールドがどう指定されるのか。実際の壁の前に立つと、作中の描写がいかに正確だったかが分かるはずです。

  1. 服装だけ用意する。ジャージやスウェットなど、膝が曲がる動きやすいもの。ジーンズやスカートは避けてください
  2. 受付でレンタルを申し込む。シューズとチョークを借りれば、それ以外に持ち物はありません
  3. 初回の説明を受ける。ルールと落ち方の基本を一通りご案内します。ここは飛ばさないでください
  4. いちばん易しい級から触る。漫画の主人公がいきなり難課題を落とす場面がありますが、あれは物語の都合です。実際は易しい課題から段階的に上げます
  5. 2時間で切り上げる。初日に登りすぎると翌日から数日、指と前腕が使い物になりません

始め方の詳細、持ち物、当日の流れについてはボルダリングの始め方に一通りまとめてあります。また、山に行こうと思っていた週末が雨で潰れたときの逃げ場としてもジムは使えます。名古屋周辺で雨の日の予定を探している方は、名古屋の雨の日の過ごし方もあわせてどうぞ。

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「漫画を読んで来ました」という方は本当に多く、特に『のぼる小寺さん』と『ヤマノススメ』の名前はよく出ます。共通しているのは、最初から上手く登ろうとしすぎることです。主人公は物語の圧縮された時間のなかで強くなっているだけなので、初日に同じ動きを求める必要はまったくありません。

カラフルロックは名古屋市港区須成町3丁目14番。通常利用は予約不要で、シューズ(300円)とチョーク(100円)のレンタルがあるため手ぶらでお越しいただけます。定休日はなく、平日は10:00〜22:30、土日祝は10:00〜21:00の営業です(最終入館は閉店の45分前)。初めての方には登り方とルールをスタッフがご案内します。貸切のご予約や設備の詳細は予約ページをご覧ください。ご不明な点は 052-387-8897 までお問い合わせください。

よくある質問

クライミング・登山漫画についてジムでよく聞かれる質問を、8つにまとめました。巻数や完結状況は2026年8月時点で確認した内容です。

Q. クライミングの漫画で一番リアルなのはどれですか?

実話ベースの作品が最もリアルです。実在のクライマー山野井泰史を描いた『THE ALPINE CLIMBER』(全7巻)と、加藤文太郎をモデルにした『孤高の人』(全17巻)が代表格になります。

Q. ボルダリング漫画のおすすめは?

初めての1冊なら『のぼる小寺さん』(全4巻)。競技志向なら『フリクションガール』(全3巻)や『壁ドン!』(全5巻)が定番で、ジムでも話題にしやすい作品です。

Q. 登山漫画の名作といえば何ですか?

『岳』(全18巻)『孤高の人』(全17巻)『神々の山嶺』(全5巻)が三大名作とされます。いずれも完結済みで、全巻まとめて一気に読めます。

Q. クライミング漫画でアニメ化された作品はありますか?

『いわかける!-Sport Climbing Girls-』が2020年10〜12月に放送されました。競技クライミングを正面から扱った作品のアニメ化としては貴重な例です。

Q. 漫画『岳』は全部で何巻ですか?

石塚真一の『岳 みんなの山』は全18巻で完結しています。全9巻の完全版もあり、2011年には小栗旬主演で実写映画化されました。

Q. ヤマノススメは何巻まで出ていますか?

2026年8月時点で既刊27巻です。27巻は2026年3月12日発売で連載は継続中、28巻は2026年12月に刊行予定とされています。

Q. 無料で読めるクライミング漫画はありますか?

Web漫画『オーバーハング!』(ganma!、全87話・完結)が代表例です。SNSで発表されている短編クライミング漫画も無料で読めます。

Q. クライミング漫画と登山漫画は何が違うのですか?

クライミング漫画はジムや人工壁での競技が主題で、登山漫画は山岳遭難や自然との対峙が中心になります。舞台も、読後に残るものも異なります。

まとめ|読む順番だけ決めてしまえば迷わない

30作品を並べましたが、最初にやることは1つです。①競技・②山岳・③日常系のどれを読みたいかを決め、その系統でいちばん巻数の少ない作品から入る。それだけで失敗はほぼ避けられます。

そして、この記事に並んだ作品のほとんどは、実際に壁を触ってから読み返すと印象が変わります。指がホールドにかかる感覚、足を信じて立ち上がる瞬間、落ちたあとにもう一度取り付く気持ち。それを一度でも体験していると、同じコマから受け取れる情報量が明確に増えます。漫画で興味を持ったなら、次は自分の手で確かめてみてください。

本記事の巻数・完結状況・出版社は、2026年8月時点で各版元および電子書店の情報をもとに確認したものです。連載中の作品は今後巻数が増えますので、購入時には最新の情報をご確認ください。