登山の怪我予防|部位別の原因と対策・ポールと靴擦れの防ぎ方
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「登山 怪我 予防」で調べている方は、漠然と気をつけるだけでなく、どの部位をどう守ればいいのか具体的に知りたいのだと思います。この記事では、警察庁の統計で実際に多いケガを確認したうえで、足首・膝・太もも/ふくらはぎ・足の裏/かかと・手/指・腰という部位ごとに、起きやすいケガと予防、そして起きてしまったときの対処をまとめました。とくに見落とされがちな「トレッキングポールで転倒と膝を守る」「靴擦れを防ぐ」の2つは、章を分けて詳しく解説します。歩き方そのものに不安がある場合は、先に登山の歩き方・登り方の基本を確認しておくと、この記事の予防策がより実践しやすくなります。

登山で実際に多いケガ|警察庁の統計から見る内訳

登山で起きやすいケガの原因や場面を表すイメージ

体感だけでなく、公的な統計でも実際に多いケガの傾向を確認しておきます。

遭難者のうちどれくらいが負傷しているか

警察庁生活安全局生活安全企画課「令和6年における山岳遭難の概況等」(2025年6月19日公表)によると、2024年の山岳遭難者は3,357人、そのうち負傷者は1,390人、死者・行方不明者は300人でした。態様別では「道迷い」が30.4%で最も多く、次いで「転倒」20.0%、「滑落」17.2%、「疲労」10.2%、「病気」7.6%の順です。転倒と滑落はどちらも足元の不安定さが引き金になりやすい点で共通しており、2つを合わせると37.2%となって、単独で最も多い道迷いの30.4%を上回ります。なお、最新の「令和7年における山岳遭難の概況等」(2026年6月18日公表、2025年分)では遭難者3,623人・負傷者1,480人・死者及び行方不明者332人とさらに増加しており、「道迷い」30.9%、「転倒」19.2%という順位の傾向は続いています。

転倒・滑落が起きやすい場面

転倒は不安定な岩や地面に足を置いたときのバランス崩れが主な原因で、下山時に多く発生します。急な下り坂での踏み外しや、濡れた岩・落ち葉の上で滑ることが典型的な場面です。滑落はこれがさらに大きくなったもので、斜度のある岩場や不整地で足を滑らせたときに起こります。どちらも「足元の不安定さ」が引き金になっている点は共通しており、この記事で紹介するトレッキングポールや足首のサポートが直接関わってくる場面でもあります。

捻挫や骨折につながる不注意

注意散漫による不意の動きも見逃せない原因です。スマートフォンの操作や会話に気を取られて足元を見落とし、段差や木の根で足をひねるケースが典型的です。景色の良い場所や休憩ポイントの手前など、気が緩みやすいタイミングほど注意が必要です。

落石・落下物によるケガ

岩場や急斜面の登下降中は、自分だけでなく他の登山者が落とした落石や枝にも注意する必要があります。上部に人がいる区間ではヘルメットの着用も有効な対策です。

虫刺されや植物によるトラブル

休憩中や草木の多いエリアでは、虫刺されや有毒植物への接触にも注意が必要です。長袖・長ズボンで肌の露出を減らし、休憩場所を選ぶ際も草の茂みを避けると安心です。

体力消耗が引き起こす事故

不適切な装備や無理な計画による体力の消耗は、集中力や判断力の低下につながり、転倒やその他の事故の遠因になります。次の章から紹介する部位別の対策とあわせて、行動計画そのものを見直すことも重要です。

部位別|起きやすいケガと予防・対処法

ここからは部位ごとに、起きやすいケガと予防、起きてしまったときの対処を一覧にまとめます。まず全体像をつかんだうえで、次の章から気になる部位を詳しく読み進めてください。

表の見方

「対処」の欄はいずれも応急的な対応です。痛みや腫れが強い場合、歩行に支障が出る場合は、無理に行動を続けず医療機関を受診してください。

部位 起きやすいケガ 予防 起きたときの対処
足首 捻挫 不整地で足元を確認する、サポーターやテーピングで安定させる、トレッキングポールで着地を安定させる RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)、腫れや痛みが強ければ医療機関へ
下りでの痛み、使いすぎによる炎症 トレッキングポールで衝撃を分散する、ニーサポートやテーピングで支える、荷物を軽くする 歩行ペースを落とす、下山後に冷やす、痛みが続くなら整形外科へ
太もも・ふくらはぎ 筋肉痛、こむら返り、肉離れ 登山前後のストレッチ、カーフスリーブなどで支える、水分と電解質の補給 ストレッチと休息、つったら伸ばしてゆっくりほぐす、強い痛みが続けば受診
足の裏・かかと 靴擦れ、マメ、足底の痛み 靴下の重ね方を見直す、出発前にテーピングで保護する、インソールで衝撃を吸収する 皮を残したまま清潔に保護する、悪化や化膿の兆候があれば受診
手・指 擦り傷、突き指、岩角での打撲 グローブを着用する、岩場では三点支持を意識する、トレッキングポールで手をかばう 傷口を洗って保護する、強い腫れや変形があれば骨折を疑い受診
腰痛、ぎっくり腰 ザックの重量配分を見直す、正しい姿勢で歩く、荷物を軽量化する 無理せず休憩する、荷物を分担する、歩行が困難なら救助要請も検討する

トレッキングポールで転倒と膝を守る

トレッキングポールを使って下りを歩くイメージ

先ほどの統計で見たとおり、転倒と滑落を合わせると遭難者の3割以上を占めます。それにもかかわらず、この2つを直接支えるトレッキングポールは、これまで見落とされがちな装備でした。ここでまとめて解説します。

下りで膝にかかる負担

モンベル公式のトレッキングポールガイドでは「下りでは自身の体重+荷物の重量が登りの時以上に負担となって脚に集中します。トレッキングポールを使うことで脚にかかる衝撃を腕に分散させ、脚や膝への負担をやわらげるメリットがあります」と説明されています。腕の力を借りて着地の一部を支えることで、足首や膝だけで全体重を受け止めずに済む、という考え方です。具体的な軽減率を示す公式データは確認できませんでしたが、衝撃を脚以外に逃がす仕組みそのものはメーカーが共通して説明している考え方です。

2本と1本、どちらを選ぶか

トレッキングポールにはI型グリップとT型グリップがあり、モンベル公式によるとI型グリップは2本一組、T型グリップは1本で使用するのが基本です。2本は左右均等に体重を預けられるため、荷物が重い縦走や下りの多いコースで安定感を出しやすく、1本は片手が自由に使えるぶん、補助的に使いたい人や身軽さを優先したい人に向いています。今回紹介するHiking Lifeのポールは2本セットで、105〜125cmの範囲で長さを調整できます。迷ったら、まずは2本から試すと衝撃を左右に分散しやすくなります。より詳しい選び方や他モデルとの比較はトレッキングポールのおすすめ記事でも紹介しています。

使い方の基本

長さは平地では肘が90度になる高さ、登りではやや短く、下りではやや長く調整するのが基本です。石突を斜面に対してまっすぐ近い角度で突き、身体より前方につきすぎないようにすると、腕への負担も少なく安定します。今回紹介するHiking Lifeのトレッキングポールは3Kカーボン素材の折りたたみ式で、商品ページでは「超軽量202g」「収納サイズ34cm」とされており、収納ポーチや付属品5種類、日本語説明書も付属しています。ザックに収納しやすいサイズなので、登りだけ手ぶらにしたいときも荷物になりにくいのが利点です。



靴擦れを防ぐ

日帰り登山でもっとも起きやすいトラブルのひとつが靴擦れです。国際山岳医で赤岳鉱泉山岳診療所を運営する市川智英医師の解説を参考に、予防と対処をまとめます。

靴下の重ね方・選び方

市川医師の解説では、靴下は綿ではなくウールや化繊を選び、縫い目が足に当たりにくいものを使うことが予防の柱のひとつとして挙げられています。靴のフィッティングも重要で、つま先に1〜1.5cmほどの余裕を持たせ、足がむくみやすい夕方に試し履きをして、歩き始めに靴紐を適切に締め直すことがすすめられています。厚手の靴下を重ねる場合は、その分だけ靴の中が窮屈になりやすいため、試し履きの段階で実際に履く靴下の厚みで確認しておくと安心です。

出発前のテーピングで予防する

同じ解説では、紙テープによる予防をエビデンスのある方法として紹介しており、過去に擦れたことがある場所には出発前からテープを貼っておくとよいとされています。摩擦が集中しやすいかかとの角や指の付け根など、自分がいつも擦れる場所を把握しておくと、出発前の一手間で当日のトラブルを減らしやすくなります。

できてしまったときの処置

水ぶくれの処置で大事なのは「潰すかどうか」ではなく、表皮の屋根を残して真皮の露出を防ぐことだと市川医師は説明しています。表皮の屋根は天然のドレッシング材として傷を守り、内部の液体が修復環境を保ち、細菌のバリアにもなって痛みをやわらげる役割があるためです。大きく張った水ぶくれが歩行中に破れそうな場合は、清潔な状態で液だけを抜き、屋根の皮はできるだけ平らに残して保護するという方法も選択肢になります。あらかじめ患部を覆っておけば、摩擦そのものを減らして水ぶくれの発生を抑えることにもつながります。

足用の保護パッドは、かかとやつま先、足裏など摩擦が集中しやすい部位に貼って使うハイドロコロイド素材のアイテムです。今回紹介する商品は12枚入りで、防水性・クッション性・衝撃吸収を備えており、靴擦れの予防にも、できてしまった後の保護にも使えます。足裏のクッション性を根本的に見直したい場合はインソールの選び方の記事もあわせて確認してください。



足首の捻挫を防ぐ・支える

足首をひねりやすい場面

足首の捻挫は、木の根や石でできた段差、ザレ場のような不安定な地面で足を置いた瞬間や、下山後半の疲労で足が上がりにくくなったタイミングで起こりやすくなります。トレッキングポールで着地を安定させることに加えて、足首まわりを支えるサポーターやテーピングを併用すると、不意にひねる動きそのものを抑えやすくなります。

サポーターとテーピングの使い分け

ザムストのフィルミスタアンクルは、伸縮性の異なる2種類のウレタンフィルムを圧着した「F.S.テクノロジー」により、テーピングの発想を薄いフィルムで再現した設計になっているのが特徴です。公式サイトによると、内反(足首が内側にねじれる動き)を抑える配置で、肌側には滑りにくい素材を使うことでズレにくくしています。テーピングよりも簡単に着脱できるぶん、毎回の登山で手軽に使いたい人に向いています。今回紹介する商品はMサイズ・右足用です。サイズと左右は購入前に必ず商品ページで確認してください。



膝の負担を防ぐ・支える

下りで膝が痛くなる仕組み

下りは着地のたびに大きな力が膝にかかる動きの繰り返しです。トレッキングポールで衝撃の一部を腕に逃がすことに加えて、膝そのものをサポーターやテーピングで支えることで、膝への負担をさらに軽くする狙いがあります。膝が痛くなる仕組みや、痛みが出たときの対処をより詳しく知りたい場合は登山で膝が痛い原因と下りの対策の記事で解説しています。

ニーサポートの役割

マクダビッドのニーサポートM401は、膝全体を軽い圧迫と保温で支えるサポートレベル1(軽め)のモデルです。膝のお皿の部分が窓のように開いたクローズドタイプで、4方向に伸縮するクロロプレンゴムを使い、動きを妨げにくい25cm丈に設計されています。左右兼用でMサイズから展開されており、長時間の下りで膝まわりを軽く支えたい人に向いています。サポーターはあくまで膝の動きを支える・安定させるための道具であり、痛みそのものを治すものではない点は理解したうえで使ってください。膝サポーターをじっくり比較したい場合は登山用膝サポーターの比較記事も参考にしてください。



足裏・かかとを守る

インソールと靴擦れの関係

足裏やかかとのクッション性が足りないと、着地の衝撃がそのまま伝わって足底の痛みにつながるだけでなく、靴の中で足が余分に動くことで靴擦れの原因にもなります。ザムストのフットクラフトシリーズは、HIGH・MIDDLE・LOWのアーチタイプから選べる衝撃吸収クッションタイプのインソールで、今回紹介する商品はLサイズ(25.0〜26.5cm)・MIDDLEアーチの男女兼用モデルです。純正インソールから交換すると靴の中の容積が変わるため、購入後は必ず試し履きをしてフィット感を確認してください。インソールそのものの選び方やアーチタイプの見分け方は登山靴のインソールの記事で詳しく解説しているので、この記事では靴擦れとの関係だけに絞って紹介しました。



テーピングで関節・筋肉をサポートする

上りは膝、下りはふくらはぎ

テーピングは関節や筋肉の動きをサポートするために使う手段のひとつです。登山中はとくに下り坂で膝に大きな負担がかかるため、膝まわりをテーピングでサポートし、負担を分散させる考え方があります。使う筋肉に応じて貼り方を変えるのが一般的で、上りでは膝を支えるテーピング、下りでは腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)を支えるテーピングが使われることが多く、筋肉の過度な疲労を軽くする狙いがあります。

キネシオロジーテープの基本的な使い方

ピップのプロ・フィッツ キネシオロジーテープの公式FAQによると、貼る前に肌の汗や油脂をふき取り、貼る部位に合わせた長さに切ってから、はく離紙をはがして貼るのが基本の手順です。貼り方には、筋肉を伸ばした状態でテープの端を固定して少しずつ貼っていく方法と、関節を包み込むようにテープの中央を固定してから少し引っぱりながら貼る方法の2種類があります。今回紹介する商品は50mm×4.5mの快適通気タイプで、足・ひざ・ふくらはぎ用です。初めて使う場合は、公式のテーピング動画などで部位別の貼り方を確認してから試すと失敗が少なくなります。テーピングをしても痛みが強く残る場合は、自己判断で行動を続けず医療機関を受診してください。


ふくらはぎ・太ももの疲労と負担を防ぐ

段階着圧という考え方

ふくらはぎは歩行中ずっと使われ続ける部位で、筋肉が細かく揺れる(振動する)ことも疲労の一因になるといわれています。ザムストのカーフスリーブは、足首からふくらはぎにかけて圧力を段階的に弱める「段階着圧設計」で、ふくらはぎ全体を圧迫することで筋肉の無駄な揺れを抑える狙いを持った製品です。公式サイトによると体温に応じて汗の乾かし方を調整する機能もあり、暑いときは汗を効率よく蒸散させ、寒いときは汗を保持して体温の低下を抑えるとされています。今回紹介する商品は両足入りのLサイズ・ユニセックスです。段階着圧はあくまで筋肉の揺れを抑えて負担を軽くするサポートであり、疲労やむくみそのものを治すものではない点は理解しておいてください。下山後の筋肉痛やむくみのケアは登山の筋肉痛を防ぐ記事登山で足がむくむ原因の記事で詳しく解説しています。



登山前後のストレッチ

ここまで紹介した装備によるサポートに加えて、ストレッチそのものを見直すことも怪我の予防につながります。

登山前のストレッチとウォーミングアップ

登山前には10〜20分程度のウォーキングや軽いジョギングでウォーミングアップを行い、体温を上げてから脚や腰を中心にストレッチをすると、筋肉や関節が動きやすい状態で登山を始められます。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、ストレッチングを行う際の原則として「時間を20秒以上かけて伸ばすこと」(最初の5〜10秒は適度な伸展度合いを決めるための時間)、「痛くなく気持ちよい程度に伸ばすこと」(痛いほど伸ばすと伸張反射が働き、かえって筋が硬直して効果が下がる)、「呼吸を止めないこと」が挙げられており、セルフで行う静的ストレッチングがすすめられています。登山前は、いきなり大きく伸ばすのではなく、この原則に沿って少しずつ体を慣らしていくのがポイントです。

登山後のストレッチとクールダウン

下山後も同じ原則でふくらはぎ・太もも・腰まわりをゆっくり伸ばしておくと、翌日以降の筋肉の張りを軽くしやすくなります。休憩中に足を少し高く上げておくことも、血流の滞りを軽くする助けになります。下山後のケアをさらに詳しく知りたい場合は筋肉痛の予防と回復の記事を参考にしてください。

体力・装備・行動計画で防ぐケガ

部位ごとの対策に加えて、そもそも事故の芽を減らすための土台になるのが、装備・計画・体力です。まとめて紹介します。

正しい装備を選ぶ

足をしっかり保護し、地形に対応できる登山靴を選ぶことは、足首の捻挫や転倒を防ぐ土台になります。天候や気温の変化に対応できるレイヤリングが可能な衣類を選ぶことも、低体温症や熱中症などのリスクを下げることにつながります。歩き方の基本から見直したい場合は登山の歩き方・登り方の基本の記事もあわせて確認してください。

ルート計画を徹底する

登山する山の天候、ルートの難易度、予想される所要時間を事前に調べておくことで、自分の体力や技術に合ったルートを選びやすくなります。あわせて緊急時のエスケープルートや連絡方法も計画に含めておくと、万一のときに落ち着いて対応しやすくなります。

体力と筋力を高める

登山は長時間にわたる運動のため、ジョギングやサイクリングなどの有酸素運動で持久力を高めておくと安心です。とくに太ももやふくらはぎ、足首まわりの筋力を鍛えておくと、下りでの膝や足首への負担を減らしやすくなります。

荷物を軽くする

荷物の重さは疲労だけでなく、腰・膝・肩など関節への負担にも直結します。行動時間や季節に合わせて持ち物を見直し、余分な荷物を減らすことで、関節への負担そのものを軽くすることができます。

休憩と水分補給

定期的に休憩を取り、汗で失われる水分と電解質を補給することは、脱水や体力の消耗を防ぐ基本です。休憩中に足を少し高くしておくと、血流の滞りをやわらげる助けにもなります。

緊急時の備え

ホイッスルやヘッドランプ、ファーストエイドキットなどのエマージェンシーグッズは、万一のときに行動範囲を広げてくれる備えです。出発前に目的の山の危険箇所や、緊急連絡先・最寄りの救助機関を調べておくことも欠かせません。

体調管理と判断力

登山前には体調をチェックし、不調があれば無理をせず計画を見送る判断も必要です。登山中も天候や体調の変化に応じて、撤退を含めた柔軟な判断ができるようにしておきましょう。

よくある質問

Q. 登山でいちばん起きやすいケガは何ですか?

警察庁の統計(令和6年分)では、山岳遭難の態様のうち「転倒」20.0%と「滑落」17.2%を合わせると37.2%となり、単独で最も多い「道迷い」30.4%を上回ります。どちらも足元の不安定さが引き金になりやすいため、この記事で紹介したトレッキングポールや足首のサポート、部位別の予防を組み合わせることが対策の基本になります。

Q. トレッキングポールは1本と2本、どちらを使えばいいですか?

迷う場合は2本から試すのがおすすめです。2本(I型グリップ)は左右均等に体重を預けられ、荷物が重い縦走や下りの多いコースで安定感を出しやすいのに対し、1本(T型グリップ)は片手が自由に使えるぶん補助的な用途に向いています。使い方や選び方の詳細はトレッキングポールのおすすめ記事でも紹介しています。

Q. 靴擦れができてしまったら、その場でどう対処すればいいですか?

大事なのは表皮の屋根をできるだけ残すことです。国際山岳医の解説によると、屋根は天然のドレッシング材として傷を保護し、細菌のバリアや痛みの軽減にもつながります。大きく張って歩行中に破れそうな場合だけ、清潔な状態で液を抜いて屋根の皮を平らに残す対処も選べます。保護パッドなどであらかじめ患部を覆っておくと、悪化を防ぎやすくなります。

Q. 膝サポーターとテーピングはどちらを使えばいいですか?

どちらも膝の動きを支えるための道具で、優劣があるわけではありません。着脱の手軽さを重視するならサポーター、部位や強さを細かく調整したいならテーピングが向いています。併用も可能です。膝の痛みそのものが続く場合は、サポーターやテーピングに頼りきらず、膝が痛い原因と対策の記事を参考に原因を確認し、必要であれば整形外科を受診してください。

Q. 登山前と登山後、どちらのストレッチが大事ですか?

どちらも役割が異なるため、両方行うのが基本です。登山前は体温を上げて筋肉や関節を動きやすくするためのウォーミングアップとストレッチ、登山後は疲労した筋肉をゆっくり伸ばして翌日以降の張りを軽くするためのクールダウンです。厚生労働省の情報にあるとおり、痛くない範囲で20秒以上かけて伸ばすことを両方のタイミングで意識してください。

Q. 応急手当をしても痛みが引かない場合はどうすればいいですか?

RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)はあくまで応急処置です。ザムスト公式の解説でも「痛みや炎症が改善しない場合、徐々に悪化する場合、重症や骨折時には速やかに医療機関に行きましょう」と案内されています。下山を急がず、必要であれば同行者や周囲に助けを求めることも検討してください。

まとめ

登山の怪我予防を実践しながら歩くイメージ

登山でのケガは、原因になりやすい場面がある程度決まっています。警察庁の統計でも転倒・滑落を合わせると遭難者の3割以上を占めており、この記事ではその2つを直接支えるトレッキングポールと、日帰り登山でもっとも多いトラブルである靴擦れを中心に、足首・膝・太もも/ふくらはぎ・足の裏/かかとという部位ごとの予防と対処をまとめました。

装備だけに頼るのではなく、登山前後のストレッチや、体力・ルート計画・休憩の取り方といった土台を整えることも、ケガのリスクを下げるうえで欠かせません。今回紹介したサポーターやテーピング、インソールはいずれも体の動きを支えるための道具であり、痛みが続く場合は自己判断で済ませず医療機関を受診してください。自分の弱点になりやすい部位を確認し、できるところから取り入れてみてください。

出典

※数値は2026年8月14日時点で各公式ページ・統計資料に記載の値です。

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