登山の飲み物・水分補給|必要量の計算式と経口補水液の使い分け

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。

「登山 飲み物 おすすめ」「登山 水分補給」で調べている方の多くは、水さえ持てば大丈夫という段階はもう卒業していて、自分の体重と行動時間で、結局どれだけ飲めばいいのかを知りたいのではないでしょうか。

この記事では、体重と行動時間から必要な水分量を出す計算式と早見表からはじめ、水だけを大量に飲むとかえって危険な低ナトリウム血症(水中毒)の仕組み、スポーツドリンクと経口補水液のナトリウム量の違い、カフェインの扱い、ハイドレーションと保温ボトルの使い分け、下山後の疲労回復まで、山で実際に使える内容にまとめました。

先に計算式だけ確認したい方は必要な水分量の計算式へ進んでください。

この記事の結論
  • 必要量の目安は体重(kg)×行動時間(h)×5で出す脱水量の7〜10割
  • 一度に吸収できる水分は200〜250ml程度。1時間ごとに分けて飲む
  • 水だけをがぶ飲みすると低ナトリウム血症(水中毒)のリスクがある。塩分もセットで摂る
  • 行動中の基本はスポーツドリンク。経口補水液は大量発汗後や脱水気味のときの補給用
  • コーヒー・エナジードリンクは利尿作用があるため主たる水分にはしない

登山に必要な水分量の計算式|体重×行動時間×5

登山中の水分補給がなぜ重要なのかを示す風景

登山中に失われる水分(脱水量)は、次の計算式でおおよその見当をつけられます。

脱水量の計算式
脱水量(ml)= 体重(kg)× 行動時間(h)× 5
補給量の目安(ml)= 脱水量 × 0.7〜1.0

これは鹿屋体育大学の山本正嘉教授による登山の運動生理学の研究にもとづく計算式で、日本気象協会(tenki.jp)やYAMAP MAGAZINEなど登山ガイド監修のメディアでも広く紹介されています。体重60kgの人が5時間行動した場合、脱水量は「60×5×5=1,500ml」、補給の目安はその7〜10割で1,050〜1,500mlです。

体重・行動時間別の早見表

体重と行動時間の組み合わせで、脱水量と補給量の目安は次のようになります。

体重 行動時間3h 行動時間5h 行動時間8h
50kg 脱水750ml/補給525〜750ml 脱水1,250ml/補給875〜1,250ml 脱水2,000ml/補給1,400〜2,000ml
60kg 脱水900ml/補給630〜900ml 脱水1,500ml/補給1,050〜1,500ml 脱水2,400ml/補給1,680〜2,400ml
70kg 脱水1,050ml/補給735〜1,050ml 脱水1,750ml/補給1,225〜1,750ml 脱水2,800ml/補給1,960〜2,800ml

数字だけ見ると多く感じるかもしれませんが、水筒とハイドレーションを合わせて1.5〜2リットル前後を用意しておけば、多くの日帰り登山でこの目安に収まります。朝食でしっかり水分を摂れた日は、その分を差し引いて考えて構いません。

計算式の「行動時間」は、休憩をふくめて登山口を出発してから戻るまでの総時間で数えます。地図に載っているコースタイムは休憩を考慮していないことが多いため、当日の実際の行動時間で計算し直すと、より実態に近い数字になります。水は1リットルでおよそ1kgの重さがあるため、早見表の数字をすべて1本の水筒でまかなおうとすると、日帰りでも2kg近い荷物になることがあります。荷物を軽くしたいときは、行動中に飲み切る分だけを持ち、水場のあるルートなら現地で補給する方法もあわせて検討してください。

季節で係数は変わる|夏は多く、冬は少なく

係数の「5」は春秋の目安です。気温25℃を超えるような夏山では発汗量が増えるため係数を6〜8に、逆に汗をかきにくい冬は3〜4に見積もる、という調整のしかたが複数の登山メディアで紹介されています。同じ体重・行動時間でも、季節によって必要量は大きく変わると考えてください。冬山特有の注意点(水を凍らせない持ち方など)は冬の登山の水分補給にまとめています。

一度に飲めるのは200〜250ml|配分の仕方とタイミング

登山で水分補給をする量とタイミングの目安

のどが渇いてから一気に飲んでも、人間が一度に吸収できる水分量は200〜250ml程度が目安とされています。それ以上を一度に飲んでも、吸収されないまま尿として出ていくだけになりがちです。1時間ごとの小休憩で、持っている水を行動時間の残りで均等に割った分だけ飲む、という配分にすると、飲み過ぎと飲み忘れの両方を防げます。

日本スポーツ協会も、休憩は30分に1回以上とり、のどが渇く前にこまめに水分を摂ることをすすめています。行動を始めて1時間以内に最初の水分を摂り、あとは休憩のたびに100〜200mlを補給する、という飲み方が目安です。

水を飲みすぎるのも危険|低ナトリウム血症(水中毒)を知る

ここまで「必要な量を摂る」話をしてきましたが、登山の水分補給にはもう一つ、見落とされがちな注意点があります。水だけを大量に飲み続けると、かえって体調を崩すことがあるという事実です。医学的には低ナトリウム血症、俗に水中毒とも呼ばれます。

なぜ起こるのか|3つの原因

低ナトリウム血症は、運動中または運動後24時間以内に血液中のナトリウム濃度が下がった状態です。国際山岳医(DiMM)の資格を持つ市川智英医師による解説では、主な原因として次の3つが挙げられています。

  • 発汗量を上回る水分だけの摂取。汗で失った量より多くの真水を飲み続けると、体内のナトリウム濃度が薄まります
  • 発汗によるナトリウムの喪失。汗の塩分濃度はおよそ0.3%とされ、これが補われないまま出続けます
  • 抗利尿ホルモンの分泌異常。疲労やストレス、体温の上昇によって尿量が減り、余分な水分を排出しにくくなります

汗の塩分濃度が約0.3%、血液が約0.8%であるのに対し、一般的なスポーツドリンクは0.1〜0.2%です。つまりスポーツドリンクでさえ、汗そのものより塩分は薄いということになります。水だけを大量に飲めば、体内のナトリウムはさらに希釈される方向に働きます。

症状は軽いものから重いものへと進みます。初期は頭痛や吐き気、手足の軽いむくみ、ふらつきといった、脱水とも区別しにくいサインから始まります。ここで真水を飲み続けると、混乱や強い倦怠感、さらに進むとけいれんや意識障害に至ることもあります。「水を飲んでいるのに、かえって調子が悪化していく」というときほど、低ナトリウム血症を疑ってください。

実際に起きている事故

低ナトリウム血症は珍しい病気ではありません。海外の国立公園での調査では、2004年から2009年にかけて発生した熱関連の体調不良のうち19%が低ナトリウム血症だったという報告があります。日本国内の登山に限定した統計は見当たりませんでしたが、長時間にわたって水分を摂り続けるという行動そのものは国内の登山でも共通しており、構造的にリスクが高い活動だといえます。

脱水と低ナトリウム血症の見分け方

やっかいなのは、初期症状がよく似ていることです。頭痛や吐き気、だるさはどちらでも起こります。見分ける手がかりと、それぞれでやるべきことの違いを整理しました。

状態 起こりやすい状況 やること
脱水(水分不足) 暑い日、給水を我慢した、汗を大量にかいた 日陰で休み、塩分を含む水分を摂る
低ナトリウム血症(水分過多) 長時間、真水やお茶だけをこまめに飲み続けた それ以上の真水を飲むのをやめ、塩分を摂る。改善しなければ下山し医療機関へ

自分で判断がつかないときの共通した安全策は、水だけをこれ以上飲むのをやめて、塩分を含む飲み物や行動食に切り替えることです。意識がもうろうとする、けいれんが起きるなど症状が重い場合は、原因の見極めを待たずに下山し、医療機関を受診してください。

単独でないなら、同行者の様子にも目を配ってください。本人は喉の渇きしか感じていなくても、まわりから見ると顔色が悪い、受け答えが鈍いといった変化に気づけることがあります。パーティ全体で「今どれくらい飲んだか」をひと声かけあっておくと、水分の摂りすぎ・摂らなすぎのどちらにも早く気づけます。

経口補水液が必要な場面

経口補水液は、スポーツドリンクよりナトリウム濃度を高くした飲料です。大塚製薬の「OS-1」は公式サイトによると、ナトリウム115mg(食塩相当量0.292g、いずれも100mlあたり)。一般的なスポーツドリンクのアクエリアスが食塩相当量0.1g(ナトリウム換算約40mg、100mlあたり)であるのに比べ、濃度がはっきり高く設計されています。

行動中の日常的な水分・塩分補給はスポーツドリンクで足りますが、大量に汗をかいたあとや、脱水気味だと感じたとき、下山後にぐったりしているときは、経口補水液のほうが目的に合っています。粉末タイプなら軽く、必要なときだけ水に溶かして使えるので、ザックに常備しておくと安心です。

大塚製薬公式サイトによると、このOS-1パウダーは1袋15gを水500mLに溶かして使うタイプです。液体のボトルより軽量で、行動中はかさばらず、必要なときだけ使う「保険」として持ちやすいのが利点です。粉のまま持ち歩けるので、下山後の車の中や山小屋で溶かして飲む、という使い方もできます。

登山で飲む物を比較する|ナトリウム量と向く場面

登山で選ばれる飲み物の種類を比較する

「結局どれを持っていけばいいのか」を判断するために、行動中に選ばれることの多い飲み物を、ナトリウム量と向く場面で比較しました。

種類 ナトリウム量(100mlあたり) 糖質 向く場面
水(天然水) ほぼ含まない なし のどを潤す基本の水分。汗をあまりかいていないとき
麦茶 1mg(文部科学省 食品成分データベース) ほぼなし カフェインを避けたい、味を変えたい休憩時
スポーツドリンク 食塩相当量0.1g/ナトリウム換算約40mg(公式表示) 4.6g 行動中の日常的な水分・塩分補給の基本
経口補水液 115mg/食塩相当量0.292g(公式表示) 控えめ 大量発汗後、脱水気味のときの集中補給
ブラックコーヒー ほぼ含まない なし 気分転換・眠気覚まし。主たる水分にはしない
エナジードリンク 製品による あり ここぞという場面の短時間の集中。常用しない
果汁100%ジュース ほぼ含まない 多め 下山後の糖分・ビタミン補給

表からも分かるとおり、経口補水液はスポーツドリンクよりナトリウム量がはっきり多く設計されています。逆に麦茶やコーヒーはナトリウムをほとんど含まないため、行動中の主力にはせず、気分転換や水分の一部として使う位置づけになります。

基本になる水

まず土台になるのは、くせのない天然水です。ナトリウムなどの電解質は含みませんが、行動食や塩分タブレットと組み合わせれば、コストを抑えながら必要量を確保できます。ラベルレスタイプは行動中に出るゴミも小さくまとまります。


この「富士山の天然水」は、バナジウムを含む天然水のラベルレスタイプで、500ml×24本セット。1本あたりが軽量なので、日帰りなら2〜3本を目安にザックへ入れ、残りはハイドレーションや保温ボトルで補うという組み合わせが現実的です。

行動中の基本、スポーツドリンク

汗をかく行動中の日常的な水分・塩分補給には、市販のスポーツドリンクで十分なことがほとんどです。前述のとおりナトリウムと糖質をあわせて補給できるため、真水だけより低ナトリウム血症のリスクを抑えられます。


コカ・コーラ公式サイトによると、この「アクエリアス」はラベルレスタイプの500mlPET×24本。食塩相当量0.1g、炭水化物4.6g(いずれも100mlあたり)という成分バランスは、汗で失う水分・塩分・糖分をまとめて補える設計です。

アイソトニックとハイポトニック|スポーツドリンクにも種類がある

ひとくちにスポーツドリンクといっても、体液に近い濃度でつくられた「アイソトニック飲料」と、それより濃度を低くして吸収を早めた「ハイポトニック飲料」の2種類があります。アイソトニックタイプは汗で失った水分と塩分をバランスよく補える設計で、行動中の基本の1本として選びやすいタイプです。ハイポトニックタイプは吸収の速さを重視した設計で、大量に汗をかいて素早く水分を届けたい場面や、運動強度の高い区間で選ばれます。どちらのタイプでも、経口補水液ほどナトリウム濃度は高くないため、大量発汗後の集中補給には向かないという位置づけは変わりません。迷ったときは、定番のスポーツドリンクを1本選んでおけば大きく外すことはありません。

カフェインが苦手な人には麦茶

コーヒーやエナジードリンクのカフェインが苦手な人、子どもと一緒に登る人には、麦茶が選択肢になります。ナトリウムはほぼ含みませんが、カフェインが入っていない分、行動中いつでも安心して飲めます。


この「やかんの麦茶」はラベルレスの650mlPET×24本。麦茶はナトリウムをほとんど含みませんが、香ばしい味で水に飲み飽きたときの気分転換になり、カフェインを気にせず子どもにも持たせやすい飲み物です。

カフェイン入り飲料の扱い方|コーヒー・エナジードリンクは主役にしない

コーヒーやエナジードリンクには、集中力を高め眠気を抑える働きが期待できる一方で、カフェインには利尿作用があるという側面もあります。飲んだ分がそのまま体に水分として残るわけではない、と考えておくと安全です。行動中の主たる水分はスポーツドリンクや水で確保したうえで、コーヒーやエナジードリンクは「プラスアルファの楽しみ・集中力対策」として位置づけるのが現実的です。

コーヒー

休憩中のコーヒーは、香りでほっとひと息つけるだけでなく、カフェインによる覚醒効果で午後の行動に向けて頭を切り替える助けにもなります。ただし利尿作用がある分、コーヒーを飲んだ量は水分補給の計算には含めないでください。


この「ワンデイ ブラックコーヒー」は、ラベルレスの600ml×24本で無糖タイプ。糖分を気にせず、休憩中のひと口として持っていけます。

エナジードリンク

エナジードリンクはカフェインに加えて糖分も含み、短時間だけ元気を感じさせてくれます。ただし、その高揚感は「元気の前借り」に近く、効果が切れたあとに疲れを強く感じることも珍しくありません。ここぞという場面に絞って使い、行動中ずっと頼るものではないと考えてください。


この「モンスターエナジー」は355ml×24本セット。険しい登りの前や、下山口が見えてきた最後のひと踏ん張りなど、ここぞという場面用に1本だけザックに忍ばせておく、という使い方に向いています。

塩分の補給|飲み物だけに頼らない

ここまで見てきたとおり、行動中に失われるのは水分だけでなく塩分も同じです。日本スポーツ協会は、汗をかいたときの水分補給の目安として0.1〜0.2%の食塩水(水1リットルに対して塩1〜2g程度)を挙げており、市販飲料であればナトリウム量が100mlあたり40〜80mg程度のものが目安になるとしています。スポーツドリンク1本ぶんでは塩分が足りないと感じる長時間の行程や、暑さで発汗量が多い日は、塩分タブレットや塩飴を行動食と一緒に持つ方法も有効です。

飲み物を余分に持ちたくない、荷物を少しでも軽くしたいというときは、水と一緒に口に入れるだけのタブレットタイプが手軽です。かさばらず、ザックの隅に常備しておけるのも利点です。


この「塩分チャージタブレッツ」は、1粒あたり塩分0.1g(ナトリウム換算約40mg)のラムネ状タブレットで、81g×6袋入り。ポケットに入れておき、休憩ごとに数粒口にする、という使い方に向いています。塩分をこまめに補える一方で、水分そのものの代わりにはならない点は覚えておいてください。行動食全体の選び方は登山の行動食にまとめています。

汗で塩分が不足すると、脚がつる(こむら返り)症状が出ることもあります。原因の見分け方と山の上での対処法は登山で足がつる原因と対処法|熱中症のサインを見分けて予防する方法にまとめています。

持ち運び方で変わる飲み方|ハイドレーションと保温ボトル

登山用の水筒とハイドレーションの携行方法

何を飲むかだけでなく、どう持ち運ぶかによっても「こまめに飲めるかどうか」は変わります。歩きながら飲めるハイドレーションシステムと、温かい飲み物を持てる保温ボトルは、それぞれ役割が違います。

容量の目安をどう選ぶか

早見表で出した補給量の目安をもとに、水筒とハイドレーションの容量を決めます。日帰りで1〜1.5L程度なら500ml×2〜3本や1L台の水筒で足り、2L近くになる行程では、水筒とハイドレーションを併用して分散して持つと、重さが偏らず歩きやすくなります。すべて飲みきる前提ではなく、想定より汗をかいた場合の余裕も少し見込んでおくと安心です。

歩きながら飲む|ハイドレーションシステム

チューブをくわえるだけで、立ち止まらずに水分を摂れるのがハイドレーションシステムの利点です。ザックを下ろす手間がないぶん、こまめな補給を実際に続けやすくなります。


販売ページによると、このプラティパス「ビッグジップ EVO 1.5L」は重量約160g、容量1.5L。チューブの径を太くして流量を高めた改良モデルで、片手でつかめるグリップも付いています。歩きながら飲む習慣そのものを作りたい人に向いた容器です。自分にハイドレーションが必要かどうかの判断基準は登山のハイドレーションは必要?で詳しく解説しています。水筒全体の選び方は登山用水筒の選び方を参考にしてください。

温かい飲み物を|保温ボトル

山頂や休憩時に温かい飲み物を飲めると、体を内側から温められるだけでなく、気持ちの面でもひと息つけます。特に気温が下がる稜線や、汗冷えしやすい場面では、保温ボトルの価値が高くなります。

公式・販売ページによると、このサーモス「山専用ステンレスボトル750ml」は6時間後の保温効力78℃以上、保冷効力10℃以下、重量約360g。秋山や冬山での保温力を重視したモデルで、行動食にお湯を注いで食べたいときにも使えます。保温ボトルと普通の水筒の温度差は登山の保温ボトルの選び方で詳しく比較しています。水場での現地調達を考えているなら登山の浄水器も参考にしてください。

疲労回復の飲み物|下山後に何を飲むか

「登山疲労回復飲み物」という調べ方をする方が実際に多く、下山した直後に何を飲むかは、翌日以降の筋肉痛の残り方にも関わってきます。行動中とは目的が変わり、水分だけでなくタンパク質と糖質の補給が中心になります。

タンパク質と糖質を|プロテイン

登山は長時間の運動になるため、下山するころには体内のグリコーゲンが減った状態になっています。タンパク質と糖質をあわせて補給する考え方は日本気象協会の登山コラムでも紹介されており、下山後30〜60分以内を目安に摂ると良いとされています。


この「inゼリー プロテイン」は、たんぱく質15gを含むゼリー飲料で、150g×6個パック。ゼリータイプなので、下山直後で固形物をあまり食べたくないときでも喉を通りやすく、車の中や下山口ですぐに摂れる手軽さがあります。

ビタミンと糖分を|果汁100%ジュース

糖質の補給という意味では、果汁100%のジュースも選択肢になります。ビタミンもあわせて摂れるので、行動中というより下山後のごほうび・栄養補給として選ぶ人が多い飲み物です。


この「ミニッツメイド オレンジブレンド」は果汁100%の350mlPET×24本。下山後、車に積んでおいて疲れた体に一本、という使い方に向いています。プロテインの働きについては登山にプロテインのメリットでも詳しく解説しています。

初心者がやりがちな水分補給の失敗

ここまでの内容を踏まえて、登山の水分補給でよくある失敗を整理しておきます。当てはまるものがないか、次の山行の前に確認してみてください。

  • のどが渇いてから飲む。渇きを感じた時点で、すでに軽い脱水が始まっています。行動開始から1時間以内の最初の一口を忘れずに
  • 下山口に着くまで我慢する。トイレを気にして水分を控える人がいますが、これは脱水を早める方向に働きます。休憩のたびに少しずつ、が基本です
  • 水だけをがぶ飲みする。暑さで大量に汗をかいた日ほど真水だけを一気に飲みたくなりますが、塩分をともなわないと低ナトリウム血症に近づきます
  • 持参量を計算せず、なんとなく1本だけ持っていく。早見表で目安を出してから、水筒とハイドレーションの容量を合わせて決めると過不足が減ります
  • 下山後の水分・栄養補給を忘れる。行動中だけでなく、下山後のタンパク質・糖質補給まで含めて、その日の水分計画と考えてください

よくある質問

Q. 経口補水液は登山中ずっと飲んでもいいですか?

常用する飲み物ではありません。ナトリウム濃度が高く設計されているため、大量に汗をかいたあとや脱水気味と感じたときの集中補給に向いています。行動中の日常的な水分・塩分補給は、スポーツドリンクや水で足りることがほとんどです。

Q. 水しか持っていない場合はどうすればいいですか?

塩分タブレットや梅干し、塩気のある行動食を一緒に摂ることで、ある程度は補えます。ただし長時間・大量の発汗が見込まれる行程では、次回からスポーツドリンクや経口補水液も用意しておくほうが安全です。

Q. 塩分タブレットと経口補水液は両方持つ必要がありますか?

両方をフルセットで持つ必要はありません。日帰りの低山なら、スポーツドリンクと塩分タブレットの組み合わせで足りることがほとんどです。行動時間が長い、真夏で大量に汗をかく、標高が高いといった条件が重なる行程では、経口補水液も予備として1つ持っておくと安心です。

Q. スポーツドリンクを水で薄めて持っていくのは良い方法ですか?

荷物や糖分を減らす工夫として紹介されることはありますが、薄めるほどナトリウム濃度はさらに下がります。低ナトリウム血症の観点では、薄めた分だけ塩分タブレットなどで補うくらいの意識が必要です。薄めるなら、その分の塩分をどこかで補う前提で考えてください。

Q. アイソトニックとハイポトニック、登山にはどちらがいいですか?

行動中の基本にはアイソトニックタイプで十分です。ラベルにタイプ名が明記されていないことも多いため、迷ったら定番のスポーツドリンクを選べば大きく外すことはありません。運動強度が高い区間や大量に汗をかいたときだけ、吸収の速いタイプや経口補水液を使い分けると考えてください。

Q. 行動中に頭痛や吐き気がしたら、水を飲めば治りますか?

原因が脱水か低ナトリウム血症かによって、やるべきことが逆になります。長時間水だけを飲み続けていた心当たりがあるなら、それ以上の真水はやめて塩分を摂ってください。判断がつかない、症状が重い場合は、無理に行動を続けず下山を優先し、必要であれば医療機関を受診してください。登山後に起こる頭痛全般の原因は登山後の頭痛はなぜ起こる?にまとめています。

Q. 冬山でも同じ量の水分が必要ですか?

冬は汗をかきにくいため、計算式の係数は夏より低い3〜4程度が目安になります。ただし空気が乾燥している、厚着で汗をかいているのに気づきにくいという理由で脱水が進むこともあります。冬山特有の注意点は冬の登山の水分補給で詳しく解説しています。

Q. 計算式の行動時間には、休憩の時間も含めますか?

含めて計算してください。「行動時間」は、登山口を出発してから戻ってくるまでの総時間です。地図上のコースタイムは休憩を考慮していないことが多いので、当日の行程表や実際にかかった時間で計算し直すと、より実態に近い数字になります。

Q. カフェインの入った飲み物は登山中に避けたほうがいいですか?

完全に避ける必要はありません。利尿作用がある分、行動中の主たる水分としては数えず、水やスポーツドリンクと分けて考えることが大切です。集中力を保ちたい休憩のタイミングで、量を決めて楽しむ分には問題ありません。

Q. 下山後、疲れていて水分補給を忘れがちです。何を飲むといいですか?

水分に加えて、タンパク質と糖質を意識してください。プロテインドリンクやゼリー飲料、果汁ジュースなど、喉を通りやすいものから摂ると続けやすくなります。下山後30〜60分以内を目安にすると、翌日以降の回復にもつながります。

まとめ:登山での水分補給

登山での水分補給の考え方のまとめ

登山の水分補給は、「量」と「中身」の両方をあわせて考えることが大切です。この記事のポイントを振り返ります。

  • 必要量の目安は体重(kg)×行動時間(h)×5で出す脱水量の7〜10割。早見表を目安に、季節で係数を調整する
  • 一度に吸収できる水分は200〜250ml程度。1時間ごと・休憩のたびに分けて飲む
  • 水だけの大量摂取は低ナトリウム血症(水中毒)のリスクがある。塩分もセットで摂る
  • 行動中の基本はスポーツドリンク。経口補水液は大量発汗後や脱水気味のときの集中補給に使い分ける
  • コーヒー・エナジードリンクは利尿作用がある分プラスアルファとして楽しみ、下山後はタンパク質と糖質で疲労回復を後押しする

計算式と早見表で目安の量を決め、行動中はスポーツドリンクを軸に塩分を切らさない。この2つを押さえておくだけで、水にまつわるトラブルの多くは防げます。「量」と「中身」のどちらか一方だけに気を配っていても、片方が抜けていれば体調を崩す方向に働くという点は、この記事を通して繰り返し出てきた考え方です。次の山行の水分計画を立てるときに、この記事のポイントを見直してみてください。

出典

※数値は2026年8月14日時点で各公式・販売ページに記載の値です。

スポンサーリンク