登山に無線機は要るか|特定小電力・登録局・アマチュア無線の線引きと、免許なしでできる範囲

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登山用品の売り場や通販サイトを見ていると、手のひらに乗るくらいの小さな無線機が「アウトドア用」「レジャー用」といった名前で並んでいます。二人以上で歩くときに前後で連絡が取れたら便利そうだ、あるいは万一のときに助けを呼べるのではないか。そう考えて調べ始めた人が、最初にぶつかるのが「免許は要るのか」という問題です。

ここで検索すると、話が急にややこしくなります。「免許不要」と書いてあるページと、「登録が必要」と書いてあるページと、「資格を取らないと使えない」と書いてあるページが同時に出てくるからです。どれも間違いではありません。無線機は種類によって、必要な手続きがまったく違うからです。同じ「トランシーバー」という言葉でくくられているだけで、法律上は別の制度に属する機械が3種類あります。

この記事では、その3種類を電波法と関連法令の条文に沿って分けます。そのうえで、登山者がいちばん知りたいはずの「では遭難したときに使えるのか」という問いに、2026年8月30日時点で公的な資料から確認できたことだけを書きます。先に結論を言うと、この問いの答えは楽観的なものではありません。

なお、通信距離が何メートルか、何キロメートルかという数値は、この記事では書きません。調べた範囲では、総務省の原典に距離の記載を確認できず、二次的な解説ページどうしで数値が倍近く食い違っていたためです。距離は地形と障害物で変わるもので、単一の数値で示すこと自体が誤解のもとになります。

  • 登山で使う無線機が「特定小電力/デジタル簡易無線の登録局/アマチュア無線」の3段に分かれること、その根拠になる電波法の条番号
  • 特定小電力無線局が、なぜ無線局免許も無線従事者資格も要らないのか(電波法施行規則第6条第4項第2号)
  • 「登録局」は免許不要ではなく登録という手続きが要る制度であること(電波法第27条の21第1項)
  • アマチュア無線に必要な2枚の紙(無線従事者資格と無線局免許)と、第四級の操作範囲が政令でどう決められているか
  • 技適マークのない機器を国内で使えない理由と、買う前に確認する順番
  • 「無線機があれば遭難時に助けを呼べる」と言えない理由と、2026年8月30日時点で全国共通の山岳救助周波数が確認できていないこと
  • 遭難時の連絡手段の本線(携帯電話・ココヘリ・110番/119番)と、無線がその中でどの位置にあるか
  • 持っていくと決めたあとに、出発前に決めておく3つのこと

登山の無線機は「免許・登録の有無」で3段に分かれる

最初に用語をひとつ整理させてください。この記事で扱うのは電波を出す(送信する)機械です。山でNHKの気象通報やラジオ放送を聞くための受信機は、電波を出さないので制度がまったく違います。受信側の話は登山用ラジオで天気予報と気象通報を受ける方法にまとめてあるので、聞くための道具を探している人はそちらを見てください。以下は、あなたが電波を出す側に回る話です。

出発点になるのは電波法第4条です。ここには、無線局を開設しようとする者は原則として総務大臣の免許を受けなければならない、と書かれています(電波法第4条、e-Gov法令検索、2026年8月30日時点)。つまり日本では、電波を出す装置を勝手に置いて使うことは原則として認められていません。この「原則として」が効いてきます。

編集部の見立て:無線の話が分かりにくいのは、機種の話と制度の話が同じページで混ざるからです。先に制度の段を決めてしまえば、選べる機種はそこで自動的に絞られます。順番を逆にすると、買ってから手続きの重さに気づくことになります。

第4条には例外が置かれています。同条第1号には発射する電波が著しく微弱な無線局が、第2号以下には一定の条件を満たす小電力の無線局などが挙げられています(電波法第4条第1号・第2号、2026年8月30日時点)。街で売られている「免許不要」のトランシーバーは、この例外の枠に入るように作られた機械です。免許が要らないのは、機械の性能をあらかじめ法令の枠に収めてあるからであって、電波を出すこと自体が自由になったわけではありません。

そして例外の外側には、免許より軽い手続きである「登録」の制度と、資格を取ったうえで免許を受ける本格的な制度があります。これで3段が揃います。手続きが重くなるほど、法令上出せる電波の条件は緩くなっていく、という関係です。

この記事の立て方:これは道具(どの機種を買うか)の話ではなく、制度と手順(何が免許なしで使えて、何に手続きが要るか)の話です。だから記事のどこにも機種の推薦は出てきません。制度の段が決まったあとで、その段に対応する機種を探すのが正しい順番です。

3段を名前だけ先に挙げておきます。ひとつめが特定小電力無線局、いわゆる特定小電力トランシーバーです。ふたつめがデジタル簡易無線の登録局。みっつめがアマチュア無線です。この順に、必要な手続きが重くなります。

検索したときに話が噛み合わなくなる原因も、ここではっきりします。「免許不要」という言葉が、2通りの意味で使われているからです。ひとつは特定小電力のように手続きそのものが要らないという意味、もうひとつは登録局のように「免許ではないが登録という別の手続きが要る」という意味です。同じ4文字が、まったく違う状態を指しています。

だから「免許不要 トランシーバー 登山」で検索して出てきたページを並べて読むと、書いてあることが矛盾しているように見えます。矛盾ではなく、書き手が別の段の話をしているだけです。読むときは、そのページがどの段の話をしているのかを最初に見分けてから内容に入ってください。見分けの手がかりは、無線局の種別を表す言葉が出てくるかどうかです。

「トランシーバー」「無線機」「インカム」といった呼び名は法令用語ではありません。商品名としてどれも自由に使われているので、名前からは制度の段が判別できません。判別に使えるのは、商品ページや取扱説明書に書かれた無線局の種別(特定小電力無線局/簡易無線局など)と、技適マークの表示です。

単独で歩く人ほど、この話を先に整理しておく価値があります。相手がいない単独行では、無線機は「仲間と話す道具」としての用途が最初から消えるからです。単独行の連絡手段の考え方は単独登山で決めておくことと連絡手段の作り方で扱っています。誰と話すための機械なのかが決まらないうちは、どの段を選ぶかも決まりません。

編集部の見立て:無線機を検討している人の多くは、実は「連絡したい」と「万一に備えたい」というふたつの動機を混ぜています。この2つは必要な制度の段が違いますし、後者については無線が答えにならない場面が多いので、分けて考えたほうが早く結論に着きます。

特定小電力トランシーバー:手続きなしで使える範囲とできないこと

3段のうちいちばん手前にあるのが特定小電力無線局です。根拠は電波法施行規則第6条第4項第2号で、同規則が定める技術基準に適合する特定小電力無線局については、無線局の免許も無線従事者の資格も要らないという扱いになっています(電波法施行規則第6条第4項第2号、e-Gov法令検索、2026年8月30日時点)。買ってきて電池を入れれば、その日から使えます。

この「技術基準に適合する」という条件が、この制度のすべてです。使ってよい周波数の範囲も、出してよい電力の上限も、用途の区分ごとに総務省が定めています。市販の特定小電力トランシーバーは、その枠に収まるように設計され、後述する技適の手続きを通ったうえで売られている機械です。枠に収めてあるから手続きが要らないという理屈なので、枠を外れた瞬間に前提が崩れます。

出力を上げる改造、アンテナを交換して利得を上げる行為、海外向けの同種製品をそのまま国内で使う行為は、いずれも「技術基準に適合する機器」という前提を外します。前提が外れれば免許不要の根拠も外れます。安く強くしたいという動機がいちばん危険な方向に働く場所なので、機械には手を入れないでください。

では、どのくらい届くのか。ここが多くの人の知りたいところだと思いますが、この記事では数値を書きません。総務省の原典に通信距離の記載を確認できず、解説ページどうしで数値が食い違っていたためです。言えるのは、見通しが効く場所か、尾根や樹林や建物で遮られる場所かによって大きく変わる、という一般論までです。

編集部の見立て:距離の数値は、書けば読者に安心を与えられるぶん、いちばん責任の重い数字です。裏が取れていない数値を根拠に行程を組まれるくらいなら、「条件で変わるので機器の公表値を自分で見てほしい」と書くほうが誠実だと考えました。

実務的な確認方法はあります。購入を検討している機種のメーカー公式ページや取扱説明書には、そのメーカーが自社の条件で測った通信距離の目安が書かれていることがあります。数値を知りたいときは、そこに書かれた値を、測定条件つきで読むのが正しい読み方です。第三者の解説記事にある数値ではなく、その機種の公表値を見てください。

  • 商品ページに「特定小電力無線局」または「免許・資格不要」の記載があるか
  • 技適マークの表示があるか(本体・電池ぶた内側・取扱説明書のいずれか)
  • メーカー公式が通信距離の目安を書いているか、その測定条件は何か
  • 連絡したい相手の機械と、チャンネル・方式が合っているか(同じ制度の段でも互換性がないことがある)
  • 電池の種類(乾電池/専用充電池)と、行程の長さに対する持ち時間の考え方

もうひとつ注意したいのが、同じ「免許不要」の段に属していても、機械どうしが必ず通じるとは限らないことです。特定小電力には用途ごとの区分があり、区分が違えば使う周波数もチャンネルの並びも違います。売り場で隣に並んでいる2機種が、そのままでは会話できないことがあり得ます。

この確認は、実は難しくありません。同じメーカーの同じシリーズで揃えるか、機種ごとの説明書にある対応チャンネルの表を突き合わせるか、どちらかです。中古で買い足すときにここを飛ばすと、届かないのか設定が合っていないのかも分からないまま山で悩むことになります。通じない原因の切り分けは、山の上ではほぼ不可能だと考えて、家で済ませておいてください。

編集部の見立て:「免許不要だから買ってすぐ使える」は半分だけ正しい表現です。1台で完結する道具ではないので、揃えるまでが準備で、しかもその準備は相手のぶんも含みます。単独行で1台だけ買っても、電源を入れる相手がいません。

そして、特定小電力に期待してはいけないことがあります。この段の無線機は、あくまで自分たちのあいだで話すための機械です。公的な救助機関がこの帯を常時聞いているという案内は確認できていません。この点は記事の後半でもう一度扱います。

特定小電力トランシーバーには、中継器(レピーター)に対応した機種があります。中継の可否や設置の扱いは機種と用途区分によって異なるため、「中継を使えば必ず届く」と考えず、その機種の説明書で対応の有無を確かめてください。中継器そのものも、技術基準に適合した機器である必要があります。

デジタル簡易無線(登録局):免許不要ではなく「登録」が要る

2段めがデジタル簡易無線の登録局です。ここでいちばん誤解されやすいのが、「免許不要」という表現です。根拠になる電波法第27条の21第1項は、登録の手続きを受けたうえで無線局を開設できる制度を定めています(電波法第27条の21第1項、e-Gov法令検索、2026年8月30日時点)。つまり免許は要らないかわりに、登録という別の手続きが要ります。

販売ページの「免許不要」という言葉だけを見て、特定小電力と同じ感覚で買わないでください。特定小電力は手続きそのものが不要ですが、登録局は手続きの種類が免許から登録に変わっているだけです。登録をしないまま電波を出せば、制度の前提を満たしていないことになります。

制度の位置づけとしては、特定小電力より上、アマチュア無線より下です。特定小電力より出力の枠が広く取られており、より遠くまで届く設計の機械が使われます。ただし具体的な出力の上限を、この記事では書きません。総務省の説明文ページの本文で登録局制度全体の上限値を確認できなかったためです。出力の上限は、機種ごとの技適の中で定まっているという書き方までにとどめます。

編集部の見立て:登録局は、レジャーというより業務の現場で使われてきた制度です。登山で使うなら「山岳会やグループで共同購入して、行事のときにまとめて運用する」といった使い方のほうが手続きの重さに見合います。個人が単独で持つには、手続きと機材のわりに使う場面が少ないという印象です。

登録局を検討するときに、機種選びより先に確かめるべきことがあります。誰が登録の名義人になるのか、そして一緒に歩く相手の機械も同じ制度に乗っているのか、です。無線は片側だけ揃えても意味がありません。相手が特定小電力しか持っていなければ、こちらが登録局を用意しても通信は成立しません。

「同じ制度の段なら必ずつながる」とも限りません。デジタル方式では、チャンネル設定に加えて秘話やユーザーコードといった設定が一致していないと相手の音声を受けられない機種があります。グループで揃えるときは、設定値を紙に書いて全員で共有しておくのが確実です。

登録局を選ぶかどうかの分かれ目は、性能ではなく人数と頻度にあります。年に数回、少人数で歩くだけなら、手続きと機材の負担に対して電源を入れる時間が短すぎます。逆に、決まったメンバーで定期的に山行を組んでいて、隊列が長く伸びる行程が多いなら、負担を分担できるぶん見合う可能性が出てきます。

判断の材料として、負担が誰にかかるかも見ておいてください。登録は名義人の手続きであり、機材の管理も名義人側に残ります。グループで買うなら、管理する人を先に決めるのが順番です。ここが曖昧なまま台数だけ増やすと、次の山行で誰も持ってこないという形になります。

手続きの流れそのもの、たとえば申請書の様式や必要な期間については、この記事では手順を書きません。今回の調査範囲では総務省の説明ページ本文を確認できず、二次情報だけで手順を書くと読者を誤らせるおそれがあるためです。登録局を本気で検討する段階に来たら、総合通信局の窓口か、購入する販売店に手続きの現行の流れを確認してください。

編集部の見立て:制度の手順は、記事に書いた瞬間から古くなっていく情報です。条番号は変わりにくいので記事に残す価値がありますが、申請の流れは窓口に聞くのが結局いちばん早く、正確です。この記事が引き受けるのは「どの窓口の話なのかを特定するところまで」だと考えています。

アマチュア無線:無線従事者資格と無線局免許の2つが要る

3段めがアマチュア無線です。ここには2枚の紙が必要になります。1枚は人に対するもの、もう1枚は機械(無線局)に対するものです。両方が揃ってはじめて運用できます。

人に対する側の根拠が電波法第39条の13です。アマチュア無線局の無線設備の操作は、原則として無線従事者でなければ行うことができない、と定められています(電波法第39条の13、e-Gov法令検索、2026年8月30日時点)。そしてアマチュア無線技士の資格は、電波法第40条第1項第5号により第一級から第四級までの4区分に分かれています(同法第40条第1項第5号、2026年8月30日時点)。

編集部の見立て:アマチュア無線を「山でよく飛ぶ無線」として紹介する解説をよく見かけますが、飛ぶ理由の前に資格と免許の話が来ます。取れば使える制度なので不可能ではありませんが、次の山行に間に合わせる前提で検討する対象ではありません。

いちばん取得しやすい第四級については、操作できる範囲が政令に書かれています。電波法施行令第3条第2項および別表第五号によると、第四級アマチュア無線技士の操作範囲には、30MHzを超える周波数の電波を使用する空中線電力20W以下の無線設備の操作などが含まれます(電波法施行令第3条第2項・別表第五号、e-Gov法令検索、2026年8月30日時点)。資格の級によって、扱える電力と周波数の範囲が決まるという構造です。

もう1枚の紙が無線局の免許です。ここは冒頭の電波法第4条に戻ります。無線局を開設するには原則として総務大臣の免許が必要なので、資格を取っただけでは自分の無線機を運用できません。人の資格と局の免許は別物で、両方が要る。ここを混同したまま機器だけ買ってしまう例があるので、順番として先に押さえておいてください。

警視庁青梅警察署は登山者向けの案内の中で、携帯電話の携行に加えて「資格のある人はアマチュア無線機を携行」と書いています(警視庁青梅警察署 山岳遭難防止のページ、2026年8月30日確認)。公的な案内の側も、アマチュア無線を全登山者に薦めているのではなく、資格を持つ人に限定した書き方をしている点に注意してください。

この青梅警察署の書き方は、この記事の骨格そのものを示しています。政府広報など全国向けの案内では「携帯電話や無線機」と並べて書かれることがある一方、アマチュア無線については資格の有無で対象を絞る書き方になる。矛盾ではなく、無線の種類によって「誰でも使えるか」が変わることの表れです。

検討するときに見落とされやすいのが、時間の軸です。特定小電力は買ったその日から使えます。登録局は登録という手続きを挟むぶん、使えるようになるまでに日数が入ります。アマチュア無線は、資格の取得と局の開設という2段階を踏むので、さらに前に倒して考える必要があります。「次の連休に間に合うか」という問いの答えが、段によって違うということです。

つまり無線機の検討は、性能の比較であると同時に、いつから使いたいかの計画でもあります。今週末に必要なら選択肢は実質ひとつしかありませんし、来年の山行から本格的に使いたいのなら、いま資格の勉強を始めるという選択が現実味を持ちます。急いでいる人ほど、この時間軸を先に見たほうが迷いません。

アマチュア無線の運用に関する細かな決まり(呼び出しの作法、記録の扱い、使ってよい用途の範囲など)は、資格試験の学習範囲に含まれています。この記事はそこまで扱いませんが、資格を取る過程でその部分も一緒に身につく設計になっている、と理解しておいてください。制度を知らずに機械だけ持つ状態が、いちばん危ういということです。

技適マークのない機器は、なぜ国内で使えないのか

3段のどれを選ぶにしても、共通で効いてくるのが技適マークです。総務省は、技適マークのない機器については無線局の免許を受けられず、使用すると違法になるおそれがあるという趣旨の案内を出しています(総務省 報道資料、2026年8月30日確認)。免許不要の段でも、この話は無関係ではありません。

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理屈をたどると分かりやすくなります。特定小電力が免許不要なのは、機械が法令の技術基準に適合しているからでした。その適合を確認した証拠として機器に表示されるのが技適マークです。マークがない機器は、適合していることを確認できない機器ということになり、免許不要の根拠がそもそも成り立ちません。

編集部の見立て:技適の話は「マークが付いているか」というチェック項目に見えますが、実際には制度の入口そのものです。ここを飛ばした機械は、3段のどの段にも入れません。だから機種を比較する前に、候補から外すための最初のふるいとして使うのが合理的です。

問題が起きやすいのは、海外の通販サイトで安く売られている無線機です。見た目は国内で売られているものと変わらず、機能はむしろ多く、価格も安く見えます。しかし国内の技術基準に適合しているかどうかは別問題で、適合の確認が取れていない機器を国内で電波を出す用途に使うと、上記の総務省の案内が指す状態になります。

「日本語の説明書が付いていた」「国内の通販サイトで売られていた」ことは、技適の有無の証明になりません。確認するのは販売経路ではなく、機器そのものの表示と、メーカーが公表している型式です。表示が見つからない機器は、見つからないという事実をもって候補から外すのが安全です。

確認の手がかりは、機器本体の裏面や電池ぶたの内側、取扱説明書の仕様欄です。加えて、総務省の電波利用に関するポータルには、技術基準適合証明などを受けた機器を検索できる仕組みがあります。型番が分かっているなら、そこで照合するのが最も確実な方法です。

  • 候補の機器に技適マークの表示があるか(本体・電池ぶた内側・説明書の仕様欄)
  • 表示が画面表示型の機種なら、メニューから呼び出して確認できるか
  • メーカー名と正確な型番が分かるか(分からない機器は照合できない)
  • 総務省のポータルの機器検索で、その型番が見つかるか
  • 中古で買う場合、付属品や説明書が欠けていて型番の確認ができない状態になっていないか

中古やフリマアプリで買うときは、この確認がさらに重要になります。外箱も説明書も無い状態で本体だけが届くと、型番が読み取れないことがあり、そうなると照合の手段が消えます。写真の段階で本体の表示部分が写っていないなら、出品者に表示を撮ってもらうか、候補から外すかの二択です。

編集部の見立て:中古の無線機は、値段だけ見ると魅力的に見えます。ただ、確認できない機械を安く買うのは、確認の手間を将来の自分に押しつけているだけです。型番が読めない出品は、値段の問題ではなく情報の問題として見送るのが素直だと考えています。

技適の確認は、無線機だけの話ではありません。電波を出す機械全般に関わる制度なので、山で使う他の電子機器(衛星通信に対応した端末など)を海外から個人輸入するときにも同じ考え方が当てはまります。国内で電波を出すなら、国内の基準に適合していることの確認が要る、という一本の筋です。

3段を1枚に並べる:手続きの重さと、買う前に確認する順番

ここまでの3段を、手続きの側から並べ直します。読むべき順番は左から右ではなく、自分がどこまでの手続きを引き受けられるかから入って、その段でできることを確認する向きです。

無線の種類と、免許・登録の要否。左に無線の種類、右に使うために要る手続きを並べた対応表の図解。特定小電力=免許も登録も不要。ただし出力が小さい/デジタル簡易(登録局)=総務省への登録が要る。免許は不要/アマチュア無線=従事者免許と局免許の両方が要る/技適マーク無し=電波法の対象になる。国内では使わない。図の下部に「総務省 電波利用ホームページの記載による(2026年8月30日確認)」と注記。
無線の種類と、免許・登録の要否。左に無線の種類、右に使うために要る手続きを並べた対応表の図解。特定小電力=免許も登録も不要。ただし出力が小さい/デジタル簡易(登録局)=総務省への登録が要る。免許は不要/アマチュア無線=従事者免許と局免許の両方が要る/技適マーク無し=電波法の対象になる。国内では使わない。図の下部に「総務省 電波利用ホームページの記載による(2026年8月30日確認)」と注記。
種類 無線局の手続き 操作する人の資格 根拠 買う前に確認すること
特定小電力無線局 不要 不要 電波法施行規則第6条第4項第2号 技適マークの表示、相手の機械との互換性、電池の持ち方
デジタル簡易無線(登録局) 登録が必要 不要 電波法第27条の21第1項 登録の名義、グループ全員の機種と設定、窓口での現行手続き
アマチュア無線 無線局の免許が必要 無線従事者の資格が必要 電波法第4条、第39条の13、第40条第1項第5号 取得する級と操作範囲(第四級は施行令別表第五号)、開設の準備期間
技適マークのない機器 免許を受けられず、使用すると違法になるおそれ 総務省 報道資料 そもそも候補から外す

表にすると、3段の差が「性能」ではなく「引き受ける手続きの量」であることが見えてきます。性能の差は、その手続きの結果としてついてくるものです。先に性能を選ぶと、手続きが後から追いかけてくることになります。

編集部の見立て:この表を作っていていちばん強く感じたのは、いちばん下の行の存在感です。技適のない機器は3段のどこにも入れないので、比較表の中で「行が1本余る」形になります。買い物としてはここを最初に落とすのが、時間の節約という意味でもいちばん効きます。

もうひとつ、表に書けなかったことがあります。それは「どこまで届くか」です。距離の欄を作らなかったのは、埋められる数値が確認できなかったからです。距離の比較を期待してこの記事にたどり着いた方には申し訳ないのですが、比較表に空欄を作るより、欄そのものを立てないほうが誠実だと判断しました。

確認の順番:①誰と何のために連絡したいのかを決める → ②その用途に必要な段を決める(手続きの重さで判断する) → ③技適マークの有無で候補を絞る → ④相手側の機械と設定が揃うかを確認する → ⑤最後に機種を比べる。機種の比較は最後です。ここを最初にやると、手続きの都合で全部やり直しになります。

グループで使うときは、④の「相手側と揃うか」がいちばん時間を食います。人数分の機械を一度に揃えられないなら、まず2台で運用して使う場面があるかどうかを確かめてから増やすほうが、無駄が出にくい進め方です。

「無線機があれば遭難時に助けを呼べる」は本当か

ここからが、この記事でいちばん慎重に書かなければならない部分です。無線機を検討する動機として「万一のときに助けを呼べるように」という気持ちがあるのは自然なことですが、無線機を持つことが救助要請の手段になると公的に案内されているわけではありません

2026年8月30日時点で、消防庁の山岳救助に関する資料、日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)の登山計画に関する案内、政府広報オンラインの山岳遭難に関する記事のいずれにも、一般の登山者が救助を求めるために使う全国共通の周波数の案内は確認できませんでした。「無線機の電源を入れて特定の周波数に合わせれば救助機関が聞いている」という仕組みは、確認できていません。

唯一、地域限定の例として見つかったのが山梨県警の登山者向けページです。ここでは緊急連絡手段としてトランシーバー等の携行が案内され、26.976MHzについて11時00分から11時15分、16時00分から16時15分、20時00分から20時15分の各15分間を沈黙時間とする案内が載っています(山梨県警察 山岳遭難に関する注意のページ、2026年8月30日確認)。

編集部の見立て:この山梨県警の案内は、見つけたときに「これを全国の話として書けば読者は安心するだろうな」と思った情報です。だからこそ、書き方に一番気を使いました。全国向けの一次情報3系統に同じ案内が無い以上、これは山梨県内の案内として紹介する以外にありません。

この案内について、記事として断定できないことを明記しておきます。まず、これは山梨県内の案内であって全国共通の制度ではありません。次に、どの種類の無線機で運用することを想定した案内なのか、機種や制度の段に関する条件は、今回の確認範囲では本文から読み取れませんでした。「自分の山域でも同じことができる」とは読まないでください

消防庁の山岳救助に関する資料には、不感地帯対策として衛星携帯電話・トランシーバー・無線中継等が挙げられ、無線機の故障や電池切れに備えて予備の無線機を携帯する事例が示されています(消防庁 検討会資料、2026年8月30日確認)。ただしこれは救助する側の体制についての記述であって、遭難者が無線で救助機関を呼べることを示すものではありません。

もうひとつ、危うい期待の形があります。「誰かが聞いているかもしれないから、とりあえず呼びかけてみよう」という考え方です。運が良ければ誰かが応答するかもしれませんが、それは制度として用意された仕組みではなく、偶然に頼ることになります。偶然を前提に行程を組むことはできません。持つかどうかの判断は、偶然を計算に入れずに行ってください。

「無線機を持っているから、少し無理な行程でも大丈夫」という考え方が、この記事でいちばん避けたい結論です。通信手段を増やしても、歩ける距離も日没の時刻も変わりません。装備が増えたことで行程を伸ばすなら、増やさないほうが安全だったということになります。

では無線機に意味がないのかというと、そうではありません。パーティ内で連絡が取れることには価値があります。先行と後続が離れたとき、一人が動けなくなって他のメンバーが下山して通報に向かうとき、その間の連絡手段になり得ます。ただしそれは「仲間との連絡」であって「救助要請」ではないという区別を、持つ前に自分の中で立てておいてください。

実際に電波が届いた場合の交信の作法については、公的な案内があります。栃木県警は登山者向けに、電波がつながる場所を見つけても動かないこと、交信を救助要請に限定すること、GPSがあれば緯度経度を伝えることを案内しており、山岳地帯では数メートルの移動で交信不能になる場合があると注意しています(栃木県警察 山岳遭難に関する案内、2026年8月30日確認)。

編集部の見立て:この「つながったら動かない」という一行は、無線に限らず携帯電話でも同じです。つながった場所が唯一の窓であることが多いので、通話しながら歩いて探し続けると、せっかく開いた窓を自分で閉じることになります。

救助要請そのものの伝え方、つまり何を最初に言うか、どの情報を先に渡すかについては山で110番・119番するときに伝える内容と順番にまとめてあります。無線であれ携帯電話であれ、伝える中身は共通なので、通信手段を検討する段階で一度読んでおくと、当日の判断が速くなります。

遭難時の連絡手段の本線は、携帯電話とココヘリと110番・119番

前の節の裏返しとして、では本線は何か、という話をします。政府広報オンラインは山岳遭難に関する案内の中で、通報先を110番・119番とし、携帯電話や無線機は予備バッテリーとともに携行するよう案内しています(政府広報オンライン、2026年8月30日確認)。通報先として明記されているのは110番と119番であり、無線機は携行する装備のひとつという位置づけです。

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優先順位の考え方:①携帯電話で110番・119番(通報先として公的に案内されている唯一の窓口)、②携帯電話が使えない事態に備えた仕組み(ココヘリなどの捜索支援サービス、登山計画書の提出)、③パーティ内の連絡手段としての無線機。無線は③であって①ではありません。この順番を入れ替えないでください。

ただし携帯電話も万能ではありません。警視庁青梅警察署は、携帯電話の携行を案内する一方で、不感地帯が多く全面的な信頼は禁物であるとも書いています(警視庁青梅警察署、2026年8月30日確認)。つまり本線であっても、届かない前提の備えが要るということです。

編集部の見立て:ここは無線機を検討する人がいちばん誤解しやすい分岐だと思います。「携帯が届かないから無線を持つ」という発想は自然ですが、無線が届く保証も同じようにありません。届かない前提で組むなら、通信そのものに頼らない仕組みを1本持つほうが確実です。

圏外での備え、つまりオフライン地図や位置の記録の作り方については山で電波が入らないときの地図とスマホの備え方に分けて書いています。自分の現在地を正確に言えるかどうかは、どの通信手段を使うかとは独立した準備です。

通信に頼らない仕組みとして代表的なのが、電波の届かない場所でも位置を発信できる会員制の捜索支援サービスです。仕組みと費用感、加入前に確認することはココヘリの仕組みと加入前に確認しておくことにまとめてあります。無線機を買うかどうか迷っている段階なら、こちらを先に検討したほうが、遭難時の備えという目的には直接的です。

ココヘリのような捜索支援サービスも、加入すれば助かるという性質のものではありません。捜索の手がかりを増やす仕組みであって、通報や救助の依頼を代わりにやってくれるものではないという理解が必要です。加入していることを理由に行程を伸ばす、という使い方は本末転倒になります。

予備の電源についても、位置づけを整理しておきます。政府広報オンラインが携帯電話や無線機を予備バッテリーとともに携行するよう案内しているのは、電池が切れれば通信手段はゼロになるからです。逆に言えば、予備電源は無線機を買うより先に効く投資です。持っている携帯電話を最後まで生かすほうが、新しい通信手段を1本増やすより確実です。

寒い時期や連泊の行程では、この差がさらに開きます。無線機を検討している段階なら、まず自分の携帯電話が今の行程で何時間もつのかを一度測ってみてください。そこで足りていないなら、答えは無線機ではなく電源です。順番を守ると、買い物の総額はむしろ下がります。

そしてもう1本、通信手段の話より前に置くべきものがあります。登山計画書です。JMSCAは入山前の確認項目に「緊急時の連絡手段」を掲げ、登山計画書の携行を案内しています(日本山岳・スポーツクライミング協会、2026年8月30日確認)。誰かが「帰ってこない」と気づける状態を作っておくことは、どんな無線機よりも先に効きます。書き方は登山計画書の書き方と提出先の選び方にまとめました。

JMSCAの入山前確認項目に「緊急時の連絡手段」という欄があること自体が、この記事の位置づけを示しています。連絡手段は計画の一部であって、単体で完結する装備ではありません。何を持つかと同時に、誰に何時までに連絡するか、連絡がなければ誰がどう動くかまで決めて、はじめて欄が埋まります。

編集部の見立て:無線機を検討している人に、いちばん費用対効果の高い順番を挙げるなら、①登山計画書を出す、②携帯電話の予備電源、③捜索支援サービス、④無線機、の順です。④まで来る人は多くないと思いますが、それは無線が悪いということではなく、他の3つが安すぎるほど効くということです。

持っていくと決めたあとの現実と、出発前に決める3つのこと

ここまで読んだうえで、それでもパーティ内の連絡手段として無線機を持つと決めた人向けに、装備としての現実的な扱いを整理します。ここでも機種の話はしません。運用の話です。

まず電池です。政府広報オンラインは、携帯電話や無線機を予備バッテリーとともに携行するよう案内しています(政府広報オンライン、2026年8月30日確認)。また消防庁の資料には、救助側の事例として、無線機の故障や電池切れに備えて予備の無線機を携帯する例が示されています(消防庁 検討会資料、2026年8月30日確認)。公的な案内の側が、電池切れを前提に置いているという点は押さえておくべきです。

寒い時期は、電池の持ちが読みにくくなります。カタログ上の連続使用時間は常温での値であることが多く、行程の後半で急に残量が落ちる形になりがちです。「表示が残っているから大丈夫」ではなく、あらかじめ交換用を持って、行動中は電源を入れっぱなしにしない運用にしておくほうが安全側です。

電子装備が増えるほど、電池の管理は行程の一部になります。時計・スマートフォン・ヘッドランプ・無線機と、それぞれ別の電池で動く道具を持つことになるからです。この観点でどこまで機能を持つべきかは登山の腕時計はGPSウォッチでなくていいでも扱っています。電池の口を増やすかどうかは、機能の魅力とは別に判断すべき問題です。

編集部の見立て:無線機を1台増やすということは、充電する対象を1つ増やし、出発前の点検項目を1つ増やすということです。使う場面が具体的に思い浮かばないなら、点検項目だけが増えて中身が伴わない装備になります。買う前に「今年の山行のどの場面で電源を入れるか」を1つ挙げてみてください。

次に、使う場面です。無線が意味を持つのは、相手がいて、相手も機械を持っていて、電源が入っていて、同じ設定になっている場面に限られます。この4つのうちどれかが欠けると、機械は荷物になります。とくに「電源が入っている」は難しい条件で、電池を節約するために切っていると、必要なときに連絡がつきません。

  • 誰と誰が持つか、何台をどう配置するか(先頭と最後尾、など)が決まっているか
  • 電源を入れる時間帯またはタイミングを、出発前に取り決めてあるか
  • チャンネルや設定値を、全員が紙かメモアプリで持っているか
  • 予備の電池または充電手段を、誰が何個持つか決めてあるか
  • 無線がつながらなかった場合に、どこで合流するかを先に決めてあるか

最後の項目がいちばん大事です。無線がある前提で行程を組むと、無線が使えなかったときに全体が崩れます。無線が無くても成立する計画に、無線を足すという順番にしてください。これは無線に限らず、あらゆる通信手段に共通する組み方です。

編集部の見立て:合流点をあらかじめ決めておくのは、無線を持たないパーティが昔からやってきた方法です。新しい道具が入ったときに、古い方法をやめてしまうのがいちばん危ない。道具は方法を置き換えるのではなく、方法の上に乗せるものだと考えています。

話し方についても、決めておくと運用が楽になります。栃木県警は交信を救助要請に限定するよう案内していますが、これは緊急時の話です。ふだんの連絡でも、伝える内容をあらかじめ型にしておくと、聞き取りにくい状況で誤解が起きにくくなります。誰から誰へ、いまどこにいて、次にどうするか。この3つだけで足ります。

逆に、雑談で電源を使い切ってしまう運用は避けたいところです。電池は有限で、必要になる場面は行程の後半に来ることが多いからです。通信の量ではなく、通信できる状態が残っていることに価値があります。使わない時間帯を決めておくのは、我慢ではなく設計です。

編集部の見立て:無線機を持ったパーティが最初にやりがちなのが、うれしくて話し続けてしまうことです。それ自体は楽しみのうちですが、行程が長い日は、あらかじめ「使うのはこの区間だけ」と決めておいたほうが、道具としては長持ちします。

ここまでを、出発前に決める3つの動作にまとめます。順番に意味があるので、上から順にやってください。

  1. 自分が引き受けられる手続きの段を決める(手続き不要の特定小電力/登録が要るデジタル簡易無線の登録局/資格と局免許が要るアマチュア無線)
  2. 候補の機器に技適マークの表示があるかを確認し、無い機器を候補から外す(型番が分かれば総務省のポータルの機器検索で照合する)
  3. 無線が使えなかった場合の合流点と時刻を先に決め、そのうえで登山計画書に緊急時の連絡手段として書き込む

この記事の結論:登山の無線機は、機種を比べる前に「免許・登録・技適」の3点で候補が決まります。そして無線は、遭難時の救助要請の手段として公的に案内されているものではありません。本線は携帯電話での110番・119番であり、圏外への備えとしてはココヘリのような捜索支援サービスと登山計画書が先に来ます。無線はパーティ内の連絡手段として、その上に乗せるものです。

編集部の見立て:この記事を書き始めた時点では、「山では見通しが効くから特定小電力でも意外に届く」という趣旨のことを書くつもりでいました。しかし公的機関やメーカー公式が登山の条件でそう明言している資料を見つけられなかったので、その話ごと落としました。落とした理由をここに書いておきます。

最後にもう一度だけ。規制や制度の内容は変わります。この記事に書いた条番号は2026年8月30日時点で確認したものですが、手続きの流れや窓口の運用は、条文が変わらなくても更新されることがあります。実際に手続きに進むときは、総務省の電波利用に関する案内と、管轄の総合通信局の窓口で、その時点の内容を自分で確かめてください。

この記事は、無線機を買わない判断を後押しするために書いたものでもあります。3段のどれを選んでも手続きと運用の負担が発生し、それに見合う使う場面が思い浮かばないなら、買わないことが正しい結論になります。装備を増やさない判断も、準備のうちです。

よくある質問

Q. 免許不要のトランシーバーなら、山でどこでも自由に使ってよいのですか

電波法上の手続きという意味では、技術基準に適合した特定小電力無線局であれば無線局の免許も無線従事者の資格も不要です(電波法施行規則第6条第4項第2号、2026年8月30日時点)。ただし手続き以外の制約は別にあります。国立公園や自然公園の一部区域、山小屋やテント場では、施設側や管理者側の利用ルールが定められていることがあります。手続きが要らないことと、どこでも自由に使えることは別の話です。現地の掲示や管理団体の案内に従ってください。

Q. デジタル簡易無線は「免許不要」と書かれていましたが、本当に何もしなくてよいのですか

いいえ。デジタル簡易無線の登録局は、電波法第27条の21第1項に基づく登録という手続きを受ける制度です(2026年8月30日時点)。免許が不要というだけで、手続きそのものは必要です。販売ページの「免許不要」という表現は、特定小電力のような完全な手続き不要とは意味が違います。購入前に、登録の名義を誰にするか、手続きの現行の流れがどうなっているかを、販売店または総合通信局に確認してください。

Q. 遭難したときに、無線機で救助を呼ぶことはできますか

2026年8月30日時点で、一般の登山者が救助を求めるために使う全国共通の周波数は、消防庁の資料、JMSCAの案内、政府広報オンラインのいずれにも確認できていません。政府広報オンラインが通報先として案内しているのは110番と119番で、携帯電話や無線機は予備バッテリーとともに携行する装備として書かれています。無線は電波が届けば連絡の手段になり得ますが、確実な救助要請の手段として公的に案内されているわけではありません。本線は携帯電話での通報と、圏外に備えた仕組みです。

Q. 山梨県警のページにあった26.976MHzは、どの山でも使えますか

山梨県警察の登山者向けページには、緊急連絡手段としてトランシーバー等の携行と、26.976MHzについて11時00分から11時15分、16時00分から16時15分、20時00分から20時15分の各15分間を沈黙時間とする案内が載っています(2026年8月30日確認)。ただしこれは山梨県内の案内であって、全国共通の制度ではありません。どの種類の無線機を前提とした案内なのかについても、今回の確認範囲では本文から読み取れませんでした。他の山域で同じ運用ができると考えないでください。

Q. 海外の通販で買った無線機を、日本の山で使ってもよいですか

技適マークのない機器については、総務省が、無線局の免許を受けられず使用すると違法になるおそれがあるという趣旨の案内を出しています(2026年8月30日確認)。免許不要の特定小電力であっても、免許が不要な根拠は「法令の技術基準に適合していること」なので、適合の確認が取れていない機器はその根拠を満たしません。国内の通販サイトで売られていたことや日本語の説明書が付いていたことは、技適の有無の証明にはなりません。型番が分かるなら、総務省のポータルの機器検索で照合してください。

Q. アマチュア無線の資格を取れば、山で強い電波を出せますか

資格の級によって扱える範囲が決まります。電波法第40条第1項第5号によりアマチュア無線技士は第一級から第四級の4区分で、第四級の操作範囲には、電波法施行令第3条第2項および別表第五号により、30MHzを超える周波数の電波を使用する空中線電力20W以下の無線設備の操作などが含まれます(2026年8月30日時点)。加えて、資格を取っただけでは運用できません。電波法第4条により無線局の開設には原則として総務大臣の免許が必要なので、人の資格と局の免許の2つが揃ってはじめて運用できます。

出典

  • 電波法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000131_20240401_504AC0100000052 (2026年8月30日確認/第4条・第39条の13・第40条第1項第5号)
  • 電波法(e-Gov法令検索・登録局) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000131/20260708 (2026年8月30日確認/第27条の21第1項)
  • 電波法施行規則(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/325M50080000014 (2026年8月30日確認/第6条第4項第2号)
  • 電波法施行令(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/413CO0000000245/20230401_505CO0000000045 (2026年8月30日確認/第3条第2項・別表第五号)
  • 総務省 報道資料(技術基準適合証明等のない無線設備の使用について) https://200.180.31.150.static.iijgio.jp/menu_news/s-news/01kiban17_02000059.html (2026年8月30日確認)
  • 政府広報オンライン「山に登る前に。安全で楽しい登山のために」 https://www.gov-online.go.jp/article/201407/entry-9829.html (2026年8月30日確認)
  • 栃木県警察 山岳遭難に関する案内 https://www.pref.tochigi.lg.jp/keisatu/n15/info/tozan-sounan.html (2026年8月30日確認)
  • 警視庁青梅警察署 山岳遭難防止に関する案内 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/shokai/ichiran/kankatsu/ome/about_ps/sangaku.html (2026年8月30日確認)
  • 消防庁 山岳救助に関する検討会資料 https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/kento175_26_shiryo-1.pdf (2026年8月30日確認)
  • 日本山岳・スポーツクライミング協会 入山前の確認 https://www.jma-sangaku.or.jp/sangaku/plan/confirm/ (2026年8月30日確認)
  • 日本山岳・スポーツクライミング協会 登山計画 https://www.jma-sangaku.or.jp/sangaku/plan/ (2026年8月30日確認)
  • 山梨県警察 山岳遭難に関する注意 https://www.pref.yamanashi.jp/police/p_tiiki/sangaku/chui.html (2026年8月30日確認)

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