登山にラジオは要るか|2026年のNHK再編とワイドFM、電池で動く意味

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登山用品の話として「ラジオ」が出てくるとき、たいてい理由は二つに集約されます。ひとつは気象情報が取れること、もうひとつは電池で動くことです。ところがこの二つは、性質がまるで違います。前者は「情報の中身」の話で、後者は「装備が動き続けるか」の話です。同じ道具の中で混ざったまま語られるので、必要かどうかの結論も人によってばらばらになります。

そこでこの記事は、いったん「情報源としてどちらが優秀か」という比べ方をやめます。スマートフォンとラジオは、勝ち負けを決める関係ではありません。スマホが使えなくなる条件を先に並べて、そのうちラジオが埋められるのはどれかを切り分ける。この順番でしか、荷物に入れるかどうかは決まりません。

もうひとつ、2026年の登山記事として外せない事情があります。NHKのラジオは2026年3月に大きな再編があり、それまで「ラジオを持つ理由」の筆頭に挙げられてきた番組の放送波と時間帯が変わりました。この点を古いまま書いている解説が今も残っています。あとで詳しく扱いますが、結論だけ先に言えば放送時刻を記事の数字で覚えないでください

なお、この記事では機種の紹介はしません。ここで決めるのは「持つかどうか」と「どの電源で動かすか」までです。そこから先の型番選びは、その二つが決まったあとの作業になります。道具を増やす前に、判断のほうを終わらせます。

  • ラジオを「情報源」ではなく「電源と経路の冗長化」として位置づける考え方と、その式
  • スマホが使えなくなる3つの条件(圏外・電池切れ・輻輳)と、そのうちラジオが埋められるもの・埋められないもの
  • 放送と通信の違い、そしてこの記事が扱うのが受信機だけで、送信機(アマチュア無線など)は別の話であること
  • NHKラジオ第2の終了(2026年3月29日)と2波体制への再編、「気象通報」の時刻を本記事に書かない理由と、当日確認の手順
  • 気象庁の警報・注意報・噴火速報がラジオでどう届くか、逆にラジオでは届かない情報は何か
  • ワイドFM(FM補完放送)の総務省公式の説明と、受信に必要な周波数帯(2026年8月29日確認)
  • 乾電池・充電池の低温特性についてメーカー公式が書いている範囲と、電池をそろえる考え方
  • 熊よけとしての扱い——環境省の記載はどこまでで、何を書けないのか
  • 行程タイプ別に「持つ/持たない」を決める判断表と、今日やること3手順

結論:ラジオは「情報源」ではなく、電源と経路の冗長化

先に結論を置きます。登山でラジオが役に立つのは、ラジオが優れた情報源だからではありません。スマートフォンとは別の電源で、別の経路から情報が届くからです。中身の豊かさで比べればスマートフォンが上回ります。地図も、雨雲の動きも、登山口の当日情報も、画面で見られます。ラジオにできるのは、音声で流れてくるものを受け取ることだけです。

それでもラジオが装備リストに残ってきたのは、スマートフォンが動かなくなる場面があるからです。電池が尽きる、電波が届かない、回線が混む。このいずれかが起きた瞬間、機能の豊かさは意味を失います。動かない高機能より、動く単機能のほうが強い、という単純な話です。

編集部の見立て:「ラジオとスマホ、どっちがいいか」という問いの立て方をしている限り、答えは出ません。比べる相手が違います。ラジオが比べられるべきなのは、モバイルバッテリーや紙地図と同じ列、つまり「主役が止まったときに残るもの」の列です。

この位置づけを一本の式にすると、次のようになります。難しい計算ではありませんが、判断の順番が固定されるので、迷ったときに戻ってこられます。

持つ理由の式:①その行程でスマートフォンが使えなくなる条件が立つか(圏外・電池切れ・輻輳のどれか)、②その条件が立ったときに受け取れないと困る情報があるか、③その情報がラジオの経路(放送)で流れてくるものか。この三つが同時に成り立つときだけ、ラジオは荷物に入れる価値があります。ひとつでも欠けたら、重さと引き換えにするものが残りません。

式の三段目が大事です。ラジオで流れてくるのは放送されている情報だけです。行き先の登山道の通行止め、林道のゲート、山小屋の営業状況——こうした「点」の情報は、原則としてラジオからは流れてきません。逆に、広い範囲を巻き込む気象や災害の情報は、放送に乗ります。ラジオが埋められるのは面の情報であって、点の情報ではない、と覚えておくと迷いません。

「冗長化」という言葉は、同じ役割のものを二重に持っておく、という意味です。登山ではすでに当たり前に使われています。ヘッドランプの予備電池、紙地図とアプリ、行動食の余り。ラジオはその列に加わるかどうかを検討する対象であって、主役の座を争う相手ではありません。予備電池と同じ棚に置くと、扱いがはっきりします。

もうひとつ、あらかじめ線を引いておきます。この記事が扱うのは放送を聞く受信機だけです。アマチュア無線機や業務用のトランシーバーのように、電波を出す機器(送信機)は制度がまったく別で、原則として免許や資格が関わります。「山では無線が使える」という話を見かけたら、それが受信の話か送信の話かを必ず読み分けてください。この記事は受信の側だけを扱います。

受信機と送信機を同じ「無線」という言葉でまとめないでください。ラジオ受信機は放送を受け取るだけの機器ですが、電波を送り出す機器には免許制度が関わります。「ラジオを持っていけば連絡が取れる」という理解は誤りです。ラジオでは助けを呼べません。呼ぶ手段の話は、通信の側で別に用意する必要があります。

スマホが使えなくなる3つの条件——圏外・電池切れ・輻輳

ここが記事の土台です。ラジオの話をする前に、スマートフォンが止まる場面を具体化します。止まり方が違えば、必要になる備えも違うからです。大きく三つに分けられます。

ひとつめは圏外です。基地局の電波が届かない場所では、通話もデータ通信も成立しません。山では谷筋、樹林帯の中、稜線の風下側などで起こります。auは公式サイトに「携帯電話がご利用いただける登山道」というページを設けており、日本百名山の登山道やスポットの単位で通信の可否を事前に確認できます(2026年8月29日確認)。ただしこれは掲載された登山道・スポットについての個別確認ページであって、全国の不感地帯を網羅した一覧ではありません。載っていない山域については、別途調べる必要があります。

ふたつめは電池切れです。地図アプリを動かし、画面を点け、圏外で基地局を探し続けると、電池は平地より速く減ります。寒い時期はさらに条件が悪くなります。行動中はポケットの中で温める、機内モードを併用する、といった運用でしのぐことになりますが、それでも一日を越える行程では予備電源の話が避けられません。ここは電源計画そのものの領域で、あとの節でまとめて扱います。

編集部の見立て:圏外と電池切れは、起きる確率も対処法もまるで違うのに、まとめて「スマホが使えない」と語られがちです。圏外は場所の問題なので事前に調べれば予測できます。電池切れは運用の問題なので、持ち物と使い方で削れます。予測できるものと削れるものを分けて考えると、ラジオを持つ必要があるかどうかも見えてきます。

みっつめは輻輳(ふくそう)です。消防庁は、災害時に電話が集中する状態を「ふくそう」と説明し、一般の電話を通信制御することで重要な通信を確保する仕組みがあると案内しています(2026年8月29日確認)。あわせて、災害時はラジオやテレビからの情報に注意し、緊急通話以外の電話を控えるよう呼びかけています。つまり、災害の直後は回線が生きていても自分の電話がつながらないことが制度として起こりうる、ということです。

消防庁は、長期の停電時には携帯電話・インターネット・テレビが使えなくなり、情報が得られなくなる場合があると説明し、備えの例として防災ラジオ等を挙げています(2026年8月29日確認)。これは山の話ではなく生活の話ですが、下山後や避難先で同じ状況に置かれる可能性は、登山者にもあります。

この三つに加えて、山では「使いたいのに手が出せない」場面もあります。雷が近いときに稜線で立ち止まって画面を見るのは、避けたい行動です。登山中の落雷を避ける判断と行動の順番で扱っているとおり、危険が高まっている瞬間ほど、情報を取りにいく余裕はなくなります。情報は危なくなる前に取るのが原則で、これはラジオでもスマートフォンでも変わりません。

では、この三つのうちラジオが埋められるのはどれでしょうか。先に整理しておきます。

条件 何が起きるか ラジオで埋まるか 埋まらない部分 別に要る備え
圏外 通話・データ通信が成立しない。地図アプリのオンライン読み込みも止まる 条件つきで埋まる。放送波が届く場所なら受信できる 発信・救助要請はできない。行き先の登山道単位の情報も流れてこない 地図の事前ダウンロード、紙地図、行程の共有
電池切れ 端末そのものが停止。地図も時計もカメラも同時に失われる 埋まる。ラジオは別の電池で独立して動く スマホの中の地図・記録は戻らない。ラジオは地図の代わりにならない モバイルバッテリー、予備電池、紙地図
輻輳 回線が生きていても自分の通話・通信が通りにくくなる 受信側は埋まる。放送は混雑の影響を受けない こちらから連絡はできない。安否連絡の代わりにはならない 災害用伝言サービス、家族との事前の取り決め
使えない状況 雷・強風・雨で端末を出せない、手がかじかんで操作できない 部分的。音声なので操作せずに聞き続けられる そもそも取り出せない場所に入れていれば同じこと 危険が高まる前に情報を取る行程管理
ラジオが埋められるのは、どの穴か。左にスマホが使えなくなる条件、右にラジオで埋まるかを並べた対応表の図解。圏外=埋まる。放送は電波が届けば受信でき、通信の可否とは別/電池切れ=埋まる。乾電池式ならスマホとは別の電源で動く/ふくそう(電話の集中)=埋まる。消防庁は災害時にラジオ・テレビの情報に注意するよう案内/現在地が分からない=埋まらない。地図とコンパス、GPSの仕事。図の下部に「ラジオは情報源というより、電源と経路の冗長化。機種の話はここでしない」と注記。
ラジオが埋められるのは、どの穴か。左にスマホが使えなくなる条件、右にラジオで埋まるかを並べた対応表の図解。圏外=埋まる。放送は電波が届けば受信でき、通信の可否とは別/電池切れ=埋まる。乾電池式ならスマホとは別の電源で動く/ふくそう(電話の集中)=埋まる。消防庁は災害時にラジオ・テレビの情報に注意するよう案内/現在地が分からない=埋まらない。地図とコンパス、GPSの仕事。図の下部に「ラジオは情報源というより、電源と経路の冗長化。機種の話はここでしない」と注記。

編集部の見立て:この表でいちばん重要なのは、右から二列目の「埋まらない部分」です。ラジオは三つの条件すべてで受信の側だけを埋めます。発信は一つも埋めません。ラジオを持ったことで連絡手段が増えたと感じてしまうと、判断を誤ります。

圏外そのものの調べ方や、オフラインで地図を使う準備については、登山の圏外対策とオフライン地図の準備で扱っています。ラジオを検討する前に、まずはそちらで「自分の行き先が本当に圏外なのか」を確かめたほうが早いことも多いはずです。

放送と通信は別物——山でラジオは入るのか

ラジオとスマートフォンの決定的な違いは、仕組みそのものにあります。ラジオは放送です。送信所から一方向に電波が流れていて、受信機はそれを受け取るだけです。受信機の側は何も送り返しません。だから何台が同時に聞いても混みませんし、こちらの位置も知られません。

一方、携帯電話は通信です。端末と基地局が双方向にやり取りをして初めて成立します。基地局が近くになければ圏外になり、基地局の処理が混めば通りにくくなります。豊かな機能の代償として、成立条件が多いのです。

放送と通信の違いが生む3つの帰結:①放送は混雑の影響を受けにくい(受信側が何台増えても放送は変わらない)、②放送は一方向なのでこちらから何も送れない(救助要請の手段にはならない)、③放送は送信所からの電波が届く場所でしか受け取れない(圏外とは別の理由で入らない場所がある)。

三つめが、山では特に効いてきます。「圏外でもラジオなら入る」という言い方をよく見かけますが、これは半分だけ正しい表現です。携帯電話の基地局とラジオの送信所は別のものなので、携帯が圏外の場所でラジオが入ることは実際にあります。しかし逆に、携帯が入る場所でラジオが入らないこともあります。谷の底、岩壁の陰、送信所から見て山体の裏側にあたる斜面などです。

山間部でのラジオ受信の可否について、公的機関が一般論として「どこでも入る」と示している資料は、2026年8月29日時点で確認できていません。受信できるかどうかは地形・場所・時間帯・アンテナの向きで変わります。「圏外でもラジオは入る」と一般化しないでください。持っていく場合も、入らない前提で行程を組み、入ったら儲けもの、という扱いにするのが安全です。

実務的な対処はひとつだけです。山に入る前に、一度聞こえることを確かめておくこと。自宅で電池を入れて受信できることを確認し、登山口の駐車場でもう一度確かめる。この二回で、「機器が壊れている」と「その場所では入らない」を切り分けられます。現地で初めて電源を入れて入らなかったとき、原因がどちらか分からないのがいちばん困ります。

編集部の見立て:受信の可否は場所ごとの当たり外れが大きく、事前に予測しきれません。だからこそ「聞けたら使う、聞けなければ使わない」で行程が壊れない設計にしておく必要があります。ラジオが聞けることを前提にした計画は、はじめから危ういと考えてください。

AMとFMの性質にも触れておきます。AMは遠くまで届きやすい一方で、山や建物の陰、電気製品のノイズに弱い面があります。FMは音は安定しやすいものの、届く範囲は送信所の見通しに左右されます。どちらか一方だけに対応した受信機より、両方に対応したもののほうが、山では入る可能性が単純に増えます。あとで扱うワイドFMも、この「入る可能性を増やす」話の延長にあります。

入らないときに、その場で変えられる要素

受信の可否は場所で決まる部分が大きいのですが、同じ場所でも変えられる要素がいくつかあります。原理としては、受信機に届く電波をどれだけ拾えるかという話に尽きます。地形そのものは動かせませんが、次の四つは動かせます。

ひとつめは立つ位置です。谷の底から数十メートル登って尾根側に出るだけで、届き方が変わることがあります。休憩のついでに、少し開けた場所まで移動して試す価値はあります。ふたつめは受信機の向きです。AMは本体に内蔵されたアンテナの向きで感度が変わる構造のものが多く、本体ごと水平に回すと聞こえ方が変わることがあります。FMはロッドアンテナの伸ばし方と角度が効きます。

みっつめはイヤホンのコードです。機種によっては、イヤホンのコードそのものがFMのアンテナとして働く設計になっています。取扱説明書にその旨が書かれている機種なら、コードを伸ばして垂らす向きを変えるだけで結果が変わることがあります。よっつめは周波数の選び直しです。同じ番組が別の周波数でも流れている場合、片方が入らなくてももう片方が入ることがあります。

編集部の見立て:この四つは、いずれも「入るようにする方法」ではなく「入るかどうかを一度は試す方法」です。試して入らなければ、その場所では入らないという結論を早く得られます。粘って時間を溶かすより、入らないと分かって次の判断に移るほうが、山では価値があります。

受信を試すために、行程を止めたり、危険な場所に移動したりしないでください。稜線に出れば入りやすいかもしれない、という理由で天候の悪い日に稜線へ上がるのは、目的と手段が逆転しています。ラジオは行程を安全にするための道具であって、行程を曲げてまで使うものではありません。

ラジオを持たない選択をした場合でも、経路の冗長化という考え方自体は残ります。地図をオフラインで持つ、紙の行程表を持つ、家族に下山予定時刻を伝えておく。いずれも「主役が止まったときに残るもの」です。ラジオはその選択肢の一つであって、唯一の答えではありません。

NHK「気象通報」はいま聞けるのか——2026年3月の再編と、確認の手順

ここが、この記事でいちばん慎重に書く節です。登山でラジオを勧める文章の多くは、根拠として「気象通報が聞けるから」を挙げてきました。各地の風向・風速・気圧などを読み上げる番組で、聞き取った内容を白地図に書き込んで自分で天気図を作る、という使い方が知られています。

ところが、この前提は2026年に変わりました。NHKのラジオ第2放送は2026年3月29日深夜をもって終了し、翌3月30日からNHKのラジオはNHK AM・NHK FMの2波体制に再編されました(NHK公式の再編案内ページ、2026年8月29日確認)。気象通報はこの再編の対象になった番組です。

編集部の見立て:ここで「気象通報は終わった」と書いてしまう記事と、「毎日この時刻にやっている」と書いてしまう記事の両方が出ています。前者は誤りで、後者は根拠が古い可能性が高い。どちらも同じ原因、つまり再編後の一次情報を自分で見ていないことから来ています。

編集部が2026年8月29日時点で確認できたのは、次の二点です。第一に、ラジオ第2が終了したこと(NHK公式で確認)。第二に、気象通報という番組自体はNHK AMに引き継がれて続いていると、複数の独立した二次情報が報じていること。つまり番組は続いているが、放送波と時刻は変わったという状態です。

この記事には気象通報の放送時刻を書きません。再編後の放送時刻をNHK公式の一次ページで確認できていないためです(2026年8月29日時点)。ネット上には「毎日16時ごろ」「9時10分・16時・22時」といった記述が残っていますが、いずれも再編前の情報である可能性があります。また、従来から中継番組の編成によって時刻がずれることがあったとの言及もあります。他の記事に書かれた時刻を覚えて山に持ち込まないでください。

ではどうするか。手順にすると三つです。面倒に見えますが、実際にかかるのは数分です。

  1. 出発前日にNHK公式サイトの番組表を開き、行く日の日付でNHK AMの編成を表示する
  2. 気象通報の有無と開始時刻を、その日の番組表の表示で確認する(他サイトの記述は使わない)
  3. 確認できた時刻を行程表に書き込み、その時刻に立ち止まれる場所を計画に入れておく

三つめが、実は見落とされがちです。番組は決まった時刻に流れます。歩いている最中に聞き取って書き取るのは現実的ではありません。休憩地点やテント場で立ち止まれる時刻でなければ、番組が続いていても実用にはなりません。時刻を確認するというのは、行程を組み直すかどうかの判断も含みます。

そもそも、なぜ登山者が気象通報を使ってきたのか

時刻の話の前に、この番組がなぜ登山の装備論に登場し続けたのかを押さえておきます。理由は「予報を聞くため」ではありません。読み上げられた各地の観測値を書き取って、自分で天気図を作るためです。つまり出来上がった結論をもらうのではなく、材料をもらって自分で組み立てる、という使い方でした。

この使い方には、山ならではの利点がありました。テレビやアプリの予報は、平地の市街地を基準に作られた地図の上で表現されます。一方、自分で気圧配置を描けば、行き先の稜線に対して風がどちらから当たるのか、前線がいつごろ近づくのかを、自分の行程に引きつけて読めます。長期の縦走で下界の情報が入らない環境では、これが数少ない手がかりになりました。

裏を返すと、この使い方は手間と技術を要求します。決まった時刻に立ち止まり、地名の順に数値を書き取り、白地図に落として線を引く。慣れるまでは一回に相当の時間がかかります。日帰りの低山で毎回これをやる人はまずいません。気象通報が登山と結びついてきたのは、通信が届かない長期の行程が前提にあったからです。

編集部の見立て:この前提を踏まえると、いまの登山者の大半にとって気象通報は「ラジオを持つ理由」になりません。通信が届く行程なら、出発前と行動中にアプリで足ります。逆に、通信が何日も届かない行程を組む人にとっては、いまでも代わりのない情報の取り方です。必要な人の幅が狭くなっただけで、価値が消えたわけではありません。

気象通報を使う目的は、読み上げられた数値から自分で天気図を描くことにあります。描いた図から何を読むのかは、番組が聞けるかどうかとは別に身につく技術です。登山者のための天気図の読み方で、等圧線の間隔や気圧配置から山の風を推し量る考え方を扱っています。番組の時刻が不確かな今は、まず読む側の力を先に上げておくほうが確実です。

編集部の見立て:正直に言うと、2026年の現在、「気象通報を聞くため」だけを理由にラジオを持つのはお勧めしにくくなりました。番組の存続そのものは報じられていますが、時刻を毎回確認しないと使えない状態です。ラジオを持つ理由は、あとで扱う電源と経路の話に移っています。

気象庁の警報・注意報・噴火速報は、ラジオでどう届くか

気象通報とは別に、防災の情報がラジオに乗ります。気象庁は、特別警報・警報等がテレビやラジオで放送されることを公式に説明しています(2026年8月29日確認)。放送に乗るということは、受信機さえ動いていれば、通信が成立していなくても届くということです。ここがラジオの本領です。

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もうひとつ、時間軸の話があります。気象庁は、災害に結びつく激しい現象が予想されるとき、数日前から段階的に情報を発表すると説明しています(2026年8月29日確認)。危険は当日いきなり現れるのではなく、段階を踏んで近づいてきます。この段階を出発前に見ておけば、山中でラジオに頼る場面そのものを減らせます。

編集部の見立て:ラジオの価値は「山中で警報を受け取れること」より、「受け取らずに済む行程を組み損ねたときの保険」にあります。順番が逆になっている記事が多い。出発前の確認を厚くするほど、ラジオの出番は減ります。それでいいのです。

出発前の確認は、通信が生きている環境でやる作業です。山の天気の見方と登山前に見る情報源で基本の見方を、てんきとくらすの登山指数の読み方と使いどころで登山向けの指数の扱いを整理しています。ラジオはこの二つの代わりにはなりません。

火山のある山では、噴火速報が関わります。気象庁は噴火速報の入手経路として、テレビ・ラジオ・インターネット・事業者のスマートフォン向けサービスを挙げています(2026年8月29日確認)。ここでもラジオは、複数ある経路のうちの一本という位置づけです。一本しかない経路より、二本あるほうが切れにくい、という話に尽きます。

逆に、ラジオでは受け取れない情報もはっきりしています。気象庁は全国20か所の気象レーダーの観測を、降水短時間予報や降水ナウキャスト等の防災情報に活用していると説明しています(2026年8月29日確認)。これらは画面で見る情報です。雨雲がどちらから来て何分後に自分の位置に届くのか、という細かさは、音声の放送では届きません。

情報 発表元 ラジオで届くか スマホで見るか 使いどころ
特別警報・警報・注意報 気象庁 放送される(公式の説明あり) 見られる 広い範囲の危険度。山中で受け取れる価値が高い
数日前からの段階的な情報 気象庁 報道の中で扱われる 見られる 出発前の中止・延期判断。ここで決着させたい
噴火速報 気象庁 入手経路の一つとして明記 入手経路の一つとして明記 火山のある山。経路を二本持つ意味が大きい
降水ナウキャスト・降水短時間予報 気象庁(全国20か所のレーダー) 届かない(画面で見る情報) 見られる 数十分先の雨。撤退判断の細かい材料
登山道の通行止め・林道ゲート 道路管理者・自治体・管理団体 原則届かない 見られる(出発前に) 点の情報。ラジオの守備範囲外

この表の最下段が、ラジオの限界をいちばん端的に示しています。登山者がいちばん知りたい「その登山道が今どうなっているか」は、放送に乗る種類の情報ではありません。出発前に自分で見に行くしかない領域です。ラジオを持ったからといって、この確認を省略することはできません。

この役割分担を、出発前のチェックとして固定しておくと迷いません。ラジオを持つ・持たないにかかわらず、次の五つは通信の生きている場所で済ませておく作業です。

  • 数日前から、行き先の地域に警報級の現象が予想されていないかを段階的に見たか
  • 前日と当日朝に、警報・注意報の発表状況を確認したか
  • 降水ナウキャスト等の画面で見る情報を、出発前に一度は見たか
  • 火山のある山なら、噴火速報の入手経路を二つ確保したか
  • 登山道の通行止め・林道ゲート・駐車場の閉鎖を、管理者側の告知で確認したか

編集部の見立て:気象の情報は「面」で、登山道の情報は「点」です。ラジオが強いのは面のほう。点は出発前にスマートフォンで潰しておく。この役割分担を先に決めておけば、山の中で「何を聞けばいいのか分からない」という状態になりません。

ワイドFM(FM補完放送)とは——総務省公式の説明

受信機を検討する段になると、仕様表に「ワイドFM対応」という表記が出てきます。これが何なのかを、総務省の説明どおりに確認しておきます。

総務省は、ワイドFMを「AM放送のエリアに係る難聴・災害対策のため、AM放送の周波数をFM放送で補完する放送」と説明しています(総務省「ワイドFM」、2026年8月29日確認)。制度としての整備は平成26年4月1日に行われました。目的として、難聴対策と災害対策の両方が挙げられています。

受信機側で見る数字はひとつ:総務省の説明では、ワイドFMを受信するには90.0MHz〜99.0MHzに対応したFMラジオ受信機が必要とされています(2026年8月29日確認)。受信機の仕様表にある「FM受信周波数範囲」がこの帯域を含んでいるかどうかが、ワイドFM対応かどうかの実質的な判別点になります。

なぜ登山者に関係するかというと、山ではAMが入りにくい場所がある一方で、FMの電波なら届く場所があるからです。AMの番組がFMの周波数でも流れているなら、同じ番組に届く経路が二本になります。これは記事の軸である「経路の冗長化」そのものです。

編集部の見立て:ワイドFMは「音が良くなる機能」として語られがちですが、登山の文脈では音質の話ではありません。入らなかった放送が入るかもしれない、という経路の話です。仕様表を見るとき、優先して確認するのはここになります。

どの放送局がワイドFMで、どの周波数で流れているかは局ごとに違います。総務省は全国の民放FM局・ワイドFM局の一覧を公開しています(2026年8月29日確認)。行き先の都道府県について事前に見ておくと、現地で周波数を探し回らずに済みます。行程表の端に一行、周波数を書き添えておくだけで十分です。

ひとつ補足しておくと、ワイドFM対応であることは「山のどこでも入る」ことを意味しません。あくまで受信できる可能性のある経路が増えるだけです。前の節で書いたとおり、受信の可否は地形と場所に左右されます。仕様表の対応表記を、現地での受信の保証と読み替えないでください。増えるのは選択肢であって、確実性ではありません。

電池で動くということ——低温特性と、電池をそろえる考え方

ここが、2026年にラジオを持つ理由として最も筋の通る部分です。ラジオは乾電池や充電池で動きます。スマートフォンとは別の電源で独立して動く、ということです。スマホの電池が尽きても、ラジオは動き続けます。

逆にいえば、電池の話を詰めないままラジオを持っても意味がありません。ラジオの電池も切れるからです。ここで役に立つのが、メーカー公式が電池について書いている低温特性です。

パナソニックは、充電式ニッケル水素電池(エネループ)について、マイナス20℃の環境でも使用できると公式に説明しています(2023年3月30日の発表時点の製品情報、2026年8月29日確認)。ただし通常の温度に比べて使用時間が短くなる場合がある、という注記もあわせて記載されています。「使える」と「同じだけもつ」は別だという点が、公式の書き方にきちんと表れています。

編集部の見立て:低温に強いというメーカーの記載は、「寒くても電源が入る」ことの保証であって、「寒くても同じ時間動く」ことの保証ではありません。ここを取り違えると、冬の稜線で予備を持たない計画になります。公式が但し書きを付けている箇所ほど、注意して読む価値があります。

もうひとつ、パナソニックの公式FAQは、リチウム乾電池の特長として低温性能を挙げ、用途例としてアウトドア機器等を示しています(2026年8月29日確認)。寒い時期に電池で動かす機器を持つなら、選択肢として頭に入れておく価値があります。

電源の種類 メーカー公式が書いていること 寒い時期 現地調達 向く行程
アルカリ乾電池 一般用途向けの標準的な選択肢 低温で性能が落ちやすい 入手しやすい 日帰り・低山・気温が高い時期
リチウム乾電池 低温性能を特長として挙げ、アウトドア機器等を用途例としている 寒い時期向けの選択肢 置いている店が限られる 冬期・高標高・山中泊
充電式ニッケル水素(エネループ) マイナス20℃でも使用可能。ただし使用時間が短くなる場合あり 使用可能と明記 繰り返し使うので現地調達に頼らない 繰り返し登る人・ヘッドランプと共用
内蔵充電池のみの機器 機種ごとに仕様が異なる 機種による 乾電池での応急運転ができない場合がある スマホと同じ弱点を抱えるため冗長化の効果が薄い

表の最下段について、ひとつだけ強めに書いておきます。内蔵充電池だけで動く機器を選ぶと、「別の電源で動く」というラジオを持つ理由そのものが消えます。充電が必要なら、結局モバイルバッテリーを取り合うことになるからです。冗長化のために持つなら、乾電池でも動かせるかどうかを仕様表で確かめてください。この記事で機種を紹介しない代わりに、確認すべき仕様はここだと書いておきます。

電池の種類を決めたら、次はサイズをそろえるという発想が効いてきます。ヘッドランプ、GPS機器、ラジオ。これらの電池サイズが同じなら、予備を一種類だけ持てば全部に回せます。バラバラだと、機器ごとに予備を持つことになり、重さが積み上がります。登山用ヘッドライトの明るさと電池のもちの考え方と合わせて考えると、装備全体の電池計画として整理できます。

編集部の見立て:ラジオを買うかどうかより、手持ちの機器の電池サイズを一覧にするほうが先です。そろえられるなら予備は軽くなり、そろえられないならラジオを足すコストは思ったより重い。この一覧を作らずに機種を選び始めると、あとで荷物が増えます。

  • ヘッドランプ・GPS機器・ラジオの電池サイズを書き出し、そろえられるかを確認したか
  • 候補のラジオが乾電池でも動くか、内蔵充電池のみかを仕様表で確認したか
  • 寒い時期の行程なら、低温性能について公式に記載のある電池を選んだか
  • 予備電池を何本持つかを、行程の日数と機器の数から決めたか
  • 電池を入れたまま長期保管しない(液漏れ対策)という運用を決めたか

スマートフォン側の電源計画も同時に立てておいてください。ラジオを足すことと、モバイルバッテリーの容量を上げることは、どちらも「電源の冗長化」という同じ目的の手段です。登山用モバイルバッテリーの容量と重さの決め方と見比べて、同じ重さで得られるものが多いほうを選ぶ、という比べ方ができます。

熊よけに使えるのか——環境省の記載の範囲と、書けないこと

登山用ラジオの話には、しばしば「熊よけになる」という理由が付いてきます。ここは、公式の記載がどこまでかを正確に押さえる必要がある論点です。

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環境省は、クマ対策として、人の存在を知らせる手段の例に、鈴・ラジオ・手を叩く・声を出すといった音を挙げています(2026年8月29日確認)。ここまでが公式に確認できる範囲です。

これは「人がいることを知らせる手段の例」としての記載であって、クマを遠ざける効果を保証したり数値で示したりしたものではありません。編集部が2026年8月29日時点で調べた範囲では、ラジオの音による忌避効果を公式に断定した記載を確認できていません。「ラジオを鳴らしていれば安全」という読み方はしないでください。

そのうえで、実務的に言えることはあります。音を出す手段としてのラジオには、鈴とは違う性質があります。人の声や音楽は、風や沢音の中でも「人工的な音」として区別されやすいという点です。ただしこれは編集部の理屈であって、公式の裏づけがある話ではありません。断定はしません。

編集部の見立て:熊よけを主たる理由にしてラジオを買うのは、勧めにくいと考えています。公式の記載が「音の例のひとつ」に留まっている以上、ラジオでなければならない理由がありません。鈴のほうが軽く、電池も要りません。ラジオを持つ理由は、あくまで電源と経路の冗長化のほうに置くべきです。

音を出しながら歩くことには、周囲への配慮という別の論点もあります。静かに歩きたい人、鳥や動物を観察しに来ている人、テント場で休んでいる人がいます。音量と、鳴らす区間の選び方は、自分の安全とは別に考える必要があります。見通しの悪い区間や沢沿いでは鳴らし、開けた場所やテント場では止める、という切り替えが現実的です。

クマの出没情報そのものは、出発前に自治体の公式ページで調べる領域です。ラジオが流す広域の放送とは別で、行き先の市町村・登山口の単位で確認する必要があります。ここでも「面はラジオ、点は出発前」という役割分担が当てはまります。

持つかどうかを決める——行程タイプ別の判断

ここまでの材料を、判断の形にまとめます。基準は最初に置いた式です。①スマホが使えなくなる条件が立つか、②立ったときに困る情報があるか、③その情報が放送に乗るか。この三つを行程タイプごとに当てはめます。

行程タイプ 立つ条件 判断 電源の種類 先に手を打つこと
日帰り・低山・通信良好 ほぼ立たない 持たなくてよい 地図のオフライン化と、行程の共有
日帰りだが谷筋・圏外区間あり 圏外 任意。優先度は低い 乾電池で動くもの 出発前の気象確認を厚くする。圏外区間を事前に把握
山中泊(小屋・テント) 圏外+電池切れ 検討する価値がある 乾電池。ヘッドランプとサイズをそろえる 予備電池の本数を日数から決める
縦走・悪天が想定される長期 圏外+電池切れ+輻輳 持つ方向で検討 乾電池。寒期は低温記載のある電池 ワイドFM対応と受信周波数範囲を仕様表で確認
火山のある山 経路が一本だと切れる 経路を二本にする意味が大きい 乾電池 噴火速報の入手経路を出発前に二つ確保

編集部の見立て:この表の一行目、「持たなくてよい」を堂々と書けることが大事だと考えています。装備の記事は増やす方向にしか書かれないことが多い。ですが日帰りで通信が生きている低山なら、ラジオの分の重さは行動食か水に回したほうが、その日の安全に直結します。

迷ったときは、重さで考えると決着が早くなります。ラジオ本体と予備電池を足した重さと、同じ重さのモバイルバッテリー、あるいは同じ重さの水や行動食。その日の行程でいちばん効くのはどれかを比べます。答えは行程によって変わります。変わってよいのです。

  • 行き先の通信状況を、事前に確認できる範囲で調べたか(掲載のある登山道は公式ページで個別確認できる)
  • 出発前の気象確認を、数日前から段階的に見る形にできているか
  • スマホの電池計画(バッテリー容量・機内モード・保温)が先に決まっているか
  • ラジオを足すなら、乾電池で動くか・電池サイズがそろうかを確認したか
  • ラジオが受信できなくても行程が壊れない計画になっているか

装備全体の中でどこに置くかは、日帰り・山中泊の登山持ち物リストと重さの配分と突き合わせてください。ラジオは「必ず入れるもの」の列ではなく、「行程によって入れるもの」の列に置くのが実態に合っています。

持つと決めたあとの運用——いつ聞き、いつ切るか

持つと決めた場合、次に決めるのは運用です。ここを決めておかないと、電池を無駄に減らすか、聞くべきときに聞き忘れるかのどちらかになります。つけっぱなしにしないのが基本の考え方です。

聞く時刻を、行程の中の決まった場面に紐づけます。朝の出発前、昼の長い休憩、行動終了後の三つが目安です。この三つはいずれも立ち止まっている時間で、電池の消費も限定できます。歩きながら聞き続ける運用は、電池が減るだけでなく、周囲の音——落石、他の登山者の声、沢の増水音——が聞こえにくくなるという別の問題を生みます。

行動中にイヤホンで聞き続けるのは避けてください。後ろから来た登山者の声や、上部からの落石音に気づくのが遅れます。特に浮石の多い区間、鎖場、すれ違いの多い登山道では、耳を塞がない状態を保つ必要があります。音を出して聞く場合も、他の登山者やテント場の周囲への配慮が必要です。

もうひとつ、悪天が近づいているときの運用があります。この場合は、決まった時刻に加えて「判断の直前」に一度聞きます。停滞するか進むか、下山を早めるかを決める前に、広域の情報を一度入れておく。判断してから聞いても、材料としては遅いからです。

  1. 出発前に自宅で電池を入れ、受信できることと音量の位置を確かめておく
  2. 行程表に「聞く時刻」を書き込む(朝の出発前・昼の長休憩・行動終了後の3か所を目安に)
  3. 聞き終わったら電源を切り、次に聞く時刻まで開けない(悪天時は判断の直前に一度追加する)

編集部の見立て:ラジオを持って失敗するとしたら、壊れることでも入らないことでもなく、肝心なときに電池が残っていないことです。原因はほぼ例外なく、つけっぱなしにしていたことにあります。運用を先に決めておくだけで、この失敗はほぼ消えます。

繰り返しになりますが、この記事では機種を挙げません。判断が「持つ・電源は乾電池」まで決まれば、あとは受信周波数範囲(ワイドFMの帯域を含むか)、使用電池の種類とサイズ、公表されている連続使用時間、そして重さ。この四つを仕様表で比べるだけの作業になります。判断が先で、道具は後です。

よくある質問

Q. スマホのラジオアプリがあれば、ラジオ本体は要らないのでは

目的が「番組を聞くこと」なら、それで足ります。ただしこの記事が扱っているのは、スマートフォンが使えなくなる場面の備えです。ラジオアプリはインターネット回線を使うため、圏外では動きません。スマートフォンの電池が尽きれば、当然アプリも止まります。同じ端末の中にある限り、冗長化にはなりません。逆に、通信が生きていて電池にも余裕がある行程なら、アプリで十分だという判断は合理的です。

Q. NHKの気象通報は、いま何時から放送していますか

この記事では時刻を書きません。2026年3月29日深夜にNHKラジオ第2放送が終了し、3月30日からNHK AM・NHK FMの2波体制に再編されました。気象通報という番組自体はNHK AMに引き継がれて続いていると複数の二次情報が報じていますが、再編後の放送時刻をNHK公式の一次ページで確認できていません(2026年8月29日時点)。聞く前に、NHK公式サイトのその日の番組表で確認してください。他の記事に載っている時刻は、再編前の情報である可能性があります。

Q. ラジオがあれば、遭難したときに助けを呼べますか

呼べません。ラジオは放送を受け取るだけの受信機で、こちらから電波を出す機能はありません。電波を出す機器(アマチュア無線機など送信機)は制度がまったく別で、免許や資格が関わります。この記事が扱っているのは受信機だけです。救助要請の手段は、携帯電話や登山届、同行者との取り決めなど、通信の側で別に用意してください。

Q. 山ではラジオのほうがスマホより確実に情報が取れますか

一般化はできません。ラジオの受信可否は地形・場所・時間帯で変わり、山間部で常に受信できるという公的な説明は2026年8月29日時点で確認できていません。携帯が入る場所でラジオが入らないこともあります。確実なのは「別の電源で、別の経路から届く」という一点だけです。どちらが優れているかではなく、片方が止まったときにもう片方が残る、という関係で考えてください。

Q. 熊よけにはラジオと熊鈴のどちらがよいですか

効果の比較を断定できる公式の資料を、2026年8月29日時点で確認できていません。環境省は人の存在を知らせる手段の例として、鈴・ラジオ・手を叩く・声を出すことを挙げていますが、それぞれの効果を数値で比較したものではありません。重さと電池の要不要で言えば鈴が軽く、ラジオは電池を消費します。熊よけだけを理由にラジオを選ぶ根拠は、公式の記載からは出てこないというのが編集部の判断です。

まとめ:今日やることは1つ

この記事の内容は、突き詰めると一つの入れ替えです。「ラジオは情報源として要るか」ではなく、「自分の行程でスマホが止まる条件が立つか」から考える。この順番にすると、買うか買わないかが自分で決まります。

今日やることは、機種を調べることではありません。行き先の通信状況と、手持ちの機器の電池サイズを一覧にすることです。この二つが分かれば、ラジオが必要かどうかも、必要な場合にどの電源で動かすべきかも、自動的に決まります。逆に、この二つを飛ばして機種比較から入ると、判断の根拠がないまま買い物をすることになります。

編集部の見立て:装備の記事はどうしても「持つべき」で終わりがちです。この記事は「持たなくてよい行程がある」と書きました。日帰りで通信が生きている低山なら、その重さは水か行動食に回したほうが効きます。判断が先で、道具は後。この順番だけは崩さないでください。

  1. 次に行く山の登山道について、通信の可否を事前に調べる(掲載のある登山道は携帯事業者の公式ページで個別に確認できる)
  2. 手持ちのヘッドランプ・GPS機器・ラジオ候補の使用電池サイズを書き出し、そろえられるかを見る
  3. 気象通報を目的に含めるなら、出発前日にNHK公式サイトの番組表を開き、その日の編成を自分の目で確認する

最後に一行で:ラジオは情報源の格上げではなく、電源と経路をもう一本持つための道具です。スマートフォンが止まらない行程では出番がなく、止まりうる行程では静かに効きます。その線引きは山ごと・季節ごとに変わるので、装備リストに固定するのではなく、行程を組むたびに引き直してください。

編集部の見立て:2026年は、ラジオを勧める定番の理由(気象通報)が確認しにくくなった年です。だからこそ、残った理由——電池で動くこと、放送が混雑に強いこと——のほうを正面から評価する必要があります。理由が減ったぶん、判断はむしろ簡単になりました。

出典

  • NHK ラジオ第2放送の終了と2波体制への再編に関する案内 https://saiho.nhk.or.jp/saihodoui/ (2026年8月29日確認)
  • 気象庁「気象警報・注意報」 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/warning.html (2026年8月29日確認)
  • 気象庁「噴火速報などの火山情報」 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kazan/kazanyougo/joho.html (2026年8月29日確認)
  • 気象庁「気象レーダー観測の解説」 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/radar/kaisetsu.html (2026年8月29日確認)
  • 総務省「放送政策の推進|ワイドFM」 https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/housou_suishin/fm-seibi.html (2026年8月29日確認)
  • 総務省「全国民放FM局・ワイドFM局一覧」 https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/housou_suishin/fm-list.html (2026年8月29日確認)
  • 消防庁 e-カレッジ 長期停電時の情報途絶と備えに関する解説 https://www.fdma.go.jp/relocation/e-college/cat63/cat38/cat75/post-31.html (2026年8月29日確認)
  • 消防庁 e-カレッジ 災害時の情報収集と電話の利用に関する解説 https://www.fdma.go.jp/relocation/e-college/cat65/cat64/cat51/4-17.html (2026年8月29日確認)
  • 消防庁 e-カレッジ 「ふくそう」と通信制御に関する解説 https://www.fdma.go.jp/relocation/e-college/cat65/cat64/cat51/2-21.html (2026年8月29日確認)
  • 環境省「国立公園でのクマ対策」 https://www.env.go.jp/nature/nationalparks/about/bear/ (2026年8月29日確認)
  • パナソニック ニュースリリース(充電式ニッケル水素電池の低温使用に関する記載・2023年3月30日発表) https://news.panasonic.com/jp/press/jn230330-1 (2026年8月29日確認)
  • パナソニック 公式FAQ「リチウム乾電池の特長」 https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/18175/ (2026年8月29日確認)
  • au「携帯電話がご利用いただける登山道」 https://www.au.com/mobile/area/mountain/ (2026年8月29日確認)

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