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レインウェアを買うとき、上着は真剣に選ぶのに、下は「セットに付いてきたもの」で済ませてしまう人が多くいます。実際に山で効いてくるのは、むしろ下のほうです。
濡れて体温を奪われるのは、太ももとふくらはぎからだからです。上半身が乾いていても、下がずぶ濡れなら体は冷え続けます。
先に結論を書きます。
- 耐水圧は20,000mm前後あれば十分。それ以上の数字は、山では体感に出にくくなります
- 効いてくるのは透湿性のほう。ここが低いと、雨で濡れなくても汗で濡れます
- 脱ぎ履きのしやすさが実用上いちばん大事。登山靴を履いたまま履けるかどうかで、着る回数が変わります
この記事では、耐水圧と透湿性の数字の読み方、ジップの種類、履くタイミング、そして撥水を復活させる手入れまでまとめました。製品を先に見たい方はおすすめ5選へどうぞ。
レインパンツ・雨具のズボン・レインウェアの下|呼び方の違い
探すときの言葉がいくつもあって迷いますが、どれも同じものを指しています。
レインパンツとは、雨や風から下半身を守るために登山用パンツやタイツの上から履く、防水透湿性のあるズボンのことです。雨具全般を指す「カッパ」の下側にあたり、上半身を覆う一枚ものの「レインコート」(前開きのポンチョ型など)とは別の、脚を単独で覆う衣類だと考えてください。
| 呼び方 | 使われ方 |
|---|---|
| レインパンツ | 登山用品店・メーカーで最も一般的。この記事もこれで統一します |
| レインウェアのパンツ/下 | 上下セットの下側を指す言い方 |
| 雨具のズボン | やや古い言い方。意味は同じ |
| 防水パンツ | 作業用や釣り用も含む広い言い方。登山用は透湿性があるものを指す |
| オーバーパンツ | 「上から履く」構造を強調した言い方 |
ひとつだけ区別しておきたいのが「防水パンツ」です。作業用の防水ズボンは水を通しませんが、汗も通しません。登山で使うと内側が結露して、雨に濡れたのと同じ状態になります。選ぶときは「透湿」の記載があるかを必ず確認してください。「防水パンツ」は「防水レインパンツ」と呼ばれることもありますが、指しているものは同じです。
用途別の結論早見|行程が決まっているなら、ここだけで足ります
細かい数字より先に、「自分の行程ならどれか」を知りたい方も多いと思います。この記事の後半で紹介している5本を、行程と決め手で対応させると次のようになります。
| こんな行程・こんな人 | この記事で挙げているのはこの1本 | 決め手 |
|---|---|---|
| 日帰りの低山が中心。ふだんは使わず、ザックに入れておく保険にしたい | THE NORTH FACE|クラウドパンツ | 軽さと収納性に振ったモデル。「使わない日のほうが多い」という持ち方に向きます |
| 本降りの雨のなかを長く歩く。縦走や稜線に出る行程がある | THE NORTH FACE|クライムライトジップパンツ | ゴアテックスの定番。サイドのジップで、登山靴を履いたまま着脱できます |
| 予算を抑えて、まず1本そろえたい | MIZUNO|ゴアテックス グラウンドパンツ | ゴアテックスを採用したまま抑えた男女兼用モデル。サイズ展開が日本の体型に沿っています |
| 降り出してから急いで履く場面が多い。脱ぎ履きの速さを最優先したい | mont-bell|ストームクルーザー フルジップパンツ | 腰から裾まで開くフルジップ。靴を履いたまま巻きつけるように着られます |
| レディースで探している。動いたときの突っ張りが気になる | MILLET|ティフォン 50000 ストレッチ トレックパンツ | ストレッチ性のある自社素材。ウィメンズの型番が公式サイトにあります |
この表の使い方
- ここに並べたのはおすすめ5選で取り上げているものと同じです。選んだ理由と各モデルの説明は、そちらに書いています
- 2つ以上あてはまるなら、いちばん条件の厳しいほうで選んでください。年に一度でも本降りのなかを長く歩く予定があるなら、そちらが基準になります
- レディースの寸法の違いはレディースのレインパンツはどこが違うのかにまとめました
ジャケットも含めて上下でそろえる場合の考え方は登山のレインウェアにまとめてあります。ここから先は、下(パンツ)に絞って読み進めてください。
耐水圧と透湿性|数字の読み方
スペック表に必ず並ぶ2つの数字です。意味を知らないまま「大きいほうが良さそう」で選ぶと、必要のない高価なものを買うことになります。
耐水圧(mm)|どれだけの水圧に耐えるか
生地に水圧をかけて、しみ出すまでの高さを測った値です。20,000mmなら、断面積1cm²あたりに20mの水柱を載せても水を通さない——そういう意味の数字です。
実際の登山でかかる水圧は、雨そのものより「体重で押しつけられたとき」のほうが大きくなります。濡れた岩に座る、ザックのショルダーが肩に食い込む——こうした場面では、局所的に強い圧力が生地にかかっています。
| 耐水圧の目安 | 想定される用途 |
|---|---|
| 〜2,000mm | 小雨の街歩き。登山には足りない |
| 10,000mm前後 | 日帰りの低山。短時間の雨なら対応できる |
| 20,000mm前後 | 登山用の標準。長時間の雨に対応できる |
| 30,000mm〜 | 悪天候前提の使い方。一般の登山では過剰になりやすい |
透湿性(g/m²/24h)|どれだけ汗を逃がすか
生地1m²から、24時間でどれだけの水蒸気を外へ逃がせるかを表した値です。ここが実用上の分かれ目になります。
雨の中を歩くと、体は汗をかきます。透湿性が低い生地だと、その汗が内側で水に戻り、結局ズボンの中はびしょ濡れになります。「雨具を着ていたのに濡れていた」の多くは、外からではなく内側からです。
| 透湿性の目安 | 体感 |
|---|---|
| 〜5,000g | 歩くと確実に蒸れる。登山には向かない |
| 10,000g前後 | ゆっくり歩くなら耐えられる |
| 20,000g前後 | 登山用の標準。汗をかいても内側が濡れにくい |
| 35,000g〜 | 高負荷な行動でも蒸れにくい。価格は上がる |
数字が大きければ良いわけではない
耐水圧を上げるには、生地を厚くするか膜を強くします。その結果、重くなり、硬くなり、価格が上がります。登山で必要な水準を超えたぶんは、快適さを削って払う代金になりかねません。
優先順位をつけるなら、耐水圧20,000mmを確保したうえで、透湿性の高いほうを選ぶのが実用的です。
※測定方法はメーカーや規格によって異なり、数値をそのまま横並びで比べられない場合があります。同じメーカー内での比較として見るのが確実です。
ゴアテックスと自社素材、どちらを選ぶか
ゴアテックスは「素材メーカーの規格」
ゴアテックスは、生地そのものではなく素材メーカーが供給する防水透湿膜のブランドです。採用するメーカーは、その膜に自社の表地・裏地を組み合わせて製品にします。
利点は性能が保証されていること。膜の性能は供給元が管理しているため、どのブランドの製品でも一定の水準が担保されます。
自社素材にも高性能なものがある
各メーカーは独自の防水透湿素材を持っており、ゴアテックスと同等の数値を出すものもあります。価格が抑えられる、ストレッチ性がある、軽いといった、独自の方向に振られている場合もあります。
「ゴアテックスでないと駄目」ということはありません。数値と、脱ぎ履きのしやすさで選んで構いません。
ジップの種類|脱ぎ履きのしやすさが実用上いちばん重要
スペック表では地味な項目ですが、実際に着る回数を左右するのはここです。
登山靴を履いたまま履けるか
雨が降り出したとき、その場でレインパンツを履くことになります。登山靴を脱いで履くのは現実的ではありません。ぬかるみの上で片足立ちになり、靴下を濡らすことになります。
| ジップの形 | 脱ぎ履き | 重さ・弱点 |
|---|---|---|
| フルジップ(腰から裾まで全開) | 靴を履いたまま巻きつけるように着られる。最も楽 | ジップが長いぶん重い。価格も上がる |
| サイドジップ(膝下〜裾) | 靴を履いたまま通せる。標準的な仕様 | 腰まわりは通常どおり足を通す必要がある |
| 裾ジップのみ(短い開き) | 靴によっては引っかかる | 最も軽く、安い |
| ジップなし | 靴を脱ぐ必要がある | 軽量だが、山では使いにくい |
フルジップの弱点も知っておく
脱ぎ履きは圧倒的に楽ですが、ジップの分だけ重く、水が入る可能性のある場所が増えます。止水ジップやフラップで対策されていますが、構造が複雑になるぶん故障の余地も増えます。
年に数回しか雨に遭わないなら、サイドジップで十分です。雨の日にも歩く予定が多いなら、フルジップの価値が出てきます。
サイズと丈の選び方
普段のズボンより1サイズ上を基準にする
レインパンツは登山用のパンツやタイツの上から履きます。普段着と同じサイズだと、腿まわりで突っ張って足が上がりません。
迷ったら大きめを選び、ウエストの調整コードで締めるほうが失敗しません。
丈は「登山靴を履いた状態」で見る
裾が長すぎると、下山時に自分で踏んで転びます。逆に短すぎると、靴と裾のあいだから雨が入ります。試着では必ず靴を履いた状態か、それに近い高さで確認してください。
裾に絞りのコードやマジックテープが付いていれば、多少の長さは調整できます。
レディースモデルは腰まわりの設計が違う
色違いではなく、ウエストとヒップの比率、股上の深さが変えてあります。ただし体格には個人差があるため、メンズのSサイズが合う場合もあります。スカートを併用する着方をする方は登山用スカートとの組み合わせも検討できます。
レディースのレインパンツはどこが違うのか
レディースを探すと、同じモデルのメンズとウィメンズが並んで出てきます。色違いに見えることもありますが、寸法表を開くと、同じサイズ表記でも数字がはっきり違います。ここでは公式サイトに載っている実寸をそのまま並べて、どこが変えてあるのかを確認します。
同じ「M」でも、ウエストで4cm・ヒップで8cm違う
ミレーのティフォン 50000 ストレッチ トレックパンツは、メンズとウィメンズの両方があり、公式サイトに仕上がり寸法が出ています。同じ表記のサイズを並べると次のようになります。
| サイズ表記 | ウエスト | ヒップ | 股上 | 股下 |
|---|---|---|---|---|
| ウィメンズ M | 74cm | 100cm | 21.5cm | 76cm |
| メンズ M | 78cm | 108cm | 22cm | 78cm |
| メンズ S | 74cm | 104cm | 21.5cm | 76cm |
※ミレー公式サイト(ウィメンズ MIV01512・メンズ MIV01483、2026年9月7日確認)に掲載されている仕上がり寸法です。
ここから読み取れることが3つあります。
- 同じ「M」でも、ウィメンズはウエストで4cm・ヒップで8cm細く、股下も2cm短い。メンズのMをそのまま選ぶと、腰まわりが余って裾が長くなります
- ウィメンズのMとメンズのSは、ウエストと股下が同じ数字で、ヒップだけメンズのほうが4cm大きくなっています。「メンズのSサイズが合う場合もある」というのは、こういう重なり方をしているためです
- 股上はウィメンズのMが21.5cm、メンズのMが22cm。差は0.5cmで、ウエストやヒップほど大きくは変えられていません
サイズ展開の上限も違います。このモデルの場合、公式サイトに出ているのはウィメンズがXS〜L、メンズがXS〜XLです。体格によっては、ウィメンズの一番大きいサイズでも寸法が足りないことがあります。そのときは、表記の性別にこだわらずメンズ側の寸法表と見比べてください。
重量にも差が出ます。公式サイトの記載はウィメンズが162g、メンズが214gです(どのサイズでの数値かは明記されていません)。生地の面積が小さいぶん、同じ素材でも軽く仕上がっています。
股下は身長ではなく、いま履いているズボンで確かめる
股下の数字を公表している製品ページは、それほど多くありません。ミレーのウィメンズは全サイズが出ているので、目安として引いておきます。
| サイズ(ウィメンズ) | ウエスト | ヒップ | 股上 | 股下 |
|---|---|---|---|---|
| XS | 66cm | 92cm | 20.5cm | 72cm |
| S | 70cm | 96cm | 21cm | 74cm |
| M | 74cm | 100cm | 21.5cm | 76cm |
| L | 78cm | 104cm | 22cm | 78cm |
※ミレー公式サイト(ティフォン 50000 ストレッチ トレック パンツ ウィメンズ MIV01512、2026年9月7日確認)。1サイズ上がるごとに股下が2cmずつ長くなる作りです。
身長からサイズを決めようとすると外しやすくなります。同じ身長でも股下は人によって数cm違うためです。手元にある登山用のパンツを平らに置き、股の縫い目から裾までを測って、この表の「股下」と比べてください。短すぎると靴と裾のあいだから雨が入り、長すぎると下山時に自分で踏みます。手持ちのパンツの股下に近い数値のサイズが基準になります。
サイズの境目で迷ったときのために、丈違いを用意しているメーカーもあります。モンベルのストームクルーザー フルジップパンツ Women's(品番 #1128565)には、レギュラー丈のほかに6cm短いショート丈と、6cm長いロング丈があります。ウエストは合うのに裾だけ余る、という場合は、こうした展開のあるモデルを探すと解決することがあります(出典: モンベル公式オンラインストア「ストームクルーザー フルジップパンツ Women's」、2026年9月7日確認)。
公式サイトで型番を確認できたレディースモデル
この記事で取り上げているモデルのうち、レディースの型番を公式サイトで確認できたものを整理します。型番は年ごとに変わることがあるため、購入前に公式サイトで最新の表記を確認するのが確実です。
| ブランド・モデル | レディースの型番 | 公式サイトで確認できたこと |
|---|---|---|
| THE NORTH FACE|クライムライトジップパンツ | NPW12502 | 約195g(Lサイズ)/20D Recycled Nylon GORE-TEX C-Knit Backer(3層)。ウエストや股下の実寸表は掲載されていません |
| MILLET|ティフォン 50000 ストレッチ トレックパンツ | MIV01512 | 耐水圧20,000mm/透湿性50,000g/m²/24h/162g。XS〜Lの仕上がり寸法(股下つき)あり |
| mont-bell|ストームクルーザー フルジップパンツ Women's | #1128565 | ゴアテックスファブリクス3レイヤー(表:20デニール)/平均重量200g/透湿性35,000g/m²・24hrs(JIS L-1099 B-1法・参考値)。ショート丈・ロング丈あり |
| MIZUNO|ゴアテックス グラウンドパンツ | 確認できていません | 販売ページでは男女兼用と案内されています。公式オンラインの商品ページは2026年9月7日時点で開くことができず、レディース専用の型番があるかどうかは確認できていません |
※出典は、THE NORTH FACE がゴールドウイン公式サイト(NPW12502)、MILLET がミレー公式サイト(MIV01512)、mont-bell がモンベル公式オンラインストア(#1128565)で、いずれも2026年9月7日確認です。
設計差は、履いたときに何の違いになるか
寸法の差は、山では次のような形で出ます。
- ヒップの余りが減る — 8cmの差は、しゃがむ・大きな段差を越えるといった動きで出ます。余りが大きいと、レインパンツの生地が下に履いたパンツに絡んで、足が上がりにくくなります
- 裾を踏みにくくなる — 股下2cmの差は、下山の一歩ごとに効きます。裾が地面に触れていると泥を巻き上げ、そこから濡れが上がってきます
- 軽くなる — 生地の面積が小さいぶん軽く、使わない日にザックへ入れておくときの負担が減ります
逆に言えば、体格がメンズの寸法に近い方が、無理にウィメンズを選ぶ理由もありません。表記の性別ではなく、ウエスト・ヒップ・股下の3つの数字が自分に近いほうを選んでください。あとから調整できるのはウエストの調整コードだけで、ヒップと股下は買ったあとには変えられません。
レディースで選ぶときの確認手順
- 手持ちの登山用パンツの股下を測る(股の縫い目から裾まで)
- 候補のモデルの寸法表で、股下がその数値に近いサイズを見る
- そのサイズのヒップが、自分のヒップ寸法に対して余裕を持っているかを確認する(レインパンツはパンツやタイツの上から履きます)
- ウエストだけ合わないなら調整コードで詰められます。ヒップと股下が合わないなら、丈違いや別サイズを探す
いつ履くか|降ってからでは遅い
「レインパンツは不要では」と思ったときに確認したいこと
上だけで足りるのではと考える人もいますが、それが成り立つかどうかは条件で変わります。
- 行動時間が短く、下山まで数十分で済むコースなら、上だけで乗り切れる場面もあります
- 標高が低く、気温が高いなら、濡れてもすぐに命に関わる冷えにはつながりにくくなります
- 風が弱く、稜線に出ないコースなら、体温を奪う要因がひとつ減ります
- 逆に、行動時間が長い・標高が高い・風がある・下山まで距離があるのいずれかが当てはまるなら、省く判断は避けたほうが安全です
濡れた生地が肌に貼りつくと、乾いた生地よりも体表から熱が逃げやすくなります。そこに風が加わると、熱の逃げ方はさらに大きくなります。これは症状の話ではなく、濡れと風が重なると体温が奪われやすくなるという一般的な仕組みです。「不要かどうか」は、この4条件に自分の行程を当てはめて判断してください。
「濡れてから」では手遅れになる
雨が本降りになってから履こうとすると、その時点でズボンは濡れています。濡れた上からレインパンツを履いても、内側の水は乾きません。
目安は「本降りになりそうだと思った時点」です。ぱらつき始めたら、休憩を兼ねて履いてしまうほうが結果的に快適に歩けます。
風が出たときも履く
レインパンツは防風着としても機能します。稜線で風に当たると、濡れていなくても体温は奪われます。「雨具」だと思っていると、この使い方を逃します。
脱ぐタイミングは遅らせる
雨が止んでもすぐには脱がないでください。草木に残った水滴で、結局濡れます。樹林帯を抜けるまでは履いたままにしておくと確実です。
雨の日の装備全体は登山のレインウェアに、傘の使いどころは登山用の傘にまとめてあります。
手入れ|撥水は復活する
表面が濡れるのは「防水が切れた」ではない
使っているうちに、生地の表面に水が染み込むようになります。これを「防水が切れた」と考えて買い替える方が多いのですが、多くの場合は撥水加工が落ちただけです。防水膜そのものはまだ生きています。
ただし、表面が水を含んだ状態(ウェッティングアウト)になると、透湿性が大きく落ちます。水蒸気の出口が塞がれるためです。結果として内側が蒸れ、「濡れた」と感じることになります。
まず洗う
汚れと皮脂が撥水を殺します。洗うだけで撥水が戻ることも珍しくありません。
- ジッパーとマジックテープを全部閉じる
- 専用洗剤か、柔軟剤・漂白剤の入っていない中性洗剤を使う
- 洗濯機なら弱水流。すすぎは念入りに(洗剤が残ると撥水しません)
- 柔軟剤は使わない。表面に残って撥水性が損なわれます
熱をかけて撥水を戻す
洗って乾かしたあと、低温で熱を加えると撥水が回復します。タンブラー乾燥の低温か、当て布をしたアイロンの低温設定です。撥水剤の分子が熱で立ち上がる、という仕組みだとされています。
それでも戻らなければ、撥水スプレーや洗濯時に使う撥水剤で復活させられます。買い替えの前に一度試してみてください。
※製品によって適した方法は異なります。必ず洗濯表示とメーカーの案内を確認してください。
洗濯機やバケツで使える「ウォッシュイン」タイプという選択肢
撥水剤には、乾いた生地にスプレーする「スプレー」タイプと、洗濯機やバケツにそのまま入れる「ウォッシュイン」タイプがあります。ニクワックス TX.ダイレクト ウォッシュインの場合、公式の使い方は「専用洗剤(テックウォッシュなど)で洗ってすすいだあと、そのままウォッシュインタイプの撥水剤を入れてもう一度洗う」という手順です。熱を加える工程は、この製品の公式の使い方には出てきません。
ニクワックス TX.ダイレクト ウォッシュインは、専用洗剤で洗ってすすいだあと、洗濯機やバケツにそのまま入れて使う撥水加工剤です。公式に案内されている使い方に熱を加える工程が出てこないため、スプレータイプのように塗り残しを気にしながら作業する必要がなく、全体へムラなく処理したい人に向きます。レインパンツだけでなく、同じ防水透湿素材のジャケットにもまとめて使えます。
この製品は液体が白く濁っており、すすぎ残しがあるとまだら模様になって残ってしまうと案内されています。撥水処理のあとのすすぎは、洗剤で洗ったときよりも丁寧に行ってください(出典: エバニュー公式「NIKWAX 梅雨」、2026年9月1日確認)。
保管はたたまず吊るす
折り目のところから膜が傷みます。シーズンオフはハンガーに吊るしておくのが理想です。ザックに入れっぱなしにすると、同じ場所で圧縮され続けることになります。
レインパンツの下には何を履くか
綿は避ける
レインパンツの中が蒸れるかどうかは、下に何を履いているかでも変わります。綿のズボンや下着は汗を抱え込み、乾きません。化繊のタイツか、速乾性のあるトレッキングパンツを下にしてください。
タイツ+短パンなら履きやすい
厚手の長ズボンの上からレインパンツを履くと、突っ張って動きにくくなります。薄いタイツと短パンの組み合わせなら、その上から履いても余裕があります。
肌に近い層の考え方はベースレイヤーやメッシュインナーもあわせてご覧ください。
ソフトシェルとの使い分け
ソフトシェルは撥水性と動きやすさを両立した中間的な装備です。小雨なら快適ですが、本降りには耐えられません。ソフトシェルを持っていても、レインパンツは別に必要と考えてください。
ノースフェイスのレインパンツ|クライムライトジップパンツとクラウドパンツはどちらを選ぶか
検索されるブランド名でいちばん多いのはノースフェイスです。同ブランドには耐水圧・透湿性に優れたゴアテックスパンツ(GORE-TEXパンツ)が複数あり、下のおすすめにも入っているクライムライトジップパンツとクラウドパンツで迷う人が多いため、ここで公式サイトの記載をもとに比べます。
現行モデルの仕様|メンズとレディースで型番が違う
ゴールドウイン公式サイトで確認できたのは、現行のクライムライトジップパンツです。メンズとレディースで型番が異なります。
| 型番 | 重量 | 素材 | ジップ |
|---|---|---|---|
| メンズ(NP12502) | 約215g(Lサイズ) | 20D Recycled Nylon GORE-TEX C-Knit Backer(3層) | サイドフルジップ(止水仕様) |
| レディースレインパンツ(NPW12502) | 約195g(Lサイズ) | 20D Recycled Nylon GORE-TEX C-Knit Backer(3層) | サイドフルジップ(止水仕様) |
※ゴールドウイン公式サイト(NP12502・NPW12502、2026年9月1日確認)の記載にもとづきます。この記事で取り上げている商品ページの型番(メンズNP62304・レディースNPW62304)は、2026年9月1日時点でゴールドウイン公式サイトを開くと404になり、現行モデルかどうかを含めて確認できませんでした。そのため上の数値は、確認できた型番(NP12502・NPW12502)のものである点をご了承ください。ノースフェイスは型番が年ごとに変わることがあるため、購入前に公式サイトで最新の型番を確認するのが確実です。
クラウドパンツは公式サイトで仕様を確認できなかった
クラウドパンツについては、この記事で取り上げている商品ページの型番(メンズNP12103・レディースNPW12406)に加え、現行と思われる型番(NP12406・NPW12103・NP62306)も開いてみましたが、2026年9月1日時点ではいずれも404で、生地の構成や重量を公式の記載で確認できませんでした。確認でき次第、この節を更新します。
迷ったときの目安は、この記事の「おすすめ5選」で書いているとおりです。本降りの雨のなかを長く歩く行程なら、仕様が公式に確認できるクライムライトジップパンツ。ザックに入れておくだけの保険として軽さを優先するなら、クラウドパンツという選び方になります。
登山用レインパンツ おすすめ5選
ここからは具体的なモデルです。耐水圧・透湿性・重量・価格は仕様変更されることがあるため、数値は各販売ページでご確認ください。低価格帯の選択肢はワークマンのレインウェアもあわせてご覧ください。
THE NORTH FACE|クライムライトジップパンツ
ゴアテックスを採用した定番モデル。サイドのジップで、登山靴を履いたまま着脱できます。ノースフェイスは店舗数が多く、試着してから買いやすいという実際的な利点があります。上下でそろえたい方は、同シリーズのジャケットと組み合わせられます。
メンズ・レディースの両方が展開されています。
THE NORTH FACE|クラウドパンツ
同ブランドのなかでは軽さと収納性に振ったモデルです。常にザックに入れておく雨具として扱いやすく、「使わない日のほうが多い」という持ち方に向きます。軽量なぶん、生地は薄手になります。
MILLET|ティフォン 50000 ストレッチ トレックパンツ
ミレーの自社防水透湿素材を使ったモデル。名前のとおりストレッチ性があり、動きを妨げにくいのが特徴です。レインパンツ特有の「突っ張る感じ」が苦手な方の候補になります。ミレーは日本人の体格に合わせた展開を持つメーカーでもあります。
MIZUNO|ゴアテックス グラウンドパンツ
ゴアテックスを採用しつつ、価格を抑えた男女兼用モデルです。「まず1本、性能が保証されたものを」という買い方に向きます。国内メーカーらしく、サイズ展開が日本の体型に沿っています。
mont-bell|ストームクルーザー フルジップパンツ
モンベルの看板シリーズのパンツで、フルジップ仕様です。腰から裾まで開くため、登山靴を履いたまま巻きつけるように着られます。雨のなかで急いで履く場面が多い方には、この一点だけで選ぶ価値があります。
国内メーカーのため、修理やパーツ交換の相談がしやすいのも利点です。
上下セットで探すなら|ミズノの選択肢
ここまでの5つは基本的に単品での組み合わせを想定していますが、「まずジャケットとパンツを1セットで揃えたい」という人向けの選択肢もあります。ミズノのレインウェア ベルグテックEX ストームセイバーVIは、上下がセットになったモデルです。すでに紹介したミズノのゴアテックス グラウンドパンツを単品のパンツとして選ぶか、上下セットでまとめて揃えるかは、手持ちのレインジャケットの有無で決めてください。
ミズノのレインウェア ベルグテックEX ストームセイバーVIは、ジャケットとパンツが上下セットになったモデルです。すでに紹介したミズノのゴアテックス グラウンドパンツを単品で買うか、ジャケットも一緒にセットで揃えるかで迷っている人向けの候補になります。手持ちのレインジャケットが無い、またはこの機会に上下を同じメーカーでそろえたい人に向きます。
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よくある質問
Q. レインパンツは本当に必要ですか?上だけではだめですか?
A. 必要です。体温を奪われるのは下半身からで、太ももとふくらはぎが濡れると、上着が乾いていても体は冷え続けます。夏でも、濡れた状態で風に当たれば震えます。上下セットで持つことを前提にしてください。
Q. 耐水圧はいくつあれば足りますか?
A. 20,000mm前後が登山用の標準です。それ以上を求めると重く硬くなり、価格も上がります。数字を上げるより、透湿性の高いモデルを選ぶほうが快適さに直結します。
Q. 「ゴアテックスでないとだめ」ですか?
A. そんなことはありません。各メーカーの自社素材にも同等の数値を出すものがあり、ストレッチ性や軽さで独自の方向に振られている場合もあります。数値と脱ぎ履きのしやすさで選んで構いません。
Q. フルジップとサイドジップ、どちらがいいですか?
A. 雨の日に歩く機会が多いならフルジップです。腰から裾まで開くため、登山靴を履いたまま巻きつけるように着られます。年に数回しか使わないなら、軽くて安いサイドジップで十分です。
Q. 水がしみるようになりました。買い替えですか?
A. まだ早いかもしれません。多くの場合は撥水加工が落ちただけで、防水膜は生きています。柔軟剤を使わずに洗い、低温で熱をかけると撥水が戻ることがあります。それでも駄目なら撥水剤で復活させられます。
Q. 作業用の防水ズボンで代用できますか?
A. 勧められません。作業用は水を通さないかわりに、汗も通しません。歩いているうちに内側が結露し、雨に濡れたのと同じ状態になります。「透湿」の記載があるかを必ず確認してください。
Q. サイズはどう選べばいいですか?
A. 普段のズボンより1サイズ上を基準にしてください。登山用パンツやタイツの上から履くためです。丈は登山靴を履いた状態で確認し、裾が地面に付かない長さを選びます。
まとめ
レインパンツを選ぶときの軸は3つです。
- 耐水圧20,000mm前後を確保する — それ以上は重さと価格に跳ね返ります
- 透湿性の高いほうを選ぶ — 濡れる原因の多くは、外からではなく内側の汗です
- 登山靴を履いたまま履けるか — サイドジップ以上。雨の中で靴は脱げません
そして手入れです。水がしみるようになっても、多くは撥水が落ちただけで、洗って熱をかければ戻ります。買い替える前に一度試してみてください。
履くタイミングは「本降りになりそうだと思った時点」。濡れてから履いても、内側の水は乾きません。早めに履いて、樹林帯を抜けるまで脱がない——これだけで雨の日の快適さは変わります。
小物の整理は登山の便利グッズ、季節ごとの服装は夏の登山の服装にまとめてあります。
※本記事の内容は2026年9月7日時点の情報です。耐水圧・透湿性の測定方法はメーカーや規格によって異なる場合があります。製品の仕様・価格は変更されることがありますので、購入前に各販売ページでご確認ください。
