登山ザック40Lの使いどころ|小屋泊とテント泊の境目を容量で考える

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40Lザックは「山小屋泊の上限側」であって、テント泊の入口ではない

登山のザック選びで40Lが候補に挙がるのは、たいてい同じタイミングです。日帰りは何度も歩いた。次は山小屋に泊まってみたい。ついでにテント泊もこの1つでいけたら得なのでは——そう考えて容量表を眺めはじめる。ここがまさに、40Lという数字が引っかかる場所なのです。

先に答えを置きます。モンベル公式の「バックパックの選び方」は、山小屋泊の推奨容量を30〜40L、テント泊を50L以上と案内しています。この2つの数字を並べた瞬間、40Lの立ち位置は決まります。40Lは小屋泊レンジの上限であり、テント泊レンジには10L届いていない。兼用を狙う容量ではなく、小屋泊を余裕を持ってこなす容量です。

40L=山小屋泊の目安「30〜40L」の上限側。テント泊の目安「50L以上」には10L足りない(モンベル公式・2026年8月11日確認時点)

40Lという空間の大きさも、数字だけでは想像しにくいですよね。2Lペットボトルに置き換えると20本ぶん。スーパーの買い物カゴが山盛りで1つ半、といったところでしょうか。日帰り用の20L台から乗り換えると、ザックの中が急に「余る」感覚になります。その余りに何を入れるかが、この記事のテーマです。ザックの容量帯を横断して整理したい方は、登山ザックの選び方の全体像もあわせてどうぞ。

この記事でわかること

  • 40Lが要る人・要らない人の分かれ目(モンベル公式の容量目安から逆算)
  • 「泊数 × 寝具の有無」から自分の必要容量を出す早見表
  • 背面長(トルソー長)をメーカー公式の手順どおりに自宅で測るチェックリスト
  • 日帰り→小屋泊→テント泊で荷物がどう増えるかの対応表
  • 40L前後の候補3モデル(ドイター/オスプレー)を型番・重量・背面長で比較
  • 40Lが向かない人と、そのときに見るべき容量

40Lザックの選び方は「泊数」「背面長」「本体重量」の3つで決まる

ザック選びの基準は無限に増やせます。ポケットの数、素材の織り、ヒップベルトの形状。ただ、最初の1本を40L帯から選ぶ段階で本当に効くのは3つだけです。編集部の整理では、この3つを順番に潰せば候補は自然と3モデル以下に絞れます。

基準1|泊数と寝具の有無が容量を決める

泊数と寝具の有無とは、ザックに入れるべき物量を決める2つの変数のことである。この2つが決まれば、必要な容量はほぼ機械的に出ます。

モンベル公式は、日帰り登山を20〜25L(装備を厳選すれば15Lでも対応可、と付記)、山小屋泊を30〜40L、テント泊を50L以上と案内しています。同社の「登山装備ガイド 泊まり登山編」では山小屋泊を30〜45Lと幅を持たせた表記もあり、資料によって上限に5Lの揺れがあることは押さえておきましょう。

つまり、こういうことです。泊まる日数そのものより、寝袋とマットを背負うかどうかのほうが容量への影響が大きい。山小屋には布団が用意されていることが多く、モンベル公式「登山装備ガイド 泊まり登山編」は山小屋泊でシュラフもマットも不要としています(衛生面からインナーシーツがあると安心、山小屋によっては持参が必須)。ただし同社「バックパックの選び方」では山小屋泊の装備例に寝袋も挙げられており、資料によって案内が分かれる点には留意してください。この「寝具を持たなくていい」という条件が、40Lで1〜数泊をまかなえる根拠です。寝具側の判断が固まっていない方は、登山用寝袋の選び方で必要になる場面を先に確認しておくと、容量の見積もりがぶれません。

基準2|背面長が合っていないと容量は意味を持たない

背面長(トルソー長)とは、首の後ろの突出した骨から腰骨の上端までの、背骨に沿った長さのことである。身長ではありません。ここが合わないザックは、何L入ろうと肩に食い込みます。

オスプレー公式(日本総代理店ロストアロー)は、荷重の理想バランスを「腰70%、肩30%」とし、これは容量やモデルを問わず重い荷物を背負うときの理想だと明記しています。背面長が短すぎればヒップベルトが腰骨に乗らず、この70%が肩に回ってくる。40Lは、deuter公式がフューチュラ プロ 40の推奨積載量を「6〜10kg」と案内するように、10kg近い荷物を背負うこともある容量帯ですから、影響は日帰りザックの比ではありません。

容量は「入るか」の話、背面長は「歩けるか」の話。40L帯では後者のほうが先に効く。

基準3|本体重量は「空のまま背負う重さ」である

本体重量とは、何も入れていない状態でザック自体が持つ重さのことである。荷物の総量から、この分は絶対に引けません。

今回扱う候補で見ると、ドイター フューチュラ プロ 40が1,620g、フューチュラ プロ 36が1,590g(いずれも公表値)。容量が4L違って重量差はわずか30gです。一方でオスプレー ケストレル 38はS/M=1.84kg、L/XL=1.92kg、ケストレル 48はS/M=2.01kg、L/XL=2.09kg。ブランドをまたぐと、同じような容量でも300g前後の差が出ます。

400gと言われてもピンと来ないかもしれません。500mlペットボトル1本ぶんに近い重さが、歩き出す前から背中に乗っている状態です。ただし軽ければ良いという単純な話でもなく、重い側には背面フレームやヒップベルトの構造が入っている。ここは「軽さ」と「担ぎやすさ」のトレードオフとして読むのが正しい。ブランドごとの設計思想の違いが気になる方は、登山ザックのブランド比較もどうぞ。

編集部の見立て:基準を4つ以上に増やすと、たいてい決められなくなります。泊数で容量帯を決め、背面長で選べるモデルを絞り、最後に重量で1つ選ぶ。この順番を崩さないほうが早いです。

40Lが要るかどうかは、5つの質問で判定できる

基準が3つに決まったので、次は自分に当てはめます。以下のチェックリストで、当てはまる項目を数えてください。

  • ✓ 山小屋に1泊以上する予定がある(日帰りだけなら40Lは過剰)
  • ✓ 寝袋とマットは持たない(小屋の布団を使う)
  • ✓ 着替え・洗面用具・数日分の行動食を持つ
  • ✓ 20〜30L台のザックで「入りきらない」経験をした
  • ✓ テント泊は当面やる予定がない、または装備を別に用意する

5つすべてに当てはまるなら、40Lは素直に候補です。4つ目が当てはまらない——つまりまだ日帰り中心なら、30Lザックの選び方のほうが出番は多いでしょう。逆に2つ目が「持つ」に変わった瞬間、40Lは容量不足の側に落ちます。

泊数 × 寝具の有無 → 必要容量の早見表

ここが本記事の中心です。モンベル公式の容量目安と、同社が示す「山小屋泊は寝具不要/テント泊は寝袋・マット必須」という条件を掛け合わせて表にしました。数値はすべて2026年8月11日確認時点の公表値です。

山行スタイル 泊数 寝袋・マット 容量の目安(モンベル公式) 40Lとの関係
日帰り 0泊 不要 20〜25L(厳選すれば15Lも可) 大きすぎる
山小屋泊 1泊 不要(インナーシーツのみ) 30〜40L 上限側でちょうど良い
山小屋泊 2〜3泊 不要(インナーシーツのみ) 30〜40L(別資料では30〜45L) 40Lが下限に近づく
小屋泊+将来テント泊も視野 1〜2泊 追加を想定 40L台後半まで拡張余地 40Lでは足りない
テント泊 1泊〜 必須 50L以上 対象外

表の読み方はシンプルです。上から2行目と3行目、この2行だけが40Lの守備範囲。1行目には大きすぎ、4行目以降には小さすぎる。「1つで全部」を狙うと、どちらの用途でも中途半端になります。日帰り専用の軽量ザックについては20Lザックの選び方で別途整理しています。

メモ:モンベル公式内で山小屋泊の目安が「30〜40L」(バックパックの選び方)と「30〜45L」(泊まり登山編)に分かれています。本記事は前者を主として引用し、幅を示す場面では両方を併記しました。また「バックパックの選び方」では山小屋泊の装備例に寝袋も挙げられており、本記事が主に依拠する「泊まり登山編」の『寝袋・マットは不要』という案内とは、資料によって表現が異なります。最新の表記は公式サイトでご確認ください。

背面長は自宅で測れる。メーカー公式の手順はこうなっている

ザックの容量を決めたら、次はサイズです。オンラインで買うなら、この工程を飛ばすと高い確率でやり直しになります。背面長の計測とは、ザックのフレーム長と自分の胴体長を一致させるための作業である。

測り方チェックリスト(ドイター公式・オスプレー公式の手順)

  • ✓ 自然に直立する。前傾したり、反らしたりすると誤差が出る(ドイター公式)
  • ✓ 首の後ろで一番突出した骨(第七頸椎)を起点の「0」にする
  • ✓ ウエストにひもを巻き、背骨とひもが重なる点を終点にする(ドイター公式)/オスプレー公式は「腰骨の上端まで」と案内
  • ✓ 背骨の曲線に沿わせて測る(直線距離ではない・オスプレー公式)
  • ✓ 測るのは自分ひとりでは難しいため、誰かに手伝ってもらう

数値が出たら、次は背負った状態の確認です。ドイター公式は「肩甲骨下角とショルダーハーネスの付け根が同じ位置にある状態」を正しい長さとしています。オスプレー公式はさらに具体的で、ショルダーベルトが背中・肩・脇に隙間なく接し、その末端が脇の下5〜8cmに位置することを確認するよう案内しています。

この5〜8cmという数字、指を3〜4本並べた幅とほぼ同じです。店頭で背負ったとき、脇の下に手を差し込んで確かめられます。そして最後に荷重配分。腰70%・肩30%になっているか。肩が痛いなら、それは容量ではなくサイズの問題かもしれません。

失敗しやすい点:背面長は身長と比例しません。同じ身長でも脚の長い人と胴の長い人では、必要なフレーム長が変わります。「170cmだからM」という選び方は、40L帯では通用しないと考えてください。

なお、女性向けモデルは肩幅・胸部の形状・ヒップベルトの角度が別設計になっていることが多く、背面長のレンジも異なります。該当する方は女性向け登山ザックの選び方を先に読んでから容量を決めたほうが、選択肢を狭めずに済みます。

日帰りから小屋泊、テント泊へ。増えるのは「寝具」と「衣食住」である

容量の数字だけを見ていると、なぜ小屋泊で10L増え、テント泊でさらに10L以上増えるのかが腑に落ちません。増分の中身を、モンベル公式の記述から対応表にしました。

段階 前の段階から増える装備(モンベル公式) 寝具 容量の目安 この記事での対応モデル
日帰り 基本装備のみ 不要 20〜25L Mayfly Pack 22(22L)
山小屋泊 宿泊用のシーツ、着替え、洗面用具、数日分の食料 不要(布団あり) 30〜40L フューチュラ プロ 36/ケストレル 38/フューチュラ プロ 40
小屋泊2〜3日 食料と着替えがさらに増える 不要 30〜40L台 ケストレル 48
テント泊 テント、寝袋、マット、調理器具、バーナー、ランタン、サンダル、食料 必須 50L以上 該当なし(本記事の範囲外)

最下段の行がすべてを説明しています。テント泊は「衣食住のすべてを背負う」とモンベル公式が表現するとおり、寝る場所そのものを持ち運ぶ行為です。地面からの冷えや凹凸を軽減するマットは必須装備とされ、寝袋も現地の気温に適した保温力を持つものが求められる。40Lにこれらを詰め込む発想は、最初から捨てたほうが安全です。

逆に言えば、山小屋泊がここまで軽く済むのは布団があるからです。この一点で10L以上の差がつく。登山用テントを買うかどうかの判断は、そのままザック容量の判断でもあります。テント泊を前提にした容量設計はテント泊向けザックの選び方で別に扱っています。

編集部の見立て:「40Lでテント泊、頑張れば行ける」という話は探せば出てきます。ただ公式の目安と10L以上ずれた選択を最初の1本でやるのは、失敗したときの金額が大きすぎます。編集部としては勧めません。

候補は3つ。40Lの基準機・38Lの対抗馬・36Lの軽量側で比較する

ここからは具体的なモデルです。比較の目的とは、優劣を決めることではなく、それぞれの役割分担を確認することである。当サイトの基準は「小屋泊1〜3泊を、寝具なしでまかなう」という一点に置いています。

項目 ドイター フューチュラ プロ 40 オスプレー ケストレル 38 ドイター フューチュラ プロ 36
型番 D3401526-1013 OS50383003004 D3401326-1013
容量 40L S/M=36L、L/XL=38L 36L
重量 1,620g S/M=1.84kg、L/XL=1.92kg 1,590g
背面長 5段階調整(公式に数値レンジ記載なし) S/M=43〜53cm、L/XL=48〜58cm 5段階調整(公式に数値レンジ記載なし)
サイズ 70×32×24cm 公式ページに記載を確認できず 69×32×24cm
レインカバー 標準装備 標準装備 標準装備
参考価格 ¥31,900(税込/2026年8月11日確認時点) ¥31,000(税込・定価¥34,100からの割引価格/2026年8月11日確認時点) ¥30,800(税込/2026年8月11日確認時点)
役割 小屋泊の上限まで使いたい人の基準機 背面長を数値で合わせたい人の対抗馬 軽さと収まりを優先する一段小さい選択肢

この表から読み取れる結論は3つです。第一に、ドイター2機種の容量差4L(2Lペットボトル2本ぶん)に対して重量差はわずか30g。第二に、オスプレーは背面長を数値レンジで公表しているため、自宅で測った数値からサイズを決められる。第三に、3機種ともレインカバーが標準装備で、後から買い足す前提の予算組みは不要です。

3つのうち1つを選ぶなら、当サイトの基準ではドイター フューチュラ プロ 40が出発点になります。理由は単純で、狙っているのが「小屋泊レンジの上限」という容量帯そのものだからです。

ドイター フューチュラ プロ 40は「40Lちょうど」の基準機である

フューチュラ Pro 40(型番D3401526-1013)とは、容量40L・重量1,620gの、複数日ツアー向けとして設計されたモデルである。deuterのグローバル公式サイトは、フューチュラ Proシリーズを「快適性を損なってはならない複数日のツアーのために開発された」と説明しています。

公表スペックの読みどころ

本体サイズは70×32×24cm。背面長は5段階で調整できる機構を備えていますが、日本公式サイト(イワタニ・プリムス)の商品ページにはS/Mといったサイズ区分の数値記載が見当たりません。つまり「幅のなかで合わせる」タイプです。レインカバーは標準装備。参考価格は¥31,900(税込/2026年8月11日確認時点)です。

言い換えると、このモデルは自分の背面長の数値を知らなくても、調整幅のなかに収まる可能性が高い設計になっています。店頭で背負って合わせられる環境なら、この点は素直に強みです。一方、数値でぴったり決めたい人には物足りない。

向いているのはこんな人

山小屋泊を1〜3泊、寝具なしで組む人。着替えと食料が増える2泊目以降でも、40Lという上限側の容量なら余裕が残ります。1,620gという本体重量も、この容量帯では軽い部類です。「小屋泊で容量が足りなくて困った」を最初から潰しにいく1本と考えると、選ぶ理由がはっきりします。

オスプレー ケストレル 38は、背面長を数値で合わせられる対抗馬である

ケストレル 38(型番OS50383003004)とは、S/Mで36L・L/XLで38Lと、サイズによって容量が変わるモデルである。オスプレー公式(ロストアロー)は用途を「小屋泊まりの登山、ハイキング、旅行などに適した」と案内しています。

最大の武器は背面長の公表値です。S/M=43〜53cm、L/XL=48〜58cm。先ほどのチェックリストで測った数値を、そのまま照合できます。オンラインで買うときの安心感が違う。

重量はS/M=1.84kg、L/XL=1.92kg。フューチュラ Pro 40と比べると220〜300g重い計算です。ただし素材はメイン部にbluesign®認証の420Dリサイクルナイロン(PFASフリーDWR)、ボトム部に同認証の500Dリサイクル高強度ナイロンを採用しており、地面に置く底部だけ生地を強くする構成になっています。レインカバーは標準装備。参考価格は¥31,000(税込・定価¥34,100からの割引価格/2026年8月11日確認時点)です。

編集部の見立て:背面長の数値が公表されているかどうかは、通販で買う人にとっては決定打です。編集部としては、店頭で背負えないならケストレル 38、背負えるならフューチュラ プロ 40、という分け方をおすすめしています。

ドイター フューチュラ プロ 36は、軽さで選ぶ一段小さい選択肢である

フューチュラ プロ 36(型番D3401326-1013)とは、容量36L・重量1,590gの、プロ 40より一段小さいモデルである。サイズは69×32×24cm。40との差は高さ1cmと容量4Lです。

数字を並べると不思議に見えます。4L小さくして、軽くなったのは30gだけ。1cmしか縮んでいない。ここから読み取れるのは、両モデルの差が「背面構造ではなく収納容積」に集中しているという事実です。背負い心地は同系統、入る量だけが違う。

では誰が36Lを選ぶのか。小屋泊が1泊中心で、荷物を絞る習慣がある人です。モンベル公式の小屋泊目安「30〜40L」のなかでは中央から下寄りにあたるため、2〜3泊で食料が増える計画には向きません。レインカバーは標準装備、参考価格は¥30,800(税込/2026年8月11日確認時点)で、プロ 40との価格差は1,100円です。

メモ:容量4Lの差は、2Lペットボトル2本ぶん。フリース1枚と行動食2日分、といったイメージです。この差を「余裕」と見るか「無駄」と見るかが、36Lと40Lの分かれ目になります。

40Lの外側も見ておく。上は48L、下は22Lで役割が変わる

40Lが自分に合わないと判明したとき、次にどこを見るか。上下の境界も押さえておきましょう。

上側:オスプレー ケストレル 48

ケストレル 48(型番OS50382001004)とは、S/Mで46L・L/XLで48Lの、小屋泊まりの2〜3日を想定したモデルである。オスプレー公式は用途を「小屋泊まりの2、3日の登山、ハイキング、旅行」と案内しています。重量はS/M=2.01kg、L/XL=2.09kg。背面長のレンジはケストレル 38と共通で、S/M=43〜53cm、L/XL=48〜58cmです。素材構成も38と同系統で、メインがbluesign®認証420Dリサイクルナイロン、ボトムが同500D高強度ナイロン。参考価格は¥34,000(税込・定価¥37,400からの割引価格/2026年8月11日確認時点)です。

ここで注意したいのが、48Lでもテント泊の公式目安「50L以上」には届いていないという点。48は「小屋泊の余裕枠」であって、テント泊の主力容量ではありません。将来テント泊に進む可能性が高く、いまは小屋泊を長めに歩きたい——そういう人の受け皿です。

下側:ノースフェイス Mayfly Pack 22

Mayfly Pack 22(型番NM62376)とは、容量22L・重量約200gのパッカブルデイパックである。素材は40Dダブルリップストップナイロンと100Dマットツイルリップストップナイロン、サイズ展開はONE SIZE。参考価格は¥9,460(税込/2026年8月11日確認時点)です。

約200gという数字が異質ですよね。フューチュラ プロ 40のおよそ8分の1。卵3〜4個ぶんの重さしかありません。モンベル公式の日帰り目安「20〜25L」にちょうど収まる容量で、40Lとは完全に用途が分かれます。40Lを買った人が2本目として持つ、あるいは小屋に荷物を置いて空身で山頂を往復する日のサブとして機能する立ち位置です。

注意:Mayfly Pack 22のレインカバー付属については、公式ページで記載を確認できませんでした。本記事では「未確認」として扱います。雨天の使用を前提にする場合は、購入前に公式サイトで最新の仕様をご確認ください。

ついでに:小屋泊の「着替え」で意外と場所を取るもの

モンベル公式が挙げる小屋泊の増分装備には「着替え」が含まれます。この着替えのなかで、かさばる割に軽視されがちなのが靴下です。

キャラバンのメリノウール パイルソックス(品番0142003)は、メリノウール69%・ナイロン23%・ポリウレタン8%の混紡で、重量は約100g(Mサイズ標準・ペア)。サイズはS(22.0-24.0cm)、M(24.0-26.0cm)、L(26.0-28.0cm)の3展開です。参考価格は¥2,365(税込/2026年8月11日確認時点)。40Lのザックに予備を1〜2足入れても、重量で言えば200g前後の話です。なお、保温性能を数値で示すデータはメーカー公式ページに記載がなく、編集部としても性能の断定はしません。

40Lが向かない人と、そのときのデメリット

ここまで40Lの使いどころを書いてきましたが、向かない人のほうがむしろ多いかもしれません。当てはまる場合は、素直に別の容量帯を見てください。

デメリット1|日帰りには明確に大きすぎる

モンベル公式の日帰り目安は20〜25L。40Lは倍近い容量です。中身が少ないザックは荷物が動いて安定せず、本体重量1.6kg前後が丸ごと無駄になります。日帰りが8割なら、20〜30L帯を選んだほうが快適です。

デメリット2|テント泊には10L足りない

テント泊の公式目安は50L以上。40Lにテント・寝袋・マット・調理器具を詰め込むには、外付けを多用するか、装備を極端に絞る必要があります。「兼用できるはず」という期待で40Lを選ぶのが、いちばんありがちな失敗です。

デメリット3|本体重量が容量の割に効いてくる

40L帯の本体重量は1.6〜2.1kg前後。日帰り用の200g級と比べると、歩き出す前から1.4kg以上のハンデを背負っています。荷物を軽くする工夫をしても、この基礎重量は減らせません。

デメリット4|背面長が合わないと容量の意味が消える

繰り返しになりますが、40Lは荷重が大きい容量帯です。腰70%・肩30%という理想配分(オスプレー公式)が崩れると、同じ荷物でも体感の負担は大きく増えます。試着なしで買う場合は、背面長の数値が公表されているモデルを選ぶこと。

編集部の見立て:「40Lで全部いける」と書いてある記事は探せばあります。ただ編集部の整理では、公式目安から10L以上外れた使い方は、経験を積んでから自己判断でやることです。最初の1本の選び方としては勧めません。

よくある質問

Q. 40Lでテント泊はできますか?

モンベル公式のテント泊推奨容量は50L以上です。40Lはこの目安を10L下回ります。テント・寝袋・マット・調理器具・バーナー・ランタンなど「衣食住のすべてを背負う」のがテント泊で、本記事では40Lでのテント泊は推奨しません。テント泊を前提にするなら、容量帯を変えて選び直すのが確実です。

Q. ケストレル 38は36Lなのに、なぜ「38」という名前なのですか?

オスプレー公式によると、ケストレル 38は背面長サイズによって容量が変わり、S/M=36L、L/XL=38Lです。製品名は大きいほうのサイズの容量を採っています。つまりS/Mを選んだ場合、実際の容量は36Lになります。同じ構造はケストレル 48にもあり、こちらはS/M=46L、L/XL=48Lです。

Q. 背面長は自分ひとりで測れますか?

ドイター公式は「自然に直立した状態で計測する(前傾したり反らしたりすると誤差が出る)」と案内しており、正確に測るには誰かに手伝ってもらうのが確実です。第七頸椎を0とし、ウエストに巻いたひもと背骨が重なる点までを、背骨の曲線に沿って測ります。オスプレー公式は終点を「腰骨上端」と表現しています。

Q. 山小屋泊に寝袋は必要ですか?

モンベル公式「登山装備ガイド 泊まり登山編」は、山小屋には布団が用意されていることが多いため寝袋もマットも不要としています。ただし同社「バックパックの選び方」では山小屋泊の装備例に寝袋も挙げられており、資料によって案内が分かれます。衛生面からインナーシーツがあると安心で、山小屋によっては持参が必須とも案内されています。宿泊先ごとの規定は変わるため、予約時に公式の案内を確認してください。

Q. 36Lと40L、迷ったらどちらですか?

本記事の候補で言えば、フューチュラ プロ 36(36L・1,590g)とフューチュラ プロ 40(40L・1,620g)の差は容量4L・重量30g・価格1,100円(2026年8月11日確認時点)です。小屋泊が1泊中心で荷物を絞れるなら36L、2〜3泊や食料が増える計画があるなら40L。重量差が小さいぶん、迷ったときは泊数のほうを基準にすると決めやすくなります。

まとめ|今日やることは「背面長を測る」の1つだけ

40Lは、山小屋泊レンジの上限側という、はっきりした役割を持つ容量です。日帰りには大きく、テント泊には足りない。その代わり、寝具を持たない1〜3泊にはよく効きます。

泊数と寝具の有無で容量帯を決める → 背面長で選べるモデルを絞る → 本体重量で1つ選ぶ。この順番なら、40L前後の候補は3つ以下になります。

最後に、今日のうちに進められることを3ステップに分けました。商品ページを開くのは3番目です。

  1. 背面長を測る。第七頸椎から腰骨上端まで、背骨の曲線に沿って。直立姿勢で、誰かに手伝ってもらう。数値をメモしておく。
  2. 早見表で自分の行を決める。次に行く山行の泊数と、寝袋を持つか持たないか。この2つで容量帯が出ます。
  3. 容量帯と背面長の両方に合うモデルだけを見る。ケストレルは数値レンジ(S/M=43〜53cm、L/XL=48〜58cm)、フューチュラ Proは5段階調整。順序を守れば、候補は自然と絞れます。

容量の全体像から見直したい方は登山ザックの選び方へ、寝具側から容量を逆算したい方は寝袋の選び方へ進んでください。価格・仕様は変動するため、購入前には必ず各メーカーの公式サイトで最新情報をご確認ください。

参考・出典

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