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日帰りの低山や富士登山、雪の無い季節のハイキングなら、片足575gのレネゲード X GT MIDが公式の用途にいちばん素直に合います。長い縦走路やテント泊なら870gのタホープロ II GTか815gのティカム EVO GT、残雪期にかかとのゲイターが欲しい人には845gのチェベダーレ PRO GTと、ローバーはモデルごとにメーカーのうたう用途がはっきり分かれています。足幅が気になる人は名前に「WXL(ワイド)」が付くモデルを、日本人の足型を意識したモデルを探す人は「JAPAN FIT」のタホープロ II GTを、まず試す候補に入れてください。
ローバー(LOWA)はドイツの登山靴ブランドで、日本の正規輸入元はイワタニ・プリムスです。同社の公式オンラインショップには、商品ごとに片足の重量(UK8)・防水膜・アウトソールの名前・ラスト(足型)・メーカーの用途が書かれています。ここに並ぶ数字をそろえて読めば、「どれが軽いか」「どれが雪に寄っているか」は、評判を読まなくても判断できます。
ただし、公表値だけでは決まらないことが2つあります。1つは足に合うかどうか。ローバーのサイズはUK表記で、幅の数値は公式に出ていません。もう1つは冬の使い方です。アイゼンの取り付けについて商品ページに書かれているモデルは限られます。この2点は、公表値で候補を2〜3足に絞ったあと、取扱店で確かめる項目として整理しました。
以下、7モデルの比較表、重さの差の計算、用途の判定表、サイズの換算、ソールの張り替えまで、読者が店に行く前に決めておけることを順に並べます。
- 日帰りの低山・富士登山・無雪期は、公式の用途表示どおりレネゲード X GT MID(575g)が第一候補。足幅が気になるならバルド LT GT WXL(700g・ワイドラスト)
- 長い縦走・テント泊は、タホープロ II GT(870g・JAPAN FIT)とティカム EVO GT(815g・レギュラー/WXL)の2系統から足型で選ぶ
- 残雪期を視野に入れるならチェベダーレ PRO GT(845g)。ただしアイゼンの対応は商品ページに書かれていない
- レネゲード X GT MIDとタホープロ II GTの差は片足295g、両足で590g。荷物の重さと歩く時間で、この差を払う価値があるかを決める
- イノックス EVO II GT LO(360g)は、メーカーの用途がスピードハイキングやマウンテンバイクツーリングで、登山靴としての用途表示ではない
- サイズはUK表記。公式の換算表ではUK8=26.5cm、注記に「ソックス着用時26.0cmの方はUK7Hが目安」とある
- ソールの張り替えは製法で可否が決まる。ボードラスティング製法は交換可能、インジェクション製法の登山靴は不可というのが公式の説明
ローバーの登山靴は用途で分かれる|公式の値で7モデルを並べた比較表
まずは全体像です。イワタニ・プリムス公式オンラインショップの「Trekking/Hiking」と「Alpine Mountain」の一覧に掲載されているモデルのうち、商品ページで仕様を読める7モデルを同じ項目で並べました。重量はすべて公式表記の「片足・UK8」です。
| モデル | 品番 | 片足重量(UK8) | 防水膜 | アウトソール | ラスト | アイゼンの記載 | メーカーの用途 | ソール張り替え |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| レネゲード X GT MID | L510807 | 575g | ゴアテックス | ヴィブラム EVO | レギュラー | 記載なし | 低山ハイクから、富士登山、無雪期のトレッキング | 記載なし |
| バルド LT GT WXL | L011619 | 700g | ゴアテックス | ヴィブラム TracLite II | WXL(ワイド) | 記載なし | 日本アルプスの3シーズン登山から低山まで | 可能 |
| ティカム EVO GT | L210606 | 815g | ゴアテックス | ヴィブラム ALP TRAC NUMEN | レギュラー | センターバー(フレックスバー)付きを推奨 | アルプス縦走、テント泊登山などに適したオールラウンド登山靴 | 可能 |
| ティカム EVO GT WXL | L210609 | 815g | ゴアテックス | ヴィブラム ALP TRAC NUMEN | WXL(ワイド) | ティカム EVO GTと同じ | 同上(アルプス縦走、テント泊登山) | 可能 |
| チェベダーレ PRO GT | L211054 | 845g | ゴアテックス | ヴィブラム SCALATORE EVO | レギュラー | 記載なし | 登山向けのアルパインブーツ。ヒールのネオプレーンゲイターで残雪期の登山にも対応 | 可能 |
| タホープロ II GT | L010609 | 870g | ゴアテックス | ヴィブラム Masai | JAPAN FIT | 記載なし | 長い縦走路でも快適さを保つバックパッキング/トレッキング向け | 可能 |
| イノックス EVO II GT LO | L311416 | ページ表記360g | ゴアテックス | ローバー ENDURO EVO II | レギュラー | 記載なし | スピードハイキングやマウンテンバイクツーリングなど様々なアウトドアアクティビティに適したローカットシューズ | 記載なし |
出典:イワタニ・プリムス公式オンラインショップの各商品ページ(2026年10月23日確認)。品番は商品コード「品番-色-サイズ」の先頭部分です。
表の「記載なし」は、商品ページにその項目が書かれていないという意味で、「できない」「対応していない」という意味ではありません。アイゼンの取り付け、ソールの張り替え、足首まわりの高さ(カットの名称はレネゲード X GT MIDのMIDとイノックスのローカット以外は書かれていません)、幅の数値、滑りにくさの数値は、どれも公式の商品ページから読み取れない項目です。こうした項目は、取扱店で現物を手に取って確かめるしかありません。以降の節ではこの前提を繰り返さず、「記載なし」とだけ書きます。
表を縦に読むと、7モデルすべての防水膜がゴアテックスで、違いはほぼ「重さ」「ソール」「ラスト」「用途」の4つに集まります。ローバーで迷ったときは、まず用途の欄で候補を2つに絞り、次にラストの欄で試す順番を決めると、店での試し履きが短く済みます。買った靴を山で初めて履く前にどのくらい慣らしておくかは、登山靴の慣らし履きは必要かで整理しています。
ブランドの比較でいちばん頼りになるのは、メーカー自身が書いた「用途」の一文だと考えています。重量は軽いほど楽に見えますが、メーカーが想定していない山に軽い靴を持ち込むと、足首やソールの硬さが足りない場面が出ます。用途の欄を先に読むのは、その食い違いを避けるためです。
重さの差を両足で計算する
片足の数字は小さく見えますが、登山靴は両足で一日中持ち上げる道具です。公表値(UK8・片足)を2倍にし、いちばん軽い登山向けのレネゲード X GT MIDとの差を出しました。
| モデル | 両足の重量 | レネゲード X GT MIDとの差(両足) | レネゲード X GT MIDの何倍 |
|---|---|---|---|
| レネゲード X GT MID | 1,150g | — | 1.00倍 |
| バルド LT GT WXL | 1,400g | +250g | 約1.22倍 |
| ティカム EVO GT/WXL | 1,630g | +480g | 約1.42倍 |
| チェベダーレ PRO GT | 1,690g | +540g | 約1.47倍 |
| タホープロ II GT | 1,740g | +590g | 約1.51倍 |
| (参考)イノックス EVO II GT LO | 720g | −430g | 約0.63倍 |
計算はすべて公表値(UK8・片足)の2倍で、サイズが変われば実際の重量も変わります。それでも比べ方としては十分に使えます。たとえばティカム EVO GTとタホープロ II GTの差は片足55g、両足で110gにすぎません。この2足で迷う人は、重さではなく足型(レギュラー/WXLか、JAPAN FITか)で決めて差し支えない、ということが計算から見えてきます。
反対に、レネゲード X GT MIDとタホープロ II GTの両足590gの差は、500mlのペットボトル1本分を超える重さです。足元の590gは、日帰りの軽い荷物なら削りたい重さで、重い荷物を背負う縦走なら「足首と靴底の支え」と引き換えに払う重さ、と読むのが妥当でしょう。


日帰りの低山・富士登山ならレネゲード X GT MID、足幅が気になればバルド LT GT WXL
日帰りの低山、夏の富士登山、雪の無い季節のトレッキング。この3つが山行の中心なら、選択肢はほぼ2足に絞れます。
1足目はレネゲード X GT MID(品番L510807)です。商品ページの用途は「低山ハイクから、富士登山、無雪期のトレッキングに対応したハイキングブーツ」。公表値は片足575g(UK8)、防水膜はゴアテックス、アウトソールはヴィブラム EVO、ラストはレギュラーです。軽さを優先して、日帰りの山を雪の無い季節に歩く人には、メーカーの用途表示がそのまま当てはまるモデルです。
2足目はバルド LT GT WXL(品番L011619)です。用途は「日本アルプスの3シーズン登山から低山まで」と、レネゲード X GT MIDより一段広く書かれています。片足700g(UK8)でレネゲード X GT MIDより125g重く、アウトソールはヴィブラム TracLite II、素材はスウェードレザー、ラストは「WXL(ワイド)」と書かれています。
日帰り2足の分かれ目:レネゲード X GT MIDは「軽さ」、バルド LT GT WXLは「ワイドラストと、夏の日本アルプスまで伸ばせる用途表示」。両足の差は250gです。低山と富士山だけならレネゲード X GT MID、いずれ夏のアルプスにも行きたい人や幅が窮屈になりやすい人はバルド LT GT WXLから試す、という順番が公表値から組み立てられます。
WXLの付かない「バルド LT GT」(品番L011622)も公式オンラインショップに掲載されています。商品ページの公表値は片足700g(UK8)、ヴィブラム TracLite II、ソールの張り替えは「可能」で、違いはラストが「レギュラー」と書かれている点です。同じバルドでも、幅が窮屈になりやすい人はWXL、そうでない人はレギュラーから試すと、重さを変えずに足型だけを比べられます。
レネゲードについてもう1点。公式オンラインショップの「Trekking/Hiking」の一覧(全26件)に載っているのは「レネゲード X GT MID」とローカットの「レネゲード EVO GT LO」(WXL・Wsを含む)で、Xの付かない「レネゲード GT MID」は一覧に見当たりません。名前が似ていても別のモデルなので、ネットで見かけた古い仕様をレネゲード X GT MIDに当てはめないようにしてください。
ミッドカットの靴を選ぶか、ローカットで足りるかは、行く山と荷物の重さで変わります。国立登山研修所の安全登山ハンドブックは、ハイキングブーツを「ミッドカットで足首を保護」するものと説明しています。カットの高さで迷う人は登山靴のハイカットとローカットを行く山と荷物で決める記事で、先に自分の山行の条件を整理しておくと、ここでの選択が楽になります。
イノックス EVO II GT LOは「登山靴」ではなくローカットのアウトドアシューズ
ローバーの一覧で目を引く軽さが、イノックス EVO II GT LO(品番L311416)です。ページ表記は片足360g(UK8)、ゴアテックス、アウトソールはローバー ENDURO EVO II、レギュラーラストのローカットです。
ここで押さえておきたいのは、メーカーの用途表示です。商品ページには「スピードハイキングやマウンテンバイクツーリングなど様々なアウトドアアクティビティに適したローカットシューズ」と書かれています。登山靴としての用途表示ではありません。レネゲード X GT MIDの「低山ハイクから、富士登山」のような山の名前や季節の記載も無く、軽いローバーを探す人がいちばん迷いやすい1足です。
向くのは、整備された遊歩道や公園の山道、標高差の小さいハイキングコースを、荷物を軽くして歩く人です。岩場やガレ場のある山、重い荷物の日には、上の2足を先に検討してください。
360gという数字に引かれて「これで低山も全部いける」と考えるのは早いと思います。メーカー自身が山の名前を出していない靴を、山の靴として紹介する理由はありません。整備された道を軽く歩く日の靴、と割り切れる人にだけ候補になる1足です。
判定表|日帰り・重い荷物の縦走・残雪期をモデルごとに早見する
ここまでの公表値を、山行の条件ごとの判定にまとめました。記号は「メーカーの用途表示と公表値に合う度合い」で、足への合い具合や滑りにくさは含みません。荷物の重さの目安は公式に書かれていないため、「重い荷物の縦走・岩場」の列は、用途表示と重量・ソール構成からの編集部の判断です。
| モデル | 日帰りの低山・無雪期 | 重い荷物の縦走・岩場 | 残雪期・雪山入門 | 理由(公表値・公的な説明だけ) |
|---|---|---|---|---|
| レネゲード X GT MID | ◎ | — | — | 575g。用途は低山ハイク・富士登山・無雪期。アイゼンは記載なし |
| バルド LT GT WXL | ◎ | △ | — | 700g。用途は日本アルプスの3シーズン登山から低山まで。WXL(ワイド)ラスト |
| タホープロ II GT | ○ | ◎ | — | 870g。用途は長い縦走路向けのバックパッキング/トレッキング。JAPAN FIT |
| ティカム EVO GT/WXL | △ | ◎ | △ | 815g。用途はアルプス縦走・テント泊。アイゼンはフレックスバー付きを推奨との記載。雪山の用途表示は無い |
| チェベダーレ PRO GT | △ | ○ | △(残雪期) | 845g。アルパインブーツで、ヒールのゲイターにより残雪期の登山にも対応と説明。アイゼンは記載なし |
| イノックス EVO II GT LO | ○(整備道) | — | — | 360g(ページ表記)。用途はスピードハイキングやマウンテンバイクツーリング。登山の用途表示ではない |
判定の読み方:「—」はメーカーの用途表示がその条件に触れていないという意味です。残雪期・雪山入門の列に◎が1つも無いのは、7モデルのどれにも「雪山用」の用途表示が無いからで、編集部が厳しめに付けたわけではありません。雪の上で使う靴を探しているなら、この表の外の条件(アイゼンが着くかどうか)を必ず確かめる必要があります。
表を横に読むと、「日帰りに◎が付くモデル」と「縦走に◎が付くモデル」は重ならず、両方に○以上が付くのはタホープロ II GTだけです。日帰りも縦走も1足で済ませたい人にとっては、タホープロ II GTが妥協点になります。一方で、山行のほとんどが日帰りなら、870gを毎回履く理由は薄くなります。
縦走・テント泊・残雪期は「荷物・足型・残雪期」の順でタホープロ II GTとチェベダーレ PRO GTを比べる
重い荷物を背負う山行の靴は、日帰り靴より選び方の順番が大切です。1つ目は荷物の重さで、テント泊の装備を背負うなら、用途表示に「縦走」「テント泊」「バックパッキング」の語があるモデルから選びます。2つ目は足型で、同じ用途のモデルでもラストが違えば試す順番が変わります。3つ目が残雪期で、春の雪が残る稜線まで1足で行きたいかどうかで、候補が1つ増えます。この3つを順に当てはめると、ローバーではタホープロ II GT、ティカム EVO GT(とWXL)、チェベダーレ PRO GTの4足に絞れます。
まず、日本人の足型を意識したモデルから試したい人。タホープロ II GT(品番L010609)は、比較表の中でラストが「JAPAN FIT」と書かれているただ1つのモデルです。用途は長い縦走路でも快適さを保つバックパッキング/トレッキング向けで、「足首の屈曲性を高める設計」とも説明されています。片足870g(UK8)、アウトソールはヴィブラム Masai、ソールの張り替えは「可能」の記載があります。長く使うつもりの縦走靴を、張り替えまで含めて考えたい人に向きます。
女性用のタホープロ II GT Ws(品番L020607)も公式オンラインショップに掲載されています。商品ページの公表値は片足720g(UK5)、ラストは「WOMEN'S JAPAN FIT」、アウトソールは男性用と同じヴィブラム Masaiです。男性用と同じ用途の靴を、女性用の足型で探したい人の候補です。
次に、残雪期まで1足で延ばしたい人。チェベダーレ PRO GT(品番L211054)は「Alpine Mountain」の一覧に入るアルパインブーツで、ヒールのネオプレーンゲイターによって「残雪期の登山にも対応」と説明されています。片足845g(UK8)、アウトソールはヴィブラム SCALATORE EVO、ラストはレギュラー、ソールの張り替えは「可能」。ただしアイゼンの取り付けについては記載なしです。雪の残る稜線を歩く計画がある人は、自分のアイゼンを持って取扱店で当ててみることを前提に選んでください。
ティカム EVO GT(品番L210606)とティカム EVO GT WXL(品番L210609)も、縦走の有力候補です。用途は「アルプス縦走、テント泊登山などに適したオールラウンド登山靴」、片足815g(UK8)、アウトソールはヴィブラム ALP TRAC NUMEN、素材はスウェードレザーです。アイゼンについて商品ページに記載があるのは7モデルの中でティカムだけで、「柔らかいソールに対応したセンターバー(フレックスバー)付きを推奨」と書かれています。レギュラーとWXL(ワイド)の2つの足型が同じ用途・同じ重量で並んでいるので、足幅で迷う人が「同じ靴の幅違い」を履き比べられるのはティカムの強みです。
縦走靴で失敗しやすいのは、重さの差を気にしすぎて、足型の差を後回しにすることです。ティカムとタホープロ II GTの差は両足で110g。この程度の差より、9時間歩いた後半に指が当たるかどうかのほうが、山の上ではずっと大きな問題になります。試す順番は足型で決めてください。
ちなみに、チェベダーレ II GT(Ws含む)やカミーノ EVO GT WXLは、イワタニ・プリムスの旧形式の製品ページに掲載がありますが、公式オンラインショップの一覧には見当たりません。チェベダーレ PRO GTとチェベダーレ II GTは別のモデルなので、ネット上の重量や仕様を混同しないようにしてください。現行の取り扱いかどうかは取扱店で確かめるのが確実です。
雪の上で使うなら、アイゼンが着くかを靴の形で確かめる
判定表の「残雪期・雪山入門」の列に◎が無かったように、ローバーの7モデルはどれも「雪山用」とうたわれてはいません。残雪期に対応すると書かれているのはチェベダーレ PRO GTのヒールのゲイターについての説明で、アイゼンの記載があるのはティカムのフレックスバー付き推奨だけです。
では、何を見ればよいのか。国立登山研修所の安全登山ハンドブック(2024年版)は、靴を山・コースの難易度、自然環境、季節に合わせて使い分けるものとしたうえで、岩場や雪渓を想定したハードトレッキングブーツには「アイゼン装着用の踵コバがあるタイプもある」と説明しています。アイゼンが着くかどうかは、靴底のかかと(とつま先)にコバと呼ばれる張り出しがあるか、靴底がどれだけ曲がりにくいかで決まる、という見方です。
- かかとの後ろに、アイゼンのレバーを掛けられる張り出し(コバ)があるか
- つま先側にも張り出しがあるか、それともつま先は丸く張り出しが無いか
- 手で靴底を前後に曲げたとき、曲がりやすいか、ほとんど曲がらないか
- 持っている(または買う予定の)アイゼンの金具の形が、その靴底の形に合うか
このチェックで当てはめ方を決めるのは、アイゼンの種類のほうです。チェーンスパイク・軽アイゼン・12本爪のどれを使うかで、靴に求める条件が変わります。使い分けの基準は軽アイゼンとチェーンスパイク・12本爪の使い分けを条件で決める記事で整理しています。
手持ちの3シーズン靴で、どこまで雪の山に行けるのか。冬靴が必要になる条件は靴の名前ではなく、気温・雪の量・アイゼンの種類の組み合わせで決まります。ローバーの縦走靴を残雪期にも使うつもりの人は、雪山の登山靴の選び方と、3シーズン靴で行ける限界をまとめた記事を先に読んでおくと、チェベダーレ PRO GTが必要か、ティカムやタホープロ II GTで足りるかの線が引きやすくなります。
サイズはUK表記|換算表で当たりをつけ、WXLとJAPAN FITは店で履き比べる
ローバーの靴のサイズはUK表記です。イワタニ・プリムスの製品ページには「ローバーサイズ換算表」があり、UKとcmの対応が載っています。主なサイズを抜き出しました。
| UK | cm | UK | cm |
|---|---|---|---|
| UK6H | 25.2cm | UK8H | 26.9cm |
| UK7H | 26.0cm | UK9 | 27.3cm |
| UK8 | 26.5cm | UK10 | 28.1cm |
出典:イワタニ・プリムス「ローバーサイズ換算表」(製品ページ・2026年10月23日確認)。表全体はUK2H=21.8cmからUK11=29.0cmまでで、製品ごとに掲載されているサイズの範囲は異なります。
換算表には「ソックス着用時26.0cmの方はUK7Hが目安」という注記があります。表ではUK7Hが26.0cmなので、靴下を履いた足の長さとUKの表記をそのまま合わせる、という読み方です。普段の靴の表記サイズではなく、登山用の靴下を履いた状態で測った足の長さを換算表に当てるのが出発点になります。LOWAの本国公式サイトにも足長(mm)とUK・EU・JPの換算表と計測ガイドがありますが、日本で買うなら日本の製品ページの表を使ったほうが、店頭の表記と食い違いません。
「登山靴は1cm大きめ」という言い方をそのままローバーに当てはめないでください。換算表の注記は「ソックス着用時の足の長さ」を基準にしています。普段の靴の表記から機械的に1cm足すと、換算表の想定より大きなサイズを選ぶことになりかねません。サイズの考え方の根拠は「1cm大きめ」がメーカー公式ではどうかを確かめた記事にまとめています。
足型の表記は3種類です。タホープロ II GTが「JAPAN FIT」、バルド LT GT WXLとティカム EVO GT WXLが「WXL(ワイド)」、レネゲード X GT MID・ティカム EVO GT・チェベダーレ PRO GT・イノックス EVO II GT LOが「レギュラー」。ただし、幅の数値(E表記など)は公式に出ていません。「ワイド」が何mm広いのか、JAPAN FITがレギュラーとどう違うのかは、数字では比べられないということです。
だからこそ、試し履きの段取りが効いてきます。足幅が気になる人は、同じ用途のレギュラーとWXLを左右で履き比べられるティカムから始めると、自分の足がどちらに寄っているかが分かります。足囲の実寸の測り方と、3E・4Eといった日本の表記との付き合い方は登山靴の幅広モデルを足囲の実寸で選ぶ記事が参考になります。
- 夕方、登山で履く靴下を履いた状態で、足の長さと足囲を左右とも測る(長い方の足を基準にする)
- 換算表で長さに近いUKサイズを1つ選び、その前後のハーフサイズも候補に入れる
- 店では同じ用途のモデルを2足(たとえばレギュラーとWXL、またはティカムとタホープロ II GT)に絞り、同じUKサイズで履き比べる
残雪期のチェベダーレ PRO GTや、冬にも縦走靴を使うつもりの人は、試し履きに持っていく靴下を季節に合わせてください。厚手の靴下で履くつもりの靴を薄い靴下で合わせると、冬に履いたときに窮屈になります。たとえばモンベルのメリノウール アルパインソックス(#1118418)は、ウール63%の極厚手で、メーカーの適した用途は「厳冬期対応ブーツ」です。冬に履く厚みの靴下を1足決めて、その靴下で試すのが確実です。
靴下の厚みの区分と、冬靴との組み合わせ方はメリノウールソックスの厚み区分と冬靴との相性をまとめた記事にあります。
レディース(Ws)モデルは公式の一覧で探す
公式オンラインショップの一覧には、女性用(Ws)のモデルが並んでいます。品名と品番が掲載されているのは、タホープロ II GT Ws(L020607)、レネゲード X GT MID Ws(L520807)、チェベダーレ PRO GT Ws(L221054)のほか、バディア LT GT Ws(L021623)、バディア LT GT WXL Ws(L021621)、ラベーナ EVO GT Ws(L220603)/WXL(L220605)、マウリア EVO GT Ws(L220721)などです。
このうち、男性用と同じ名前を持つ3足のWsは、商品ページに重量とラストが書かれています。Wsの重量はUK5の片足で、UK8で書かれた男性用とは基準のサイズが違う点に注意してください。
| モデル | 品番 | 片足重量(UK5) | ラスト | アウトソール |
|---|---|---|---|---|
| レネゲード X GT MID Ws | L520807 | 480g | WOMEN'S | ヴィブラム EVO |
| チェベダーレ PRO GT Ws | L221054 | 715g | WOMEN'S | ヴィブラム SCALATORE EVO |
| タホープロ II GT Ws | L020607 | 720g | WOMEN'S JAPAN FIT | ヴィブラム Masai |
出典:イワタニ・プリムス公式オンラインショップの各Ws商品ページ(2026年10月23日確認)。
Wsモデルの重量や素材は、男性用の数値から読み替えないでください。同じ名前でも木型とサイズの基準が違うため、Wsの商品ページの記載が基準になります。女性の登山靴を用途・足の実寸・重さの3つで選ぶ考え方は、登山靴レディースの選び方と主要モデルの比較表で整理しています。ローバーのWsを、他ブランドの女性用モデルと並べて考えたい人はこちらも合わせてどうぞ。
ソールで分かるのは名前と設計の考え方まで|張り替えは製法で決まる
ローバーの登山靴について「滑りやすいのでは」と気にする人は少なくありません。公式の情報で言えることは、アウトソールの名前と、その設計の考え方までです。
比較表の7モデルのうち6つはヴィブラムのソール(EVO・TracLite II・ALP TRAC NUMEN・SCALATORE EVO・Masai)で、イノックス EVO II GT LOだけがローバー自社の「ENDURO EVO II」です。ローバー自社のソールについて、公式はモデルごとの用途・環境を想定してラグパターン(靴底の凹凸)とゴムの配合を開発・調整している、と説明しています。一方で、滑りにくさの数値や、あらゆる路面での性能を保証する記載はありません。
滑りの不安への向き合い方:公式の数値が無い以上、「どの靴が滑らないか」ではなく「自分の山にどんな路面があるか」から店頭で確かめる項目を決めるほうが確実です。濡れた岩や木道、落ち葉の積もった下り坂を歩く予定があるなら、その路面を店員に伝え、靴底の凹凸の深さと形を実物で見比べてください。
ソールの張り替え(リソール)について、イワタニ・プリムスのFAQは「ボードラスティング製法は交換可能、インジェクション製法の登山靴は不可」と説明しています。靴本体の傷み具合によっては受付できない場合もあり、個別モデルの可否は製品ページのSpecで確かめるよう案内されています。比較表では、タホープロ II GT・バルド LT GT WXL・ティカム EVO GT/WXL・チェベダーレ PRO GTの5足が「可能」、レネゲード X GT MIDとイノックス EVO II GT LOは記載なしです。
張り替えの費用と納期は、公式の案内には書かれていません。相談先は購入した販売店か、公式のLOWA取扱店です。長く履く前提の縦走靴を選ぶなら、買う前に張り替えの可否を確かめておくと、数年後にソールがすり減ったときの選択肢が「買い替え」だけになりません。
張り替えの流れや、張り替えられる靴の見分け方は登山靴のソール張り替えの費用と納期、見分け方をまとめた記事で詳しく扱っています。ソールが残っていても、アッパーや接着の劣化で張り替えより買い替えが向く場合もあるので、合わせて確認してください。
レネゲード X GT MIDに張り替えの記載が無いことは、軽い日帰り靴を選ぶときの小さくない分かれ目だと見ています。ソールを替えて長く履く道具として考えるのか、すり減ったら買い替える道具として考えるのか。どちらが正解というより、買う前にどちらのつもりかを決めておくことが大事です。
取扱店はLOWA Shoplistで探し、在庫と試し履きを店で確かめる
ローバーの登山靴を買う窓口は2つあります。1つはイワタニ・プリムスの公式オンラインショップ(LOWAカテゴリ)、もう1つは全国の正規取扱店です。取扱店は公式サイトの「LOWA Shoplist」で地域別に探せ、店名・住所・電話番号・取扱カテゴリーが載っています。在庫は店舗ごとに違うため、行く前に電話で確かめるよう公式も案内しています。
取扱カテゴリーを見ておくと、「Alpine Mountain」のチェベダーレ PRO GTを置いている店か、「Trekking/Hiking」が中心の店かの見当がつきます。試したいモデルとUKサイズを伝えて在庫を確かめてから出かければ、店で「そのサイズはありません」となる無駄が減ります。
店で確かめることは、次の5つに絞れます。
- 足首まわりの高さ:カットの名称が商品ページに無いモデルは、履いて足首のどこまで覆われるかを見る
- アイゼン:雪の上で使うつもりなら、自分のアイゼンを持参してかかとのコバとつま先に当ててみる
- つま先とかかと:紐を締めた状態で、下り坂を想定してつま先が当たらないか、かかとが浮かないかを店の傾斜台で確かめる
- 夕方の足:足がむくむ夕方に試す。朝に合わせた靴は、山の後半で窮屈になりやすい
- 靴下:その靴を履く季節の靴下を持っていく。冬や残雪期の靴は厚手の靴下で合わせる
新しい登山靴を、慣らさずにそのまま長い山行に持ち出すのは避けてください。特にソールの硬い縦走靴やアルパインブーツは、足になじむまでに時間がかかります。どのくらい歩けばよいかの目安は、慣らし履きの考え方を整理した記事で確かめてから山の予定を組むと安心です。
よくある質問
Q. ローバーの幅広モデルはどれですか?
モデル名に「WXL」が付くものです。比較表ではバルド LT GT WXLとティカム EVO GT WXLが、商品ページで「WXL(ワイド)ラスト」と書かれています。ただし、幅の数値(何mm広いか、E表記でどのくらいか)は公式に出ていません。レギュラーとWXLが同じ用途で並ぶティカムなら、店で左右を履き比べて自分の足がどちらに合うかを判断できます。
Q. レネゲードとレネゲード Xは何が違いますか?
公式オンラインショップの一覧に掲載されているのは「レネゲード X GT MID」(片足575g・ヴィブラム EVO・レギュラーラスト)と、ローカットの「レネゲード EVO GT LO」です。Xの付かない「レネゲード GT MID」は一覧に見当たりません。ネットで見かけるレネゲードの重量や仕様が、どちらのモデルのものかを確かめてから比べてください。現行の取り扱いは取扱店で確かめるのが確実です。
Q. カミーノ EVO GT WXLやチェベダーレ II GTは今も買えますか?
どちらもイワタニ・プリムスの旧形式の製品ページには掲載がありますが、公式オンラインショップの一覧には見当たりません。チェベダーレ II GTとチェベダーレ PRO GTは別のモデルです。現行で取り扱っているかどうかは、LOWA Shoplistで探した取扱店に問い合わせてください。
Q. ローバーの防水はどのモデルも同じですか?
比較表の7モデルは、すべて防水膜にゴアテックスを使っていると商品ページに書かれています。耐水圧などの数値は公式に出ていないため、モデル間の防水の差を数字で比べることはできません。ゴアテックスの靴が自分の山行に必要か、蒸れとの兼ね合いをどう考えるかは、季節と歩く時間で変わります。
Q. 日本の問い合わせ先はどこですか?
日本の正規輸入元はイワタニ・プリムスです。製品やソールの張り替えについては、購入した販売店か公式のLOWA取扱店が相談先になると、同社のFAQで案内されています。取扱店は公式サイトのLOWA Shoplistで地域別に探せます。
まとめ|ローバーは用途の一文で2足に絞り、足型とアイゼンを店で確かめて決める
ローバーの登山靴は、公式の用途表示がモデルごとにはっきり分かれています。日帰りの低山・富士登山・無雪期ならレネゲード X GT MID(575g)、足幅が気になる人や夏のアルプスまで伸ばしたい人はバルド LT GT WXL(700g)。長い縦走・テント泊なら、JAPAN FITのタホープロ II GT(870g)か、レギュラーとWXLのあるティカム EVO GT(815g)。残雪期まで視野に入れるなら、ヒールのゲイターを持つチェベダーレ PRO GT(845g)が候補になります。
重さの差は、レネゲード X GT MIDとタホープロ II GTで両足590g、ティカムとタホープロ II GTで両足110g。軽い靴と縦走靴の差は大きく、縦走靴どうしの差は小さい、というのが計算から分かることです。縦走靴は重さより足型で選んでください。
公表値で決められるのは「どの2足を試すか」までで、最後の1足を決めるのは店での試し履きです。UKサイズを換算表で当て、季節の靴下を持って、在庫を電話で確かめてから取扱店へ。この順番を踏めば、ローバー選びの迷いはほとんど店の中で片づきます。
ブランド別の登山靴(公式の公表値で比べた記事)
出典
- イワタニ・プリムス公式オンラインショップ LOWAカテゴリ:https://www.iwatani-primus.jp/shop/c/c05/(2026年10月23日確認)
- 同 Trekking/Hiking 一覧:https://www.iwatani-primus.jp/shop/r/r0502/(2026年10月23日確認)
- 同 Alpine Mountain 一覧:https://www.iwatani-primus.jp/shop/r/r0501/(2026年10月23日確認)
- レネゲード X GT MID:https://www.iwatani-primus.jp/shop/g/gL510807-9748-10/(2026年10月23日確認)
- タホープロ II GT:https://www.iwatani-primus.jp/shop/g/gL010609-4597-6/(2026年10月23日確認)
- バルド LT GT WXL:https://www.iwatani-primus.jp/shop/g/gL011619-9742-6/(2026年10月23日確認)
- ティカム EVO GT:https://www.iwatani-primus.jp/shop/g/gL210606-7920-6H/(2026年10月23日確認)
- ティカム EVO GT WXL:https://www.iwatani-primus.jp/shop/g/gL210609-9903-6H/(2026年10月23日確認)
- チェベダーレ PRO GT:https://www.iwatani-primus.jp/shop/g/gL211054-6903-6H/(2026年10月23日確認)
- イノックス EVO II GT LO:https://www.iwatani-primus.jp/shop/g/gL311416-6927-6H/(2026年10月23日確認)
- バルド LT GT:https://www.iwatani-primus.jp/shop/g/gL011622-7920-6/(2026年10月23日確認)
- タホープロ II GT Ws:https://www.iwatani-primus.jp/shop/g/gL020607-4597-3H/(2026年10月23日確認)
- レネゲード X GT MID Ws:https://www.iwatani-primus.jp/shop/g/gL520807-6962-3H/(2026年10月23日確認)
- チェベダーレ PRO GT Ws:https://www.iwatani-primus.jp/shop/g/gL221054-0785-4/(2026年10月23日確認)
- イワタニ・プリムス LOWA Shoplist:https://www.iwatani-primus.co.jp/products/lowa/shop/(2026年10月23日確認)
- イワタニ・プリムス ローバーサイズ換算表(製品ページ):https://www.iwatani-primus.co.jp/products/lowa/items/L210629/index.html(2026年10月23日確認)
- イワタニ・プリムス よくあるご質問(ソール交換):https://www.iwatani-primus.co.jp/support/faq/(2026年10月23日確認)
- イワタニ・プリムス LOWA Rubber Soleの説明(マージャー GT LO製品ページ):https://www.iwatani-primus.co.jp/products/lowa/items/L310431/(2026年10月23日確認)
- LOWA本国公式 サイズチャート:https://lowa.com/en/help/size-chart(2026年10月23日確認)
- 国立登山研修所「安全登山ハンドブック」2024年版:https://www.jpnsport.go.jp/tozanken/Portals/0/images/contents/syusai/2024/handbook2024/2024handbook.pdf(2026年10月23日確認)


