

本ページはプロモーションを含みます。掲載内容は2026年8月19日時点で公表されている一次情報にもとづき、日付については2026年9月4日に山梨県・静岡県・富士登山オフィシャルサイトで再確認しています。
2026年の富士山の閉山日は、吉田・須走・御殿場・富士宮の4ルートとも9月10日です。開山日は吉田・須走が7月1日、御殿場・富士宮が7月10日でした。9月11日からは翌年の開山日まで、五合目〜山頂の登山道は道路法46条にもとづく通行禁止の期間に入ります。
| ルート | 2026年の開山日 | 2026年の閉山日 | 開山期間の日数 | 次の閉山期間 |
|---|---|---|---|---|
| 吉田(山梨) | 7月1日 | 9月10日 (下山道のみ9月11日午前中まで) |
72日間 | 9月11日〜翌6月30日 |
| 須走(静岡) | 7月1日 9:00 | 9月10日 17:00 | 72日間 | 9月11日〜翌6月30日 |
| 御殿場(静岡) | 7月10日 9:00 | 9月10日 17:00 | 63日間 | 9月11日〜翌7月9日 |
| 富士宮(静岡) | 7月10日 9:00 (6合目以上) |
9月10日 17:00 (6合目以上) |
63日間 | 9月11日〜翌7月9日 (5〜6合目は11月上旬頃まで別枠) |
出典:富士登山オフィシャルサイト「登山シーズン:各施設の供用期間」および「閉山期間中の富士登山」、山梨県「令和8年度の富士登山について」(2026年4月27日)、静岡県「令和8年度 富士山の登山規制について」(2026年4月27日)。いずれも確認日:2026年9月4日。閉山期間の終わりの日は、翌年の開山日が公表されると動きます。
9月の連休のカレンダーを見て、「富士山、まだ間に合うのでは」と考える人は毎年いる。夏のあいだ混んでいた山が空きそうで、空気も澄んでくる時期だ。ところが富士山の9月は、混雑が減る月ではない。山そのものの運用が止まる月である。
2026年の開山期間は、吉田・須走・御殿場・富士宮の4ルートすべてが9月10日で終わります(山梨県・静岡県の2026年4月27日付資料/2026年8月19日時点)。そして9月11日以降、五合目から山頂までの登山道は(富士宮口の五合目〜六合目のように、一部で供用が続く区間を除き)道路法46条にもとづく「通行禁止」という扱いになる。ここが、この記事でいちばん誤解が多いところです。
ただし、混ぜてはいけないものがあります。「登山道という道路の通行が禁止されていること」と、「登山という行為に対して両県が出している自粛のお願い」は、法的な性質がまったく違う。この記事は、その線引きと、9月11日を境に何が・いつ閉じるのかを、日付つきで並べることだけを目的にしています。
この記事でわかること
- 2026年の4ルートの開山日・閉山日(すべて閉山は9月10日)
- 「登山道の通行禁止」「登山の自粛のお願い」「装備不十分な人への禁止」の3つの違い
- 閉山後に閉じるもの(山小屋・トイレ・救護所・バス・マイカー規制)の日付
- 五合目周辺だけは10〜11月まで残る施設があること、その残存日数
富士山の「閉山」とは、登山道が道路として閉じることである
富士山の閉山とは、山に鍵がかかることではなく、五合目から山頂までの登山道が、道路として通行禁止の区間に切り替わることを指します。登山道は自然にできた踏み跡ではなく、県が管理する道路として扱われている区間があり、その管理のルールが夏山期間とそれ以外で入れ替わる、という構造です。
富士登山オフィシャルサイト(山梨・静岡の共通ポータル)は、閉山期について「富士山五合目〜山頂の登山道は通行禁止」と書き、その根拠として道路法46条を挙げています。違反した場合には「六月以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金」の可能性がある、とも明記されている。山梨県のFAQ(2026年3月27日更新)も「閉山期間中の登山道は道路法に基づき『通行禁止』冬季閉鎖となっております」という表現です。
つまり、通行禁止という言葉は比喩ではありません。一方で、では「富士山に登ること自体が犯罪になるのか」というと、両県が実際に使っている言葉はそこまで踏み込んでいない。ここを一緒くたにすると、記事も読者も間違えます。整理すると、性質の違う3つの層があります。
9月11日以降の富士山は「3層」で見る
- 登山道の通行=道路法46条にもとづく通行禁止。違反時は六月以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金の可能性(富士登山オフィシャルサイト)
- 登山するという行為=両県ともお願い(要請)の文型。山梨県「控えていただくよう強くお願いしています」/静岡県「おやめいただくようお願いしています」
- 万全な準備をしない登山者=安全確保ガイドライン(令和3年3月改定)上の「禁止」。全登山者向けの一般規定ではなく、対象を限定した書き方


編集部⛰️の見立て:この3層を1枚にしておくと、SNSで流れてくる「閉山後も登れる」「閉山後は違法」のどちらの断言にも乗らずに済みます。強い言葉ほど、どの層の話なのかが抜けています。
2026年の開山期間は、4ルートとも9月10日で終わる
開山期間とは、登山道や施設が夏山として運用される期間のことです。2026年は開山日がルートによって2つに分かれ、閉山日だけが全ルートでそろいます。
| ルート | 県 | 2026年の開山日 | 2026年の閉山日 |
|---|---|---|---|
| 吉田 | 山梨 | 7月1日 | 9月10日(下山道のみ9月11日午前中まで通行可) |
| 須走 | 静岡 | 7月1日 9:00 | 9月10日 17:00 |
| 御殿場 | 静岡 | 7月10日 9:00 | 9月10日 17:00 |
| 富士宮 | 静岡 | 7月10日 9:00(6合目以上) | 9月10日 17:00(6合目以上)/5〜6合目は11月上旬まで別途 |
出典は山梨県および静岡県の2026年4月27日付資料、ならびに富士登山オフィシャルサイトの供用期間表です(2026年8月19日時点)。開山日は7月1日組(吉田・須走)と7月10日組(御殿場・富士宮)に分かれ、閉山日は4ルートとも9月10日でそろう——これが2026年の形です。


数字の面で見落とされやすいのが、吉田ルートの「下山道のみ9月11日午前中まで」という一行です。登りが終わったあとに人を下ろしきるための猶予であって、11日に登り始めてよいという意味ではありません。閉山日は、山頂に立てる最終日ではなく、山の運用が畳まれ始める日だと考えたほうが実態に近い。
編集部⛰️の見立て:2026年の富士登山は、時間帯・料金・手続きが県ごとに違います。開山期間中に行く前提の人は、まず2026年の富士登山ルール(通行料・時間規制・手続き)のまとめで全体像を押さえてから、日程を決めるのが早いです。
「富士山に登れる期間」は、2026年で72日間と63日間だった
登れる期間とは、登山道が夏山として運用されている開山期間のことです。2026年は開山日が2つに分かれたので、登れる日数もルートで2通りありました。閉山日は9月10日でそろっているため、差はそのまま開山日の差になります。
2026年の開山期間の長さ
- 吉田・須走:7月1日〜9月10日=72日間
- 御殿場・富士宮:7月10日〜9月10日=63日間
差は9日です。静岡県が2026年4月27日に出した資料「令和8年度 富士山の登山規制について」には、「今年は吉田ルートと合流する須走ルートの開山日を、山梨県と足並みを揃えて7月1日とし、同日から登山規制を実施します」と書かれています(静岡県 記者発表資料PDF/確認日:2026年9月4日)。須走が吉田と同じ7月1日にそろったのは2026年の変更点で、同じ静岡県内でも御殿場・富士宮とは9日ずれたままです。「静岡県側は7月10日から」と覚えていると、須走だけ間違えます。
もうひとつ、9月10日で閉じるものがあります。静岡県側の入山手続(公式アプリ「静岡県 FUJI NAVI」)の受付期間は、同じ資料に令和8年5月8日〜9月10日と明記されています。手続きの窓口が閉山日と同じ日に終わるということは、9月11日以降は「入山料を払って正規に入る」という選択肢そのものが用意されていない、ということです。
ずれる可能性が書かれているのは開山日の側だけです
静岡県の資料には「開山日は直前の除雪状況によって遅れる可能性があります」、山梨県のページには「7月1日から9月10日まで(気象や残雪により開始が遅れる場合もあります)」という但し書きが付いています(確認日:2026年9月4日)。但し書きが付いているのは開山日で、閉山日の9月10日には同じ注記がありません。日程を後ろへ寄せるほど、この非対称が効いてきます。
そして72日・63日という数字は、その全部の日を同じ条件で登れるという意味ではありません。後の表で見るとおり、8合目の救護所は吉田で9月7日、富士宮で9月6日に閉じます。山小屋についても「閉山前でも8月下旬以降に営業を終える場合がある」という注記が公式にあります。開山期間の最後の1週間は、日付の上では開いていても、山の上の体制はすでに縮み始めている期間だと考えておくほうが実態に近いです。
装備の側から見ると、開山期間の後半は「夏山の服装のままだと足りない時期」でもあります。後の章で並べる気象庁の平年値では、山頂の9月の気温は3.5℃、風速は9.4m/s。濡れと風を止められるかどうかで、同じ気温でも体感がまったく変わります。雨具は雨のためだけの道具ではなく、風を遮って体温を保つ層としても働くため、9月上旬に登る計画なら最初にそろえる1枚になります。
透湿性のある防水素材の上下は、雨が降っていない日でも風よけとして使えます。年に一度だけ富士山に登るという人でも、雨具だけは他の衣類で代用が効かない装備です。
ここで触れる装備は、いずれも開山期間中に登る場合の話です。9月11日以降の登山道は前述のとおり通行禁止の区間であり、装備をそろえれば入ってよいという意味ではありません。
閉山期間は9月11日から、翌年の開山日まで(約293日・約302日)
閉山期間とは、開山期間の裏側にあたる期間のことです。富士登山オフィシャルサイトは、閉山期間をルートごとに日付で示しています(「閉山期間中の富士登山」/確認日:2026年9月4日)。
| ルート | 閉山期間(公式サイトの表記) | おおよその日数 | 1年に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 吉田 | 9月11日〜6月30日 | 約293日 | 約80% |
| 須走 | 9月11日〜6月30日 | 約293日 | 約80% |
| 御殿場 | 9月11日〜7月9日 | 約302日 | 約83% |
| 富士宮 | 9月11日〜7月9日(5〜6合目は6月下旬頃〜11月上旬頃を除く) | 約302日 | 約83% |
日数は、2026年9月11日を起点に翌年の日付まで数えたものです。山梨県のよくある質問も「閉山期間中の登山道は道路法に基づき『通行禁止』冬季閉鎖となっております」という書き方をしています(山梨県 よくある質問「富士登山」/2026年3月27日更新・確認日:2026年9月4日)。富士山は1年の8割が閉山期間で、登れる期間のほうが例外という比率です。
「6月30日まで」「7月9日まで」は、翌年の日程が出ると動きます
この終わりの日は、直近の開山日(吉田・須走は7月1日、御殿場・富士宮は7月10日)の前日にあたる書き方です。2027年の開山日は、2026年9月4日時点では公表を確認できていません。2026年に須走の開山日が7月10日から7月1日へ動いたように、ルートごとの日付は年によって変わります。翌年の日程は、次の見出しの手順で確かめてください。
山梨県側(吉田ルート)は通行料4,000円・14時ゲート・1日4,000人
山梨県側の規制とは、県有の登下山道を管理する条例にもとづいて、通行料・時間・人数を県が定めた仕組みのことです。根拠は山梨県富士山吉田口県有登下山道設置及び管理条例(令和6年条例第2号、2024年7月1日施行)。
吉田ルートの規制(2026年8月19日時点)
- 通行料:1人1回あたり4,000円
- 事前予約:「活用をお勧め」=任意。当日予約も可
- ゲート時間:14:00〜翌3:00は五合目ゲート閉鎖
- 人数上限:山小屋宿泊者を除き1日4,000人
通行料の4,000円と、1日の上限4,000人。数字が同じなので混ざりやすいのですが、片方は金額、片方は人数です。読み替えると、山小屋に泊まらない人は、14時までに五合目の登山道入口ゲートを通る必要がある(下山は時間に関係なく通れる)という運用が前提になっている、ということ。日帰りで往復する計画が急に窮屈になるのはここが理由です。夜通し登る計画を考えている人は、富士山の日帰り・弾丸登山が現実的かどうかの検討を先に読んでおくと、ゲート時間との噛み合わせが見えます。
静岡県側(須走・御殿場・富士宮)は入山手続きと事前学習が必要
静岡県側の規制とは、2025年に施行された県条例にもとづき、入山料に加えて手続きの完了そのものを入山の条件にした仕組みです。根拠は静岡県富士登山条例(令和7年条例第24号、2025年5月9日施行)。
| 項目 | 山梨(吉田口) | 静岡(須走・御殿場・富士宮) |
|---|---|---|
| 料金 | 4,000円/人・回 | 4,000円/人・回(同額) |
| 手続き | 事前予約は任意 | 事前登録(FUJI NAVI)+eラーニング修了+入山証の取得が必須 |
| 現地での手続き | 当日予約も可 | 現地手続きも可(所要目安30分) |
| 時間の扱い | 14:00〜翌3:00はゲート閉鎖 | 14:00〜翌3:00の入山は山小屋宿泊が必要 |
| 人数上限 | 1日4,000人(山小屋宿泊者を除く) | 上限設定なし |
料金は同じ4,000円でも、静岡県側は「お金を払えば入れる」形ではありません。eラーニングを終えて入山証を持っていることが条件で、現地で手続きする場合の目安は30分。到着してから30分を見込んでいないと、登り始めの時刻が思ったより後ろにずれます(いずれも2026年8月19日時点)。料金と予約の全体像は富士登山の予約と通行料の手続きの流れにまとめてあります。
ここまでが「開山期間中」の話です。9月11日以降は、この4,000円を払う窓口も、eラーニングを終えて入る先も、そもそも運用されていません。規制が緩むのではなく、規制ごと店じまいする——閉山を理解する上での起点はここです。
閉山後に閉じるのは、山小屋だけではない
閉山後の変化とは、山の上から人が運用している設備が順に消えることです。富士登山オフィシャルサイトの供用期間表(2026年予定)を、ルート別に日付で並べます。
| ルート | 登山道(山頂方向) | トイレ | 救護所 | バス・道路規制の終了 |
|---|---|---|---|---|
| 吉田 | 9月10日まで(下山道は9月11日午前中) | 6合目9月10日正午、下山道7合目9月11日正午 | 5・7合目は9月11日まで、8合目は9月7日まで(最終日8:30終了) | 富士山パーキング/シャトルバス 9月10日18:00まで |
| 須走 | 9月10日17:00まで | 5合目公衆トイレ〜10月25日(8:00〜16:00) | 5合目救護所は開山期間中のみ | ふじあざみライン 11月上中旬まで |
| 御殿場 | 9月10日17:00まで | 新5合目トイレ〜11月中旬 | 救護所なし(通年) | マイカー規制自体が無し(元々規制なし) |
| 富士宮 | 6合目以上9月10日17:00まで(5〜6合目は11月上旬まで) | 5合目公衆トイレ〜10月13日、仮設〜11月上旬 | 8合目衛生センターは7月17日〜9月6日 | 富士山スカイライン 9月10日18:00まで |
注目したいのは救護所の列です。吉田ルートの8合目救護所は9月7日まで、富士宮の8合目衛生センターは9月6日まで。閉山日の9月10日より前に、標高の高い場所の医療拠点は先に閉じていることになります。開山期間の最後の数日は、標高の高い8合目ではすでに「診てもらえる場所がない状態」で登る日程だ、という読み方ができる(吉田の5合目・7合目の救護所は9月11日まで残る)。
そして御殿場ルートには、そもそも救護所が通年でありません。ルートの性格が違うということが、施設の有無としてはっきり表に出ています。
設備以外に止まるもの
富士登山オフィシャルサイトは、閉山期には山小屋・案内標識・通信・巡回が止まることを挙げています。より具体的な内容は、静岡県公式の「〜富士山の夏山期間が終了しました〜」(更新2024年9月11日)に、Wi-Fiや携帯基地局の縮小、案内標識の撤去、登山道(県道)のパトロールと修繕の停止として書かれています(2024年のページである点にご注意ください)。道そのものが整備されない状態になり、位置を教えてくれる標識も、電波も、点検して直す人もいない。この4つがそろって無くなることが、「閉山後は別の山」と言われる中身です。
編集部⛰️の見立て:閉山後の話で最初に消えるのは、じつは山小屋の布団ではなく通信と標識だと考えています。何かあったときに「どこにいるか」を伝える手段が減ることは、装備の重さでは埋められません。音で位置を知らせる手段については登山用ホイッスルの選び方と鳴らし方で扱っています。
バスとマイカー規制も、9月10日でいっせいに終わる
マイカー規制とは、開山期間中に五合目までの自家用車の乗り入れを制限し、シャトルバスに振り替える仕組みのことです。静岡県の資料によれば、2026年の規制期間は富士宮口が7月10日〜9月10日の63日間、須走口が7月1日〜9月10日の72日間、御殿場口は規制なしとなっています(2026年8月19日時点)。
ここで起きるのは、直感と逆のことです。規制が終われば車で上がれるようになる——のではなく、山梨県側の富士山パーキングとシャトルバスは9月10日18:00で、富士山スカイラインは同じく9月10日18:00で、いずれも終わってしまう。マイカー規制とシャトルバスの運用が終わる日と、閉山日が近いなのです。
逆に、須走口のふじあざみラインは11月上中旬まで、御殿場の新5合目トイレは11月中旬まで供用予定とされています。閉山後も「五合目周辺」には残るものがある一方、「山頂方向・登山道上」は9月10日〜11日でほぼ畳まれる。同じ富士山でも、標高で扱いが二層に分かれていると理解しておくと、公式サイトの記述の食い違いに見える部分が解けます。
「通行禁止」と「登山の自粛のお願い」は、原文の語がそもそも違う
ここが記事の核です。閉山期の富士山をめぐる言葉は、発信元が違えば語も違い、その語の違いがそのまま法的な性質の違いになっています。原文のまま並べます。
| 対象 | 発信元 | 原文の語 | 性質 |
|---|---|---|---|
| 五合目〜山頂の登山道 | 富士登山オフィシャルサイト(両県共通ポータル) | 「富士山五合目〜山頂の登山道は通行禁止」(道路法46条に基づく)/違反時は「六月以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金」の可能性 | 法令にもとづく通行禁止。罰則の可能性が明記 |
| 閉山期間中の登山道 | 山梨県FAQ(2026年3月27日更新) | 「閉山期間中の登山道は道路法に基づき『通行禁止』冬季閉鎖となっております」 | 同上 |
| 登山するという行為 | 山梨県FAQ | 「登山は控えていただくよう強くお願いしています」 | 要請。罰則への言及なし |
| 登山するという行為 | 静岡県公式「夏山期間が終了しました」 | 「9月11日以降の富士登山はおやめいただくようお願いしています」 | 要請 |
| 開山期以外の富士登山 | 富士登山オフィシャルサイト | 「決して推奨しません」「登山を慎むよう呼び掛けています」 | 要請・呼びかけ |
| 万全な準備をしない登山者 | 安全確保ガイドライン(令和3年3月改定) | 夏山期間以外の登山を「禁止」 | 対象を限定したガイドライン上の禁止 |
並べると輪郭が出ます。登山道という道路の通行は、山梨・静岡どちらの管轄区間でも法的な「通行禁止」で、根拠と罰則の可能性が示されている。一方、「登山すること」への言葉は、両県とも「お願い」の文型です。山梨は「控えていただくよう強くお願い」、静岡は「おやめいただくようお願い」と言い回しが違いますが、どちらも要請であり、強さに差があると断定できる材料はありません。
そして3つ目。ガイドラインが「禁止」と書いているのは、全登山者ではなく万全な準備をしない登山者についてです。これを一般化して「閉山期は登山禁止」と書いてしまうと、原文にない意味を足すことになります。
この記事が線を引かないこと
ここに並べたのは、公表されている語と根拠だけです。個別の状況で登ってよいか・どんな装備なら安全かの判断は、この記事では扱いません。安全・救助・入山の可否に関する判断は、山梨県・静岡県・県警察・現地の管理者など公的機関の案内に必ず従ってください。体調や医療上の判断についても同様に、医療機関や公的な相談窓口に委ねてください。
編集部⛰️の見立て:「禁止なの?自粛なの?」という問いは、そもそも問いの立て方が一段ずれています。何が禁止で、何がお願いなのか——主語を対象ごとに分ければ、両方が同時に成り立っていると分かります。
閉山後の富士山で、数字として現れていること
閉山後の環境とは、施設が閉じるという運用の話だけでなく、山頂付近の気象そのものが季節ごとに変わっていくことでもあります。気象庁の富士山頂の平年値(1991〜2020年。風速は1991〜2004年)は次のとおりです。
| 月 | 平年気温 | 平年風速 | 登山道の状態(2026年) |
|---|---|---|---|
| 9月 | 3.5℃ | 9.4m/s | 10日まで開山、11日以降は通行禁止 |
| 10月 | -2.0℃ | 10.9m/s | 通行禁止 |
| 11月 | -8.7℃ | 13.2m/s | 通行禁止 |
9月の3.5℃から11月の-8.7℃まで、平年値で12.2℃ぶん下がります。同時に風速は9.4m/sから13.2m/sへ上がる。気温が下がるほど風が強くなるという向きにそろっているのが富士山頂の秋です。救護所が閉じ、標識が撤去され、パトロールが止まるのと並行して、この変化が進みます。
実際に起きたことも記録されています。静岡新聞の報道によれば、2024年10月14日、閉山中の富士宮口九合目付近で59歳の男性が死亡し、同行者は通行止めを認識していなかったとされています(報道値)。「知らずに入っていた」という事実が残っている点が、この事例の重いところです。
静岡県警は、富士山で遭難した本人の話を公開しています(ページ更新2023年7月19日)。そこに出てくるのは、トイレを気にして水分を控えた結果のけいれん、明かりの電池切れ、動けなくなって救助を待った時間といった、装備表よりも生活に近い失敗です。県警の一次資料が挙げている持ち物は、防寒着・雨具・ヘッドライト・予備電源・予備の水と食料。高所での体調不良の兆候と対処については登山中・下山後の頭痛と高山病の考え方で整理しています。
この記事が書かないこと:閉山後の富士山にアイゼンやピッケルが必要かどうかは、ここでは断定しません。県警の一次資料が明記している範囲は上記の装備までで、雪上装備の要否を示す一次資料を確認できていないためです(2026年8月19日時点)。装備の考え方そのものは富士登山の持ち物リストと優先順位、雨と風への備えは富士登山向けレインウェアの選び方を参照してください。
開山期間中(9月上旬)に登る場合、装備のどこが効いてくるか
くり返しになりますが、ここは開山期間中に登ることを前提にした話です。9月11日以降の登山道は道路法46条にもとづく通行禁止の区間で、装備をそろえたから入ってよいという性質のものではありません。そのうえで、何を基準に選ぶかは静岡県警の一次資料が挙げている項目に沿えば整理できます。防寒着・雨具・ヘッドライト・予備電源の4つです。山頂の9月の平年値が気温3.5℃・風速9.4m/sであることを踏まえると、体温を保つ層と、暗い時間帯に足元を見る手段と、その電源をどう確保するか、という3方向に分かれます。雨具は前述したので、ここでは残りを順に挙げます。
行動中に着続けるというより、休憩と山小屋泊のあいだに体温を落とさないための保温着です。山小屋で夜を越す日程の人や、山頂で日の出を待つ時間が長くなる人に向きます。
同じ「軽量ダウン」でも、封入量とフィルパワーで暖かさも収納サイズも変わります。公表スペックを並べて比べたものは登山のライトダウンの選び方|公式スペックで比べる重量・収納・フィルパワーにまとめました。山頂で日の出を待つ時間が長い人ほど、重量より封入量のほうを見ることになります。
濡れに強く、行動中も着たまま歩ける中間着を1枚にまとめたい人にはフリースが選択肢になります。標高差の大きいルートで着脱の回数が増える場合にも扱いやすいタイプです。
フリースは厚さで用途が分かれます。行動中も着たままにするのか、休憩のときだけ羽織るのかで選ぶ厚さが変わるので、山の実気温から逆算する手順を登山用フリースの選び方|9〜12月の山の実気温から厚さを決めるで整理しています。上に書いたとおり、9月の富士山頂は平年値で3.5℃です。
山小屋を深夜に出る行程や、下山が日没に近づく行程では、ヘッドライトは予備ではなく行動用の装備になります。両手を空けたまま足元を照らす必要があるため、手持ちのライトや携帯電話の明かりでは代わりになりません。
ヘッドライトは明るさ(ルーメン)だけでなく、電源の方式と防水等級で使い勝手が変わります。日の出待ちのように点灯時間が読みにくい行程なら、電池の持ちも見どころです。軽さ・価格帯・防水で並べた比較は登山ヘッドライトおすすめ7選|軽さ・価格帯・防水で比較にあります。
県警の資料が予備電源を挙げているのは、明かりと通信の両方が電池で動いているからです。入山手続きの画面も地図アプリも携帯電話で開く前提なら、日帰りの行程でも予備をひとつ持っておくと、確認のたびに残量を気にせずに済みます。
ただし、モバイルバッテリーは公称容量がそのまま使えるわけではありません。気温が下がるほど取り出せる電力は目減りします。低温で何が起きるのかと、行程別に持つべき容量は登山のモバイルバッテリー選び方|低温で減る容量で比べています。
五合目周辺には、秋も残るものがある
閉山後の富士山は、標高で二層に分かれます。山頂方向・登山道上の施設は9月10日〜11日で終わり、五合目周辺の一部の施設と道路は10〜11月まで残る。この違いを日数にすると、ルートごとの性格が見えてきます。閉山日(9月10日)を起点に、「閉山後に何日残るか」を並べたのが次の表です。
| 残るもの | ルート | 供用の終わり(2026年予定) | 閉山後の残存 |
|---|---|---|---|
| 下山道・救護所(5・7合目) | 吉田 | 9月11日 | +1日 |
| 5合目公衆トイレ | 富士宮 | 10月13日 | +33日 |
| 5合目公衆トイレ | 須走 | 10月25日(8:00〜16:00) | +45日 |
| 5〜6合目・仮設トイレ | 富士宮 | 11月上旬 | 約2か月 |
| 新5合目トイレ | 御殿場 | 11月中旬 | 約2か月 |
| ふじあざみライン(道路) | 須走 | 11月上中旬 | 約60〜70日 |
いちばん上と、いちばん下を見比べてください。吉田ルートは9月11日でほぼ完全に終わるのに対し、須走の道路は2か月ほど残る。同じ「閉山後の富士山」でも、ルートによって残っている人工物の量がまったく違います。4ルートの中でも吉田は、閉山後にいちばん早く運用を終える。
ただし念のために書けば、五合目周辺の道路やトイレが残っていることは、その先の登山道が通行できることを意味しません。残っているのは五合目周辺の設備であり、山頂方向の登山道の扱いは前述のとおりです。
編集部⛰️の見立て:この表は「行けるかどうか」の表ではなく、富士山という山がどれだけ人の手で運用されているかを裏側から見た表だと思っています。夏に当たり前だったトイレも標識も電波も、誰かが期間を決めて置いているものでした。
この情報が当てはまらないケース
ここまでの日付と数字には、前提があります。当てはまらない場合を先に書いておきます。
読む前に確かめてほしい4点(2026年8月19日時点)
- 年が違う場合:この記事の開山期間・料金・規制は、いずれも「令和8年度/2026年」と明記された一次資料にもとづきます。検索で出てきたページが前年のものだと、日付が1〜2日ずれます
- 静岡県公式「夏山期間が終了しました」のページ:更新日表記が2024年9月11日のままで、2026年向けに改訂されたかは確認できていません。書かれている内容(9月10日終了など)は2026年の他資料と矛盾しませんが、「2026年版」と断定はできません
- 山小屋ごとの最終営業日:公式の統合表はトイレ・救護所といったカテゴリ単位で、山小屋ごとの最終営業日は掲載されていません。「閉山前でも8月下旬以降に営業を終える場合がある」という注記があるのみです
- 2026年夏の登山者数:環境省の速報ページが公開されていることは確認できていますが、実数はこの記事では扱いません
さらに、閉山期間中の遭難件数として報じられている数字がいくつかありますが、この記事では扱っていません。夏山期間の集計と閉山期間の集計は分母が違い、足し合わせると二重に数えることになるためです。件数の断定が必要な場合は、県警の公表資料そのものに当たってください。
来年の開山日・閉山日を自分で確かめる3つのページ
富士山の日付は毎年出し直されます。検索で最初に出てきたページが前年のものだと、開山日で最大9日、閉山日で1〜2日ずれます。年が変わったときに見る先を決めておくと早いです。
この順に見ると、ルート別の日付までたどり着けます
- 富士登山オフィシャルサイト「登山シーズン:各施設の供用期間」(https://www.fujisan-climb.jp/season/)。4ルートの開山日・閉山日が1ページに並び、トイレ・救護所・道路の供用期間まで載ります。まずここを見る
- 山梨県「令和◯年度の富士登山について」(2026年度版はhttps://www.pref.yamanashi.jp/fujisan/annzenn/documents/r8fujitozan.html)。吉田ルートの通行料・ゲート時間・1日の上限人数は、県のページが原典です
- 静岡県の記者発表資料「令和◯年度 富士山の登山規制について」(2026年度版はhttps://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/083/014/0427shiryo02.pdf)。須走・御殿場・富士宮の開山期間と、入山手続の受付期間はこの資料に載ります
公表の時期の目安も書いておきます。2026年(令和8年度)の日程は、山梨県のページ・静岡県の資料とも2026年4月27日付で公表されていました。ただし「毎年この時期に出す」と約束している記載は確認できていないため、時期は目安として扱ってください(確認日:2026年9月4日)。
年をまたぐときに間違えやすい3点
- 年度の表記:「令和8年度」は2026年です。西暦だけで探すと、年度表記の公式ページに当たらないことがあります
- ルート名と県はセットで:吉田は山梨、須走・御殿場・富士宮は静岡。手続きの中身が県で違うため、ルート名だけでは足りません
- ページの更新日:更新日が前年のままのページは、書かれている日付が今年のものとは限りません
よくある質問
Q. 2026年、富士山に登れるのはいつまでですか?
A. 4ルートとも9月10日までです(吉田は9月10日、須走・御殿場・富士宮は9月10日17:00)。吉田ルートのみ、下山道が9月11日午前中まで通行可とされています(2026年8月19日時点)。
Q. 9月11日以降に登ると違法になりますか?
A. 性質を分けて理解する必要があります。五合目〜山頂の登山道は道路法46条にもとづく「通行禁止」とされ、違反時は「六月以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金」の可能性が明記されています。一方、登山という行為そのものについて両県が使っている言葉は「控えていただくよう強くお願いしています」(山梨県)「おやめいただくようお願いしています」(静岡県)という要請の文型です。個別の事案がどう扱われるかは、この記事では判断できません。公的機関の案内に従ってください。
Q. 閉山後、トイレは本当に全部閉まりますか?
A. 場所によります。山頂方向・登山道上のトイレは閉山とともに終了しますが、五合目周辺には残るものがあります。2026年予定では、富士宮の5合目公衆トイレが10月13日まで、須走の5合目公衆トイレが10月25日まで(8:00〜16:00)、御殿場の新5合目トイレが11月中旬までです。
Q. 閉山後は五合目まで車で行けますか?
A. ルートによって終わる日が違います。山梨県側の富士山パーキングとシャトルバスは9月10日18:00まで、富士山スカイライン(富士宮)も9月10日18:00までです。須走のふじあざみラインは11月上中旬まで供用予定とされています(2026年8月19日時点)。なお、マイカー規制の期間は富士宮口が7月10日〜9月10日の63日間、須走口が7月1日〜9月10日の72日間で、御殿場口には規制がありません。
Q. 富士山に初めて登るなら、いつを選べばよいですか?
A. 開山期間内に行くのが前提になります。ただし開山期間の後半は、8合目の救護所が閉山日より前(吉田9月7日、富士宮9月6日)に閉じるなど、山の上の体制が縮み始めています。初回の計画の立て方は初めての富士登山で決めることの順番にまとめました。
Q. 富士山の閉山期間は、いつからいつまでですか?
A. 2026年の閉山日(9月10日)の翌日、9月11日から始まります。終わりは翌年の開山日の前日で、富士登山オフィシャルサイトは吉田・須走を「9月11日〜6月30日」、御殿場・富士宮を「9月11日〜7月9日」と示しています。日数にすると約293日・約302日で、1年の8割ほどが閉山期間です。ただし2027年の開山日は2026年9月4日時点で公表を確認できていないため、終わりの日は動く可能性があります。
Q. 2026年の富士山の開山期間は、何日間でしたか?
A. 吉田・須走が7月1日〜9月10日で72日間、御殿場・富士宮が7月10日〜9月10日で63日間です。2026年は須走の開山日が吉田と同じ7月1日にそろえられました(静岡県 2026年4月27日付資料/確認日:2026年9月4日)。
Q. 2027年の開山日・閉山日はもう決まっていますか?
A. 2026年9月4日時点では、2027年の開山日・閉山日の公表を確認できていません。2026年度の日程は山梨県・静岡県とも2026年4月27日に公表されているため、同じくらいの時期に出るかどうかを、上に挙げた3つの公式ページで確かめてください。
まとめ:秋の富士山は「空いた山」ではなく「畳まれた山」
2026年の富士山は、4ルートとも9月10日で開山期間が終わります。その翌日から、五合目〜山頂の登山道は道路法46条にもとづく通行禁止の区間になり、両県は登山を控えるよう・おやめいただくようお願いしています。この2つは別のことで、どちらか片方だけを持ち出すと事実が歪みます。
そして閉山後に消えるのは、山小屋の明かりだけではありません。トイレ、救護所、シャトルバス、案内標識、電波、パトロール。9月10日を境に、人が運用していたものが順に外れていく——秋の富士山が「別の山」と言われるのは、この一覧そのものです。
今日やることは1つ:見ている情報が2026年のものか確かめる
- 手元のページの更新日を見る。年の表記がないページは、日付を根拠にしない
- ルート名(吉田・須走・御殿場・富士宮)と県をセットで確認する。料金は同じ4,000円でも手続きが違う
- 入山や安全の可否は、山梨県・静岡県・県警察など公的機関の最新の案内で確かめる
開山期間中の通行料・時間規制・手続きの全体像は、2026年の富士登山ルールまとめにすべて集約しています。日程を動かす前に、まずそちらで前提を確認してください。
参考・出典
- 山梨県「令和8年度 富士登山」(2026年4月27日)
https://www.pref.yamanashi.jp/fujisan/annzenn/documents/r8fujitozan.html(確認日:2026年8月19日) - 山梨県「富士山吉田口登山道の通行料」(2026年7月7日)
https://www.pref.yamanashi.jp/fujisan/siyouryou.html(確認日:2026年8月19日) - 山梨県 よくある質問「富士登山」(2026年3月27日更新)
https://www.pref.yamanashi.jp/faq/koucho/fujitozan.html(確認日:2026年8月19日) - 静岡県 富士登山関係資料(2026年4月27日)
https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/083/014/0427shiryo02.pdf(確認日:2026年8月19日) - 静岡県「静岡県富士登山条例」(2026年6月30日)
https://www.pref.shizuoka.jp/kankosports/kanko/mtfuji/1002809/1072062.html(確認日:2026年8月19日) - 静岡県「富士山道路のマイカー規制」(2026年7月1日)
https://www.pref.shizuoka.jp/machizukuri/doro/fujisandoro/1029179.html(確認日:2026年8月19日) - 富士登山オフィシャルサイト「開山期間・施設供用期間」
https://www.fujisan-climb.jp/season/(更新日表記なし/確認日:2026年8月19日) - 富士登山オフィシャルサイト「閉山期間中の富士登山」
https://www.fujisan-climb.jp/off-season/(更新日表記なし/確認日:2026年8月19日) - 気象庁 富士山(山頂)平年値(気温1991〜2020年、風速1991〜2004年)
https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_sfc_ym.php?block_no=47639&prec_no=49(確認日:2026年8月19日) - 静岡県警察「富士山遭難者の声」(2023年7月19日更新)
https://www.pref.shizuoka.jp/police/kurashi/umiyama/sangaku/sounanshanokoe.html(確認日:2026年8月19日) - 静岡新聞(2024年10月15日/報道値として引用)
https://www.at-s.com/life/article/ats/1575362.html(確認日:2026年8月19日)
