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東京都奥多摩町の山へ11月に出かけるとき、服を東京の天気予報で決めると、たいてい朝の分が足りません。気象庁の平年値(1991〜2020年)で比べると、奥多摩湖に近い小河内の観測点の11月は、平均8.8℃、日最低5.0℃です。東京の平均12.5℃、日最低8.8℃より、それぞれ3.7℃、3.8℃低い値です。
ただし小河内の値は、標高約500mの谷あいで測った値であって、山頂の値ではありません。山頂の平年値は気象庁にありません。そこで必要になるのが、観測点の値から自分の歩く高さへ置き換える手順です。
東京・青梅・小河内の平年値を10月から12月まで並べ、標高差の式で稜線の目安を出し、そこから服の組み合わせと下山の時刻を決めていきます。登山道の状況は日々変わるため、今日の通行止めは本文の確認先で出発前に見てください。
- 11月の小河内と東京の差は、平均−3.7℃、日最高−2.7℃、日最低−3.8℃であること
- 青梅は昼こそ東京に近いものの、朝は2.9℃低く、東京と同じ感覚では歩き出せないこと
- 小河内の値は谷あいの観測点の値で、山頂の値は「標高差÷100×0.6℃」で見積もる目安になること
- 標高1,500mなら小河内より約6℃低い目安で、11月の朝は氷点下の見当になること
- 気温5℃前後と0℃前後で、編集部の目安として服をどう足すか
- 11月15日なら東京の日の入は16時35分で、下り2時間の山は13時半すぎが引き返しの目安になること
- 12月の小河内の日最低0.1℃から言える、冬に足すものと足さなくてよいもの
- クマの目撃、バスの最終、登山道の通行止めをどこで確かめるか
11月の奥多摩は東京より何℃低いのか、平年値の差で答える
結論から書くと、奥多摩湖に近い小河内の観測点は、11月の平年値で東京より平均3.7℃低く、日最低は3.8℃低くなります。四捨五入すれば約4℃です。一方で日最高の差は2.7℃にとどまるので、昼より朝のほうが東京との差が大きいと読むのが正確です。
11月の差(小河内−東京):平均−3.7℃(8.8℃/12.5℃)、日最高−2.7℃(14.0℃/16.7℃)、日最低−3.8℃(5.0℃/8.8℃)。どれも気象庁の平年値(1991〜2020年)をもとに編集部が計算した差です(2026年11月3日確認)。
この差は11月だけの話ではありません。平均の差を月ごとに計算すると、10月が3.7℃、11月が3.7℃、12月が3.8℃で、秋から初冬にかけてほとんど動きません。東京の予報に4℃足し引きするという考え方が使いやすいのは、差が月によって大きくぶれないからです。
体感に置き換えるなら、小河内の11月は東京の12月に近い気温です。東京の12月の平年値は平均7.7℃、日最高12.0℃、日最低3.8℃で、小河内の11月はそれより1〜2℃高い程度です。つまり東京の11月の服で小河内に立つと、東京の12月に秋の服で外に出るのに近いことになります。しかも登山口から標高が上がれば、さらに下がります。
編集部の見立て:11月の奥多摩で服を決めるときは、東京の予報を見ない方が早いと考えています。見るのは小河内の平年値と、その日の予報が平年よりどちらへ振れているかの2つです。東京の最高気温を基準にすると、朝の分がまるごと抜け落ちます。
気温より先に確かめたいのが道の状況です。登山道の通行止めは日々変わります。出発前に奥多摩ビジターセンターの一覧で最新の状況を見てください(2026年11月3日確認時点の確認先)。紅葉の時期の山選びと通行止めの区間は、奥多摩の紅葉登山と通行止めの区間をまとめた記事に分けてあります。
東京・青梅・小河内の平年値を10〜12月で横に並べる
まず、自分がどの列の気温の中を歩くのかを決めます。東京は海抜ほぼ0〜数十mの平地、青梅は標高約150m、小河内は標高約500mです。小河内の観測所は奥多摩湖に近い谷あいにあります。標高の正確な値は気象庁の観測所情報で確認してください。
| 月・項目 | 東京 | 青梅 | 小河内 |
|---|---|---|---|
| 10月 平均 | 18.0℃ | 16.5℃ | 14.3℃ |
| 10月 日最高 | 22.0℃ | 21.2℃ | 18.8℃ |
| 10月 日最低 | 14.8℃ | 12.4℃ | 10.9℃ |
| 11月 平均 | 12.5℃ | 10.7℃ | 8.8℃ |
| 11月 日最高 | 16.7℃ | 16.1℃ | 14.0℃ |
| 11月 日最低 | 8.8℃ | 5.9℃ | 5.0℃ |
| 12月 平均 | 7.7℃ | 5.6℃ | 3.9℃ |
| 12月 日最高 | 12.0℃ | 11.5℃ | 9.3℃ |
| 12月 日最低 | 3.8℃ | 0.3℃ | 0.1℃ |
出典は気象庁の平年値で、期間は1991〜2020年です(2026年11月3日確認)。小河内の気温の表は、資料年数が全列で30年そろっています。


表で見てほしいのは、11月の青梅です。日最高16.1℃は東京より0.6℃低いだけですが、日最低5.9℃は東京より2.9℃低くなっています。昼の数字だけを見ると青梅は東京と同じ、朝の数字を見ると小河内に近いという、見誤りやすい地点です。高水三山や御岳山の麓のように青梅線沿いから歩き出す日でも、駅に降りた時刻が早ければ、東京より一段冷たい空気の中に立つことになります。
10月から11月への下がり方も見ておきます。小河内の平均は14.3℃から8.8℃へ、1か月で5.5℃下がります。さらに12月には3.9℃まで4.9℃下がります。前の月に快適だった服が、翌月には約5℃分足りなくなる計算です。
編集部の見立て:10月に歩いた山へ同じ服で11月に行くのが、いちばん外しやすい組み立てです。同じ山でも、平均で5℃以上違う別の季節になっています。去年の記憶より、表の列を1段下へずらして読む方が確かです。
平年値は過去30年の平均で、その日の予報ではありません。実際の気温は日によって上下します。使い方は、平年値で服の土台を決め、前日の予報が平年より高いか低いかで1枚を増減するという順番です。
小河内の値は谷あいの値で、山頂の値ではない
「奥多摩の気温」として見かける数字の多くは、小河内や青梅のような観測点の値です。観測点は山頂にはありません。小河内は奥多摩湖に近い谷あいで、標高は約500mです。奥多摩の山を歩くなら、その上に数百mから1,000m以上を足した高さを歩くことになります。つまり表の値は、歩き始めの気温に近いとしても、山の上の気温ではないと考えてください。
小河内の平年値を「◯◯山の気温」として読み替えないでください。山頂の平年値は気象庁にありません。ネットの天気サイトに山頂の予報が出ていても、それは観測の平年値とは別物です。
もう1つ、谷の値には別の性格があります。小河内の11月は日最高14.0℃、日最低5.0℃で、1日の差は9.0℃です。東京の7.9℃より1℃以上大きく、青梅は10.2℃とさらに開きます。朝は5℃台の空気の中を歩き出し、昼は14℃近くまで上がる一日になるわけです。
服にとって厄介なのは、この9℃の幅が下り道で逆向きに効くことです。登りで汗をかいた肌着のまま夕方の冷えに入ると、平年値の数字以上に寒く感じます。体感は風と行動中の発汗で変わるため、数字が同じでも日によって必要な枚数は動きます。
編集部の見立て:朝5℃と昼14℃の両方に1着で合わせるのは無理があります。考えるべきは「何を着るか」より「どの順に脱ぎ、どの順に着るか」です。靴下と靴だけは途中で替えられないので、足元は朝の気温に合わせて決めるのが筋だと考えています。
足元でいうと、気温が下がるほど、濡れた靴の中は冷えやすくなります。歩き出しの朝が5℃前後なら、低山から標高1,000m台の日帰りを中心に歩く人が検討する登山靴で出かけたいところです。シリオのPF302 ライトトレックは、その名のとおり軽めのトレッキング向けに作られた登山靴で、低山から標高1,000m台の日帰りを中心に歩く人に向きます。足型との相性が大きいので、サイズは試着で決めてください。
標高差÷100×0.6℃で、歩く高さの気温を見積もる
観測点の値を自分の歩く高さへ置き換える式は、次のとおりです。一般的な気温の下がり方にもとづく式で、公式の山頂の値ではなく、あくまで目安です。式そのものの考え方は標高と気温の計算式を解説した記事で詳しく扱っています。
見積もりの式:下がる気温の目安(℃)=標高差(m)÷100×0.6。小河内(標高約500m)を起点にすると、標高1,500mの稜線は11月の平均でおよそ6℃低い目安です。風や日射でさらに変わるので、出た数字は「その前後」として読みます。
| 歩く高さ | 小河内との差の目安 | 11月 平均の目安 | 11月 日最低の目安 | 12月 日最低の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 約500m(小河内の平年値) | 0℃ | 8.8℃ | 5.0℃ | 0.1℃ |
| 1,000m | −3.0℃ | 5.8℃ | 2.0℃ | −2.9℃ |
| 1,500m | −6.0℃ | 2.8℃ | −1.0℃ | −5.9℃ |
| 2,000m | −9.0℃ | −0.2℃ | −4.0℃ | −8.9℃ |
どの値も、小河内の平年値から式で計算した編集部の目安で、山頂で測った値ではありません。小河内の標高を約500mとして計算しているため、起点の標高が変われば結果も動きます。
読み取りのポイントは、11月の朝に0℃を下回る目安の線が、標高1,500mの手前にあることです。もちろん平年値は平均なので、もっと低い高さで氷点下になる朝もあれば、1,500mで0℃を超える朝もあります。とはいえ、奥多摩の高い稜線へ向かう日は、小河内の5.0℃ではなく0℃前後を服の起点に置くほうが安全側です。
式には弱点もあります。青梅と小河内の標高差は約350mなので、式では2.1℃の差になります。実際の11月の平年値の差は、平均1.9℃、日最高2.1℃と式に近い一方、日最低は0.9℃しか開いていません。朝の気温は地形の影響を受けやすく、式どおりにならないことがあると考えてください。
編集部の見立て:式の値を小数点まで信じる必要はありません。使い道は「自分の山は5℃の世界か、0℃の世界か」の仕分けです。この仕分けさえ済めば、服の組み合わせはほぼ決まります。
たとえば標高1,000m前後を歩く日は、11月の平均が5.8℃の目安です。この高さが主な舞台なら、休憩のたびに冷える中間着の出番が増えます。モンベルのクリマプラス ニットパーカ(1106589)はフリース素材のパーカで、歩いている間も着たまま調節したい人に向きます。フリースの厚みと気温の関係は登山のフリースを気温の目安で並べた記事にまとめてあります。
5℃の日と0℃の日で変える、服の重ね方の目安
ここからは編集部の目安です。公式の基準はなく、「◯℃なら◯◯を着る」と決まっているわけではありません。体感は風と行動中の発汗で変わります。そのうえで、ここまでの平年値を気温帯に分けると、次の3段に整理できます。
| 気温の帯 | 当てはまる場面(11月の平年値と目安) | 編集部の目安の組み合わせ |
|---|---|---|
| 10℃以上 | 小河内の昼(日最高14.0℃)、青梅の昼(16.1℃) | ベースレイヤー+長袖の行動着。防風の上着はザックに入れておく |
| 5℃前後 | 小河内の朝(日最低5.0℃)、標高1,000mの平均(5.8℃の目安) | ベースレイヤー+フリース+防風の上着 |
| 0℃前後 | 標高1,500mの朝(−1.0℃の目安)、12月の小河内の朝(0.1℃) | 上の組み合わせにライトダウンを足す |
11月の奥多摩の主役は、まん中の5℃前後の段です。平均の下の段へ入るかどうかは標高次第で、1,000m台の前半までなら5℃の段、1,500mを超える稜線なら0℃の段を起点にする、という分け方が使えます。歩く高さが決まれば、自動的に服の段も決まります。
- 歩く最高地点の標高から、小河内との差の目安を計算した
- 朝の出発地点と稜線の、どちらが服の起点になるかを決めた
- 休憩のときに羽織る1枚を、ザックのすぐ取り出せる場所に入れた
- 前日の予報が平年より高いか低いかを見て、1枚を増減した
- 雨の予報なら、防風の上着の代わりにレインウェアを上着として使えるか確かめた
どの段でも土台になるのが肌着です。汗を肌に残しにくい素材を選ぶと、朝5℃と昼14℃のあいだを行き来する日の冷えが変わります。ウールと化繊の違いはメリノウールの登山インナーと化繊の違いを整理した記事で確かめられます。
編集部の見立て:11月の買い足しで優先したいのは、高い上着より肌着です。上着は脱げば調節できますが、濡れた肌着は山の途中で替えにくいからです。1枚だけ足すなら、外側からでなく内側から考えてください。
モンベルのスーパーメリノウール L.W. ラウンドネックシャツ(#1107661)は、薄手のウール肌着です。厚手の肌着では昼に暑くなりそうな11月の低山や、5℃の段の日に土台として着たい人に向きます。
小河内の5℃に合わせる上着と保温着、肌着と灯りの組み合わせ
上着選びの基準は3つです。1つ目は風を止める上着と、熱をためる保温着を別の役目として分けること。2つ目は、歩くときに着る物と、止まったときに着る物を分けること。3つ目は、12月の小河内の日最低0.1℃のように、0℃の段まで使う見込みがあるかどうかです。5℃の段までならソフトシェルで足りる日が多く、0℃の段に入るならダウンの出番が来ます。重さやダウンの量は商品ごとに違うので、メーカーの公表値で確かめてください。
| 商品(型番) | 役目 | 向く場面 |
|---|---|---|
| マムート GRANITE SO Hooded Jacket AF(1011-0032) | 風を止める上着(ソフトシェル) | 5℃の段を、着たまま長く歩く日 |
| コロンビア ライトキャニオン ソフトシェルジャケット(PM0373) | 風を止める上着(ソフトシェル) | 低山や麓が中心で、軽く羽織りたい日 |
| ザ・ノース・フェイス Thunder Jacket | 止まったときの保温着(ダウン) | 0℃の段に入る稜線の休憩 |
| モンベル ライトアルパインダウンジャケット(1101608) | 止まったときの保温着(ダウン) | 1枚目のダウンを登山用品から選ぶとき |
マムートのグラナイト ソフトシェル フーデッド ジャケット(1011-0032)は、フード付きのソフトシェルです。稜線で風を受ける時間が長い人、上着を脱ぎ着する回数を減らしたい人に向きます。
コロンビアのライトキャニオン ソフトシェルジャケット(PM0373)は、高水三山のような標高の低い山や、街から続けて着たい人に向く1着です。フードの有無や丈は商品ページで確かめてください。
ザ・ノース・フェイスのサンダージャケットは、止まったときの保温に使うダウンです。1,500m前後の稜線で昼食をとる計画の人、帰りのバス待ちまで考えて保温を用意したい人に向きます。
モンベルのライトアルパインダウンジャケット(1101608)は、登山用として作られた軽めのダウンです。初めての保温着を登山用品で選びたい人に向きます。ダウンの軽さと保温の見比べ方は、登山のライトダウンを重さとフィルパワーで並べた記事で確かめてください。
編集部の見立て:奥多摩の11月なら、1着で全部を片づける上着より、薄い防風と薄い保温に分ける方が使いやすいと考えています。歩くときは防風だけ、止まったらその上に保温着。2枚に分けると、9℃の気温差にも段階をつけて対応できます。
雨の予報が出ている日は、ソフトシェルでは雨に対応しきれません。レインウェアは晴れの予報でもザックに入れておき、風が強い日の防風の上着としても使えます。ソフトシェルを持っていない場合、まずはレインウェアで5℃の段に対応し、続ける見込みが立ってから上着を考える順でも構いません。
まだ上着を持っていない人は、11月の1回のために買わず、借りて寒さの段を確かめてから買うのも手です。一度歩けば、自分に必要な上着が5℃の段か0℃の段かが見えてきます。登山用の上着を借りるなら、やまどうぐレンタル屋
で探せます。
16時台の日の入から決める、11月の引き返し時刻
11月の奥多摩で気温と同じくらい効くのが、日の短さです。国立天文台によると、東京の日の入は11月1日が16時46分、11月15日が16時35分、11月30日が16時28分です(2026年の値、2026年11月3日確認)。東京の値なので、奥多摩の山中は谷や稜線の地形で、これより早く暗くなる場所があります。
| 日付 | 日の出(東京) | 日の入(東京) | 下山完了の目安 | 下り2時間の山の引き返し |
|---|---|---|---|---|
| 11月1日 | 6:02 | 16:46 | 15:46 | 13:46 |
| 11月15日 | 6:16 | 16:35 | 15:35 | 13:35 |
| 11月30日 | 6:31 | 16:28 | 15:28 | 13:28 |
下山完了の目安は、東京の日の入の1時間前に置いた編集部の目安です。引き返しの時刻は、そこから下りにかかる時間を引いた値で、自分の山の下り時間に置き換えて計算してください。12月15日の日の入は16時29分で、11月末からほぼ動かないため、12月前半も同じ時刻で考えられます。
引き返しの決め方:下山完了の目安(東京の日の入の1時間前)から下りの時間を引く。バスの最終がそれより早いなら、バスの時刻を優先する。どちらか早い方が、その日の締め切りです。
気温の面からも、遅い下山は不利です。小河内の11月は日中14.0℃まで上がっても、朝の最低は5.0℃で、夕方は日が落ちると下がっていきます。汗で濡れた状態で日が陰る時間に入ると、昼の服のままでは足りません。下山を早める判断は、暗さの対策と寒さの対策を同時に兼ねています。
編集部の見立て:11月の下山が遅れたときに困るのは、暗さと寒さが同時に来ることです。朝の出発を30分早めるほうが、ヘッドライトを持って遅くまで歩くより、はるかに余裕が生まれます。灯りは保険で、予定に組み込むものではありません。
日帰りでもヘッドライトはザックに入れてください。スマートフォンのライトは片手がふさがり、電池も寒さで減りやすくなります。出発前に点灯を確かめ、電池の残量も見ておきます。
灯りの軽さや防水の見方は登山ヘッドライトを軽さと防水で見比べた記事にまとめました。ペツルのアクティック コアは、日帰りの保険として1つ持ちたい人から、早出で暗いうちに歩き出す人まで使いやすい定番の型番です。明るさと点灯時間はメーカーの公表値で確かめてください。
12月の小河内の日最低0.1℃から見る、凍結と冬に足すもの
11月の奥多摩の標高の高い所でいつ凍結が始まるかについては、公式の山域別の記載が見当たりません(2026年11月3日確認)。言えるのは平年値の範囲です。小河内の12月の日最低の平均は0.1℃で、12月には氷点下の朝が普通に来る気温です。平均が0.1℃である以上、それより低い朝が珍しくないことは数字から読み取れます。
式で高さを足すと、標高1,000mの12月の日最低は−2.9℃、1,500mは−5.9℃の目安です。11月の平年値でも1,500mは−1.0℃の目安なので、高い稜線の凍結は、12月を待たずに起こりうると見ておく方が安全側です。ただし、これは平年値と式からの見積もりで、今年のいつからと予想できるものではありません。
小河内の積雪の平年値は、気象庁の表では参考にできません。11月の山の凍結・積雪は、出発前に奥多摩ビジターセンターで確認してください。霜柱とチェーンスパイクの判断の目安は、11月の凍結と持つ標高の早見表で整理してあります。
では何を足すのか。編集部の目安として、計画の高さと時期で分けると次のようになります。要らない日は要らないと考えて構いません。
| 計画 | 手袋 | チェーンスパイク |
|---|---|---|
| 11月前半・標高1,000m前後まで・日中だけ | 薄手で足りる日が多い | 直前の情報に凍結がなければ必須としない |
| 11月下旬・標高1,000m台 | 防寒の手袋を足す | 直前の情報を見て決める |
| 標高1,500m前後の稜線、または12月 | 防寒の手袋と予備 | 持っていく方向で考える |
道具を持っていても、凍った道を安全に歩けるとは限りません。使ったことがない道具に初めて頼る場所としては、冬の高い稜線は適していません。直前の情報で凍結や積雪が分かり、経験と道具がそろわないなら、その日は標高の低い山へ変えるか、中止にしてください。冬の稜線は道具のために出かける場所ではありません。
編集部の見立て:冬に足す順番は、チェーンスパイクより先に手袋です。冷えは指先から動きを奪いますし、手袋はこの標高帯の11月でも出番があります。凍結の装備は、行き先を1,500mの稜線に上げるかどうかを決めてから考えれば十分です。
手袋の候補としては、ショーワグローブのTEMRES 04advanceがあります。防水性と保温の程度、サイズは商品ページで確かめ、気温が0℃の段に入る日は、中に着ける手袋との組み合わせも考えてください。
クマの目撃は5〜11月に多いと町が説明している
奥多摩町のページは、クマの目撃・痕跡の情報は例年5月から11月に多いと説明しています(町ページ更新2026年7月14日、2026年11月3日確認)。11月はまだこの期間の中です。町は対策として、音の出るもの(ラジオ・鈴)を持つこと、できるだけ一人にならないこと、遭遇したら走らず背を向けず静かに離れることを挙げています。
2026年は人身被害も出ています。町長メッセージ(5月20日)によると、5月17日に町境の小中沢林道の終点から約500m先で、登山者が負傷しました。場所の名前を知っているかどうかではなく、登山者が歩く範囲で起きた事例として受け止めてください。
編集部の見立て:クマの話は怖がるためでなく、行き先を決める前に調べるために知っておくものです。山の名前を決めてから調べると、変更しにくくなります。候補を2つ持って窓口を確認し、状況を見て決める順番をすすめます。
いまの目撃地点は、町が案内する次の3つの窓口で確かめられます(2026年11月3日確認時点)。
- 奥多摩町の「獣害報告LINEアプリ」
- 東京都環境局の「都内での目撃等」のページ
- 奥多摩ビジターセンターの「ツキノワグマ」の情報
出発前にどの順で見ると漏れが少ないかは、クマ出没情報を公式マップで調べる3段階の手順が役に立ちます。奥多摩町のクマのページも、出かける前に開いておいてください。
気温の話と同じで、ここも確認の順番が大事です。朝の電車に乗る前ではなく、前日のうちに窓口を見ておけば、別の山へ切り替える余地が残ります。音の出るものは、ザックの外側など音が届く位置に付けておきます。
ここに書いた窓口の案内は2026年11月3日時点のものです。入山に関わる案内が新しく出ていることもあるため、古い情報に頼らず、必ず当日に近いタイミングで開き直してください。
バスの最終と登山道の通行止めは、出発前にここで調べる
服と時刻が決まったら、最後は足と道です。バスの本数と最終便は曜日で変わります。西東京バスのハイキング時刻表(奥多摩・御岳山エリア、2026年4月1日改正)で、下山地点の最終を先に確かめてください。各駅のポケット時刻表は、同日改正分から作成を終えています(2026年11月3日確認)。
電車も同じです。青梅線の最終は季節・曜日で変わるため、JR東日本の時刻表で確かめてください。11月の臨時列車では、ホリデー快速おくたま87号の運転日が11月1・3・7・14・15・21〜23・28・29日、11月8日は特急「新酒・もみじ回遊号」と案内されています(2026年11月3日確認)。これらは鉄道会社の運行判断で、変更されることがあります。
編集部の見立て:下山地点のバスの最終を見ないまま山を決めるのが、11月に最も避けたい順番です。日の入の計算がどれだけ正確でも、バスがなければ行程は成り立ちません。時刻表を先に開き、そこから山を決めるくらいでちょうどいいと考えています。
朝の気温が低い時期は、早い時刻のバスに乗れるかどうかで、1日の余裕が変わります。始発の電車で間に合わない計画なら、前の晩に奥多摩に泊まって朝のバスに乗る組み立てにすると、引き返し時刻までの持ち時間が長く取れます。前の晩に奥多摩に泊まるなら、奥多摩の周辺の宿を探す(じゃらん)
が使えます。
登山道の通行止めは日々変わります。出発前に奥多摩ビジターセンターの一覧で最新の状況を確かめてください。たとえば鋸山林道は復旧工事で通行止めです。終了時期の記載は、ビジターセンターの「2026年秋頃まで」、観光協会の「11月中旬迄」と分かれているため、行く前に最新の案内を確かめてください。
車で向かう人は、奥多摩周遊道路の時間にも注意が要ります。東京都の案内では、冬期(10月1日〜3月31日)の通行可能時間は9時〜18時で、夜間・雨量・積雪などで通行止めになることがあります(2026年11月3日確認)。これは道路の通行の話で、バスの運行判断とは別です。また、町ページによると奥多摩オータムウォークが11月1日から8日まで、古里駅〜奥多摩駅で開かれます。
- 前日に、歩く高さの目安の気温を式で出し、服の段を決める
- 同じ日に、バスの最終、登山道の通行止め、クマの窓口を順に開く
- 当日の朝にもう一度、遅延や運休の案内を見てから出発する
ビジターセンターの開館時間は、公式サイトで確認してください。現地で尋ねるつもりでも、着いてから閉まっていることがないよう、出発前に調べておくと確実です。
奥多摩の11月の気温でよくある質問
Q. 11月の奥多摩は東京より何℃低いですか
小河内の観測点の平年値(1991〜2020年)で、東京より平均3.7℃、日最低3.8℃、日最高2.7℃低い値です。約4℃低いと覚えておけば実用上は足ります。ただしこれは標高約500mの観測点の値で、山の上はさらに低くなります。
Q. 小河内の気温は山頂の気温として使えますか
使えません。小河内は奥多摩湖に近い谷あいの観測点です。山頂の平年値は気象庁にないため、「標高差÷100×0.6℃」で下がる分を見積もります。標高1,500mなら小河内より約6℃低い目安で、風や日射でさらに変わります。
編集部の見立て:「奥多摩の気温」と書かれた数字を見たら、まず「どこの、標高いくつの値か」を確かめてください。これだけで、服の選び間違いの多くは防げるはずです。
Q. 11月の奥多摩にダウンは要りますか
編集部の目安では、標高1,000m台の前半までの日帰りなら、フリースと防風の上着で組める日が多いと考えます。標高1,500m前後の稜線や、長い休憩を入れる計画なら、ライトダウンを足す方が安心です。寒さの感じ方には個人差があります。
Q. 11月の奥多摩にチェーンスパイクは要りますか
11月の凍結の始まりについて、公式の山域別の記載は見当たりません(2026年11月3日確認)。編集部の目安では、11月前半に標高1,000m前後までを日中に歩き、直前の情報に凍結がなければ必須としません。高い稜線へ行く日は、奥多摩ビジターセンターで確かめてから決めてください。
Q. 11月はいつまでに下山すればよいですか
編集部の目安は、東京の日の入の1時間前です。11月15日なら日の入16時35分なので、15時35分に下山を終える計画になります。山中はこれより早く暗くなる場所があります。バスの最終がそれより早いなら、そちらに合わせてください。
編集部の見立て:下山の締め切りは、日の入とバスの最終の2つを見て早い方に決めるのが確実です。どちらか片方だけの計画は、もう片方に足をすくわれます。
東京より約4℃低い朝を起点に、奥多摩の11月の服と時刻を決める
11月の奥多摩は、小河内の観測点の平年値で東京より約4℃低く(平均−3.7℃、日最低−3.8℃)、12月の日最低は0.1℃まで下がります。山頂の値は式で見積もる目安にとどまりますが、「自分の山が5℃の世界か、0℃の世界か」を分けるには十分です。
編集部の見立て:東京の天気で服を決めない、これがいちばん大事な結論です。東京の最高気温ではなく、小河内の朝の気温と歩く高さから考え始めれば、11月の奥多摩で服を外すことはかなり減らせます。
- 歩く最高地点の標高を調べ、小河内(約500m)との差を「標高差÷100×0.6℃」で計算して、5℃の段か0℃の段かを決める
- 西東京バスの時刻表で下山地点の最終を確かめ、日の入の1時間前と比べて早い方から引き返し時刻を決める
- 奥多摩ビジターセンターと町が案内する窓口で、登山道の通行止めとクマの目撃を前日に確かめる
編集部の見立て:3つのうち最初の計算は、慣れれば1分で終わります。平年値は毎年ほとんど変わらないので、一度表を手元に置けば、来年の11月にもそのまま使えます。
出典
- 気象庁 平年値(東京): https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_sfc_ym.php?prec_no=44&block_no=47662&year=&month=&day=&view=a2(2026年11月3日確認)
- 気象庁 平年値(青梅): https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_amd_ym.php?block_no=1001&day=&month=&prec_no=44&view=a2&year=(2026年11月3日確認)
- 気象庁 平年値(小河内): https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_amd_ym.php?block_no=0365&day=&month=&prec_no=44&view=a2&year=(2026年11月3日確認)
- 国立天文台 各地のこよみ(東京 2026年11月): https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/2026/s1311.html(2026年11月3日確認)
- 国立天文台 各地のこよみ(東京 2026年12月): https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/2026/s1312.html(2026年11月3日確認)
- 奥多摩町 クマについて: https://www.town.okutama.tokyo.jp/gyosei/7/sangyoshinko/norinsuisangyo/1/1701.html(2026年11月3日確認)
- 奥多摩町 町長メッセージ(2026年5月20日): https://www.town.okutama.tokyo.jp/material/files/group/1/20260520tyoutyou.pdf(2026年11月3日確認)
- 奥多摩町 奥多摩オータムウォーク: https://www.town.okutama.tokyo.jp/1/kankosangyoka/kankojoho/1/3111.html(2026年11月3日確認)
- 奥多摩ビジターセンター: https://okutamavc.ces-net.jp/ / 通行情報の一覧: https://okutamavc.ces-net.jp/info/52(2026年11月3日確認)
- 東京都 奥多摩周遊道路: https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jimusho/nishiken/okutama-hp(2026年11月3日確認)
- 西東京バス 時刻表の案内: https://www.nisitokyobus.co.jp/rosen/pocket.html / ハイキング時刻表: https://www.nisitokyobus.co.jp/wp/wp-content/uploads/2026/03/20260401_hiking_Okutama.pdf(2026年11月3日確認)
- JR東日本 時刻表: https://timetables.jreast.co.jp/ / 2026年11月の臨時列車: https://timetables.jreast.co.jp/2611/timetable-v/652d2p.html(2026年11月3日確認)


