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岩殿山(いわどのさん)は、山梨県大月市にある標高634mの山です。JR大月駅のホームから岩肌の目立つ山容が見え、駅から歩いて登り始められる手軽さで知られています。山頂一帯は戦国時代の山城・岩殿城の跡で、山梨県指定の史跡になっています。
ただし、この山は「数年前に調べた情報」のまま出かけると迷う山でもあります。2019年(令和元年)8月に鏡岩の壁面の一部が剥がれ落ち、落石で登山道が被害を受けました。それ以来、表登山道の一部区間は大月市が「通行禁止」としています。一方で、2025年(令和7年)12月25日には強瀬側の登山口から山頂へ至る迂回の新ルートが開通しました。
つまり2026年9月19日確認時点の答えは、旧来の表登山道の一部は今も通行禁止だが、迂回ルートと畑倉登山口のルートを使えば山頂へ登れる、です。検索で出てくる情報の中には、新ルートの開通前に書かれたまま更新されていないものも混じっています。この記事では、大月市と大月市観光協会の現行の公開情報だけを使って、どこから登れて、どこが確認待ちなのかを分けて整理します。
読み進める前に1つだけ。この記事の数字は、2026年9月19日に公式ページで確認した値です。通行止めや迂回路の扱いは、落石や工事で変わることがあります。出発前には、記事末尾の出典にある大月市の登山情報ページを自分の目で見てから出かけてください。
- 表登山道で今も通行禁止なのは「岩殿山ふれあいの館から稚児落し方面への分岐まで」の区間で、理由は2019年8月の鏡岩の剥落による落石であること
- 2025年12月25日に強瀬側登山口から山頂へ至る新ルートが開通し、所要は「40分ぐらい」と大月市が案内していること
- 王道の畑倉登山口ルートは、大月駅から徒歩約40分+山頂まで約40分で、合計すると1時間20分になること
- 兜岩のクサリ場は、大月市の現行ページに記載がなく、通れるかどうかを現地の掲示で確かめる必要があること
- 稚児落しには「岩場ルート」と「林間ルート」があり、柵のない切り立った場所を含むこと
- 山梨県の山のグレーディングでは体力度1・難易度Aだが、その評価が縦走まで含むとは読み取れないこと
- 新ルートは「日の出から日没まで」の利用が推奨され、秋は下山の締め切りを先に決める必要があること
岩殿山はどんな山か|大月駅から歩いて登れる634mの山城跡
岩殿山の標高は634mです(山梨県公式観光情報・2026年9月19日確認時点)。数字だけを見ると低山の部類に入ります。ただ、この山の性格を決めているのは標高ではありません。南側に大きな岩壁を見せる山容と、山頂一帯に残る山城の跡、そして駅から歩いて取り付けるという立地の3つです。
山頂一帯の岩殿城跡は、山梨県指定の史跡名勝天然記念物(史跡)で、指定日は平成7年6月22日です(大月市指定文化財一覧・2026年9月19日確認時点)。国や市ではなく、県の指定として一覧に載っています。登山道の途中や山頂には、城の遺構と関わる平坦地や石段が現れます。歩く場所の一部が史跡である、という前提は頭に置いておきたいところです。
もう1つの顔は、富士山の展望地としての岩殿山です。大月市は市内の山頂から見る富士山の景観を「秀麗富嶽十二景」として選んでおり、岩殿山は八番山頂として「岩殿山・お伊勢山」の名で紹介されています(大月市の登山マップ資料・2026年9月19日確認時点)。晴れた日には、山頂付近から富士山の姿を探す人が多い山です。
秀麗富嶽十二景の山は大月市内に点在していて、岩殿山の次の1座を探すときの手がかりになります。同じく富士山の展望で知られる山として、三つ峠山のルート別の標高差・コースタイムと通行止めの確認先を整理した記事もあります。岩殿山で駅歩きの登山に慣れたら、次は標高差の大きい山へ、という順序で考えると無理がありません。
岩殿山は火山ではありません。山梨県の登山情報ページには、岩殿山を名指しした火山の入山規制は見当たりません(2026年9月19日確認時点)。この山で気にすべき規制は、火山ではなく落石による登山道の通行禁止のほうです。ここを取り違えると、調べる先を間違えます。
「駅から歩いて登れる」という立地は、計画の組みやすさと引き換えに、帰りの時間の読み違いを生みやすい条件でもあります。車で来る山なら、登山口に戻った時点で行程はほぼ終わりです。岩殿山では、登山口に下りてからさらに駅まで歩く時間が残ります。行きの電車の時刻だけでなく、帰りに乗る電車の時刻まで含めて1日の枠を考えておくと、山頂での過ごし方に余裕が生まれます。
整理すると、岩殿山は「低い・近い・短い」の3拍子がそろった山です。その一方で、岩壁の下を通る道が落石で閉ざされたという事情を抱えています。岩殿山の計画で最初に確かめるのは、標高やコースタイムではなく、どの登山口から入れるかです。次の章から、その入口の話を順に見ていきます。
編集部の見立て:岩殿山は「駅から近い低山」という触れ込みで紹介されることが多い山です。ただ、2019年からの数年で登れる道が大きく変わりました。古い紀行文や地図アプリの記録をそのまま信じると、通行禁止の区間に入り込むおそれがあります。この山に限っては、情報の新しさが装備より先に効いてくると考えています。
表登山道は今どうなっているか|通行禁止の区間と強瀬側の新ルート
岩殿山の南面、大月駅側から登る道は、かつて「表登山道」と呼ばれる最短路でした。強瀬の登山口から丸山公園(岩殿山ふれあいの館)を経て、岩壁の下を巻きながら山頂へ向かう道です。この道が、2019年の鏡岩の剥落で大きく変わりました。
大月市の登山情報ページ(更新日2026年2月12日・2026年9月19日確認時点)は、経緯を「令和元年8月に岩殿山・鏡岩の壁面の一部が剥落し、その落石により登山道が被害を受けました」と説明しています。そのうえで、鏡岩からの落石のおそれがあるため、「岩殿山ふれあいの館から稚児落し方面への分岐までの区間を通行禁止」としています。これは市が定めた登山道の通行禁止です。事業者の運行判断や、協力金のようなお願いとは性質が違います。
通行禁止の区間は「ふれあいの館から稚児落し方面への分岐まで」です。地図アプリに残る過去の軌跡や、古い登山記録の道順をそのままたどると、この区間に入ってしまうことがあります。鏡岩の下は落石のおそれがあるとして閉じられている場所です。ロープや看板を越えて近道をすることは避けてください。
そのかわりに開かれたのが、強瀬側の迂回新ルートです。大月市の同じページによると、強瀬側登山口から岩殿山山頂へと至るルートが令和7年(2025年)12月25日に開通しました。大月市観光協会はこれを「再開通」と表現しています。所要時間について、大月市は「岩殿山山頂まで40分ぐらい」と案内しています(強瀬側登山口から・2026年9月19日確認時点)。
大月市は新ルートについて、日の出から日没までの利用を推奨しています。また、傾斜のある滑りやすい箇所があるため、足元に注意するよう呼びかけています。「開通した」は「誰でも気軽に歩ける」と同じ意味ではありません。迂回路である以上、元の道より急な区間を含むと考えておくのが自然です。
大月市のページを読むときは、見る順番を決めておくと迷いません。最初にページの更新日を見て、前回確かめたときから変わっていないかを確認します。次に、通行禁止としている区間の起点と終点の名前を読みます。最後に、新ルートの起点がどの登山口かと、利用の推奨時間帯を読みます。この3点だけを押さえれば、どの道が使えて、どこに入ってはいけないかが判断できます。
現地では、登山口や分岐に立つ看板も必ず読んでください。通行禁止の区間の入口には、ロープや看板で立ち入らないよう示されていることがあります。ページで読んだ区間名と、現地の看板に書かれた地名が一致しているかを照らし合わせれば、自分が今どちらの道にいるのかを取り違えずに済みます。


| 区間・ルート | 現在の扱い(大月市の語) | 所要の目安(公式値) |
|---|---|---|
| ふれあいの館〜稚児落し方面への分岐 | 通行禁止(鏡岩からの落石のおそれ) | ―(歩けない区間) |
| 強瀬側登山口〜山頂(新ルート) | 2025年12月25日開通。日の出〜日没の利用を推奨 | 40分ぐらい(大月市) |
| 大月駅〜畑倉登山口〜山頂 | 大月市観光協会が案内する王道ルート | 40分+40分=合計1時間20分 |
ここで1つ、情報の食い違いに触れておきます。山梨県の公式観光情報サイトの岩殿山のページには、新ルートの開通前の状態を前提にした案内が残っています。そのページの情報確認日は2025年4月4日で、12月の開通より前のものです。現況を知りたいときは、県の観光サイトではなく、大月市の登山情報ページと大月市観光協会のページを見るのが確実です。
編集部の見立て:同じ行政の中でも、更新日がずれると真逆に読める案内が並ぶことがあります。岩殿山は、まさにその状態にあります。検索の上位に出た1ページで判断せず、ページの更新日を見比べるひと手間が、この山では一番効くと考えています。
畑倉登山口から登る王道ルート|大月駅から合計1時間20分
表登山道が長く閉じていた間、岩殿山への主な入口になってきたのが北東側の畑倉登山口です。大月市観光協会の案内(2026年9月19日確認時点)では、大月駅から畑倉登山口までは徒歩約40分、畑倉登山口から山頂までは約40分です。
公式の区間値を合計すると、大月駅から山頂まではちょうど1時間20分になります。大月市の別の資料も、大月駅から畑倉登山口経由で山頂まで1時間20分という同じ値を載せています。数字が2つの出典で一致しているので、計画の基準にしやすい値です。
畑倉ルートの時間の組み立て:駅から登山口まで約40分、登山口から山頂まで約40分。前半の40分は町と車道の歩きで、後半の40分が山道です。所要の半分が登山口に着くまでの歩きだという点が、このルートの時間感覚を左右します。
前半の約40分は、駅から桂川を渡って畑倉の集落へ向かう道のりです。大月市観光協会によると、畑倉登山口には自動販売機とバス停があります。ここが最後に飲み物を買い足せる地点と考え、山道に入る前に水の量を確かめておくと安心です。
後半の約40分は、樹林の中を登って山頂直下の尾根に出る道です。表登山道のような岩壁の真下は通りません。そのため、表登山道が閉ざされていた時期も、多くの登山者がこちらを使ってきました。強瀬の新ルートが開通した今も、「まずはこちらから」という位置づけは変わらないと言ってよいでしょう。
帰りの時間も同じ考え方で組み立てます。下りの所要時間は公式に示されていないため、登りと同じ値を仮に置くと、山頂から畑倉登山口まで約40分、登山口から駅まで約40分です。往復では、公式の区間値を合計した1時間20分を2回分、つまり歩くだけで2時間40分を見込むことになります。ここに山頂での休憩と、登山口での服装の調整を足したものが、畑倉ルートで山頂を往復する1日の骨格です。
大月市の資料には、大月駅から山頂までを「約60分」とする記載も見られます。ただ、畑倉経由の区間値(40分+40分)と合うのは1時間20分のほうです。60分の値がどの経路を指すのかは、公式に区間分けされた記載がなく確かめられません。計画には、区間値の裏付けがある1時間20分を使ってください。
足回りの話も、この章でしておきます。畑倉ルートは前半が舗装路、後半が土と木の根の山道です。山頂付近や、後で触れる稚児落し方面に足を延ばすなら、岩の上で足を置く場面も出てきます。1足で舗装路と岩場の両方をこなすなら、底が硬すぎず、かといって柔らかすぎない登山靴が合います。
その候補の1つが、ガルモントのトレッキングシューズ「Dragontail TECH GTX」(品番002472)です。モデル名のGTXが示すとおり防水透湿の仕様で、岩場の多い低山の日帰りに向く設計の靴です。駅から歩いて岩のある尾根へ入る、岩殿山のような1日を想定する人に向いています。
編集部の見立て:畑倉ルートは「山道は40分だけ」と聞くと、ずいぶん短く感じます。ただ、駅からの40分を含めて1時間20分、帰りも同じだけかかると考えると、半日は見ておく行程です。登りの40分より、往復の舗装路のほうが足にくる人も少なくないはずです。
兜岩のクサリ場は今も通れるか|公式に記載がないときの確かめ方
岩殿山から稚児落しへ向かう縦走路の途中には、兜岩と呼ばれる岩場があり、クサリが設置された区間として知られてきました。この兜岩のクサリ場が今通れるかどうかは、岩殿山の計画でいちばん気になる点の1つです。
結論から言うと、兜岩のクサリ場の現況は、大月市の最新の公開情報では確かめられません。大月市の登山情報ページ(更新日2026年2月12日)にも、大月市観光協会の岩殿山のページにも、2026年9月19日時点で兜岩という語自体が出てきません。通行止めとも、通行可とも書かれていない状態です。
過去の資料の中には、兜岩のクサリ場について何らかの扱いを書いたものもあります。ただし日付が分からない資料で、今の状態を示すものかどうかは判断できません。この記事では、通れる・通れないのどちらとも書きません。現地の掲示と、出発直前の大月市・大月市観光協会の案内で確かめることを勧めます。
- 出発の前日か当日の朝に、大月市の登山情報ページの更新日と内容を見たか
- 大月市観光協会の岩殿山のページで、ルートの案内に変更がないか確かめたか
- 兜岩の手前の分岐で、現地の看板・ロープ・迂回の案内を読むつもりでいるか
- クサリ場を通らない場合に引き返すか、別の道を探すかを、出発前に決めてあるか
- 問い合わせるなら、平日の開庁時間に大月市へ電話する段取りを取ってあるか
現地で案内が見当たらない、あるいは読み取れない場合は、無理に進まない判断が妥当です。岩殿山の山頂までは畑倉ルートや強瀬の新ルートで往復できます。稚児落しまで足を延ばすかどうかは、兜岩の状態を自分の目で確かめたうえで決めても遅くありません。
電話で問い合わせる場合は、聞くことを先に絞っておくと話が早く進みます。「兜岩のクサリ場を含む岩殿山から稚児落しへの道は、今通行できるか」「迂回の道があるなら、現地に案内が出ているか」の2点です。答えを聞いたら、聞いた日付と相手の部署名を控えておきます。現地で掲示と食い違ったときは、掲示のほうを優先してください。現地の掲示は、その場所の最新の状態を示すものだからです。
クサリ場を通るときの体の使い方は、山を問わず共通しています。三点支持をどこで使い、どんな場面でクサリに体重を預けてはいけないかは、登山の鎖場・岩場の通過で三点支持を使う場面と、鎖に頼ってはいけない場面にまとめています。兜岩を通ると決める前に、手順を頭に入れておくと落ち着いて判断できます。
クサリ場では、手を使うために足を大きく上げる動きが増えます。膝の曲げ伸ばしを妨げない、伸びのあるパンツを選ぶと動きやすくなります。ザ・ノース・フェイスの「バーブライトパンツ」(メンズ)は、岩場を含む山歩き向けとして展開されている長ズボンです。足を高く上げる場面が多い縦走を考えている男性に合います。
編集部の見立て:公式に書かれていないことを、ブログや口コミの記録で埋めたくなる気持ちは分かります。ただ、その記録が何月のものかで状況は変わります。兜岩については「記載がないこと自体が、現地で確かめる理由」と受け止めるのがいちばん安全だと考えています。
稚児落しへ足を延ばす|岩場ルートと林間ルートの分かれ目
岩殿山の西には、稚児落し(ちごおとし)と呼ばれる大きな岩壁があります。岩殿山から尾根づたいに向かう縦走の終盤に現れる場所で、この周回を目当てに訪れる人も多い区間です。大月市観光協会(2026年9月19日確認時点)は、稚児落し周辺について「岩場ルート」と「林間ルート」の選択肢があると案内しています。
同じ案内には、稚児落しは切り立った岩場で足元が急であり、柵のない場所もあると書かれています。稚児落しで選ぶべきは景色の良さではなく、柵のない崖の縁を自分が歩けるかどうかです。高さに体がすくむ人や、同行者に小さな子どもがいる場合は、林間ルートを選ぶほうが筋が通ります。
グループで歩く場合は、稚児落しに着く前に「誰に合わせてルートを選ぶか」を決めておくと、現地で意見が割れません。基準にするのは、いちばん高さに不安がある人です。岩場ルートを歩きたい人がいても、全員がそろって同じ道を歩けることを優先します。崖の縁で写真を撮るときは、柵のない場所であることを思い出し、縁から距離を取った位置で立ち止まってください。
| 判断の材料 | 岩場ルートを選ぶ条件 | 林間ルートを選ぶ条件 |
|---|---|---|
| 高さへの慣れ | 柵のない岩場の縁で、足元を見ながら落ち着いて立てる | 高い場所で体が固まった経験がある、または不安がある |
| 天気と路面 | 前日から晴れていて、岩が乾いている | 雨の翌日、朝露や落ち葉で岩が濡れている |
| 同行者 | 全員が岩場の経験を持ち、ペースがそろっている | 子ども連れ、初めての人を含む、体力差が大きい |
| 時刻 | 日没まで十分な余裕がある | 予定より遅れていて、下山を急ぎたい |
稚児落しから先は、浅利側へ下って大月駅方面へ戻るのが一般的な周回の組み方です。ただし、稚児落しから浅利登山口まで、また浅利から大月駅までの所要時間は、大月市と大月市観光協会の現行ページに数値の記載がありません(2026年9月19日確認時点)。この記事では時間を書きません。
所要時間の公式値が無い区間を含む計画は、「何時に終わるか」を数字で詰められません。稚児落しまで行く日は、岩殿山の山頂に着いた時刻を見て、先へ進むか来た道を戻るかを決める運用にしてください。山頂で予定より遅れていれば、縦走をあきらめて畑倉ルートを下る判断も立派な計画の一部です。
岩場の多い周回では、脚さばきの良い服装が歩きやすさを左右します。女性向けには、同じザ・ノース・フェイスの「バーブライトスリムパンツ」(レディース)があります。細身のシルエットで裾が足元にまとわりつきにくく、岩場で足元を確かめたい人に向きます。
編集部の見立て:稚児落しは、岩殿山を「駅から歩ける低山」から「岩場を含む縦走」に変える場所です。山頂までで引き返すのか、稚児落しまで行くのかで、必要な経験も時間の読み方も別物になります。出発前にどちらの日にするかを決めておくほうが、現地で迷わずに済むと考えています。
大月駅からのアクセス|各登山口までの徒歩時間と電車の選び方
岩殿山は、車を使わなくても登山口に立てる山です。大月駅はJR中央本線の駅で、特急かいじが停車します。特急あずさについては列車によって停車の有無が異なるため、乗る列車ごとにJR東日本の時刻表で確かめてください。新宿方面からの所要時間は、この記事では数字を示しません。
駅から各登山口までの徒歩時間は、大月市観光協会の案内(2026年9月19日確認時点)で次のとおりです。
| 区間 | 所要(公式値) | 補足 |
|---|---|---|
| 大月駅→強瀬登山口 | 徒歩約15分 | 新ルートの起点側 |
| 強瀬登山口→丸山公園(ふれあいの館) | 歩いて約20分 | その先は通行禁止区間 |
| 大月駅→畑倉登山口 | 徒歩約40分 | 自動販売機とバス停あり |
強瀬側の新ルートを使う場合、大月市観光協会の「駅→強瀬登山口約15分」と、大月市の「強瀬側登山口→山頂40分ぐらい」を合計すると約55分になります。ただしこの2つは出典が別で、新ルートを通した駅から山頂までの所要時間は、公式にまとまった形では案内されていません。あくまで区間値を足した目安として扱ってください。
駐車場については、大月市と大月市観光協会の現行ページで各登山口の台数やトイレの案内を確認できませんでした(2026年9月19日時点)。岩殿山は公共交通機関でのアクセスが基本と考えてください。電車とバス、タクシーをどう組み合わせて登山口に立つかは、車がなくても登山口に立てるバス・タクシー・シャトルの使い分け方で一般的な考え方を整理しています。
駅から歩き出すルートの特徴は、山道に入る前に体が温まってしまうことです。畑倉登山口までの約40分は、季節によっては汗をかくのに十分な距離です。登山口で一度立ち止まり、服装を調整してから山道に入る段取りを組んでおくと、後半の冷えを防げます。
帰りの電車の時刻は、行きの電車より先に調べておくのがおすすめです。特急に乗る予定なら、乗りたい列車の発車時刻から駅までの歩き、下り、山頂での休憩の時間を順に引いていくと、山頂を離れるべき時刻が見えてきます。特急に間に合わなかったときに乗れる普通列車の時刻も、あわせて控えておくと慌てずに済みます。時刻はJR東日本の公式の時刻表で、出かける日の分を確かめてください。
この「町歩きで汗をかき、山で冷える」流れに合うのが、速乾性の高い半袖の肌着です。モンベルの「ジオライン L.W. Tシャツ」(品番1107484)は、軽量・速乾をうたう半袖Tシャツで、舗装路の歩きから山道まで着たまま通したい人に向いています。
車道を歩く区間では、登山靴の靴ひもを山道と同じ強さで締めたままにすると、足の甲が痛くなることがあります。舗装路では少しゆるめ、登山口で締め直す、という順番を覚えておくと足への負担を減らせます。また、車道の歩道がない区間では、車に注意して一列で歩いてください。
編集部の見立て:駅から登山口まで歩ける山は、交通の段取りを考えなくていい分、時間の見積もりが甘くなりがちです。畑倉ルートなら、登山口に着いた時点で行程のちょうど半分が終わっている勘定になります。その40分を「移動」ではなく「登山の一部」として時間に入れておくことをすすめます。
駅から岩場の尾根を歩いて駅へ戻る日の、靴・ザック・秋の上着
岩殿山の1日は、舗装路の歩き、樹林の登り、岩場を含む尾根、急な下り、そしてまた舗装路という順で、路面の種類がめまぐるしく変わります。稚児落しまで足を延ばすなら、なおさらです。ここでは、この山の条件に合わせて足回り・荷物・上着を選ぶ基準を整理します。
選ぶ基準は4つです。1つ目は、靴底が岩の上で滑りにくく、舗装路でも足が痛くなりにくいこと。2つ目は、ザックが日帰りの荷物に見合う大きさで、岩場で手を使うときに体から離れて揺れないこと。3つ目は、秋の稜線で風を受けたときにすぐ羽織れる上着があること。4つ目は、雨具を別に持つか、風よけで兼ねるかを、その日の天気予報で決めることです。
| 分類 | 候補(型番・公表の特徴) | 向く人 |
|---|---|---|
| 靴 | KEEN PYRENEES(ピレニーズ)/耐水・耐滑・クッション・通気 | 舗装路と山道を1足で通したい人 |
| ザック | グレゴリー デイパックLT | 山頂往復中心で、荷物を最小限にまとめたい人 |
| ザック | Deuter Ac Lite 23 | 稚児落しまでの縦走で、背中の蒸れを抑えたい人 |
| 雨具 | モンベル バーサライトジャケット(男性用登山用雨具) | 雨具を軽く小さく持ち歩きたい人 |
| 風よけ | モンベル O.D.パーカ(1103320・ナイロン) | 秋の尾根で風よけを手早く羽織りたい人 |
靴から見ていきます。岩殿山は標高こそ低いものの、登山口までと下山後の舗装路の歩きが長い山です。硬いソールの重登山靴は、この山では持て余します。舗装路の歩きやすさと岩場での滑りにくさ、その両立がこの山の靴選びの軸です。ワイズや寿命、カットの高さまで含めた靴の見方は、トレッキングシューズをワイズ・寿命・カットで見る記事で詳しく比べています。
KEENの「PYRENEES(ピレニーズ)」は、耐水・耐滑・クッション・通気をうたうトレッキングシューズです。クッションのある履き心地で、駅からの舗装路が長い日に足裏の疲れを抑えたい人に向いています。
ザックは、日帰りの荷物が収まる大きさで十分です。グレゴリーの「デイパックLT」は、同社の定番デイパックの系譜にある現行モデルです。山頂往復だけの日や、荷物を最小限にまとめて身軽に歩きたい人に合います。
稚児落しまで縦走する日は、歩く時間が延び、背中の汗が気になってきます。ドイターの「Ac Lite 23」は、背面の通気を意識したハイキング向けのバックパックです。行動時間が長めの日に、背中の蒸れを少しでも抑えたい人に向いています。
雨具は、晴れ予報の日でも持っていくのが基本です。モンベルの「バーサライトジャケット」は、男性用の登山用レインジャケットとして展開されている軽量の雨具です。ザックの中で場所を取らない雨具を探している人に合います。
秋の尾根では、雨が降らなくても風で体が冷えます。モンベルの「O.D.パーカ」(品番1103320)は、ナイロン製のウインドブレーカーです。休憩のたびにさっと羽織り、歩き出したら脱ぐ、という使い方をしたい人に向いています。
編集部の見立て:岩殿山で装備を選ぶとき、山の標高に合わせて軽装に寄せすぎるのも、岩場を意識して重装備にしすぎるのも、どちらも噛み合いません。舗装路と岩場の両方がある1日だと考えて、靴は歩きやすさ、上着は脱ぎ着のしやすさを優先するのが、この山に合った組み方だと考えています。
岩場とクサリ場に備える持ち物|ポールをしまう場面と出す場面
岩殿山の周辺で道具の使い方が問われるのは、急な下りと岩場です。大月市が新ルートについて「傾斜のある滑りやすい箇所がある」と注意しているとおり、下りで足を取られる場面は低山でも起こります。ここでは、トレッキングポールと手袋、ヘッドライトなど、岩場を含む日帰りで持っておきたい物を、使いどころで整理します。
トレッキングポールは、急な下りで膝への負担を和らげ、バランスを保つのに役立ちます。一方で、手を使って岩をつかむクサリ場では、ポールは邪魔になります。ポールは「持っていく」より「しまう場所と出す場所を決めておく」道具だと考えると、使い方の迷いが減ります。
- 岩場やクサリ場の手前で立ち止まり、ポールを縮めてザックの横に固定する。手に持ったまま岩に取り付かない
- 岩場を抜けて、両手を使わずに歩ける道に戻ったら、足場の安定した場所でポールを伸ばし直す
- 急な下りでは、ポールを少し長めに調整し、一歩先の足場を確かめてから体重を預ける
ポールの長さの合わせ方や、軽さ・価格帯の違いによる選び分けは、トレッキングポールを軽さ・コスパで比べた記事で詳しく扱っています。岩殿山のように、ポールを出したりしまったりする回数が多い山では、伸縮の操作が手早くできるかどうかが使いやすさを左右します。
岩場の日の持ち物の考え方:岩殿山の周辺は、標高が低いぶん「軽装で来て困る」パターンが起きやすい山です。岩をつかむための手袋、下りで使うポール、日没に備えたヘッドライトの3つは、山頂往復だけの日でも持っていく価値があります。持ち物は標高ではなく、通る地形と帰る時刻で決めるのがこの山の基本です。
クサリ場では、ポールを手首にかけたまま岩に取り付くと、ストラップが岩に引っかかって体勢を崩すおそれがあります。また、軍手のような滑りやすい手袋は、クサリや岩をつかむ場面では握りが甘くなります。岩場に入る前に、手元の道具を整理する時間を取ってください。
手袋は、手のひら側に滑り止めのある薄手のものが扱いやすいです。岩の表面の感触が分かる程度の薄さなら、細かな手がかりもつかめます。秋の朝晩の冷え込みに備えて、防寒用の厚手の手袋を別に持つ人もいますが、岩をつかむ場面では薄手に替えるのが基本です。ザックの取り出しやすい場所に入れておき、岩場の手前ですぐにはめられるようにしておきます。
ポールの候補の1つが、シナノの「FAST-125 A/S」です。アルミ製の伸縮タイプで、長さは100〜125cmの範囲で調整できます。岩場の手前でしまい、下りで出す、という操作を繰り返す日に、手早く長さを変えたい人に向いています。
編集部の見立て:岩殿山のような低山で、ポールを持っていくか迷う人は多いと思います。ただ、この山で膝に効いてくるのは登りより下りで、しかも「滑りやすい箇所がある」と市が名指しで注意しています。岩場ではしまう手間がかかっても、下りで出せるなら持っていく価値はあると考えています。
グレーディングで見る難しさ|体力度1・難易度Aの読み方
山梨県は、県内の山の一般的な登山ルートについて、体力度と難易度を示す「山のグレーディング」を公表しています。対象は山梨百名山の一般的な登山ルート123ルートで、評価は無雪期・天候良好時を前提にしています(山梨県・2026年9月19日確認時点)。岩殿山はこの表に「岩殿山(JR大月駅)」として掲載され、体力度1・難易度Aと評価されています。
体力度1は、県の表の中でも体力面の負担が小さい側の区分です。難易度Aも、技術的な難しさの区分の中で最も易しい側に置かれています。数字だけを見れば、岩殿山は「はじめての山」の候補に入る評価です。
ただし、この評価は「岩殿山(JR大月駅)」という掲載名に対するものです。稚児落しまでの縦走や、兜岩のクサリ場を通る道順まで含めた評価かどうかは、掲載名からは読み取れません。また、評価は無雪期・天候良好時が前提です。雨の日や、雨上がりで岩が濡れた日の難しさは、この数字には含まれていません。
グレーディングの表は、同じ物差しで山どうしを比べられるのが強みです。一方で、登山道の通行止めや迂回路の開通のように、年ごとに変わる事情までは反映されません。岩殿山の場合、2019年からの通行禁止と2025年12月の新ルート開通という大きな変化がありました。グレーディングは山の性格を知るための地図であり、今日の道の状態を知る情報ではないと分けて使うのが安全です。
体力度と難易度の区分がそれぞれ何を意味するのか、都道府県ごとの表をどう読み比べればよいかは、山のグレーディング表の見方と都道府県別の一覧で整理しています。岩殿山の「1・A」が、ほかの県の山のどのあたりに当たるかを見ておくと、次に登る山を選ぶときの基準になります。
- 標高差の小さい山で、登り40分程度を休まずに歩き通した経験がある
- 駅から登山口までの舗装路を含めて、片道1時間20分程度の行程を歩ける
- 稚児落しまで行くなら、柵のない岩場の縁を歩いた経験がある
- 雨の翌日は岩場を避け、山頂往復に切り替える判断を事前にしてある
このチェックの上2つを満たしていれば、畑倉ルートでの山頂往復は現実的な計画です。下2つに不安がある場合は、まず山頂往復にとどめ、稚児落しは次の機会に回すという段階の踏み方が向いています。同じ山を2回に分けて登ることは、遠回りではありません。
なお、岩殿山のコース全体の距離や累積の標高差は、大月市と山梨県の公式資料では確認できませんでした(2026年9月19日時点)。そのため、この記事では「標高差◯m」という形で体力の目安を示していません。体力の見積もりは、公式の所要時間(畑倉ルートで片道1時間20分)と、グレーディングの体力度1という2つの材料で行うのが、今ある情報の範囲では確かなやり方です。
編集部の見立て:体力度1・難易度Aという評価は、たしかに安心材料です。ただ、岩殿山の場合、その評価の外側に「通行禁止の区間」「現況が確かめられないクサリ場」「柵のない岩壁」が並んでいます。表の数字で入口を選び、道の状態は大月市の最新情報で確かめる、という二段構えが現実的だと考えています。
日の出から日没まで|秋の岩殿山で下山の締め切りを決める
大月市は強瀬側の新ルートについて、日の出から日没までの利用を推奨しています(2026年9月19日確認時点)。傾斜があって滑りやすい箇所を含む道を、暗い中で歩くのは避けてほしい、という趣旨です。岩殿山は低山で行程も短いため、つい遅い時刻に出発しがちですが、秋はこの推奨が効いてきます。
9月から10月にかけて、日の入りの時刻は日ごとに早まっていきます。具体的な日の入り時刻は、国立天文台暦計算室の「こよみの計算」で、大月市の位置と出かける日付を入れて調べるのが確実です。この記事では、特定の日の時刻を書きません。そのかわり、調べた日の入り時刻から下山の締め切りを決める手順を示します。
下山の締め切りの決め方(編集部の置き方):その日の日の入り時刻から、①登山口から駅までの舗装路の時間(畑倉なら公式値で約40分)、②山頂から登山口までの下りの時間(登りの公式値約40分を目安に置く)、③余裕の時間、の3つを引きます。③を1時間とすると、畑倉ルートなら「日の入りの2時間20分前」を山頂を離れる締め切りにする計算になります。
上の計算は、公式の区間値をもとに編集部が組み立てた目安です。下りの所要時間は公式に示されていないため、登りと同じ40分を仮に置いています。岩場で時間がかかる人や、休憩を長めに取る人は、③の余裕を増やしてください。稚児落しまで縦走する日は、公式の所要時間が示されていない区間を含むため、この計算は使えません。その場合は、より早い時刻に出発する計画にしてください。
締め切りの時刻は、出発前に紙やスマートフォンのメモに書いておくと守りやすくなります。山頂で景色を眺めていると、あと少しだけ、と時間を延ばしたくなるものです。決めた時刻になったら理由を考えずに腰を上げる、というルールを同行者とも共有しておくと、判断が感情に流されにくくなります。締め切りより早く山頂に着いた日は、その分だけ休憩を長く取れる、と考えれば気持ちの負担も軽くなります。
日没が早まる季節に、月ごとの日の入り時刻の目安と、そこから引き返し時刻を決める考え方は、秋に早まる登山の日没と、月別の早見表・引き返し時刻の決め方でまとめています。岩殿山に限らず、低山の午後の行動を組み立てるときの基準になります。
「低山だから暗くなっても駅まで歩ける」と考えるのは危険です。樹林の中は、町より早く暗くなります。滑りやすい下りをヘッドライトなしで歩くことになれば、転倒の危険が一気に上がります。新ルートは日の出から日没までの利用が推奨されていることを、行程を組む前提にしてください。
予定どおりに下山できる計画でも、ヘッドライトは必ずザックに入れておきたい道具です。レッドレンザーの「MH5」は、充電式のLEDヘッドライトです。乾電池の買い置きを気にせず、日帰りのザックに常備しておきたい人に向いています。
編集部の見立て:岩殿山は「昼から登っても間に合う山」と思われがちです。行程だけを見れば、それも間違いではありません。ただ、秋は日の入りが早まり、迂回路は日の出から日没までの利用が推奨されています。出発時刻より先に「何時に山頂を離れるか」を決めるほうが、この山の午後を安全に使えると考えています。
クマの目撃情報と単独登山|大月市の注意喚起をどう受け止めるか
大月市の登山情報ページには、クマについての注意が載っています。大月市は「大月市内の山々にはクマが生息しており、目撃情報が寄せられています」としたうえで、単独登山を避けること、ラジオや鈴などで音を出しながら行動することを呼びかけています(2026年9月19日確認時点)。
山梨県もまた、県内でツキノワグマの目撃情報があるとして、登山者に向けた一般的な注意を登山情報のページで案内しています。岩殿山は駅に近い山ですが、周辺の山並みはツキノワグマの生息域に含まれます。駅から近いことと、クマがいないことは別の話だと考えておくべきです。
| 大月市の呼びかけ | 具体的な行動 | 出発前にできること |
|---|---|---|
| 単独登山を避ける | 2人以上で歩き、互いの位置が分かる距離を保つ | 同行者の都合がつく日を先に決める |
| 音を出しながら行動する | 鈴やラジオ、ときどき声を出して存在を知らせる | 鈴をザックの外側に付けておく |
| 目撃情報がある | 見通しの悪い曲がり角や沢沿いで立ち止まって周囲を見る | 出発前に大月市・山梨県の最新の注意喚起を見る |
音を出すことについては、人の多い時間帯と少ない時間帯で意味が変わります。休日の昼間の畑倉ルートのように人通りがある時間帯と、平日の早朝や夕方の人の少ない時間帯とでは、クマと鉢合わせる状況も違ってきます。人の少ない時間帯に歩くほど、音で存在を知らせる意味は大きくなります。
秋は、クマが冬に備えて食べ物を探して動き回る季節とされます。岩殿山のように樹林の中を歩く区間がある山では、見通しの悪い場所で急に距離が縮まることを避けるのが基本です。イヤホンで音楽を聴きながら歩くと、周囲の物音に気づきにくくなります。周りの音が聞こえる状態で歩くことも、音を出すことと同じくらい大切な備えです。
クマの出没情報は、都道府県や市町村がそれぞれの形で公開しています。どこを見れば最新の情報にたどり着けるか、確認の順番をどう組むかは、登山前のクマ出没情報を都道府県公式マップで確かめる3段階の手順で整理しています。岩殿山なら、大月市と山梨県の両方の案内を見るのが出発点です。
クマの情報は、怖がって山に行かない理由にするものではありません。市が呼びかけている行動を、そのまま実行するための材料です。1人で行く予定だった人は、同行者を見つけるか、人の多い時間帯の山頂往復に絞るか、どちらかに計画を寄せると、市の注意に沿った形になります。
編集部の見立て:大月市の呼びかけは「単独登山を避ける」と、はっきり書いています。岩殿山は1人でふらっと登りたくなる手軽さのある山ですが、そこは市の注意の文言に素直に従うのがよいと考えています。どうしても1人になる日は、稚児落しまでの縦走は見送り、畑倉ルートの山頂往復にとどめるのが無難な線です。
9月から秋に登るときの注意点|汗冷え・濡れた岩・落ち葉
9月の岩殿山は、夏の暑さが残る日と、秋の涼しさを感じる日が入り混じる時期です。駅から歩き出す行程では、町なかの気温と山頂付近の風の強さの差が、体感の差として現れます。季節の変わり目に気をつけたい点を3つに絞って整理します。
1つ目は汗冷えです。畑倉登山口までの約40分の舗装路と、そこからの登りで汗をかいたまま山頂で休むと、風で一気に体が冷えます。登山口と山頂の2か所で、服装を調整する前提で行程を組んでください。
2つ目は濡れた岩です。秋は雨の日が挟まり、雨上がりの岩は乾くまでに時間がかかります。大月市は新ルートについて滑りやすい箇所があると注意しています。雨の翌日は、稚児落しの岩場ルートやクサリ場を避け、山頂往復に切り替える判断が妥当です。
3つ目は落ち葉です。秋が深まると、登山道に落ち葉が積もり、その下の石や木の根が見えにくくなります。特に下りでは、落ち葉の上に足を置くと滑ることがあります。足を置く前に、落ち葉の下に何があるかを一瞬確かめる癖をつけてください。
水と行動食の量も、季節で考え方が変わります。暑さの残る9月前半は、行程が短くても汗の量が多く、水が思ったより早く減ります。畑倉登山口の自動販売機は、山道に入る前に水を買い足せる最後の場所と考えてください。10月以降の涼しい日は、のどの渇きを感じにくくなる一方で、汗は出ています。時間を決めて少しずつ飲む習慣を、秋も続けることが大切です。
汗冷えを防ぐには、肌に直接触れる1枚が効きます。スマートウールの「クラシックオールシーズンメリノベースレイヤー ロングスリーブ」(SW610)は、メリノウールの長袖ベースレイヤーです。朝晩の冷えが気になり始める9月下旬以降、汗をかいた後の冷えを抑えたい人に向いています。
編集部の見立て:秋の岩殿山で気をつけたいのは、寒さそのものより、汗と風の組み合わせだと考えています。駅から歩き出す山は、登山口に着くころにはもう汗をかいています。そのまま山頂の風に当たるのが一番冷える流れなので、肌着の素材と、脱ぎ着の段取りを先に決めておくのが効くはずです。
よくある質問
Q. 岩殿山は今、登れますか?
登れます。表登山道のうち「岩殿山ふれあいの館から稚児落し方面への分岐まで」の区間は、2019年8月の鏡岩の剥落以来、大月市が通行禁止としています。ただし、2025年12月25日に強瀬側登山口から山頂へ至る新ルートが開通しており、北東側の畑倉登山口からのルートもあります(大月市・2026年9月19日確認時点)。出発前に大月市の登山情報ページで最新の状況を確かめてください。
Q. 大月駅から山頂まで何分かかりますか?
畑倉登山口経由なら、大月駅から畑倉登山口まで徒歩約40分、畑倉登山口から山頂まで約40分で、合計すると1時間20分です(大月市観光協会・大月市の資料・2026年9月19日確認時点)。強瀬側の新ルートは、強瀬側登山口から山頂まで「40分ぐらい」と大月市が案内しています。
編集部の見立て:所要時間を調べると「約60分」という数字も見かけますが、区間値の裏付けがあるのは畑倉経由の1時間20分のほうです。計画は長めの数字で組んでおき、早く着いたら山頂でゆっくりする、くらいの構えが岩殿山には合っていると考えています。
Q. 兜岩のクサリ場は通れますか?
大月市の登山情報ページ(2026年2月12日更新)と大月市観光協会のページには、2026年9月19日時点で兜岩についての記載がなく、現況を確かめられませんでした。通れるかどうかは、現地の掲示と出発直前の公式情報で確かめてください。案内が読み取れないときは、無理に進まず引き返す判断が妥当です。
Q. 岩殿山に駐車場はありますか?
大月市と大月市観光協会の現行ページでは、各登山口の駐車場の台数を確認できませんでした(2026年9月19日時点)。岩殿山は大月駅から歩いて登山口に向かえる山で、公共交通機関でのアクセスが基本です。路上や路肩への駐車は避けてください。
Q. 稚児落しは初めてでも歩けますか?
大月市観光協会は、稚児落しを切り立った岩場で足元が急、柵のない場所もあると案内しています。「岩場ルート」と「林間ルート」の選択肢があるので、高さに不安がある人や、雨上がりの日は林間ルートを選ぶのが筋です。山梨県のグレーディング(体力度1・難易度A)が縦走まで含む評価かどうかは、掲載名からは読み取れません。
編集部の判断:はじめて岩殿山に行くなら、1回目は畑倉ルートの山頂往復にとどめ、稚児落しは2回目に回すのが順当だと考えています。1回目で道の雰囲気と自分のペースをつかんでおけば、2回目に岩場へ向かうかどうかを落ち着いて決められます。
まとめ:今日やることは1つ、大月市の登山情報ページの更新日を見る
岩殿山は、山梨県大月市にある標高634mの山です。表登山道のうち「岩殿山ふれあいの館から稚児落し方面への分岐まで」の区間は、2019年8月の鏡岩の剥落以来、通行禁止が続いています。一方で、2025年12月25日に強瀬側登山口から山頂へ至る新ルートが開通し、畑倉登山口からの王道ルートと合わせて、山頂へ向かう道は確保されています(2026年9月19日確認時点)。
王道の畑倉ルートは、大月駅から畑倉登山口まで約40分、山頂まで約40分で、合計すると1時間20分です。兜岩のクサリ場の現況は大月市の最新の公開情報で確かめられず、稚児落しには柵のない岩場があります。クマについては、大月市が単独登山を避けるよう呼びかけています。
編集部の見立て:岩殿山の情報は、2019年と2025年の2つの節目で大きく変わりました。ネット上には、その間のどこかで止まった情報がまだ多く残っています。この山に限っては、どの情報がいつ書かれたものかを確かめる作業そのものが、登山の準備だと考えています。
- 大月市の登山情報ページを開き、更新日と通行禁止区間・新ルートの案内が変わっていないかを確かめる
- 国立天文台の「こよみの計算」で出かける日の日の入り時刻を調べ、山頂を離れる締め切り時刻を先に決める
- 山頂往復にするか稚児落しまで行くかを決め、1人で行く予定なら同行者を探すか、山頂往復に絞る
編集部の判断:迷ったら、畑倉ルートで山頂へ登り、同じ道を駅へ戻る計画から始めるのがいちばん手堅いと考えています。岩殿山は何度でも駅から通える山です。1回で全部を歩き切ろうとせず、道の状態と自分の足に合わせて、少しずつ行ける範囲を広げていくのが、この山との付き合い方だと思います。
出典
- 大月市「登山情報」(更新日2026年2月12日):https://www.city.otsuki.yamanashi.jp/kanko/tozanzyouhou.html(2026年9月19日確認)
- 大月市観光協会「岩殿山」:https://otsuki-kanko.info/category/content-page/view/188(2026年9月19日確認)
- 大月市 登山マップ資料(岩殿山):https://www.city.otsuki.yamanashi.jp/kanko/files/8-iwadonosan.pdf(2026年9月19日確認)
- 大月市 指定文化財一覧:https://www.city.otsuki.yamanashi.jp/bunka/bunka/images/bunkazaiichiran.pdf(2026年9月19日確認)
- 山梨県公式観光情報「岩殿山」:https://www.yamanashi-kankou.jp/kankou/spot/p1_4400.html(2026年9月19日確認・標高のみ採用)
- 山梨県「山のグレーディング(大菩薩・道志エリア)」:https://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sgn/pitchmap/01_daibosatu_doushi.html(2026年9月19日確認)
- 山梨県「山のグレーディング」(対象ルートと評価の前提):https://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sgn/shintyaku/grading.html(2026年9月19日確認)
- 山梨県「登山・山岳情報」:https://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sgn/tozan-sangakujouhou.html(2026年9月19日確認)
- 国立天文台暦計算室「こよみの計算」:https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/(日の入り時刻の確認先)
