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平ヶ岳は、新潟県と群馬県の境にそびえる山で、山頂の標高は2,141mです(魚沼市観光協会の表記。2026年9月12日確認時点)。広い山頂と池塘の景色で知られる一方、どの道から登っても1日が長くなりやすい山として語られてきました。
この山に登る道として話題になるのは、主に2本です。1本は鷹ノ巣登山口から自分の足で登る道で、魚沼市観光協会は所要時間を登り約6時間30分・下り約4時間と案内しています(2026年9月12日確認時点)。もう1本が、この記事で扱う中ノ岐コース(中ノ又コース)です。こちらは銀山平温泉 奥只見山荘のマイクロバスで登山口まで送ってもらう形で案内されており、最少催行人数は5名以上とされています。
この記事が答える問いは1つだけです。中ノ岐コースの送迎で登るか、それとも鷹ノ巣から自力で歩くか。送迎の条件、公式行程表の時間割、そして公式に分かっていないことを順に並べ、読み終えたときに自分がどちらの計画を立てるべきか決められるようにします。平ヶ岳そのものの基本情報や山頂の見どころは、平ヶ岳の登山全体をまとめた記事で扱っています。
先に結論を書いておきます。中ノ岐コースは「短い道」である前に「予約して乗せてもらう登山」です。人数と日程が山荘の条件に合わない限り、選択肢として成り立ちません。条件が合わない読者は、鷹ノ巣から歩く計画を正面から組むほうが、結果として安全で確実な1日になります。
- 中ノ岐コース(中ノ又コース)は、奥只見山荘のマイクロバス送迎が前提として案内されている登山であること
- 送迎の最少催行人数は5名以上で、送迎可能日は公式サイトの「登山プラン実施状況」カレンダーで確かめること
- 泊まる人だけが送迎の対象だとは公式に書かれていないが、宿泊予約サイトには平ヶ岳の宿泊パックが載っておらず、電話かメールで宿泊とセットで聞くのが確実なこと
- 公式行程表(ゆったり登った場合)は山荘発3:50・登山開始5:30・山頂9:30・山荘着14:30という時間割であること
- 中ノ岐の登山口→山頂約4時間と、鷹ノ巣の登り約6時間30分は、数字の前提が違うため単純な「差」として読めないこと
- 中ノ岐の距離・標高差・林道の一般車の扱い・送迎料金・運行終了日は、2026年9月12日時点で公式に記載が見つからないこと
- 鷹ノ巣から歩く日に、日没から逆に数えて山頂を離れる締切と出発時刻を決める手順
中ノ岐コース(中ノ又コース)は、送迎の予約が取れて初めて成り立つ登山
最初に、中ノ岐コースの性格をはっきりさせておきます。このコースは「登山口まで自分の車で行って歩き出す道」として案内されているわけではありません。平ヶ岳の送迎を案内している銀山平温泉 奥只見山荘の公式ページは、このルートを「中ノ又側から登るコース」「中ノ又川から登るコース」と呼び、当館のマイクロバスで登山口まで送迎する形で紹介しています(2026年9月12日確認時点)。
名前のゆれにも触れておきます。同じ山荘のサイト内の別の記事では、「中ノ岐林道」「プリンスルート」という呼び方も使われています。検索すると「中ノ岐」「中ノ又」「プリンスルート」がばらばらに出てくるのはこのためです。どれか1つが正式名称だと決めつける材料は公式ページに見当たらないため、この記事では「中ノ岐コース(中ノ又コース)」と併記します。電話で問い合わせるときは、呼び方にこだわらず「平ヶ岳の送迎について」と切り出すと、行き違いが起きにくくなります。
編集部の見立て:中ノ岐コースを「平ヶ岳の短い道」とだけ覚えると、計画の順番を間違えます。先に決めるのは歩く体力ではなく、送迎のバスに乗れるかどうかです。道を調べる前に、乗れる条件を調べる。ここを逆にしないことが、この記事でいちばん伝えたいことです。
では、送迎前提の登山は、自分の車で行く登山と何が違うのでしょうか。自分の車で登山口に向かう計画なら、登る日も、何人で行くかも、何時に歩き出すかも、自分で決められます。送迎前提の登山では、そのうち少なくとも3つが山荘側の条件に左右されます。運行する日、集まる人数、出発の時刻です。下の表は、2つのコースで「誰が何を決めるのか」を並べたものです。
| 決める項目 | 中ノ岐コース(送迎) | 鷹ノ巣コース(自力) |
|---|---|---|
| 登る日 | 公式サイトの「登山プラン実施状況」カレンダーで送迎可能日を確かめてから決める | 自分で決める(登山口までの道路の状況は別に確認する) |
| 人数 | 最少催行人数5名以上 | 人数の下限は無い(単独で行くかどうかは別の判断) |
| 出発時刻 | 公式行程表では奥只見山荘発3:50 | 自分で決める。登り約6時間30分・下り約4時間の公表値から組む |
| 登山口までの移動 | 当館のマイクロバスで登山口まで送迎 | 自分の車などで鷹ノ巣登山口へ向かう |
| 申し込み | 電話(025-795-2239)またはメールで問い合わせる | 送迎の申し込みは不要(登山届は自分で出す) |
表を横に読むと、中ノ岐コースの長所と制約が同じ行に並んでいることが分かります。登山口まで運んでもらえるのは大きな利点ですが、その代わりに、日と人数と時刻を自分で決める自由を手放すことになります。鷹ノ巣コースはその逆で、自由がある代わりに、長い行動時間をすべて自分で引き受けます。どちらが上ということではなく、何を手放して何を得るかの選び方が違う、と捉えると判断しやすくなります。
この記事の結論:中ノ岐コースは、行きたい日に自由に選べる道ではありません。送迎の予約が取れた日にだけ選べる選択肢であり、取れない日は鷹ノ巣から歩く計画に切り替える。この順番で考えると、予約が取れなかったときに慌てずに済みます。
編集部の判断:平ヶ岳を計画するときは、はじめから「中ノ岐の計画」と「鷹ノ巣の計画」を2枚用意しておくのが現実的だと考えています。中ノ岐が本命でも、送迎が出ない日は必ずありえます。そのときに1から調べ直すのではなく、もう1枚の計画にそのまま乗り換えられる状態にしておく。それが、この山を落ち着いて登るための下ごしらえです。
送迎は奥只見山荘のマイクロバス。泊まる人だけが対象だとは公式に書かれていない
送迎を出しているのは、銀山平温泉 奥只見山荘です。公式サイトの登山のページでは、山荘みずからが「当館のマイクロバスで登山口まで送迎」すると書いています(2026年9月12日確認時点)。つまり、中ノ岐コースの送迎は自治体や交通事業者の路線バスではなく、宿が運行するマイクロバスだということです。運行する日や人数の条件も、宿の判断で決まっていると読むのが自然です。
ここでよく出てくる疑問が、「送迎は泊まる人しか使えないのか」という点です。公式ページを読む限り、泊まる人だけが対象だとはどこにも書かれていません。書かれているのは、当館のマイクロバスで登山口まで送迎すること、そして宿泊プランや実施状況は問い合わせてほしいということです。条件を公式の記載より狭く受け取って諦めるのも、広く受け取って当日に行けば乗れると考えるのも、どちらも公式の書き方から外れます。
一方で、見落とせない事実もあります。山荘の平ヶ岳の案内ページには、宿泊予約サイトには平ヶ岳の宿泊パックを掲載していないこと、申し込みは電話(025-795-2239)またはメールで問い合わせる形であることが書かれています(2026年9月12日確認時点)。ネットの予約画面を探しても送迎つきの計画が見つからないのは、このためです。送迎を使いたいなら、宿泊とセットで電話かメールで問い合わせるのがいちばん確実な入り口になります。
| 公式に書かれていること(2026年9月12日確認時点) | 公式に記載が見つからないこと(2026年9月12日時点) |
|---|---|
| 運営は銀山平温泉 奥只見山荘。当館のマイクロバスで登山口まで送迎 | 送迎の対象が泊まる人だけに限られるかどうか |
| 最少催行人数は5名以上 | 送迎料金の金額と、料金の正式な呼び方 |
| 送迎可能日は「登山プラン実施状況」カレンダーで確認 | 2026年シーズンの運行終了日と、運行期間の全体 |
| 申し込みは電話(025-795-2239)またはメール。宿泊予約サイトには平ヶ岳の宿泊パックを掲載していない | 中ノ岐コースの距離と標高差 |
| 2026年は7月5日の登山を予定。残雪や損壊があれば延期あり | 中ノ岐林道に一般車で入れるかどうか |
右の列が多いことに驚いた人もいるかもしれません。これは、宿が「必要なことは問い合わせで答える」形で案内しているためだと考えられます。ウェブに書かれていないことは、存在しないのではなく、電話で確かめる項目だということです。料金について言えば、送迎の案内ページにもシーズンの案内ページにも金額は見当たらず、公式サイトの料金ページはこの記事の確認範囲に入っていません。送迎料金は、公式サイトの料金ページか電話で確かめてください。
中ノ岐コースの送迎を、決まった時刻に誰でも乗れる定期便のように考えないでください。公式に案内されているのは、予約と最少催行人数を前提にした宿のマイクロバスです。前日の夜に思い立って当日の朝に山荘へ向かっても、乗れる保証はどこにもありません。反対に、「泊まらないと乗れない」と決めつけて調べるのをやめてしまうのも早すぎます。どちらの思い込みも、電話1本で解けます。
編集部の見立て:公式に書かれていない条件ほど、ネットでは断定的に語られがちです。「泊まる人限定らしい」「誰でも乗れるらしい」という話を見かけても、それは誰かの年の、誰かの予約の結果にすぎません。この記事がわざわざ「書かれていない」と繰り返すのは、読者に電話で聞く理由を渡すためです。
最少催行人数5名という壁:人数が集まらない日はどうするか
送迎の最少催行人数は5名以上です(奥只見山荘公式、2026年9月12日確認時点)。最少催行人数とは、一般に「この人数に届かなければ催行しない」という下限のことです。この数字は、ソロや2人組で平ヶ岳を狙う人にとって、体力よりも先に立ちはだかる壁になります。
気になるのは、別々に申し込んだ人どうしを合わせて5名になるのか、それとも1つのグループで5名をそろえる必要があるのか、という点です。これについて公式ページにははっきりした記載が見当たりません。カレンダーで「実施状況」を示している以上、日ごとに実施の可否が決まる仕組みであることは読み取れますが、その判定に他の申込者との合算が含まれるかどうかは、問い合わせで確かめるしかありません。
編集部の判断:人数の条件は、読者の側で「たぶん大丈夫」と解釈しないほうがいい項目です。1人で申し込んで、ほかの申込者と合わせて5名に届く日があるのかどうか。それを聞かずに休みを押さえてしまうと、送迎が出なかった日に、長い鷹ノ巣の行程を準備なしで歩くことになりかねません。
人数の壁への向き合い方は、大きく3つに分かれます。1つめは、自分で5名以上のグループを組んで申し込むことです。これが最も条件を満たしやすい形です。2つめは、少人数のまま問い合わせて、実施が決まっている日に合流できるかを聞くことです。3つめは、人数の条件を満たせない前提で、はじめから鷹ノ巣から歩く計画にすることです。どれを選ぶかは、仲間の都合と自分の休みの自由度で決まります。
電話やメールで問い合わせるときは、聞く項目を先に書き出しておくと、1回で必要な答えがそろいます。とくに人数と日程は、答えによってその後の計画がまるごと変わる項目です。次のチェックリストを、問い合わせのメモとしてそのまま使ってください。
- 1人や2人で申し込んだ場合、ほかの申込者と合わせて5名以上になれば送迎が出るのか
- 送迎を使うには、奥只見山荘に泊まることが条件になるのか、それとも送迎だけの申し込みもできるのか
- 送迎料金はいくらで、宿泊とセットのときと別のときで扱いが変わるのか
- カレンダーで実施と表示されている日に、あとから人数が減った場合はどうなるのか
- 雨や荒天のときに送迎を中止する判断は、いつ、どうやって知らされるのか
もう1つ、人数の条件には見落としやすい面があります。5名以上で動くということは、歩くペースの違う人がそろうということです。公式行程表は一行の時刻表として書かれていますが、実際の1日は、いちばん遅い人のペースに全員の行動が引っ張られます。仲間内で5名をそろえる場合でも、合流で見知らぬ人と一緒になる場合でも、自分が遅れる側になったときに何が起きるかを想像しておくことが大切です。
送迎で登る日は、自分だけの判断で予定を変えにくくなります。途中で体調が悪くなったとき、1人だけ先に下りるのか、全員で待つのか、その決まりは公式ページに書かれていません。帰りのバスを待たせることになるのかも含めて、途中で行動を分ける場合の扱いは、予約のときに確かめておいてください。
編集部の見立て:5名という条件は、読み方を変えると「5名で1日を共有する登山」だということです。自分の足の速さや遅さが、ほかの4人の帰りの時刻に響きます。人数の壁を越えられた人ほど、今度は自分がその中でどのペースで歩けるかを考えておいてほしいと思います。
公式行程表で見る1日の時間割(山荘発3:50から帰着14:30まで)
奥只見山荘は、中ノ岐コースの行程表を公式サイトに載せています。注意したいのは、これが「ゆったり登った場合の時間配分」として示されていることです(2026年9月12日確認時点)。つまり、急いで歩いたときの最短の時刻ではなく、余裕をもって歩いたときの目安だということです。下の表は、その行程表の時刻を並べ、隣り合う時刻の差を右の列に書き足したものです。
| 時刻 | 行程表の地点 | 前の時刻からの差(行程表の時刻を引き算したもの) |
|---|---|---|
| 3:50 | 奥只見山荘発 | 1日の始まり |
| 5:30 | 登山口・登山開始 | 山荘発から1時間40分 |
| 8:30 | 玉子岩 | 登山開始から約3時間 |
| (記載なし) | 姫池 | 行程表に時刻の記載が無い |
| 9:30 | 山頂 | 登山開始から約4時間 |
| 10:00 | 山頂発(テント場経由) | 山頂に30分 |
| 12:30 | 登山口 | 山頂発から約2時間30分 |
| 14:30 | 奥只見山荘着 | 登山口から2時間 |
この表から読み取れることを、言葉に直しておきます。山荘を出てから戻るまでは、行程表の時刻を引き算すると10時間40分です。そのうち、登山口で歩き出してから登山口に戻るまでは5:30から12:30までの7時間で、山頂での30分もこの中に含まれます。残りの時間は、山荘と登山口のあいだの移動にあたります。行きの1時間40分と帰りの2時間には、バスの乗り降りや身支度の時間も含まれている可能性がありますが、内訳は公式に書かれていません。
見逃しやすいのは、下りが「テント場経由」と書かれている点です。登りと下りで同じ道をそのまま引き返すのではない可能性があり、山頂から登山口までの約2時間30分は、その経路での配分として読む必要があります。区間ごとの標準的なコースタイムが公式に並んでいるわけではないので、この表の数字は「この時間割で1日を組みます」という行程の予定として扱うのが正確です。
編集部の見立て:この行程表でいちばん重い数字は、山頂の9:30でも帰着の14:30でもなく、出発の3:50だと考えています。3:50に山荘を出るということは、その前に起きて、食べて、支度を終えているということです。歩く時間より先に、夜明け前に動ける体の準備ができているかを考えてください。
登山開始から山頂まで約4時間、山頂から登山口まで約2時間30分という配分でも、歩く時間は半日を超えます。そのあいだ、足元を支え続けるのは靴です。とくに歩き始めの時間帯は、草や地面が湿っていることがあり、足が濡れると後半の疲れ方が変わります。長い1日を歩き通す靴を、女性の足に合う形から選びたい人は、次の1足が候補になります。
SALOMON サロモン OUTpulse GTX W 女性用ハイキングシューズ(L41689700)は、女性用として作られたハイキングシューズで、商品名の「GTX」はゴアテックスを使ったモデルであることを示す表記です。登山靴ほど重さのある靴には慣れていないけれど、濡れた道も歩く日帰りの長い行程に備えたい女性に向きます。サイズ感や重さは、商品ページの表記で確かめてください。
行程表の時刻は、天候や道の状態が悪くない日を前提にした目安です。雨で道がぬかるんでいたり、残雪が残っていたりすれば、同じ時刻どおりには進みません。グループで動く以上、1人の遅れは全員の帰着を遅らせます。行程表の時刻は「守らなければならない時刻」ではなく、「この時刻から遅れ始めたら何かが起きている」と気づくための物差しとして使ってください。
送迎可能日を「登山プラン実施状況」カレンダーで確かめる手順
中ノ岐コースの送迎がある日は、奥只見山荘の公式サイトにある「登山プラン実施状況」のカレンダーで確かめる形になっています(2026年9月12日確認時点)。カレンダーの見方や表示の記号は、そのカレンダー自身の説明に従ってください。ここでは、カレンダーを見てから予約が固まるまでの流れを、迷わないように手順に分けておきます。
- 奥只見山荘公式サイトの登山のページ(https://www.okutadami.jp/trekking.html)を開き、「登山プラン実施状況」のカレンダーで、行きたい月の実施状況を確かめる。この時点では候補日を2〜3日に絞るだけにして、休みはまだ確定させない
- 電話(025-795-2239)かメールで問い合わせ、候補日ごとに送迎が出る見込みがあるか、人数が足りているかを聞く。あわせて、宿泊とセットにするか、送迎料金はいくらかを確かめる
- 送迎が出ると確認できた日に休みと移動を確定させ、予約内容(集合の時刻と場所、人数、宿泊の有無)を控えておく。出発の前日にもう一度、実施に変わりがないかを確かめる
この手順で大事なのは、1つめと3つめのあいだに電話を挟むことです。カレンダーはあくまで表示であり、自分の予約が確定したことを示すものではありません。カレンダーで空いているように見えた日でも、問い合わせた時点で状況が変わっていることは十分に考えられます。休みを押さえるのは、カレンダーを見たときではなく、電話で送迎が出ると確かめたときです。
電話で問い合わせるときは、登る人数、候補日、泊まる予定の有無、登山の経験の大まかな程度を先に伝えると、話が早く進みます。メールで問い合わせる場合は、返信までに時間がかかることを見込んで、候補日よりかなり前に送っておくと安心です。問い合わせの窓口は、公式ページに書かれた電話番号とメールに限り、別のサイトに載っている連絡先には頼らないでください。
編集部の判断:カレンダーを見て「空いている」と思った瞬間に休みを取りたくなる気持ちは分かります。それでも、この山では電話の返事を待ってから休みを確定させる順番をおすすめします。送迎が出ないと分かったときに、休みをそのまま鷹ノ巣の計画に回せるかどうかも、同時に考えておいてください。
予約が固まったあとも、確認はそこで終わりません。送迎のある登山は、前日や当日の朝の天候、道路や登山道の状態によって、行程そのものが変わる可能性があります。中止や延期の判断がどのように伝えられるのかは、公式ページには書かれていないため、予約のときに聞いておく項目です。当日の朝に山荘へ向かう移動がある人は、連絡を受け取れる状態で移動する段取りも考えておいてください。
カレンダーや案内ページの内容は、シーズンの途中でも更新されます。この記事に書いた内容は、2026年9月12日に確認した時点のものです。出発の前には、必ず自分で公式サイトのカレンダーを開き、電話かメールで最新の実施状況を確かめてください。記事の情報を、当日の実施状況の代わりにはしないでください。
2026年は7月5日の登山から予定。残雪と登山道の損壊で延びることがある
2026年シーズンの送迎について、奥只見山荘は7月5日の登山から始める予定だと案内しています。あわせて、道路や登山道に残雪があったり、損壊があったりした場合には延期することがあるとも書いています(2026年9月12日確認時点)。「7月5日から」と覚えるのではなく、「7月5日を予定しているが、雪と道の状態しだいで後ろにずれる」と覚えておくのが正確です。
一方で、2026年シーズンの運行終了日や、運行期間の全体は、公式ページに記載が見つかりません(2026年9月12日時点)。いつまで送迎があるのかを前提に秋の計画を立てたい人は、記事やネットの情報ではなく、山荘に直接問い合わせる必要があります。過去の年の運行期間を見かけても、それは過去の年の値であり、2026年の値として当てはめることはできません。
編集部の見立て:シーズンの始まりに登りたい人ほど、延期の条件を重く見てください。開始予定日の近くは、雪が残っていたり道が傷んでいたりする可能性がいちばん高い時期です。開始予定日に合わせて休みを取るなら、延期になったときに鷹ノ巣の計画へ乗り換えられるか、あるいは日を改められるかまで決めておくのが筋だと考えています。
時期ごとに気をつけることを整理しておきます。シーズンの始まりは、延期の可能性と、残った雪への備えが課題になります。夏の盛りは、早朝から昼過ぎまで歩く行程の中で、汗をどう扱うかが体調を左右します。秋に向けては、運行終了日が公式に出ていないことが最大の不確かさです。どの時期を狙う場合でも、確かめる相手は同じで、奥只見山荘の公式サイトと電話です。
- 狙う日が開始予定日(2026年は7月5日の登山を予定)の近くなら、延期された場合の予備日を決めてあるか
- 残雪や道の損壊で延期になった場合、その知らせをどう受け取るかを予約のときに聞いたか
- 秋に計画するなら、運行終了日を記事ではなく山荘への問い合わせで確かめたか
- 過去の年の運行期間を、今年の値として当てはめていないか
7月の登山で見落とされがちなのが、夜明け前と日中の温度の差です。3:50に山荘を出る時間帯と、昼に下山してくる時間帯とでは、体の感じ方がまるで違います。歩き始めに汗をかき、その汗が風で冷えると、体力を余計に奪われます。汗を肌から離す下着を1枚入れておくと、長い1日の後半の体の状態が変わります。
[ミレー] ドライナミック メッシュ ショートスリーブ(DRYNAMIC MESH)は、商品名のとおり網目状のメッシュ生地でできた半袖の肌着で、いちばん下に着て、その上にシャツを重ねる使い方をするものです。汗をかきやすく、休憩のたびに背中が冷えるのが気になる人に向きます。
「開始予定」という言葉は、山荘がその日に向けて準備を進めているという意味で、確定した運行日を約束するものではありません。公式ページの言葉をそのまま引くと、道路・登山道に残雪や損壊があれば延期があるという書き方です。雪の残り方は年によって変わるため、前の年に何日から送迎があったかは、今年の予定を読む手がかりにはなりません。
中ノ岐と鷹ノ巣の所要時間を並べるときの注意
平ヶ岳を調べる人のほとんどが知りたいのは、「中ノ岐で登ると、鷹ノ巣よりどれくらい楽になるのか」だと思います。ところが、この問いには公式の数字だけでは素直に答えられません。2つのコースの所要時間は、出どころも、数字の性格も違うからです。まずは、それぞれの数字を並べてみます。
| 項目 | 中ノ岐コース(奥只見山荘の行程表) | 鷹ノ巣コース(魚沼市観光協会) |
|---|---|---|
| 登り | 登山口→山頂 約4時間(行程表の時刻差) | 約6時間30分 |
| 下り | 山頂→登山口 約2時間30分(テント場経由・行程表の時刻差) | 約4時間 |
| 数字の性格 | 「ゆったり登った場合」の時間配分として書かれた行程表の時刻 | 登り・下りの所要時間として掲載された値 |
| 登山口までの移動 | 山荘から送迎(行程表の時刻差で行き1時間40分・帰り2時間) | 自分の車などで向かう(時間は出発地しだい) |


表を見ると、登りも下りも中ノ岐のほうが数字が小さく見えます。それでも、ここから「中ノ岐のほうが◯時間短い」と引き算して言い切ることはできません。中ノ岐の数字は、ゆったり登ったときの行程表の時刻から読んだ差です。鷹ノ巣の数字は、観光協会が登り・下りの所要時間として掲げている値です。一方は時間割、もう一方はコースの所要時間であり、測り方の前提がそろっていません。
編集部の判断:2つの数字を引き算して「差」として紹介したくなる気持ちは強いのですが、この記事ではあえてそれをしません。前提の違う数字どうしの差は、どちらの前提にも当てはまらない、第3の数字になってしまうからです。読者にお願いしたいのは、差を覚えることではなく、それぞれの数字が自分の1日に収まるかを別々に確かめることです。
合計の数字にも同じ注意が必要です。鷹ノ巣の公表値を足すと、登り約6時間30分と下り約4時間で、約10時間30分になります。これは観光協会が掲げている総計ではなく、公表されている登りと下りを足しただけの値です。休憩時間がこの公表値に含まれているかどうかは、この記事では確かめられていないため、休憩の分は別に見込んでおくのが安全です。中ノ岐のほうも、行程表の時刻を引き算すると、歩き出してから戻るまでが7時間、山荘を出てから戻るまでが10時間40分になりますが、どちらも公式の総計として書かれた数字ではありません。
比べ方の結論:2つのコースは「どちらが何時間短いか」で比べるのではなく、それぞれの数字を自分の1日の時間割に置いてみて、無理なく収まるほうを選ぶのが正しい比べ方です。中ノ岐なら行程表どおりの時刻で歩けるか、鷹ノ巣なら登り約6時間30分と下り約4時間を日没までに収められるかを、別々に確かめてください。
もう1つ、数字の大小と疲れ方が一致するとは限らない点も覚えておいてください。中ノ岐の距離や標高差は公式に公表されておらず、登りの約4時間がどのような傾斜の道なのかは、数字からは読み取れません。鷹ノ巣のほうが長いのは確かでも、1時間あたりの負担がどちらのほうが大きいかは、公式の情報だけでは判断できないということです。
編集部の見立て:「短いほうを選べば楽」という発想は、平ヶ岳ではいったん脇に置いたほうがいいと考えています。中ノ岐は短く見えても夜明け前の出発と集団行動があり、鷹ノ巣は自由があっても長い下りが最後に待っています。どちらの大変さが自分に合っているかで選ぶほうが、当日の後悔は少なくなります。
下りが長い日に負担が集まりやすいのは、膝と太ももです。とくに鷹ノ巣の下り約4時間は、登りで疲れたあとの脚で歩く時間です。中ノ岐の下り約2時間30分でも、歩き始めてから時間がたった後半にあたります。下りで膝に不安がある人は、脚だけで体重を受け止めずに済むように、ポールを用意しておく考え方があります。
DABADA アルミ製トレッキングポール 2本セットは、商品名のとおりアルミ製のポールが2本組になったものです。両手に1本ずつ持って下りの体重を分けたい人や、これまでポールを使ったことがなく、まず2本組で試してみたい人に向きます。長さの調整幅や重さは、商品ページの表記で確かめてください。
送迎で入って短く歩く日と、鷹ノ巣から長く歩く日で変わる荷物
どちらのコースで登るかが決まると、荷物の組み方も変わります。選ぶ基準は3つに絞れます。1つめは、歩く時間の長さに見合った靴かどうかです。2つめは、夜明け前の冷えと、雨に打たれたときに体を守れる服があるかどうかです。3つめは、その荷物を無理なく収めて、長い時間背負えるザックかどうかです。中ノ岐の日は集団で動く分だけ身軽さが、鷹ノ巣の日は長い行動時間を支える余裕が、それぞれ大事になります。
| 荷物 | 送迎で入る中ノ岐の日 | 鷹ノ巣から歩く日 |
|---|---|---|
| 靴 | 行程表の配分で半日以上歩く靴。足に慣れた軽い靴も候補になる | 登り約6時間30分・下り約4時間を支える靴を最優先で選ぶ |
| ザック | 日帰りの荷物が収まり、バスの乗り降りで扱いやすい大きさ | 水と行動食を多めに入れても背負い続けられる大きさ |
| 防寒着 | 山荘発3:50の冷えに備えて、羽織れる1枚を上に置く | 暗いうちの出発から山頂での休憩まで、長く使える1枚 |
| 雨具 | 集団で動くので、途中で急に濡れても自分だけ遅れないように持つ | 行動が長い分、雨に打たれる時間も長くなる前提で持つ |
靴から見ていきます。中ノ岐の日の行程表は、登りが約4時間、下りが約2時間30分という配分です。足に慣れていて、軽く歩ける靴を選びたい人もいるはずです。
サロモン(SALOMON)ULTRA GLIDE 4(L49141200)は、メンズのトレイルランニングシューズです。足首の低い軽い靴で山道を歩くことに慣れていて、乾いた日の中ノ岐のように行程の見通しがはっきりしている日に、足取りを軽くしたい人に向きます。足首まで覆う登山靴に慣れている人は、自分の足首の安定感と相談してから検討してください。
次はザックです。[メデン] Bear Peak ベアーピーク リュック バックパックは、メンズ・レディースの区別なく使えるバックパックとして売られているものです。夫婦や仲間で5名のグループを組み、同じ型のザックで荷物の量をそろえたい人に向きます。容量や重さは、商品ページの表記で確かめてから選んでください。
[マムート] バックパック Lithium 20は、登山用品のブランドとして知られるマムートのバックパックです。中ノ岐の日のように、日帰りで、しかも集団で動く日に、荷物を一定の大きさに抑えて持ち歩きたい人に向きます。容量は型名の数字と商品ページの表記で確かめてください。
防寒着です。[マムート] グラナイト ソフトシェル フーデッド ジャケット アジアンフィット メンズ(GRANITE SO Hooded Jacket AF Men 1011-0032)は、フードの付いたソフトシェルのジャケットで、アジア人の体型に合わせたアジアンフィットのモデルです。夜明け前の出発や、稜線での風の冷たさに備えて、雨具とは別に羽織れる1枚を持ちたい男性に向きます。
最後に雨具です。ミズノ ベルグテックEXストームセイバーVI レインスーツは、上下がそろったレインスーツです。鷹ノ巣から長く歩く日のように、雨に打たれる時間が長くなりうる行程で、雨具を上下とも頼れるものにしておきたい人に向きます。重さや収納時の大きさは、商品ページの表記で確かめてください。
編集部の判断:荷物を選ぶときに迷ったら、中ノ岐の日は「集団から遅れないための軽さ」、鷹ノ巣の日は「長い時間を最後まで持たせる余裕」を優先すると決めておくと、迷いが減ります。同じ平ヶ岳でも、どちらの道を選んだかで、荷物の正解は変わります。
中ノ岐で公式に分かっていないこと(距離・標高差・林道・料金・終了日)
ここまで何度か触れてきましたが、中ノ岐コースには、公式ページに記載が見つからない項目がいくつもあります。分からないことを隠して計画を立てると、当日になって想定と違う場面に出会ったとき、判断の手がかりがありません。この章では、分からないことを1か所に集めて、それぞれを計画の中でどう扱えばよいかを書いておきます。
| 項目 | 2026年9月12日時点の公式の記載 | 計画での扱い方 |
|---|---|---|
| 距離 | 奥只見山荘の公式ページに数値の記載が見つからない | 行程表の所要時間(登山口→山頂 約4時間)を目安にする |
| 標高差 | 公式ページに数値の記載が見つからない(行程表は時刻のみ) | 体力の見積もりは標高差ではなく時間で行う |
| 中ノ岐林道の一般車 | マイクロバス送迎の案内のみで、一般車の可否を書いた記載が見つからない | 送迎前提のコースとして扱い、車で入る計画を立てない |
| 送迎料金 | 送迎ページ・シーズン案内ページに金額の記載が見つからない(料金ページは未確認) | 公式サイトの料金ページか電話で確かめる |
| 運行終了日 | 開始予定(7月5日)はあるが、終了日の記載が見つからない | 出発前に電話かメールで最新の実施状況を確かめる |
いちばん誤解されやすいのが、中ノ岐林道に自分の車で入れるかどうかです。公式ページはマイクロバスでの送迎を案内しているだけで、一般車で入れるとも、入れないとも書いていません。「入れない」と書いてある記事や記録を見かけることがあっても、それが道路の管理者の決まりなのか、その年の状況なのかは、公式の記載からは確かめられません。この記事では、中ノ岐コースを送迎前提のコースとして扱い、車で林道に入る計画はすすめません。
ネットの登山記録には、中ノ岐コースの距離や標高差、林道の状況が書かれていることがあります。ただしそれは、その人がその年のその日に記録した情報であり、公式の値ではありません。記録どうしで数字が食い違うこともあります。計画の土台にするのは公式の行程表の時刻にとどめ、個人の記録は「そういう年もあった」という参考にとどめてください。
距離や標高差が分からないことは、体力の見積もりを難しくします。多くの登山者は、標高差や距離から「自分なら何時間で歩けるか」を考えます。中ノ岐では、その物差しが公式に用意されていません。代わりに使えるのは、行程表の「登山開始から山頂まで約4時間」「山頂から登山口まで約2時間30分」という時間だけです。標高差で自分の体力を測れない以上、時間で測るしかないと割り切ってください。
編集部の見立て:公式に書かれていないことが多いのは、中ノ岐コースの弱点というより、宿が「分からないことは電話で答える」形で運営している結果だと考えています。だから読者のすべきことは、分からないことを推測で埋めることではなく、聞く項目としてリストに加えることです。聞けば答えが返ってくる情報を、推測で済ませる理由はありません。
分からないことがある前提で計画するときは、時間に余裕を持たせるのがいちばん確実です。行程表の時刻どおりに歩ける前提ではなく、遅れても日没までに十分な時間が残る前提で1日を組みます。中ノ岐の日は集団で動くため、自分で時刻を動かせる余地は小さくなります。だからこそ、自分のペースが行程表の「ゆったり」の配分に収まるかを、事前によく考えておくことが大切です。
鷹ノ巣から自力で歩く日の時刻の組み方(出発・引き返し・下山)
送迎の条件が合わなかった人、あるいははじめから自分の足で歩きたい人のために、鷹ノ巣から登る日の時刻の組み方を書いておきます。使う数字は、魚沼市観光協会が案内している登り約6時間30分・下り約4時間だけです(2026年9月12日確認時点)。この2つの公表値を、自分の出発時刻に当てはめてみると、1日の輪郭が見えてきます。
| 登山口の出発 | 山頂着(登り約6時間30分を足すと) | 登山口着(さらに下り約4時間を足すと) | この時刻で見ておくこと |
|---|---|---|---|
| 4:00 | 10:30 | 14:30 | 歩き出しは暗い。ヘッドランプが要る |
| 4:30 | 11:00 | 15:00 | 休憩の分だけ下山がさらに遅れる |
| 5:00 | 11:30 | 15:30 | 日没までの残り時間を必ず計算する |
| 5:30 | 12:00 | 16:00 | 遅れたときに日没へ近づく出発時刻 |
この表の時刻は、公表値をそのまま足しただけのものです。休憩時間が公表値に含まれているかどうかはこの記事では確かめられていないため、実際の山頂着と下山着は、休憩の分だけ後ろにずれると考えてください。また、公表値どおりに歩けるかどうかは人によって違います。自分がふだん、公表されているコースタイムより速く歩くのか遅く歩くのかを思い出して、表の時刻を自分用に書き直すことが大切です。
編集部の判断:長い山ほど、出発時刻より先に「山頂を離れる締切」を決めるべきだと考えています。出発時刻は朝の都合で動いてしまいますが、締切は日没から逆に数えるので動きません。締切を先に紙に書いておくと、山頂が近いのに時間切れという場面で、迷わずに引き返せます。
では、その締切をどう決めるか。日没の時刻は季節と場所で変わるため、この記事には書けません。登山日と地点の日の入りの時刻は、国立天文台の暦計算室などで事前に調べておいてください。そのうえで、次の手順で締切と出発時刻を決めます。
- 登山日の日の入りの時刻を調べ、紙やスマートフォンのメモに書く
- 日の入りの時刻から、下りの公表値約4時間と、余裕として編集部が置く1時間を引く。これが「山頂を離れる締切」になる。締切を過ぎたら、山頂の手前でも引き返す
- 締切から、登りの公表値約6時間30分と、自分が見込む休憩の時間を引く。これが「遅くともこの時刻には歩き出す」という出発の最終ラインになる。実際の出発は、そこよりさらに前に置く
この手順のよいところは、当日の判断が「時刻を見るだけ」になることです。疲れているときに、残りの距離や自分の体力を細かく計算するのは難しいものです。締切の時刻さえ決めてあれば、時計を見て、過ぎていれば引き返すという単純な行動で済みます。登山計画の立て方や、コースタイムから行程を組む考え方は、登山計画の立て方と登山届の出し方をまとめた記事で詳しく扱っています。
早く出発するほど、暗い時間を歩く長さが増えます。登山口の出発を早めたときは、ヘッドランプと予備の電池を必ず持ち、足元の見えにくい時間帯はペースを落としてください。暗いうちに道を間違えると、明るくなってから気づいたときには大きく時間を失っています。早出は時間を稼ぐ手段であると同時に、暗い時間の歩行というもう1つの負担を背負うことでもあります。
鷹ノ巣登山口までの道路の状況や駐車場、そこまでの移動のしかたは、この記事では扱いません。登山口までの行き方は、平ヶ岳・鷹ノ巣登山口へのアクセスをまとめた記事で確かめてください。道路の通行状況は年や時期によって変わるため、出発の前に最新の情報を見に行くことが前提になります。
行動時間が長い日に、もう1つ悩ましいのが水です。登り約6時間30分・下り約4時間という行程では、途中で水が足りなくなると、それだけで行動が危うくなります。水場を当てにしてよいかどうかは、その年の状況によって変わります。地図の水場の印の読み方や、担ぐ量の決め方は、登山の水場を当てにしてよいかをまとめた記事で扱っています。
編集部の見立て:鷹ノ巣の日の水は、「足りなくなったら水場で汲む」ではなく、「水場が使えなくても下山まで持つ量」を基準に考えてください。水場が枯れていたり、場所が分からなかったりしたときに、残りの行程を歩き切れるかどうか。長い山ほど、水の計算は悲観的にしておくほうが安全です。
多めの水を持ち歩くとき、ボトルを何本も出し入れするのは手間がかかり、立ち止まるたびに時間を使います。歩きながら少しずつ飲める形にしておくと、長い行程でも水を飲む回数を減らさずに済みます。
Platypus(プラティパス)ビッグジップ EVO 2.0L(25004)は、容量2.0Lの給水用ボトルで、ザックの中に入れて使うタイプです。鷹ノ巣の日のように行動時間が長く、立ち止まらずにこまめに水を飲みたい人に向きます。ザックに収まるかどうかは、自分のザックの大きさと合わせて確かめてください。
どちらで登るかを決める基準(人数・日程・体力・費用)
ここまでの内容を、どちらのコースで登るかを決める基準としてまとめます。判断の軸は4つです。人数がそろうか、日程を送迎の日に合わせられるか、体力がどちらの時間割に合っているか、そして費用です。下の表で、自分に当てはまる側を数えてみてください。
| 判断の軸 | 中ノ岐コースを検討する条件 | 鷹ノ巣コースを検討する条件 |
|---|---|---|
| 人数 | 5名以上そろう、または合流で送迎が出ると電話で確かめた | 5名がそろわず、合流も確かめられない |
| 日程 | カレンダーの送迎可能日に休みを合わせられる | 休みが決まっていて、送迎の日に合わせられない |
| 体力 | 行程表の配分(登山開始から山頂まで約4時間)なら歩けると判断できる | 登り約6時間30分・下り約4時間に近い行程を歩き通した経験がある |
| 費用 | 送迎料金と宿泊費を電話で確かめ、納得できた | 前泊の宿代や移動費を含めて、自分で組みたい |
| 情報の不確かさ | 距離・標高差が公式に出ていないことを受け入れられる | 公表されている所要時間で計画を組みたい |
表を数えるときに大事なのは、中ノ岐の列の「人数」と「日程」が両方そろわない限り、ほかの行がどれだけ中ノ岐に傾いていても、中ノ岐は選べないということです。体力や費用で中ノ岐が合っていても、送迎が出なければ登山そのものが成り立ちません。人数と日程は「足切り」、体力と費用は「好み」と考えると、判断の順番がはっきりします。
- 5名以上そろう、または合流で送迎が出ることを、電話かメールで確かめたか
- 送迎可能日に休みを合わせられるか、合わせられない場合に鷹ノ巣の計画があるか
- 鷹ノ巣を選ぶなら、登り約6時間30分・下り約4時間に近い行程を歩き通した経験があるか
- 中ノ岐を選ぶなら、3:50に山荘を出る朝に合わせて、前夜の過ごし方まで決めたか
- どちらのコースでも、日没から数えた「山頂を離れる締切」を決めたか
編集部の判断:鷹ノ巣を「中ノ岐に落ちた人の道」と考えるのは違うと思っています。自分で時刻を決められ、人数の条件にも縛られない。長い行程を歩き通せる準備がある人にとっては、鷹ノ巣のほうがむしろ自由で、計画の見通しが立てやすい道です。どちらが格上ということではありません。
判断の順番:①人数と日程で中ノ岐が選べるかを確かめる、②選べるなら、行程表の時刻と集団行動が自分に合うかを考える、③選べない、または合わないなら、鷹ノ巣の公表値から締切と出発時刻を組む。この3つの順番を守れば、どちらの道を選んでも、当日に迷う場面は減ります。
夏に長い時間を歩く日は、脚まわりの暑さも体力を削ります。とくに女性で、長ズボンだと脚にこもる熱が気になる人は、タイツの上にショートパンツを重ねるなど、脚まわりを軽くする組み合わせを考える余地があります。
[マーモット] トレッキングハーフパンツ ウィメンズミニマルライトショートパンツ(W’s Minimal Light Short Pants)は、女性用のトレッキング向けショートパンツです。夏の長い行程で脚まわりを軽くしたい女性や、タイツと重ねて歩きたい人に向きます。丈や生地の特徴は、商品ページの表記で確かめてください。
前泊とセットで考える:奥只見山荘に泊まる計画が前提になる理由
中ノ岐コースで登るなら、前の晩をどこで過ごすかが計画の中心になります。公式行程表では、奥只見山荘を出るのが3:50です。この時刻にバスに乗るためには、前の晩に山荘か、その近くにいることが事実上の条件になります。遠くから夜通し運転して3:50に間に合わせる計画は、そのあとの長い1日を考えると、体力の面で無理があります。
加えて、山荘の案内では、平ヶ岳の宿泊パックは宿泊予約サイトには載せておらず、電話かメールで問い合わせる形になっています(2026年9月12日確認時点)。送迎を使いたい人が宿泊と一緒に問い合わせるのが確実だと書いたのは、このためです。中ノ岐コースの計画は、登山の計画である前に、奥只見山荘に泊まる計画として立てると、段取りの順番が自然にそろいます。
編集部の見立て:中ノ岐の1日は、前の晩から始まっていると考えてください。夕食の時間、寝る時間、朝の支度の段取りまでが、3:50の出発に向けてつながっています。登山口で歩き出す5:30の時点で疲れていない状態をつくるのは、前夜の過ごし方です。
帰りの側も見ておきます。行程表では山荘に戻るのが14:30です。そこから自宅まで運転して帰る人は、夜明け前から動いてきた体で、長い距離を運転することになります。帰り道で眠気に襲われる危険を考えると、帰りの日にもう1泊するか、少なくとも運転を交代できる人と一緒に行く計画のほうが安全です。前泊と後泊をどう組むかは、登山の難しさと同じくらい、その日の安全を左右します。
前夜に遅くまで移動して、短い睡眠のまま3:50の出発に臨む計画は避けてください。寝不足は、登りのペースだけでなく、下りの足さばきや判断力にも響きます。集団で動く中ノ岐の日は、自分が不調でも行程を大きく変えにくいため、前夜の睡眠は体調管理の一部として計画に入れておいてください。
鷹ノ巣から歩く日も、前泊の考え方は同じくらい大事です。暗いうちに登山口を出発する計画なら、登山口の近くで前の晩を過ごすか、夜のうちに登山口に着いて休むかを決める必要があります。どちらを選ぶかで、睡眠の質と朝の体の状態が変わります。登山口で前泊するか夜に着くかの分かれ目や、宿・山小屋を予約する前に確かめることは、登山口の前泊と夜の到着の分かれ目をまとめた記事を参考にしてください。
平ヶ岳の周りには、尾瀬をはじめとして、日帰りで歩ける場所も広がっています。平ヶ岳の前後に1日余裕があるなら、長い登山の前に体を慣らす日や、下山後に軽く歩く日を組み合わせる考え方もあります。尾瀬を日帰りで歩くときの標高差や距離の考え方は、尾瀬ハイキングの歩ける距離の決め方をまとめた記事で扱っています。
よくある質問
Q. 中ノ岐コースの送迎は、泊まらないと使えませんか?
公式ページには、泊まる人だけが対象だとは書かれていません(2026年9月12日確認時点)。書かれているのは、当館のマイクロバスで登山口まで送迎すること、宿泊プランや実施状況は問い合わせてほしいということです。ただし、宿泊予約サイトには平ヶ岳の宿泊パックが載っていないため、電話(025-795-2239)かメールで、宿泊とセットで問い合わせるのが確実です。
Q. 1人や2人でも申し込めますか?
送迎の最少催行人数は5名以上です(2026年9月12日確認時点)。別々に申し込んだ人どうしを合わせて5名になるのかどうかは、公式ページに記載が見つかりません。1人や2人で考えている場合は、候補日を伝えたうえで、合流で送迎が出る可能性があるかを問い合わせてください。
Q. 中ノ岐林道に自分の車で入れますか?
公式ページはマイクロバスでの送迎を案内しているだけで、一般車で入れるとも入れないとも書いていません(2026年9月12日時点)。この記事では、中ノ岐コースを送迎前提のコースとして扱っています。車で林道に入る計画は、公式に確かめられる情報が無いまま立てないでください。
Q. 送迎料金はいくらですか?
送迎の案内ページにもシーズンの案内ページにも、金額の記載が見つかりません(2026年9月12日時点)。公式サイトの料金ページか、電話で確かめてください。宿泊とセットにしたときの扱いも、あわせて聞いておくと計画が立てやすくなります。
Q. 中ノ岐コースは鷹ノ巣より何時間短いですか?
単純な差としては言えません。中ノ岐は、ゆったり登った場合の行程表で登山口→山頂が約4時間、山頂→登山口が約2時間30分です。鷹ノ巣は、魚沼市観光協会の案内で登り約6時間30分・下り約4時間です(どちらも2026年9月12日確認時点)。数字の前提が違うため、それぞれを自分の1日の時間割に置いてみて、収まるほうを選んでください。
Q. 2026年はいつまで送迎がありますか?
2026年は7月5日の登山から始める予定で、残雪や損壊があれば延期があると案内されています。終了日や運行期間の全体は、公式ページに記載が見つかりません(2026年9月12日時点)。秋に計画する人は、出発前に電話かメールで最新の実施状況を確かめてください。
編集部の見立て:よくある質問のほとんどが「電話で確かめてください」で終わるのは、この記事の力不足ではなく、中ノ岐コースという登山の性格そのものです。ウェブで決着がつかない問いを、ウェブの中で探し続けないこと。それが、この山の計画を前に進めるいちばんの近道です。
まとめ:今日やることは1つ
平ヶ岳の中ノ岐コース(中ノ又コース)は、奥只見山荘のマイクロバス送迎が前提の登山で、最少催行人数は5名以上です。送迎可能日は公式サイトのカレンダーで確かめ、申し込みは電話かメールで行います。泊まる人だけが対象だとは公式に書かれていませんが、宿泊予約サイトには平ヶ岳の宿泊パックが載っていないため、宿泊とセットで問い合わせるのが確実です。
公式行程表は、ゆったり登った場合の時間割として、山荘発3:50・登山開始5:30・山頂9:30・山荘着14:30を示しています。鷹ノ巣から歩く場合は、登り約6時間30分・下り約4時間という公表値をもとに、日没から数えて山頂を離れる締切と出発時刻を決めます。2つのコースの数字は前提が違うため、差ではなく、それぞれが自分の1日に収まるかで選びます。
そして、今日やることは1つだけです。奥只見山荘の「登山プラン実施状況」カレンダーを開き、候補日を決めて、送迎が出るかを問い合わせること。その答えが、中ノ岐で登るか、鷹ノ巣から歩くかを決めてくれます。
- 奥只見山荘公式サイトの登山のページでカレンダーを開き、候補日を2〜3日に絞る
- 電話(025-795-2239)かメールで、候補日の送迎の見込み・人数の合流・宿泊とのセット・送迎料金を問い合わせる
- 送迎が出ない、または条件が合わないと分かったら、鷹ノ巣の公表値(登り約6時間30分・下り約4時間)と日の入りの時刻から、山頂を離れる締切と出発時刻を書き出す
編集部の判断:平ヶ岳は、どちらの道を選んでも、準備の出来で1日の質が大きく変わる山です。中ノ岐なら電話1本、鷹ノ巣なら締切の1行。今日のうちにそのどちらかを済ませておけば、この山はぐっと近づきます。
出典
- 魚沼市観光協会「平ヶ岳」(山頂標高2,141m、鷹ノ巣コースの登り約6時間30分・下り約4時間)https://www.iine-uonuma.jp/activity/climbing/climbing03/hiragatake/ (2026年9月12日確認)
- 銀山平温泉 奥只見山荘「登山」(中ノ又側から登るコース、当館のマイクロバスによる登山口までの送迎、最少催行人数5名以上、登山プラン実施状況カレンダー)https://www.okutadami.jp/trekking.html (2026年9月12日確認)
- 銀山平温泉 奥只見山荘「平ヶ岳情報」(2026年は7月5日の登山を予定・残雪や損壊による延期、電話025-795-2239またはメールでの問い合わせ、宿泊予約サイトへの平ヶ岳宿泊パック非掲載)https://www.okutadami.jp/wp/trekking_cat/%E5%B9%B3%E3%83%B6%E5%B2%B3%E6%83%85%E5%A0%B1/ (2026年9月12日確認)
- 銀山平温泉 奥只見山荘 平ヶ岳の行程表(ゆったり登った場合の時間配分:山荘発3:50〜山荘着14:30)https://www.okutadami.jp/wp/trekking/post_5/ (2026年9月12日確認)
