登山用傘の選び方|稜線はNG・軽量な折りたたみおすすめ7選
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登山中に折りたたみ傘を差している人を見て、「それって危なくないの?」と思ったことはないでしょうか。実際、傘は使う場所を間違えると風にあおられて壊れたり、片手がふさがって転倒したりする危険な道具になります。一方で、樹林帯の緩い登りやキャンプ地では、レインウェアを着るほどでもない小雨をしのぐのにちょうどよい相棒にもなります。

この記事では、登山用の折りたたみ傘を「どこで使えて、どこで使えないか」という判断基準から整理したうえで、重量・耐風性・収納性を公式スペックで比較しながら、軽量な登山用折りたたみ傘7製品を紹介します。傘さえあれば安心という道具ではないため、まずは向き不向きから見ていきましょう。製品を先に見たい方は登山用の軽量折りたたみ傘7選へどうぞ。

登山で傘は使える? 場所で分かれる早見表

結論から言うと、登山用の折りたたみ傘は地形によって「使ってよい場所」と「使うべきでない場所」がはっきり分かれる道具です。傘かレインウェアかの二択ではなく、両方を場面ごとに使い分けるのが実際の判断に近いといえます。

場面 傘の可否 理由
樹林帯の緩い登り ✅ 使える 木立が風を遮ってくれる
林道歩き ✅ 使える 道が広く、足元も比較的平ら
キャンプ場・山小屋周り ✅ 使える 立ち止まって使う分には支障が少ない
登山口までの移動 ✅ 使える 駐車場やバス停は市街地に近い環境
稜線 ❌ 使えない 遮るものがなく風を正面から受ける
鎖場・岩場 ❌ 使えない 片手がふさがり三点支持ができない

この判断基準さえ押さえておけば、傘は「持っていくかどうか」ではなく「どの区間で開くか」という現実的な選択ができる道具になります。以下、それぞれの場面を詳しく見ていきます。

樹林帯や林道など登山で折りたたみ傘が使える場面

使える場面|樹林帯・林道・キャンプ地

樹林帯の緩い登りで有効な理由

樹林帯は木々が風の勢いを弱めてくれるため、傘を差しても煽られにくい環境です。登山道の勾配も比較的緩やかな区間が多く、傘を差した姿勢のままでも足元に注意を向けやすいのが特徴です。小雨や霧雨程度であれば、レインウェアを着込むよりも傘のほうが蒸れずに歩けます。

林道・登山口までの移動

登山口までのアクセス道や、幅の広い林道は市街地の歩道に近い環境です。舗装されていなくても路面が平らな区間が多く、傘を差しながら歩いても支障が出にくい場所といえます。

キャンプ場・山小屋周りでの休憩時

テント場や山小屋の周辺で立ち止まって過ごす時間は、傘がもっとも本領を発揮する場面です。レインウェアの上下を着直すほどではない小雨のときに、傘を差すだけで済ませられれば、着替えの手間も装備の蒸れも抑えられます。

使えない場面|稜線・鎖場・岩場はなぜ危険か

稜線で風にあおられる理由

稜線は視界を遮る木々や地形がなく、風を正面から受け止める場所です。同じ強さの雨でも、稜線に出た瞬間に体感が大きく変わった経験を持つ登山者は少なくありません。傘は面積の大きい布を風にさらす道具なので、平地なら問題のない風でも骨が反り返ったり折れたりします。壊れた傘は行動の妨げになるだけでなく、飛び出た骨で怪我をするおそれもあります。

鎖場・岩場で両手がふさがる危険

鎖場や岩場では、両手両足のうち3点を岩や鎖に預けて残り1点を動かす「三点支持」が基本になります。片手に傘を持った状態では、この基本姿勢そのものが取れません。トレッキングポールを併用している場合も同様で、傘・ポール・岩をすべて片手ずつでこなすのは現実的ではないでしょう。手がふさがる装備は、手を使う地形と相性が悪いという単純な理由から、鎖場・岩場では傘をたたんでザックにしまうのが基本です。

落雷のリスク

雷が鳴っている、あるいは鳴りそうな状況で傘を頭上に掲げるのは避けるべき行動です。傘の骨が金属だから危ないと説明されることがありますが、雷の専門機関であるフランクリンジャパンの解説によれば、危険なのは金属そのものではなく体の最も高い位置をさらに高くしてしまうことだとされています。周囲より高い位置に物を掲げる行為が落雷を誘引するという意味では、稜線のような開けた場所で傘を差すのはやはり避けたほうが安全です。

稜線・鎖場・岩場に入る前に傘はしまう

  • 風にあおられて骨が破損する
  • 片手がふさがり三点支持ができない
  • 頭上に掲げる行為が落雷のリスクを高める

レインウェアとの正しい使い分け|傘は「併用品」

ここまでの内容から分かるとおり、傘はレインウェアの代わりにはなりません。稜線・鎖場や強風下ではレインウェア以外の選択肢はなく、傘はあくまで樹林帯や林道など限られた場面でレインウェアの出番を減らすための併用品という位置づけです。

レインウェアと折りたたみ傘を使い分ける登山のイメージ

傘の一番の利点は、着脱の手軽さです。小雨のたびにレインウェアの上下を着てはしまう、を繰り返していると、行動中の体温調整だけで体力を消耗します。傘なら差すだけ、たたむだけで済むため、蒸れを溜め込まずに小雨をやり過ごせるのが役割です。天候が崩れて風が出てきたら傘はしまい、レインウェアに切り替える。この使い分けができれば、傘は装備の弱点ではなく選択肢を広げる道具になります。レインウェア自体の選び方は登山用レインウェアの選び方で詳しく解説しています。

選び方(1) 重量|登山用と街用でこれだけ違う

登山用の折りたたみ傘は、街で使う一般的な折りたたみ傘と重量の基準がまったく異なります。街用の晴雨兼用モデルは300g前後のものが主流ですが、登山用は100g台からラインナップされています。本記事で紹介する7製品では、もっとも軽いモデルで76g、もっとも重いモデルでも200gです。

登山用折りたたみ傘の重量と収納サイズを比較するイメージ

この100gの差は、行動時間が長くなるほど疲労の蓄積に直結します。日帰りでも数時間、縦走であれば数日にわたってザックを背負い続ける登山では、「使うかどうか分からない」装備ほど軽量なモデルを選ぶ意味が大きくなります。骨の素材にカーボンやアルミを使い、部品点数を絞ることで、多くの登山用モデルは100g台の軽さと最低限の耐風性を両立させています。

選び方(2) 風の強さ|骨の本数と素材で見る

傘の耐風性を左右するのは、骨の本数と素材です。骨が多いほど傘の形を保つ力は強くなりますが、そのぶん重量も増えるため、登山用モデルの多くは軽さと強度を両立させる工夫をしています。

モンベルのトレッキングアンブレラは、骨の素材にカーボン繊維強化樹脂を、シャフト部分にはアルミやスチールを部位ごとに使い分けることで、軽さと強度を両立させています。親骨を繊維強化プラスチックの一体成形にすることで部品点数を減らし、破損の原因になりやすい接合部を少なくする設計です。EuroSCHIRM(ユーロシルム)のライトトレック ULTRAは、アルミ製の特殊リブとカーボンを組み合わせた骨組みに、耐風性を高める「セーフティーランナー」機構を備えています。

骨の本数は、多くの登山用モデルで8本、軽量特化モデルでは5〜6本まで減らされています。本数が少ないモデルは風の影響を受けやすくなる一方、そのぶん重量を大きく削れるという特性があります。行動する山域や季節に応じて、耐風性を優先するか軽さを優先するかを選ぶとよいでしょう。

選び方(3) 両手がふさがる問題|ストック・鎖場での注意

登山用の傘を検討するときに見落とされがちなのが、傘を差すと片手がふさがるという単純な制約です。トレッキングポールを2本使う「ダブルストック」のスタイルでは、そもそも傘を持つ手がありません。片手だけポールを持つ「シングルストック」であれば、もう片方の手で傘を差すこと自体は可能ですが、つまずいたときに反射的に手を出す自由度は明らかに下がります。

実際の使い方としては、なだらかで危険の少ない区間だけ傘を差し、木の根や岩が出てくる区間・下り坂・鎖場の手前では早めにたたんでザックのサイドポケットやショルダーハーネスに収納しておくのが安全です。「傘を差したまま歩き続ける」ことを目的にしないのが、両手の自由を保つコツです。

登山用の軽量折りたたみ傘7選

ここまでの基準として、軽量であること、耐風性の工夫があること、収納がコンパクトであることの3点を踏まえ、実際に購入できる登山用の折りたたみ傘を7製品紹介します。重量はすべて公式ページに記載の値です。

登山用の軽量折りたたみ傘7製品を比較する

商品名 重量 骨の本数 向いている場面
EVERNEW SL76g アンブレラ 76g 5本 とにかく軽さ優先の日帰り登山
Snow Peak アンブレラUL 150g 8本 キャンプ・山小屋での休憩
SEA TO SUMMIT トラベリングライト ポケットアンブレラ 150g 6本 最小収納・非常用
モンベル トレッキングアンブレラ 55 153g 8本 標準サイズで迷ったらこれ
モンベル トレッキングアンブレラ 60 166g 8本 大きめザックまで覆いたい
EuroSCHIRM ライトトレック ULTRA 175g 6本 耐風性を重視したい
モンベル サンブロックアンブレラ 55 200g 8本 日差し対策を重視したい

EVERNEW(エバニュー) SL76g アンブレラ|7製品中もっとも軽い76g

7製品の中でもっとも軽いのが、重量76gのEVERNEW(エバニュー) SL76g アンブレラです。骨は5本のカーボン製で、使用時の直径は約83cm、収納時は約22cmまで小さくなります。とにかく重量を削りたい日帰り登山や、行動食・水など他の荷物を優先したい人に向いています。骨の本数が少ないぶん、耐風性より軽さを優先したモデルという位置づけです。


Snow Peak(スノーピーク) アンブレラUL|150gでキャンプ泊にも馴染むデザイン

重量150gのSnow Peak(スノーピーク) アンブレラULは、親骨8本をカーボン、中棒とうけ骨をアルミで構成し、生地にテフロン撥水・UVカット加工を施しています。収納時の長さは約22cmです。テント泊装備一式をスノーピークで揃えている人はもちろん、山小屋やキャンプ地での休憩用に1本持っておきたい人に向いています。


SEA TO SUMMIT(シートゥサミット) トラベリングライト ポケットアンブレラ|収納16cmのポケットサイズ

重量150g、収納時の長さ約16cmとコンパクトさに振ったのが、SEA TO SUMMIT(シートゥサミット) トラベリングライト ポケットアンブレラです。展開時の直径は約83cmで、4段階に伸縮するシャフトを使います。ザックの小さなポケットやウエストポーチに収めたい人、行動中は基本的にレインウェア中心で傘は非常用に留めたい人に向いています。


モンベル トレッキングアンブレラ 55|153gの定番サイズ

重量153gのモンベル トレッキングアンブレラ 55は、8本のカーボン繊維強化樹脂の骨を採用し、使用時の直径は約95cm、折りたたみ時は約25cmです。生地は20デニールポリエステルにはっ水加工を施しています。登山用傘の標準的なサイズ感を求める人、ザックを覆うほどの大きさは要らない人に向いています。


モンベル トレッキングアンブレラ 60|166gでザックまで覆える大きめサイズ

重量166gのモンベル トレッキングアンブレラ 60は、骨長60cm・8本の骨を持ち、使用時の直径は約103cmまで広がります。折りたたみ時は約26.5cmです。55との違いは傘面の大きさで、大きめのザックを背負ったままでも肩口まで雨を防ぎたい人、55ではやや小さく感じる人に向いています。


EuroSCHIRM(ユーロシルム) ライトトレック ULTRA|175gで耐風性能を重視

重量175gのEuroSCHIRM(ユーロシルム) ライトトレック ULTRAは、アルミ製の特殊リブ6本とカーボンを組み合わせた骨組みに、耐風性を高める「セーフティーランナー」機構を備えています。使用時のサイズは約58cm×98cm、収納時は約27.5cmです。ドイツ生まれのブランドで、風の変わりやすい山域を歩く機会が多い人、耐風性を重視したい人に向いています。


モンベル サンブロックアンブレラ 55|200gで遮光率99%以上の日傘兼用

重量200gのモンベル サンブロックアンブレラ 55は、表面にシルバーコーティングを施すことで紫外線遮へい率99%以上、遮光率99%以上、遮熱率は約50%という日よけ性能を持たせたモデルです。使用時の直径は約98cm、UPF50+の紫外線防止機能も備えています。雨よりも日差し対策を重視する残暑期の低山や、稜線に出る前の登山口までの日よけとして使う人に向いています。


よくある質問

Q. 登山に傘は本当に不要ですか?

不要と言い切れるものではありませんが、無条件に必要とも言えません。樹林帯や林道など使える場所が限られる道具だと理解したうえで、レインウェアを主軸に置き、傘は蒸れを減らす補助として持つ、という位置づけが実情に近い使い方です。「傘だけあれば安心」という考え方は避けてください。

Q. 稜線を歩いている途中で急に雨が降ったらどうすればいいですか?

傘を差すのではなく、レインウェアの上下を着用してください。稜線は風を遮るものがなく、傘は骨が壊れる・体があおられるといった二次的な危険を生みます。稜線での雨対策はレインウェアだけで完結させ、傘は樹林帯に戻ってから使う道具と考えてください。

Q. 傘とレインウェア、登山ではどちらを先に買うべきですか?

レインウェアを優先してください。稜線・鎖場・強風というリスクの高い場面をカバーできるのはレインウェアだけです。傘は、レインウェアを持っている前提のうえで行動を快適にするための追加装備という位置づけになります。

Q. 街で使っている一般的な折りたたみ傘を登山に持っていってもいいですか?

樹林帯や林道など使える場面に限れば持ち出すこと自体は可能ですが、街用の傘は骨が細く、耐風設計もされていないため山の風で壊れやすくなります。壊れた傘を持ち帰る手間を考えると、登山用に設計された軽量モデルのほうが結果的に扱いやすいでしょう。

Q. 傘が風で裏返ってしまったときはどうすればいいですか?

無理に元へ戻そうとせず、その場でいったんたたんでください。骨が折れていないか確認し、変形しているならザックにしまってレインウェアに切り替えます。裏返った状態のまま歩き続けると、骨の先端で自分や周囲の人を傷つける危険があります。

Q. ワンタッチ(自動開閉)タイプの傘は登山向きですか?

開閉の手軽さは魅力ですが、自動開閉の機構は部品点数が増えやすく、軽量を重視する登山用モデルの多くは手動の開閉方式を採用しています。行動中に何度も開閉する使い方をするなら、まずは軽さと耐風性を優先して選ぶことをおすすめします。

まとめ|傘は「使う場所を選ぶ」道具と考える

登山用の折りたたみ傘は、樹林帯や林道、キャンプ地では小雨をしのぐ快適な相棒になりますが、稜線・鎖場・岩場では風にあおられる危険と両手がふさがる危険を併せ持つ道具に変わります。レインウェアの代わりではなく、蒸れを減らすための併用品という位置づけを崩さないことが、傘を安全に使うための一番のポイントです。

製品を選ぶときは、重量(100g台からが目安)・骨の本数と素材による耐風性・収納サイズの3点を公式スペックで確認してください。今回紹介した7製品は、いずれも重量と用途が公式ページで確認できるモデルです。天候と地形を見極めながら、傘とレインウェアを使い分けてみてください。

出典

※数値は2026年8月13日時点で各公式ページに記載の値です。

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