皇海山を庚申山経由で登るか|2026年9月1日の林道通行止めと無料の庚申山荘

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皇海山へ向かう計画を立てるとき、2026年9月の時点で最初に決まるのは「どの道で登山口に着けるか」です。群馬県側の市道皇海線(根利栗原川林道)について、沼田市は落石が発生したため「当面の間、通行止め」とすると告知しています。沼田市公式ページの更新日は2026年9月1日で、2026年9月12日確認時点でもこの告知が掲載されています。

そこで候補に上がるのが、栃木県側の足尾・銀山平から庚申渓谷沿いの林道を進み、一の鳥居、庚申山荘、庚申山を経て、鋸山を越えて皇海山へ向かう道です。ただしこの道には、はっきりした弱点があります。銀山平から皇海山までの区間ごとのコースタイム・距離・標高差を、日光市と栃木県の公式情報から数字として確認できないのです。

この記事は「庚申山経由で皇海山へ行くか」という1つの問いに最後まで答えます。判断に使うのは、公式に書かれていることだけです。庚申山荘が無料・予約不要の避難小屋であること、沢水とバイオトイレに使える時期があること、小屋のまわりでテントを張れないこと、そしてコウシンソウの自生地が国の特別天然記念物に指定されていることです。公式に書かれていない数字は、書かれていないと明記したうえで、どこで自分で確かめるかを示します。

皇海山という山そのもの(どんな山で、どの季節に誰が登っているか)を先に押さえたい場合は、皇海山の登山ガイドから読むと、この記事のルートの位置づけが分かりやすくなります。

  • 群馬側の市道皇海線(根利栗原川林道)は、沼田市の告知(2026年9月1日更新)で落石のため「当面の間、通行止め」。代わりの道路が通れるとする公式の案内は確認できていないこと
  • 日光市公式が案内しているのは「銀山平→庚申渓谷沿いの林道→一の鳥居→庚申山荘→庚申山頂上」までで、その先の鋸山・皇海山の区間は公式の数字が無いこと
  • 庚申山荘は現行の日光市案内(2026年6月9日更新)で避難小屋・無料・予約不要・通年利用可。管理人は不在で食事の提供は無いこと
  • 有料の料金表記がある古い資料(日光市「施設カルテ」)もあり、現行案内と食い違うため、出発前に最新の日光市案内を見る必要があること
  • 沢水は4月中旬〜12月上旬で未滅菌のため煮沸が必要、バイオトイレは2026年6月30日に再開したこと
  • 庚申山荘付近は日光国立公園の特別地域でテント設営が禁止。泊まるなら小屋泊に限られること
  • 首都圏自然歩道「お山巡りのみち」は猿田彦神社跡〜庚申山の区間が歩道被災で通行不可、再開時期は未定であること
  • コウシンソウ自生地は昭和27年3月29日指定の国の特別天然記念物(法令上の保護)で、施設の決まりとは別のものとして扱うこと

庚申山経由ルートの全体像:銀山平から皇海山までの5つの地点

庚申山経由のルートは、地図の上では1本の線に見えます。けれど中身は、性格の違う区間がつながった道です。最初に全体の骨組みをつかんでおくと、どこで何を決めればよいかが見えてきます。この記事では、銀山平、一の鳥居、庚申山荘、庚申山、そして鋸山を越えた先の皇海山という5つの地点で道を区切って考えます。

日光市の公式観光案内(2026年6月9日更新、2026年9月12日確認時点)は、銀山平から庚申渓谷沿いの林道を進み、一の鳥居を経て庚申山荘へ向かい、庚申山の頂上へ至るコースを紹介しています。頂上から展望地までは約5分とされています。公式の案内が道筋として描いているのは、庚申山の頂上と、その先の展望地までです。庚申山から鋸山へ、鋸山から皇海山へと続く区間は、このページのコース案内には含まれていません。

地点 公式に書かれていること(2026年9月12日確認時点) この記事での扱い
銀山平 日光市の案内でコースの起点として紹介 ここから歩き始める前提で組み立てる
庚申渓谷沿いの林道〜一の鳥居 林道を進み一の鳥居を経る道筋が案内されている。所要時間の数字は公式本文で確認できない 時間は地図アプリや登山地図で各自確認
庚申山荘 避難小屋・無料・予約不要・通年利用可・管理人不在・食事なし 小屋泊の拠点。決まりは後の章で詳しく
庚申山頂上 頂上から展望地まで約5分 公式の案内が届いている最後の地点
鋸山〜皇海山 区間別のコースタイム・距離・標高差は公式に数字として判読できる記載が無い 自分で地図と記録から確かめる区間

この表から分かるのは、ルートの前半と後半で「公式の情報の厚さ」がまったく違うということです。前半の銀山平から庚申山までは、日光市が案内し、山荘の条件まで書いています。後半の鋸山から皇海山までは、公式の数字が見つかりません。前半は公式の案内に沿って計画し、後半は自分で確かめた数字で計画する。この切り替えを意識しておくと、計画のどこが「確かな部分」で、どこが「自分の責任で埋める部分」なのかが分かります。

編集部の見立て:庚申山経由の皇海山は、途中まで公式の地図があって、その先は白紙になっている道だと考えています。白紙の部分が危ないという意味ではありません。白紙の部分を自分で埋めてから出かける人と、埋めずに出かける人とで、同じ道でも1日の中身がまるで変わる、ということです。

もう1つ押さえておきたいのは、皇海山まで行って銀山平へ戻る場合、行きと同じ道を戻るなら、鋸山を含む稜線を2回通ることになる点です。行きで疲れた脚で、同じ岩の区間をもう一度越える。計画を立てるときは、皇海山の山頂を「折り返し点」ではなく「道のりの途中」として扱うほうが、時間の見積もりを誤りにくくなります。

庚申山荘があることも、このルートの性格を決めています。山荘に泊まれば、1日目に庚申山荘まで上がり、2日目に稜線を往復するという分け方ができます。一方で、山荘は管理人のいない避難小屋です。食事も寝具の手配も自分で担うことになります。「泊まれる場所がある」ことと「山小屋のようにサービスがある」ことは、別のことです。

このルートの骨組み:銀山平から庚申山頂上までは日光市の公式案内がある区間、庚申山から鋸山・皇海山までは公式の数字が無い区間です。計画の手間の大半は、後半の白紙を自分の手で埋める作業にかかります。庚申山荘はその中間にある、無料で予約不要の避難小屋です。

編集部の判断:このルートを検討する人には、まず「庚申山まで」と「庚申山から先」を分けて考えることを勧めます。庚申山まででも、公式に案内された1つの山行として成り立ちます。皇海山まで行くかどうかは、後半の区間を自分で調べ終えてから決めても遅くありません。

なぜ2026年9月は庚申山経由を考えるのか:市道皇海線は「当面の間、通行止め」

皇海山には、群馬県側から皇海橋を経て登る道と、栃木県側から庚申山を経て登る道があります。群馬県側の道は、登山口まで林道を車で上がることが前提になっています。その林道の扱いが、2026年9月の計画を大きく左右しています。

沼田市の公式ページは、市道皇海線(根利栗原川林道)について「落石が発生したため、当面の間、通行止め」とすると告知しています。ページの更新日は2026年9月1日です。2026年9月12日確認時点で、この告知は掲載されたままでした。通行止めを決めているのは道路を管理する沼田市で、期間は「当面の間」とされ、解除の見込み日は書かれていません

「当面の間」は、数日で開くという意味でも、長期間閉じるという意味でもありません。解除の日付が書かれていない、というだけです。記事や登山記録に「開いた」「まだ閉まっている」と書かれていても、それは書かれた日の情報です。出発の前日と当日の朝に、沼田市の公式ページ(https://www.city.numata.gunma.jp/life/kotsu/douro/1018292.html)を自分で開いて確かめてください。

では、市道皇海線を使わずに皇海橋へ車で着ける道はあるのか。この点について、2026年9月12日確認時点で、代わりの道路が一般車で通行できるとする公式の案内は確認できていません。確認できた最新の公式告知は、2026年9月1日付の沼田市のものです。代わりの道があるともないとも、この記事では断定しません。群馬県側の登山口への道路事情を細かく知りたい場合は、皇海山の登山口へのアクセスをまとめた記事で、道路ごとの確認先を整理しています。

編集部の見立て:群馬側の林道が閉じているあいだ、皇海山は「どう登るか」より先に「どこから入れるか」で計画が決まる山になっています。インターネット上には、林道を車で上がって短時間で山頂に立つ記録がたくさん残っています。それらは、林道が通れた時期の記録として読むのが正確です。

ここで、情報の出どころを整理しておきます。群馬県側の道路の通行止めは、沼田市が道路管理者として出している告知です。一方、栃木県側のコース案内と庚申山荘の条件は、日光市の観光担当(観光経済部足尾観光課)が出している案内です。道路の規制と、観光コースの案内と、避難小屋の利用条件は、それぞれ出している主体が違います。1つの情報が変わっても、ほかの情報が連動して変わるとは限りません。

情報 出している主体 2026年9月12日確認時点の内容 確認先
市道皇海線(根利栗原川林道) 沼田市(道路管理者) 落石のため当面の間、通行止め(2026年9月1日更新) 沼田市公式ページ
銀山平からの庚申山コース 日光市(観光案内) 銀山平→林道→一の鳥居→庚申山荘→庚申山頂上を案内(2026年6月9日更新) 日光市公式ページ
庚申山荘の利用条件 日光市(観光案内) 避難小屋・無料・予約不要・通年利用可 日光市公式ページ

この整理から見えてくるのは、群馬県側が閉じているあいだ、公式の案内が道筋を示している入口は栃木県側の銀山平だということです。ただし、栃木県側を選べば群馬県側と同じ1日になるわけではありません。群馬県側の林道が通れた時期の皇海山と、庚申山を経由する皇海山は、歩く距離も通過する地形も別物だと考えてください。後半の区間に公式の数字が無いことは、前の章で書いたとおりです。

もう1つの判断として、「群馬県側の林道が開くのを待つ」という選択肢もあります。皇海山に登ること自体が目的で、庚申山経由の長い道のりに自信が持てないなら、待つことも立派な計画です。どちらを選ぶにしても、根拠は沼田市と日光市の公式ページの、その日の記載に置いてください。

編集部の判断:林道が閉じていることを理由に、経験の足りない長いルートへ切り替えるのは順番が逆だと考えています。先に「自分は庚申山経由を歩ける体力と技術があるか」を確かめ、歩けるなら栃木側から、まだなら林道の再開を待つ。そういう選び方のほうが、結果として皇海山に安全に近づけます。

銀山平から一の鳥居を経て庚申山荘へ:林道区間で決めておくこと

日光市の公式案内は、銀山平から庚申渓谷沿いの林道を進み、一の鳥居を経て庚申山荘へ向かう道筋を示しています。ルートの入口にあたるこの区間は、稜線の岩場と比べると話題にされにくい部分です。けれど、1日の体力配分と時間配分は、ここでの歩き方でほぼ決まります。

まず時間についてです。銀山平から一の鳥居まで、一の鳥居から庚申山荘までの所要時間は、2026年9月12日確認時点で日光市・栃木県の公式本文から数字として確認できていません。この記事では、公式の数字が無い区間に時間を書き込みません。登山地図や地図アプリのコースタイムを使い、「どの資料の値か」を控えたうえで計画に入れることを勧めます。資料によって値が違うときは、長いほうで組んでおくと、あとで時間が足りなくなる事態を避けやすくなります。

林道区間は、道の性格が途中で変わります。車の通れる幅の道から、一の鳥居を過ぎて登山道らしい道へ入っていく流れです。同じ「登り」でも、平らな林道を長く歩く脚の使い方と、段差のある登山道を登る脚の使い方は違います。前半で林道を急いで歩きすぎると、後半の登山道で脚が残らなくなります。

次に、庚申渓谷沿いという地形についてです。沢に沿って歩く道は、晴れた日でも足元が湿っていることが多く、濡れた石や木の根で滑りやすくなります。雨の後なら、なおさらです。沢沿いの湿った道では、季節によってヤマビルに備える必要が出てくる山域もあります。庚申山周辺でヤマビルがどの程度出るかは、2026年9月12日確認時点で公式の記載を見つけられませんでした。湿った沢沿いを歩く日の備え方そのものは、ヤマビル対策の記事で、服装と忌避剤の考え方としてまとめています。

林道区間を「アプローチ」として軽く見ないでください。帰り道では、稜線を往復した後の疲れた脚で、同じ林道を下ることになります。下りの長い林道は、膝と足裏に負担がたまりやすい区間です。行きに時間の余裕を使い切る計画にすると、帰りの林道で日が傾き始めます。

この区間の判断材料を、チェックリストにまとめておきます。出発の前に、1つずつ答えを持っておくと、当日の迷いが減ります。

  • 銀山平〜一の鳥居〜庚申山荘の所要時間を、どの資料(登山地図・地図アプリなど)の値で見積もったかを書き出したか
  • 帰りに同じ林道を下る時間も、行きとは別に見積もったか
  • 沢沿いの濡れた石や木の根で滑らない靴底かどうかを、出発前に確かめたか
  • 日帰りか庚申山荘泊かで、この区間を歩く荷物の重さが大きく変わることを計算に入れたか
  • 日光市の案内ページ(2026年6月9日更新)を出発前に開き、コースの記載が変わっていないか確かめたか

編集部の見立て:このルートでは、林道区間の靴選びが意外に効いてくると考えています。長い林道では軽さと歩きやすさが欲しくなり、その先の登山道と岩の区間ではしっかりした足元が欲しくなります。1足でこの両方をまかなうなら、どちらかに振り切るより、中間の性格を持つ靴が向きます。

林道と登山道が半々になる日の1足として、SIRIO(シリオ)PF302 ライトトレックが候補になります。型番PF302で、商品名に「ライトトレック」とあるとおり、軽登山からトレッキングを想定したモデルです。重装備の登山靴ほど硬くない靴で長い林道を歩き、その先の登山道にも入りたい人に向きます。稜線の岩の区間まで同じ靴で通すかどうかは、後の「鎖とハシゴ」の章の比較もあわせて判断してください。

庚申山荘に泊まる:無料・予約不要・通年利用可、ただし管理人はいない

庚申山経由のルートを1泊2日で組むとき、中心になるのが庚申山荘です。日光市の公式観光案内(2026年6月9日更新、2026年9月12日確認時点)は、庚申山荘を避難小屋として案内しています。現行の案内での正式な名称は「日光市庚申山荘」です。利用条件は次のとおりです。

項目 現行の日光市案内の記載 計画への翻訳
施設の区分 避難小屋 サービスのある山小屋ではない前提で準備する
料金 無料 支払いの準備は不要。ただし古い有料表記の資料がある(後述)
予約 予約不要 予約で寝場所を確保する仕組みではない
利用できる時期 通年利用可 ただし水とトイレは時期で変わる(次の章)
管理人 不在 現地で案内や手助けを受けられない前提で動く
食事 提供なし 食料と調理道具を持ち込む
電気・寝具 電気なし。寝具は各自シュラフ持参 明かりと寝袋を自分で持つ

無料で予約が要らず、1年中使える。条件だけを見ると、とても使いやすい小屋に見えます。けれど、「無料・予約不要」は、泊まる人がすべてを自分で用意する避難小屋だからこそ成り立っている条件です。管理人がいないということは、小屋に着いた後の困りごと(寒さ、明かり、食事、体調)を、その場で誰かに頼れないということでもあります。

編集部の見立て:庚申山荘は、泊まり方を知っている人にとっては心強い拠点で、知らない人にとっては想像より何も無い建物だと考えています。「屋根と壁がある」ことに価値がある小屋です。山小屋の感覚で荷物を減らしてしまうと、夜になって困るのは自分自身です。

料金の表記が資料で食い違う

庚申山荘の料金については、資料によって記載が食い違っています。現行の日光市観光案内(2026年6月9日更新)は、無料の避難小屋としています。一方、日光市の「施設カルテ」というPDF資料には、宿泊大人1泊2,080円などの有料の表記があります。施設カルテがいつ時点の情報なのかは、資料から読み取れませんでした。

この記事では、更新日がはっきりしている現行の観光案内を優先して「無料」と書いています。とはいえ、公式の資料どうしが食い違っている以上、出発前に最新の日光市案内を自分で開いて確かめるのが確実です。インターネット上の古い登山記録に、有料だった時期の話が書かれていることもあります。

庚申山荘の管理者名(どこが管理を担っているか)は、2026年9月12日確認時点の日光市の案内に明記されていませんでした。問い合わせ先として案内されているのは、日光市観光経済部足尾観光課足尾観光係(電話0288-93-3116)です。小屋の現況で分からないことがあれば、ここへ問い合わせてください。

「予約不要」と「予約できる山小屋」の違い

予約の要る山小屋では、予約をすれば寝場所が確保されます。予約不要の避難小屋では、そうした仕組みがありません。庚申山荘に何人まで泊まれるのか、混み合ったときにどう扱うのかは、2026年9月12日確認時点の日光市の案内では見つけられませんでした。予約の要る山小屋での段取り(いつから空くか、満室のときにどうするか)は、山小屋の予約の取り方をまとめた記事で扱っています。庚申山荘はその仕組みの外にある小屋だと理解しておくと、比べやすくなります。

避難小屋を宿泊に使ってよいのか、使うときに何を確かめるべきかは、山域や小屋ごとに違います。庚申山荘は日光市の案内で宿泊に使える前提の条件(通年利用可・寝具は各自シュラフ持参)が示されている小屋です。避難小屋一般の見分け方と、使う前の確認項目は、避難小屋とは何かを整理した記事にまとめています。

編集部の判断:庚申山荘の一番の注意点は「電気なし」だと考えています。日が落ちた後の小屋の中は、自分の明かりが無ければ何もできません。夕食の支度、寝袋を広げる作業、夜中のトイレ。明かりは予備の電池か充電を含めて、1人1つを前提にしてください。

小屋の中で両手を空けて作業するなら、頭につけるヘッドライトが向きます。KEWISI ヘッドライト(USB充電式)は、商品ページで5種の点灯モード、赤と白のライト、SOS点滅、60°の角度調整、防水防塵、40gの軽さがうたわれているモデルです。赤いライトは、同じ小屋に泊まるほかの人の目をまぶしくさせにくい使い方ができます。軽い明かりを1つ増やしておきたい人、充電式で電池の管理を減らしたい人に向きます。

水とトイレ:沢水は4月中旬〜12月上旬、バイオトイレは2026年6月30日に再開

庚申山荘は通年で利用できますが、水とトイレはいつでも使えるわけではありません。日光市の現行の案内(2026年6月9日更新、2026年9月12日確認時点)によると、庚申山荘の水は4月中旬から12月上旬まで沢水を引いています。この沢水は未滅菌のため、煮沸して使う必要があります。トイレはバイオ式で、2026年6月30日に使用が再開されました。

トイレについては、凍結防止のため12月上旬から4月中旬頃まで閉鎖する予定とされています。つまり、小屋そのものは冬も使えても、冬の庚申山荘には水もトイレも無い前提で計画を立てることになるわけです。季節をまたいで計画を立てるときは、ここが一番の分かれ目になります。

庚申山荘と庚申山経由の道。左に項目、右に値・条件を並べた対応表の図解。庚申山荘=無料・予約不要・通年利用可(避難小屋、管理人不在)/庚申山荘の水=4月中旬〜12月上旬・沢水(未滅菌のため要煮沸)/庚申山荘のトイレ=バイオ式、2026年6月30日に使用再開/テント設営=禁止(日光国立公園の特別地域指定のため)/コウシンソウ自生地=国指定特別天然記念物(昭和27年3月29日指定)。図の下部に「日光市・文化庁の公表値(2026年9月12日確認)」と注記。
庚申山荘と庚申山経由の道。左に項目、右に値・条件を並べた対応表の図解。庚申山荘=無料・予約不要・通年利用可(避難小屋、管理人不在)/庚申山荘の水=4月中旬〜12月上旬・沢水(未滅菌のため要煮沸)/庚申山荘のトイレ=バイオ式、2026年6月30日に使用再開/テント設営=禁止(日光国立公園の特別地域指定のため)/コウシンソウ自生地=国指定特別天然記念物(昭和27年3月29日指定)。図の下部に「日光市・文化庁の公表値(2026年9月12日確認)」と注記。
時期 現行の日光市案内での水・トイレ 持ち物の考え方
4月中旬〜12月上旬 沢水が引かれる(未滅菌・煮沸が必要)。バイオトイレは2026年6月30日に再開 煮沸のための火器と燃料を持つ。飲み水は煮沸後に冷ます時間も見込む
12月上旬〜4月中旬頃 沢水の記載期間の外。バイオトイレは凍結防止のため閉鎖予定 必要な水をすべて持ち上げる。トイレが使えない前提で携帯トイレ等を用意する

沢水は「煮沸して使う水」

公式の案内が「未滅菌のため煮沸が必要」と書いている以上、庚申山荘の沢水は、そのまま飲む水として計画に入れないでください。煮沸するには火器と燃料が要ります。火器を持たずに小屋へ上がると、水場があっても飲み水として使えない、ということが起こりえます。水場の有無ではなく、煮沸できる道具を持っているかどうかで「水が手に入るか」が決まると考えるのが正確です。

「沢水が引かれている期間」は、水量が常に十分であることまで約束するものではありません。天候や時期によって水の出方が変わる可能性を考え、小屋に着くまでに必要な水と、小屋で水が得られなかったときの予備は、自分で持って上がる計画にしてください。

資料による閉鎖時期の違い

ここでも、資料どうしの食い違いがあります。現行の案内は、水が4月中旬〜12月上旬、バイオトイレの閉鎖が12月上旬〜4月中旬頃(予定)としています。日光市の「施設カルテ」は、12月から3月末は水道とトイレを封鎖するとしています。この記事では、更新日が分かる現行の案内(2026年6月9日更新)を優先しました。春先や初冬の計画では、どちらの資料の期間に入るかで準備が変わるので、出発前に日光市の最新の案内を確かめるのが確実です。

「トイレは2026年6月30日に再開」と書かれていることから、それより前には使えない時期があったと読めます。避難小屋の設備は、故障や点検、天候による被害などで使えなくなることがあります。設備の再開や停止は、今後も案内が更新される可能性があります。「前回行ったときは使えた」は、次回の保証になりません。

編集部の見立て:避難小屋の水とトイレは、「使えたら助かるもの」として扱い、「使えなかったら計画が崩れるもの」にしないのが基本だと考えています。庚申山荘は公式に期間と条件が書かれているぶん、準備はしやすい小屋です。書かれている条件の外側を、自分の荷物で埋めておいてください。

水の話は、服装の話にもつながります。汗を多くかくほど、体から失われる水は増え、補給に必要な水も増えます。水場が「煮沸が必要な沢水」である庚申山荘では、飲み水は手間のかかる資源です。汗が抜けやすく、濡れた後に体が冷えにくいシャツを選ぶことは、快適さだけでなく、水の使い方にも関わってきます。

その候補として、MILLET(ミレー)ドライナミック メッシュ ショートスリーブ(品番MIV01566)があります。商品名のとおりメッシュ構造の半袖で、肌に近いところに着て、汗の抜けを良くする目的のモデルです。林道から庚申山荘までの登りで汗をかきやすい人、汗冷えを減らしたい人に向きます。

お山巡りのみちは一部通行不可:猿田彦神社跡〜庚申山の区間を計画から外す

庚申山のまわりには、首都圏自然歩道の「お山巡りのみち」が通っています。日光市の案内(2026年6月9日更新、2026年9月12日確認時点)によると、このうち猿田彦神社跡から庚申山へ向かう区間が、歩道の被災により通行不可になっています。再開の時期は未定です。猿田彦神社跡から庚申山へ向かう場合は、庚申山荘の方面へ進むよう案内されています。

この情報が大事なのは、地図やインターネット上の記録に「お山巡りのみち」を使った周回の道筋が残っているからです。庚申山の周辺を歩いた古い記録には、通れた時期の道筋が載っていることがあります。地図アプリの中にも、通行できない状態が反映されていないものがあるかもしれません。地図に線が描かれていることと、その道が今日通れることは、別の話です。

「通行不可」の区間に入って進むと、崩れた足場や道の消えた場所に出る可能性があります。道が被災した区間は、見た目は歩けそうでも、足元が弱っていることがあります。計画の段階で、猿田彦神社跡〜庚申山の区間を使う道筋はすべて外してください。現地で「通れそうだから」と判断を変えないことが大切です。

計画から外すときの手順

通行不可の区間を計画から外すのは、地図の上で線を1本消すだけの作業ではありません。その区間を使うつもりだった場合、代わりの道筋で時間と距離がどう変わるかを見直す必要があります。日光市の案内が示しているのは、庚申山荘方面へ進む道筋です。つまり、庚申山へ向かうなら、公式に案内されている銀山平→一の鳥居→庚申山荘→庚申山頂上の道筋を使うことになります。

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  1. 使う予定の地図(登山地図・地図アプリ)で、猿田彦神社跡から庚申山へ向かう区間がどこかを確かめ、その区間に印をつける
  2. 計画した道筋がその区間を通っていないかを確かめる。通っていれば、庚申山荘方面の道筋に組み替える
  3. 組み替えた道筋で、所要時間の見積もりをやり直す。見積もりの値は、どの資料の値かを控えておく

通行不可の情報は、日光市の庚申山コースの案内ページに書かれています。再開時期は未定とされているため、再開の知らせも同じページで更新される可能性があります。計画の段階だけでなく、出発の直前にもう一度開いてください。

編集部の判断:通行不可の区間を「迂回すれば済む」と軽く扱わないほうがよいと考えています。迂回した道筋は、多くの場合、元の計画より時間の組み方が変わります。周回のつもりが往復になれば、同じ区間を2回通ることになる。組み替えた後の計画を、最初から作り直すつもりで見直してください。

「お山巡りのみち」という名前からも分かるとおり、このあたりは古くから庚申山を巡る道として歩かれてきた場所です。一の鳥居や猿田彦神社跡といった地名は、山の信仰に由来する地点として道の途中に残っています。こうした歴史のある道でも、自然の力で道が被災すれば通れなくなります。古い道ほど、今日の状態を公式の案内で確かめる必要がある、と考えておくと、情報の扱いを間違えにくくなります。

通行できる道筋でも、足元の条件は変わりません。沢沿いから小屋、そして庚申山の頂上へと向かう道は、段差をまたいだり、足を高く上げたりする場面が増えていきます。脚の動きを妨げない服装は、こうした道で疲れ方に差をつけます。

足を高く上げる場面の多い道で動きやすさを重視するなら、MILLET(ミレー)ティフォン ストレッチ トレック パンツ(TYPHON 50000 ST TREK PANT)が候補になります。商品名のとおりストレッチ性のあるトレッキング用のパンツで、「TYPHON 50000」はミレーの防水透湿素材の名前です。段差の多い道で脚の動きを確保したい人、小雨や稜線の風への備えも1本で兼ねたい人に向きます。

庚申山から鋸山・皇海山へ:公式に数字が無い区間をどう計画するか

ここからが、このルートで一番計画に手間のかかる部分です。日光市の公式案内がコースとして描いているのは、庚申山の頂上と、そこから約5分の展望地までです。その先、庚申山から鋸山を越えて皇海山へ至る区間については、2026年9月12日確認時点で、日光市・栃木県の公式本文や公式図から、区間別のコースタイム・距離・標高差を数字として判読できる記載が見つかりませんでした。

公式の数字が無い区間を、この記事が推測で埋めることはしません。区間別のコースタイムは公式発表を確認できていないため、地図アプリや登山地図を使って各自で確かめてください。そのうえで、確かめるときに何を見ればよいかを、この章で具体的にしておきます。

編集部の見立て:公式の数字が無い区間では、「誰かが書いていた時間」をそのまま自分の計画に写してしまいがちです。けれど、その人の体力も、歩いた季節も、荷物の重さも、自分とは違います。数字は借りてきてかまいません。借りた数字に、自分の条件で余裕を足すところまでが計画だと考えています。

区間ごとに確かめる3つのこと

庚申山から皇海山までを、いくつかの区間に分けて、それぞれ次の3つを確かめます。所要時間、登りと下りの量、そして手を使う場所があるかどうかです。この3つがそろうと、区間ごとに「どのくらい時間がかかり、どこで体力を使い、どこで慎重になるか」が見えてきます。

区間 所要時間(自分で記入) 登り下りの量(自分で記入) 鎖・ハシゴの有無(自分で記入)
庚申山頂上→鋸山 公式の数字なし。資料名と値を控える 公式の数字なし 公式の記載なし。道標・記録で確認
鋸山→皇海山 公式の数字なし。資料名と値を控える 公式の数字なし 公式の記載なし。道標・記録で確認
皇海山→鋸山→庚申山(戻り) 行きと別に見積もる(疲れと下りの向きの違いを入れる) 行きの下りが戻りの登りになる 同じ場所を逆向きに通る

この表は、あえて空欄を残しています。空欄を埋めるのは、出発する人自身です。埋めるときに使った資料の名前を、値と一緒に書き込んでおくと、あとで数字が合わないと気づいたときに、どこから来た数字かをたどれます。

戻りの区間を、行きの所要時間の数字をそのまま使って見積もらないでください。行きで下った斜面は、戻りでは登りになります。行きに登った岩場は、戻りでは下りになり、多くの場合、下りのほうが慎重な動きと時間を求められます。さらに戻りの時点では、脚に疲れがたまっています。

現地で見るもの

地図と記録で計画を立てても、現地で目にする情報がいちばん新しい情報です。分岐の道標、注意を呼びかける掲示、道の状態。計画と現地の様子が違うときは、現地の様子を優先して判断を変えます。とくに、公式の数字が無い区間では、現地の道標が方向と距離感を知るための数少ない手がかりになります。

  • 庚申山から先の各区間について、所要時間の値を1つ以上の資料で確かめ、資料名を控えたか
  • 戻りの区間の所要時間を、行きとは別に見積もったか
  • 公式の数字が無いことを前提に、見積もりに自分の条件(体力・荷物・季節)の余裕を足したか
  • 現地の道標と掲示を見て、計画とのずれを確かめる場所を決めておいたか
  • 計画どおりに進まないときに引き返す地点を、地図の上で先に決めたか

編集部の判断:庚申山から先へ進むかどうかは、出発前の計画と、庚申山の頂上に立った時点の状態の2回で判断することを勧めます。計画で「行ける」と出ていても、頂上に着いた時刻や体の状態が計画とずれていれば、そこで引き返すのも計画のうちです。庚申山までで1つの山行として完結できるのが、このルートの良いところです。

稜線の区間では、天候の変化に対する備えも欠かせません。樹林帯より風を受けやすく、雨に降られたときに逃げ込む場所も限られます。雨具は「降ったら着るもの」ではなく、「稜線で体温を守るための装備」として持っていく必要があります。

上下そろった雨具を1着で用意するなら、ミズノ ベルグテックEX ストームセイバーV(上下)が候補になります。上着とパンツがセットになったレインウェアで、稜線で雨や風を受けたときに全身を覆えます。これから雨具を上下でそろえたい人、手持ちの雨具が上着だけの人に向きます。

鎖とハシゴが続く稜線で、両手を空けて足を置く装備

鋸山を含む庚申山から皇海山への稜線は、鎖場やハシゴがある前提で準備しておきたい区間です。ただし、鋸山十一峰と呼ばれるあたりの鎖場・ハシゴの本数や位置、難しさについては、2026年9月12日確認時点で公式の一次情報に具体的な記載を確認できていません。鎖場の本数・位置は公式の記載を確認できていないため、現地の道標や経験者の記録も参照して、自分で把握しておく必要があります。

本数や位置が分からないからこそ、装備は「どこに鎖が出てきても対応できる状態」を基準に組み立てます。鎖場やハシゴでの基本の動き(三点支持や、鎖に体重を預けすぎない使い方)は、鎖場・岩場の通過をまとめた記事で詳しく扱っています。この章では、その動きを支える装備を選ぶ基準を整理します。

編集部の見立て:鎖場で困る原因は、技術そのものより「両手が空いていない」「足元が信用できない」「荷物に振られる」の3つであることが多いと考えています。どれも出発前の装備で減らせます。岩の前で慌てない準備は、家を出る前にほとんど終わっています。

何を基準に選ぶか

基準は3つです。1つ目は足元で、濡れた岩や段差で足を置いた場所を信用できる靴底と、足首まわりの支えがあるかどうかを見ます。2つ目はザックで、体に近い位置で荷物が揺れにくく、日帰りか小屋泊かで必要な容量に合っているかを見ます。3つ目は頭で、岩場や鎖場で上からの落石や、岩への頭の接触に備えるヘルメットを持つかどうかを考えます。両手を空けて岩に向き合える状態をつくる装備かという1点で、候補を比べてください。

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商品(型番) 分類 向く人・使いどころ
SIRIO P.F.421 GTX 登山靴 ゴアテックス搭載。濡れた岩と沢沿いの道を1足で通したい人
KEEN TARGHEE III MID WP 登山靴 ミッドカットの防水モデル。足首まわりの支えと防水を両立したい人
MILLET SAAS FEE NX 30+5 ザック 容量表記30+5。日帰りで稜線を往復する人
MILLET PEUTEREY INTEGRALE 45+10 ザック 容量表記45+10。庚申山荘泊で寝袋と調理道具を背負う人
Grivel Stealth(GV-HESTE) ヘルメット 岩場・鎖場で頭を守る装備を加えたい人

足元:2足の登山靴

SIRIO(シリオ)P.F.421 GTXは、商品名にゴアテックスを掲げる防水のトレッキングシューズです。沢沿いの湿った道から稜線の岩場まで、足を濡らさずに1足で通したい人に向きます。先に紹介したPF302より、防水を重視したい人の選択肢になります。

KEEN(キーン)TARGHEE III MID WP(ターギー スリー ミッド ウォータープルーフ)は、名前のとおりミッドカットの防水モデルです。足首まわりの支えが欲しいけれど、重く硬い靴は避けたいという人に向きます。

荷物:日帰りと小屋泊で分かれる2つのザック

MILLET(ミレー)SAAS FEE NX 30+5(サースフェー)は、容量表記30+5のザックです。日帰りで銀山平から稜線を往復する計画で、雨具・水・行動食・明かりをまとめて背負いたい人に向きます。容量を抑えることで、荷物が揺れにくくなります。

MILLET(ミレー)PEUTEREY INTEGRALE 45+10(プトレー インテグラーレ)は、容量表記45+10のザックです。庚申山荘に泊まり、寝袋と調理道具、煮沸用の燃料まで背負う人に向きます。管理人不在・食事なしの避難小屋に泊まる計画では、日帰りより荷物がひと回り増えます。

頭:ヘルメット

Grivel(グリベル)Stealth(ステルスヘルメット、GV-HESTE)は、登山用のヘルメットです。鎖場や岩場のある稜線で、落石や岩への頭の接触に備えたい人に向きます。鎖場の本数や位置が公式に確認できない区間だからこそ、頭を守る装備を1つ加えるという考え方があります。

装備をそろえても、鎖場やハシゴの危険が消えるわけではありません。濡れた岩、凍った鎖、疲れて集中が切れた状態は、どんな装備でも補いきれません。雨の後や気温の低い日、行程が遅れている日は、鎖場の手前で引き返すことも選択肢に入れてください。

編集部の判断:大事なのは装備の数ではなく、「この岩をこの状態で越えるか」の判断だと考えています。装備はその判断をしやすくする道具です。靴とザックとヘルメットがそろって、はじめて岩の前で冷静に考える余裕が生まれる、というくらいの位置づけで選んでください。

法令で守られている場所:テントは張れず、コウシンソウは特別天然記念物

庚申山のまわりには、法令で守られている場所があります。この記事の中でも、ここは「施設の決まり」とはっきり分けて読んでほしい章です。料金や水の期間は、施設を案内する日光市の方針で変わりうるものです。一方、ここで扱う2つは、法令にもとづく保護です。

庚申山荘付近はテント設営禁止

日光市の案内(2026年6月9日更新、2026年9月12日確認時点)は、庚申山荘付近でのテントの設営を禁止しています。理由として示されているのは、この一帯が日光国立公園の特別地域に指定されていることです。国立公園の特別地域は、自然の風景や環境を守るために、ほかの区域より行為が細かく制限される区域です。

この決まりが計画に与える影響は、はっきりしています。庚申山経由のルートを1泊で組むなら、泊まる場所は庚申山荘に限られるということです。「小屋が混んでいたらテントで」「小屋の横で張ればいい」という逃げ道は、この場所にはありません。

テントの持参を前提にした計画(小屋が満員ならテントを張る、など)は、庚申山荘付近では成り立ちません。予約不要の避難小屋である以上、混み合う可能性も含めて、「小屋に泊まれなかったらどうするか」を先に決めておいてください。日帰りに切り替える、その日は庚申山までで下山する、といった判断を事前に持っておくと安心です。

編集部の見立て:テント禁止は、山の上の不便なルールに見えるかもしれません。けれど理由を知ると、見え方が変わります。特別地域は、そこにある自然を守るために線が引かれている場所です。1張りのテントでも、同じ場所で繰り返されれば地面の植物が戻らなくなります。理由を知っていれば、「少しだけなら」という考えは出てきにくくなると思います。

コウシンソウ自生地は国の特別天然記念物

庚申山は、コウシンソウという植物の名前の由来になった山です。栃木県の文化財の公式情報によると、「コウシンソウ自生地」は国指定の天然記念物で、なかでも特別天然記念物に指定されています。指定年月日は昭和27年3月29日、所在地は日光市足尾町庚申山、管理者は日光市です(2026年9月12日確認)。

特別天然記念物は、国が文化財として指定し、法令で保護しているものです。コウシンソウの自生地は、国の法令にもとづいて保護されている場所であり、自治体が呼びかけているマナーや、施設の利用ルールとは性格が違います。一方で、採取の禁止や立ち入りの条件といった具体的な禁止事項の文言は、2026年9月12日確認時点で、この記事の確認範囲では見つけられませんでした。具体的な決まりは、現地の掲示と、栃木県教育委員会などの文化財の担当に確認してください。

決まり 根拠の種類 書かれている場所 具体的な決まりの確認先
庚申山荘付近のテント設営 日光国立公園の特別地域の指定 日光市の庚申山コース案内 日光市の案内・現地の掲示
コウシンソウ自生地 国の特別天然記念物(昭和27年3月29日指定) 栃木県の文化財の公式情報 現地の掲示・栃木県教育委員会
庚申山荘の料金・水・トイレ 施設の利用条件(法令ではない) 日光市の庚申山コース案内 日光市足尾観光課足尾観光係

庚申山という名前や、一の鳥居・猿田彦神社跡といった地名は、山の信仰にかかわる歴史を伝えています。こうした信仰の場としての作法と、コウシンソウ自生地の法令上の保護は、別のものです。「信仰の山だから植物を大切にする」のではなく、「自生地が国の特別天然記念物に指定されているから法令で守られている」と、根拠を分けて理解しておくと、現地の掲示の意味も読み取りやすくなります。

編集部の判断:コウシンソウについて、この記事では「どこで見られるか」を書きません。自生地は法令で守られている場所で、見に行くことを目的にした行動が増えれば、それだけ保護の負担も増えるからです。道の上から外れない、植物に手を伸ばさない。この2つを守れば、特別天然記念物の自生地のそばを歩く人として十分な振る舞いになります。

日帰りか庚申山荘泊か:時刻の逆算と引き返す線

ここまでの材料を使って、計画の形を決めます。選択肢は大きく3つです。庚申山までで下山する日帰り、皇海山まで往復する日帰り、そして庚申山荘に泊まって稜線を往復する1泊2日です。どれを選ぶかは、自分の体力と、1日に使える明るい時間で決まります。

計画の形 公式の情報で支えられる部分 自分で埋める部分
庚申山までの日帰り 道筋はすべて日光市の案内の範囲(頂上から展望地まで約5分) 銀山平から頂上までの所要時間の見積もり
皇海山まで往復する日帰り 庚申山までの道筋 庚申山から先の往復の時間。鎖場・ハシゴの位置
庚申山荘泊の1泊2日 庚申山荘の条件(無料・予約不要・通年・水とトイレの期間・テント禁止) 庚申山から先の往復の時間。食料・寝袋・煮沸の道具

表を見ると、公式の情報で計画のすべてを支えられるのは「庚申山までの日帰り」だけだと分かります。皇海山まで足を延ばすなら、日帰りでも小屋泊でも、庚申山から先の時間を自分で見積もることが前提になります。

時刻を逆算する手順

この区間には公式のコースタイムが無いため、この記事では時刻の数字を置きません。代わりに、自分で集めた数字から出発時刻と引き返し時刻を逆算する手順を示します。数字は自分で入れ、順番だけをこの手順で決めてください。

  1. 山行の日の日没時刻を調べ、「銀山平(日帰り)または庚申山荘(小屋泊)に明るいうちに着いていたい時刻」を決める。これが1日の締切になる
  2. 締切から、戻りの各区間の所要時間(行きとは別に見積もった値)を順に引いていき、「皇海山を離れる時刻」「鋸山を離れる時刻」「庚申山を離れる時刻」を出す。皇海山を離れる時刻が、その日の引き返しの締切になる
  3. 引き返しの締切から、行きの各区間の所要時間を順に引いて、銀山平(または庚申山荘)を出る時刻を出す。この時刻に出発できないなら、皇海山まで行く計画をその日は選ばない

逆算で出た引き返しの締切は、山頂の手前でも守ってください。「あと少しで山頂」という場面ほど、締切を延ばしたくなります。延ばした分の時間は、戻りの鎖場や林道の下りで、暗さや疲れとして返ってきます。締切の時刻に着いた地点が、その日の折り返し点です。

天候で引き返す線

時刻だけでなく、天候でも引き返す線を決めておきます。稜線で雨が強まったとき、霧で道標が見えにくくなったとき、雷の気配があるとき。こうした条件を「出たら引き返す」と先に決めておくと、現地で迷う時間が減ります。鎖場やハシゴの手前は、とくに判断の場所にしやすい地点です。濡れた岩の上で迷うより、手前で決めるほうが安全です。

  • 1日の締切(日没を基準にした到着時刻)を決めたか
  • 引き返しの締切(皇海山を離れる時刻)を、戻りの所要時間から逆算して出したか
  • 出発時刻が逆算の結果に間に合わないとき、庚申山までに計画を切り替えると決めたか
  • 雨・霧・雷など、天候で引き返す条件を先に決めたか
  • 出発前日と当日に、沼田市と日光市の公式ページで道路とコースの現況を確かめたか

小屋泊を選ぶと、2日目の朝に庚申山荘を出発できるぶん、稜線を往復する時間に余裕が生まれます。その代わり、1日目は寝袋と食料、煮沸の道具を背負って林道と登山道を上がることになります。どちらの形でも「1日のどこかに重い区間がある」ことに変わりはありません。重さの置き場所を選ぶ、と考えると比べやすくなります。

編集部の判断:初めてこのルートを検討するなら、まず「庚申山までの日帰り」か「庚申山荘泊」を勧めます。庚申山までなら公式の案内の範囲で計画が閉じますし、小屋泊なら稜線を往復する時間に余裕が出ます。皇海山まで往復する日帰りは、庚申山から先の区間を一度自分の目で確かめてから選んでも遅くないと考えています。

よくある質問

庚申山経由で皇海山を考える人から出てきやすい疑問を、公式の情報で答えられる範囲でまとめました。答えに日付が入っているものは、その日の確認時点の情報です。出発前には、それぞれの確認先を開き直してください。

Q. 群馬県側の栗原川林道はいつ通れるようになりますか?

2026年9月12日確認時点で、沼田市の公式ページは、市道皇海線(根利栗原川林道)について落石のため「当面の間、通行止め」としています(2026年9月1日更新)。解除の見込み日は書かれていません。代わりの道路が一般車で通れるとする公式の案内も確認できていません。最新の状況は、沼田市の公式ページで確かめてください。

Q. 庚申山荘は予約が必要ですか? 料金はかかりますか?

日光市の現行の案内(2026年6月9日更新)では、庚申山荘は避難小屋で、予約不要・無料・通年利用可とされています。ただし、日光市の「施設カルテ」という資料には有料の表記があり、公式の資料どうしで食い違っています。出発前に最新の日光市の案内を確認してください。問い合わせ先は日光市観光経済部足尾観光課足尾観光係(電話0288-93-3116)です。

Q. 庚申山荘で水は手に入りますか?

日光市の案内では、4月中旬から12月上旬まで沢水を引いているとされています。未滅菌のため、煮沸して使う必要があります。煮沸のための火器と燃料を持っていくこと、水が得られないときの予備を持っていくことを前提に計画してください。12月上旬以降は、水の記載期間の外になります。

Q. 庚申山荘の近くでテントを張ってもよいですか?

日光市の案内では、庚申山荘付近でのテント設営は禁止されています。理由は、日光国立公園の特別地域に指定されているためです。1泊で計画するなら、泊まる場所は庚申山荘に限られます。小屋に泊まれない場合に備えて、日帰りへの切り替えなどを先に決めておいてください。

Q. 庚申山から皇海山まで、何時間くらいかかりますか?

2026年9月12日確認時点で、庚申山から鋸山、皇海山への区間別のコースタイム・距離・標高差は、日光市・栃木県の公式情報で数字として確認できていません。この記事では時間を書いていません。登山地図や地図アプリで各自確認し、戻りの時間は行きと別に見積もってください。鋸山まわりの鎖場・ハシゴの本数や位置も、公式の記載は確認できていません。

編集部の見立て:質問への答えに「確認できていない」が多いのは、このルートの実情をそのまま映しています。分からないことを分からないまま出発しないために、どこを確かめればよいかだけは、はっきりさせておきたいと考えています。答えの代わりに確認先を持ち帰ってもらえれば、この章の役目は果たせます。

まとめ:今日やることは1つ

庚申山経由で皇海山へ行くかどうかは、「どの道で登山口に着けるか」から始まり、「公式に数字の無い区間を自分で埋められるか」で決まります。2026年9月12日確認時点で、群馬県側の市道皇海線(根利栗原川林道)は、沼田市の告知(2026年9月1日更新)により落石のため当面の間通行止めです。栃木県側では、日光市が銀山平から一の鳥居、庚申山荘を経て庚申山の頂上へ至る道筋を案内しています。

庚申山荘は、現行の日光市案内で避難小屋・無料・予約不要・通年利用可とされ、管理人は不在で食事も電気もありません。沢水は4月中旬〜12月上旬で煮沸が必要、バイオトイレは2026年6月30日に再開しました。小屋の付近は日光国立公園の特別地域でテントは張れません。お山巡りのみちの猿田彦神社跡〜庚申山の区間は通行不可で、再開時期は未定です。コウシンソウ自生地は昭和27年3月29日指定の国の特別天然記念物で、施設の決まりとは別の、法令にもとづく保護です。

判断の基準:庚申山までは公式の案内の範囲で計画できます。皇海山まで行くかどうかは、庚申山から先の区間の時間と鎖場・ハシゴの位置を、自分で調べ終えた後に決める。調べきれないなら、その日は庚申山までにする。これがこのルートでいちばん確かな選び方です。

そして、今日やることは1つです。沼田市と日光市の公式ページを開いて、道路とコースの「今日の状態」を確かめること。記事の数字は、書いた日の数字です。道路の通行止めも、小屋の設備も、道の被災も、案内が更新されれば変わります。

今日やること:沼田市の市道皇海線の告知ページと、日光市の庚申山コース案内ページを開き、更新日と記載を確かめる。この2つのページが、このルートの計画の出発点です。

  1. 沼田市の公式ページで、市道皇海線(根利栗原川林道)の通行止めの記載と更新日を確かめる。日光市の公式ページで、庚申山荘の料金・水・トイレと、お山巡りのみちの通行状況を確かめる
  2. 登山地図や地図アプリで、庚申山から鋸山・皇海山までの区間の所要時間を調べ、資料名と一緒に書き出す。戻りの時間は行きと別に見積もる
  3. 日没から逆算して、出発時刻と引き返しの締切を決める。間に合わないなら、庚申山までの日帰りか庚申山荘泊に計画を切り替える

編集部の判断:庚申山経由の皇海山は、公式の情報が途中で途切れる道です。途切れた先を、借りてきた数字と自分の余裕で埋め、引き返す線を先に引いてから歩き出す。その準備ができた人にとって、群馬側の林道が閉じているいまも、皇海山へ向かう道は残っていると考えています。

出典

  • 沼田市「市道皇海線(根利栗原川林道)の通行止めについて」(2026年9月1日更新)https://www.city.numata.gunma.jp/life/kotsu/douro/1018292.html(2026年9月12日確認)
  • 日光市「庚申山」コース案内・日光市庚申山荘の利用案内(2026年6月9日更新)https://www.city.nikko.lg.jp/kanko_bunka_sports/activity/1/4/6167.html(2026年9月12日確認)
  • 日光市「施設カルテ」(庚申山荘の料金・冬期の水道とトイレの記載)https://www.city.nikko.lg.jp/material/files/group/7/05shisetsukarute.pdf(2026年9月12日確認)
  • 栃木県 文化財「コウシンソウ自生地」https://bunkazai.pref.tochigi.lg.jp/cultural/%E3%80%90%E3%82%B3%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%82%A6%E8%87%AA%E7%94%9F%E5%9C%B0%E3%80%91/(2026年9月12日確認)

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