登山のレインパンツの選び方|耐水圧と透湿性の読み方・脱ぎ履きで選ぶおすすめ5選

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レインウェアを買うとき、上着は真剣に選ぶのに、下は「セットに付いてきたもの」で済ませてしまう人が多くいます。実際に山で効いてくるのは、むしろ下のほうです。

濡れて体温を奪われるのは、太ももとふくらはぎからだからです。上半身が乾いていても、下がずぶ濡れなら体は冷え続けます。

先に結論を書きます。

  • 耐水圧は20,000mm前後あれば十分。それ以上の数字は、山では体感に出にくくなります
  • 効いてくるのは透湿性のほう。ここが低いと、雨で濡れなくても汗で濡れます
  • 脱ぎ履きのしやすさが実用上いちばん大事。登山靴を履いたまま履けるかどうかで、着る回数が変わります

この記事では、耐水圧と透湿性の数字の読み方、ジップの種類、履くタイミング、そして撥水を復活させる手入れまでまとめました。製品を先に見たい方はおすすめ5選へどうぞ。

レインパンツ・雨具のズボン・レインウェアの下|呼び方の違い

探すときの言葉がいくつもあって迷いますが、どれも同じものを指しています。

呼び方 使われ方
レインパンツ 登山用品店・メーカーで最も一般的。この記事もこれで統一します
レインウェアのパンツ/下 上下セットの下側を指す言い方
雨具のズボン やや古い言い方。意味は同じ
防水パンツ 作業用や釣り用も含む広い言い方。登山用は透湿性があるものを指す
オーバーパンツ 「上から履く」構造を強調した言い方

ひとつだけ区別しておきたいのが「防水パンツ」です。作業用の防水ズボンは水を通しませんが、汗も通しません。登山で使うと内側が結露して、雨に濡れたのと同じ状態になります。選ぶときは「透湿」の記載があるかを必ず確認してください。

耐水圧と透湿性|数字の読み方

スペック表に必ず並ぶ2つの数字です。意味を知らないまま「大きいほうが良さそう」で選ぶと、必要のない高価なものを買うことになります。

耐水圧(mm)|どれだけの水圧に耐えるか

生地に水圧をかけて、しみ出すまでの高さを測った値です。20,000mmなら、断面積1cm²あたりに20mの水柱を載せても水を通さない——そういう意味の数字です。

実際の登山でかかる水圧は、雨そのものより「体重で押しつけられたとき」のほうが大きくなります。濡れた岩に座る、ザックのショルダーが肩に食い込む——こうした場面では、局所的に強い圧力が生地にかかっています。

耐水圧の目安 想定される用途
〜2,000mm 小雨の街歩き。登山には足りない
10,000mm前後 日帰りの低山。短時間の雨なら対応できる
20,000mm前後 登山用の標準。長時間の雨に対応できる
30,000mm〜 悪天候前提の使い方。一般の登山では過剰になりやすい

透湿性(g/m²/24h)|どれだけ汗を逃がすか

生地1m²から、24時間でどれだけの水蒸気を外へ逃がせるかを表した値です。ここが実用上の分かれ目になります。

雨の中を歩くと、体は汗をかきます。透湿性が低い生地だと、その汗が内側で水に戻り、結局ズボンの中はびしょ濡れになります。「雨具を着ていたのに濡れていた」の多くは、外からではなく内側からです。

透湿性の目安 体感
〜5,000g 歩くと確実に蒸れる。登山には向かない
10,000g前後 ゆっくり歩くなら耐えられる
20,000g前後 登山用の標準。汗をかいても内側が濡れにくい
35,000g〜 高負荷な行動でも蒸れにくい。価格は上がる

数字が大きければ良いわけではない

耐水圧を上げるには、生地を厚くするか膜を強くします。その結果、重くなり、硬くなり、価格が上がります。登山で必要な水準を超えたぶんは、快適さを削って払う代金になりかねません。

優先順位をつけるなら、耐水圧20,000mmを確保したうえで、透湿性の高いほうを選ぶのが実用的です。

※測定方法はメーカーや規格によって異なり、数値をそのまま横並びで比べられない場合があります。同じメーカー内での比較として見るのが確実です。

ゴアテックスと自社素材、どちらを選ぶか

ゴアテックスは「素材メーカーの規格」

ゴアテックスは、生地そのものではなく素材メーカーが供給する防水透湿膜のブランドです。採用するメーカーは、その膜に自社の表地・裏地を組み合わせて製品にします。

利点は性能が保証されていること。膜の性能は供給元が管理しているため、どのブランドの製品でも一定の水準が担保されます。

自社素材にも高性能なものがある

各メーカーは独自の防水透湿素材を持っており、ゴアテックスと同等の数値を出すものもあります。価格が抑えられる、ストレッチ性がある、軽いといった、独自の方向に振られている場合もあります。

「ゴアテックスでないと駄目」ということはありません。数値と、脱ぎ履きのしやすさで選んで構いません。

ジップの種類|脱ぎ履きのしやすさが実用上いちばん重要

スペック表では地味な項目ですが、実際に着る回数を左右するのはここです。

登山靴を履いたまま履けるか

雨が降り出したとき、その場でレインパンツを履くことになります。登山靴を脱いで履くのは現実的ではありません。ぬかるみの上で片足立ちになり、靴下を濡らすことになります。

ジップの形 脱ぎ履き 重さ・弱点
フルジップ(腰から裾まで全開) 靴を履いたまま巻きつけるように着られる。最も楽 ジップが長いぶん重い。価格も上がる
サイドジップ(膝下〜裾) 靴を履いたまま通せる。標準的な仕様 腰まわりは通常どおり足を通す必要がある
裾ジップのみ(短い開き) 靴によっては引っかかる 最も軽く、安い
ジップなし 靴を脱ぐ必要がある 軽量だが、山では使いにくい

フルジップの弱点も知っておく

脱ぎ履きは圧倒的に楽ですが、ジップの分だけ重く、水が入る可能性のある場所が増えます。止水ジップやフラップで対策されていますが、構造が複雑になるぶん故障の余地も増えます。

年に数回しか雨に遭わないなら、サイドジップで十分です。雨の日にも歩く予定が多いなら、フルジップの価値が出てきます。

サイズと丈の選び方

普段のズボンより1サイズ上を基準にする

レインパンツは登山用のパンツやタイツの上から履きます。普段着と同じサイズだと、腿まわりで突っ張って足が上がりません。

迷ったら大きめを選び、ウエストの調整コードで締めるほうが失敗しません。

丈は「登山靴を履いた状態」で見る

裾が長すぎると、下山時に自分で踏んで転びます。逆に短すぎると、靴と裾のあいだから雨が入ります。試着では必ず靴を履いた状態か、それに近い高さで確認してください。

裾に絞りのコードやマジックテープが付いていれば、多少の長さは調整できます。

レディースモデルは腰まわりの設計が違う

色違いではなく、ウエストとヒップの比率、股上の深さが変えてあります。ただし体格には個人差があるため、メンズのSサイズが合う場合もあります。スカートを併用する着方をする方は登山用スカートとの組み合わせも検討できます。

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※価格・在庫は変動します。最新情報は各リンク先でご確認ください。

いつ履くか|降ってからでは遅い

「濡れてから」では手遅れになる

雨が本降りになってから履こうとすると、その時点でズボンは濡れています。濡れた上からレインパンツを履いても、内側の水は乾きません。

目安は「本降りになりそうだと思った時点」です。ぱらつき始めたら、休憩を兼ねて履いてしまうほうが結果的に快適に歩けます。

風が出たときも履く

レインパンツは防風着としても機能します。稜線で風に当たると、濡れていなくても体温は奪われます。「雨具」だと思っていると、この使い方を逃します。

脱ぐタイミングは遅らせる

雨が止んでもすぐには脱がないでください。草木に残った水滴で、結局濡れます。樹林帯を抜けるまでは履いたままにしておくと確実です。

雨の日の装備全体は登山のレインウェアに、傘の使いどころは登山用の傘にまとめてあります。

手入れ|撥水は復活する

表面が濡れるのは「防水が切れた」ではない

使っているうちに、生地の表面に水が染み込むようになります。これを「防水が切れた」と考えて買い替える方が多いのですが、多くの場合は撥水加工が落ちただけです。防水膜そのものはまだ生きています。

ただし、表面が水を含んだ状態(ウェッティングアウト)になると、透湿性が大きく落ちます。水蒸気の出口が塞がれるためです。結果として内側が蒸れ、「濡れた」と感じることになります。

まず洗う

汚れと皮脂が撥水を殺します。洗うだけで撥水が戻ることも珍しくありません。

  • ジッパーとマジックテープを全部閉じる
  • 専用洗剤か、柔軟剤・漂白剤の入っていない中性洗剤を使う
  • 洗濯機なら弱水流。すすぎは念入りに(洗剤が残ると撥水しません)
  • 柔軟剤は使わない。表面に残って撥水性が損なわれます

熱をかけて撥水を戻す

洗って乾かしたあと、低温で熱を加えると撥水が回復します。タンブラー乾燥の低温か、当て布をしたアイロンの低温設定です。撥水剤の分子が熱で立ち上がる、という仕組みだとされています。

それでも戻らなければ、撥水スプレーや洗濯時に使う撥水剤で復活させられます。買い替えの前に一度試してみてください。

※製品によって適した方法は異なります。必ず洗濯表示とメーカーの案内を確認してください。

保管はたたまず吊るす

折り目のところから膜が傷みます。シーズンオフはハンガーに吊るしておくのが理想です。ザックに入れっぱなしにすると、同じ場所で圧縮され続けることになります。

レインパンツの下には何を履くか

綿は避ける

レインパンツの中が蒸れるかどうかは、下に何を履いているかでも変わります。綿のズボンや下着は汗を抱え込み、乾きません。化繊のタイツか、速乾性のあるトレッキングパンツを下にしてください。

タイツ+短パンなら履きやすい

厚手の長ズボンの上からレインパンツを履くと、突っ張って動きにくくなります。薄いタイツと短パンの組み合わせなら、その上から履いても余裕があります。

肌に近い層の考え方はベースレイヤーメッシュインナーもあわせてご覧ください。

ソフトシェルとの使い分け

ソフトシェルは撥水性と動きやすさを両立した中間的な装備です。小雨なら快適ですが、本降りには耐えられません。ソフトシェルを持っていても、レインパンツは別に必要と考えてください。

登山用レインパンツ おすすめ5選

ここからは具体的なモデルです。耐水圧・透湿性・重量・価格は仕様変更されることがあるため、数値は各販売ページでご確認ください。低価格帯の選択肢はワークマンのレインウェアもあわせてご覧ください。

THE NORTH FACE|クライムライトジップパンツ

ゴアテックスを採用した定番モデル。サイドのジップで、登山靴を履いたまま着脱できます。ノースフェイスは店舗数が多く、試着してから買いやすいという実際的な利点があります。上下でそろえたい方は、同シリーズのジャケットと組み合わせられます。

メンズ・レディースの両方が展開されています。



THE NORTH FACE|クラウドパンツ

同ブランドのなかでは軽さと収納性に振ったモデルです。常にザックに入れておく雨具として扱いやすく、「使わない日のほうが多い」という持ち方に向きます。軽量なぶん、生地は薄手になります。



MILLET|ティフォン 50000 ストレッチ トレックパンツ

ミレーの自社防水透湿素材を使ったモデル。名前のとおりストレッチ性があり、動きを妨げにくいのが特徴です。レインパンツ特有の「突っ張る感じ」が苦手な方の候補になります。ミレーは日本人の体格に合わせた展開を持つメーカーでもあります。



MIZUNO|ゴアテックス グラウンドパンツ

ゴアテックスを採用しつつ、価格を抑えた男女兼用モデルです。「まず1本、性能が保証されたものを」という買い方に向きます。国内メーカーらしく、サイズ展開が日本の体型に沿っています。


mont-bell|ストームクルーザー フルジップパンツ

モンベルの看板シリーズのパンツで、フルジップ仕様です。腰から裾まで開くため、登山靴を履いたまま巻きつけるように着られます。雨のなかで急いで履く場面が多い方には、この一点だけで選ぶ価値があります。

国内メーカーのため、修理やパーツ交換の相談がしやすいのも利点です。


よくある質問

Q. レインパンツは本当に必要ですか?上だけではだめですか?

A. 必要です。体温を奪われるのは下半身からで、太ももとふくらはぎが濡れると、上着が乾いていても体は冷え続けます。夏でも、濡れた状態で風に当たれば震えます。上下セットで持つことを前提にしてください。

Q. 耐水圧はいくつあれば足りますか?

A. 20,000mm前後が登山用の標準です。それ以上を求めると重く硬くなり、価格も上がります。数字を上げるより、透湿性の高いモデルを選ぶほうが快適さに直結します。

Q. 「ゴアテックスでないとだめ」ですか?

A. そんなことはありません。各メーカーの自社素材にも同等の数値を出すものがあり、ストレッチ性や軽さで独自の方向に振られている場合もあります。数値と脱ぎ履きのしやすさで選んで構いません。

Q. フルジップとサイドジップ、どちらがいいですか?

A. 雨の日に歩く機会が多いならフルジップです。腰から裾まで開くため、登山靴を履いたまま巻きつけるように着られます。年に数回しか使わないなら、軽くて安いサイドジップで十分です。

Q. 水がしみるようになりました。買い替えですか?

A. まだ早いかもしれません。多くの場合は撥水加工が落ちただけで、防水膜は生きています。柔軟剤を使わずに洗い、低温で熱をかけると撥水が戻ることがあります。それでも駄目なら撥水剤で復活させられます。

Q. 作業用の防水ズボンで代用できますか?

A. 勧められません。作業用は水を通さないかわりに、汗も通しません。歩いているうちに内側が結露し、雨に濡れたのと同じ状態になります。「透湿」の記載があるかを必ず確認してください。

Q. サイズはどう選べばいいですか?

A. 普段のズボンより1サイズ上を基準にしてください。登山用パンツやタイツの上から履くためです。丈は登山靴を履いた状態で確認し、裾が地面に付かない長さを選びます。

まとめ

レインパンツを選ぶときの軸は3つです。

  • 耐水圧20,000mm前後を確保する — それ以上は重さと価格に跳ね返ります
  • 透湿性の高いほうを選ぶ — 濡れる原因の多くは、外からではなく内側の汗です
  • 登山靴を履いたまま履けるか — サイドジップ以上。雨の中で靴は脱げません

そして手入れです。水がしみるようになっても、多くは撥水が落ちただけで、洗って熱をかければ戻ります。買い替える前に一度試してみてください。

履くタイミングは「本降りになりそうだと思った時点」。濡れてから履いても、内側の水は乾きません。早めに履いて、樹林帯を抜けるまで脱がない——これだけで雨の日の快適さは変わります。

小物の整理は登山の便利グッズ、季節ごとの服装は夏の登山の服装にまとめてあります。

※本記事の内容は2026年8月12日時点の情報です。耐水圧・透湿性の測定方法はメーカーや規格によって異なる場合があります。製品の仕様・価格は変更されることがありますので、購入前に各販売ページでご確認ください。

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