

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。
鷲羽岳(2,924m)を新穂高温泉から狙う計画を立てると、地図の上で必ず目に入る小屋が2つあります。ひとつは稜線の分岐に立つ双六小屋、もうひとつはその先、三俣蓮華岳と鷲羽岳のあいだの鞍部に立つ三俣山荘です。どちらに泊まるか、両方に泊まるか、何泊目にどちらを置くかで、山頂に立つ日の行動時間も、予約を取りに行く日も変わります。
この記事は、鷲羽岳を登る計画の中で「三俣山荘に泊まるか」という1つの問いに最後まで答えるためのものです。双六小屋と比べて優劣をつけるのではなく、2つの小屋をどう分担させるかという組み方で考えます。数字は長野県・岐阜県の公式ページと、三俣山荘グループ・双六小屋グループの公式サイトで2026年9月17日に確認したものだけを使います。
鷲羽岳そのものの標高・3方向のルート・グレーディング・登山届の条例については、鷲羽岳の登山ルートと泊数の組み方をまとめた記事で扱っています。ここでは三俣山荘という1軒の小屋に絞り、予約・営業期間・持ち物・食事まで、泊まると決めたあとの段取りを含めて書きます。
先に今日の状況を示します。2026年9月17日確認時点で、長野県の山岳情報ページに「緊急情報」として掲載されているのは、土石流後の中房線(一般県道槍ヶ岳矢村線。2026年8月22日から歩行者・一般車両が暫定通行)で、鷲羽岳・三俣山荘・双六小屋へ向かう新穂高側ルートの通行止めは同ページ本文では確認できませんでした。長野県は2026年9月11日の更新で、信州の山の多くにクマが生息し遭遇の危険があるとして注意を呼びかけています。対象ルートの入山禁止の記載はありません。
「通行止めの告知が見つからない」は「通れる」という意味ではありません。現時点で双六小屋〜三俣山荘の区間について通行止め告知は確認できていませんが、出発前に長野県の山岳情報ページ、岐阜県の登山情報、両方の山小屋の最新情報を自分で見に行ってください。岐阜県側では、国道158号(高山市丹生川町塩屋地区)が2026年2月25日の土砂崩れで全面通行止めとなり、2026年8月3日更新時点で継続、バスは迂回運行と案内されています。高山方面から新穂高へ入る人は、所要時間が変わる前提で計画します。
- 三俣山荘(標高2,550m)が三俣蓮華岳と鷲羽岳の鞍部にあることが、山頂日の行動をどう短くするか
- 双六小屋(標高2,600m)は鷲羽岳・水晶岳・雲ノ平への起点、三俣山荘は鷲羽岳の手前の宿という役割の違い
- 新穂高温泉から双六小屋までは岐阜県の区間値を合計すると7.4時間・13.4kmで、1泊目は双六小屋に置くのが組みやすいこと
- 双六小屋から三俣蓮華岳は登り1.9時間・3.3km(中道ルート)までしか公式の区間値が確認できず、その先は数字を作らずに見積もること
- 2026年の営業終了は三俣山荘が10月15日、双六小屋が10月20日で、5日の差が秋の計画を左右すること
- 三俣山荘はWeb予約で宿泊予定日の60日前正午から受付、2026年9月17日時点で営業最終日までの予約受付がすでに始まっている計算になること
- テント場は通常は当日受付、指定日(9月19日〜22日など)だけ完全予約・全額事前決済になること
- 標高2,500m台で秋の夜を越すために、双六小屋が「必ず持つ」よう案内している防寒具をどう選ぶか
結論:鷲羽岳を登るなら、三俣山荘は「2泊目の宿」に置くのが基本形
最初に結論を書きます。新穂高温泉から鷲羽岳を往復する計画なら、1泊目を双六小屋、2泊目を三俣山荘に置く2泊3日を基本形にし、そこから日数を足すか引くかで考えるのが組みやすい形です。三俣山荘に泊まるかどうかを単独で考えるより、「双六小屋で1泊したあとに三俣山荘へ進むか」という順番で考えると判断がぶれにくくなります。
理由は、1日目に歩ける距離の上限にあります。岐阜県「山のグレーディング」の北アルプス区間詳細一覧表で、新穂高温泉から双六小屋までの区間値を合計すると、7.4時間・13.4kmになります(公式の一行値ではなく、区間値の合計です)。双六小屋のFAQは、到着の目安を夏16時まで、秋15時までとしています。1日目にこの7.4時間を歩き切った時点で、秋の到着目安にはすでに余裕がない計算です。
三俣山荘はさらにその先にあります。双六小屋から三俣蓮華岳までは、同じ岐阜県の区間表で登り1.9時間・3.3km(中道ルート)です。三俣蓮華岳から三俣山荘までの区間別コースタイムは、公式に見当たりません。つまり、1日目に三俣山荘まで届かせる計画は、公式の数字で到着時刻を組み立てることができない計画になります。三俣山荘公式が示す新穂高温泉ルートの目安は上り10時間ですが、これは区間別ではない大区分の目安で、公式自身が「目安であり地図等で確認」と注記しています。
この記事の答え:三俣山荘に泊まる価値があるのは、鷲羽岳の山頂に立つ日の前夜です。1泊目は双六小屋で区切り、2日目に三俣蓮華岳を越えて三俣山荘に入り、鷲羽岳は2日目の午後か3日目の朝に組み込みます。三俣山荘は「新穂高から1日で着く宿」ではなく「鷲羽岳の手前で夜を越す宿」として扱うと、予約する日も持つものも決まります。
ただし、この基本形がすべての人に合うわけではありません。秋に計画するなら、三俣山荘の2026年の営業は10月15日までです。双六小屋は10月20日まで開いています。10月中旬以降にずらすと、三俣山荘を使えない日程が出てきます。また、三俣山荘は長野県の山小屋情報で「完全予約制」と表記されており、行ってから考えることができません。こうした条件で基本形が崩れる場合を、この後のH2で1つずつ扱います。
| 組み方 | 三俣山荘の置き場所 | 向く条件 |
|---|---|---|
| 2泊3日(基本形) | 1泊目 双六小屋 → 2泊目 三俣山荘 | 三俣山荘と双六小屋がどちらも営業中で、両方の予約が取れる日程 |
| 3泊4日 | 2泊目 三俣山荘 → 3泊目 双六小屋など下山側の小屋 | 下山日の行動を短くしたい、天候の予備日を1日持ちたい |
| 三俣山荘を使わない | 双六小屋に連泊し、そこから往復 | 三俣山荘の営業終了後(2026年は10月16日以降)や、予約が取れない日 |
編集部の見立て:三俣山荘の名前を見て「鷲羽岳に一番近い小屋に泊まればいい」と考えるのは自然です。ただ、近い小屋ほど新穂高からは遠くなります。予約を取る前に、1日目にどこまで歩けるかを公式の区間値で確かめる。その順番を守るだけで、無理な計画の大半は予約の段階で消えると考えています。
三俣山荘はどんな小屋か:標高2,550mの鞍部という立地の意味
三俣山荘は、長野県の山小屋情報で「三俣蓮華岳と鷲羽岳の鞍部に立地」と紹介されている小屋で、標高は2,550mです。鞍部とは、2つの山頂のあいだで稜線が低くなった場所のことです。三俣山荘は、国土地理院の標高で2,841mの三俣蓮華岳と、2,924mの鷲羽岳にはさまれた低い位置にあります。
この立地を数字で読むと、行動の形が見えてきます。標高どうしを引き算すると、三俣蓮華岳から三俣山荘へは約290m下り、三俣山荘から鷲羽岳の山頂へは約370m登る計算になります(公式の標高値どうしを引いた差で、実際の登り下りの総量ではありません)。双六小屋側から来ると、三俣蓮華岳で一度高く登ってから鞍部へ下り、翌日または同じ日に鷲羽岳へ登り返す形です。三俣山荘に泊まると、鷲羽岳の登りを「下りきった場所」から始められる、というのが立地の一番の意味です。
三俣蓮華岳から三俣山荘、三俣山荘から鷲羽岳山頂までの区間別コースタイムは、2026年9月17日時点で公式に見当たりません。標高差から「370mなら1時間ちょっと」と自分で時間を作らないでください。地図アプリや登山地図の標準時間は、公式の区間値とは別物として扱い、余裕を足して使います。
三俣山荘公式サイトは、小屋へ向かうルートの目安を3つの大区分で示しています。新穂高温泉ルートが上り10時間・下り8時間、折立ルートが上り12時間・下り10時間、伊藤新道ルートが上り10時間・下り8時間です。いずれも「目安、地図等で確認」と注記された数字で、区間ごとの内訳はありません。三俣山荘が3方向から人が集まる場所にあることは、この一覧からも読み取れます。
営業面では、2026年の営業期間が7月4日〜10月15日、予約は三俣山荘の予約サイトでのWeb予約、受付は宿泊予定日の60日前正午からです。長野県の山小屋情報の表記は「完全予約制」です。小屋にはテント場(三俣山荘テント場)が併設されていて、テント場にトイレはなく、三俣山荘の建物内のトイレを24時間使えると公式FAQにあります。
食事については、公式サイトに夕食・朝食で鹿や猪のジビエを使ったメニューの記載があり、展望食堂の喫茶メニュー、サイフォンコーヒー、スパイスチャイも紹介されています。山頂を踏んだ日の午後に過ごす場所としての情報が、公式の段階でそろっている小屋です。
三俣山荘の総定員は、2026年9月17日時点で公式の公表値を確認できていません。団体予約の枠(7〜15名・1日1組)を定員と読み替えないでください。空き状況は完全予約制の予約サイトで日ごとに変わるため、「大きな小屋だから当日でも入れる」といった判断はできません。
編集部の判断:三俣山荘の立地を一言で言うなら「鷲羽岳の登りの手前で一度下りきる場所」です。標高だけ見ると双六小屋より50m低いだけですが、途中で三俣蓮華岳を越える分、双六小屋からの距離感は数字以上にあります。区間時間が公式にない以上、ここは地図と余裕で埋める区間だと割り切るのが誠実だと考えています。
双六小屋との違い:分岐の起点と、鷲羽岳の手前の宿
双六小屋は、双六小屋グループ公式サイトで、鷲羽岳・水晶岳・雲ノ平などへの起点として案内されている小屋です。標高は公式表記で2,600m、2026年の開設期間は7月10日〜10月20日で、予約制です。三俣山荘と比べると、標高はほぼ同じで、営業期間は始まりが6日遅く、終わりが5日遅い関係です。
役割の違いは位置から来ています。双六小屋は、新穂高温泉から小池新道・鏡平・弓折乗越を経て稜線に出た先にあり、ここから先で道が分かれていきます。三俣山荘は、その分かれた道のうち三俣蓮華岳を越えた先、鷲羽岳・黒部源流・雲ノ平方面の手前にあります。双六小屋は「どこへ行くかを決める前の宿」、三俣山荘は「鷲羽岳へ行くと決めたあとの宿」と言い換えられます。
| 項目 | 三俣山荘 | 双六小屋 |
|---|---|---|
| 標高(公式・県の表記) | 2,550m | 2,600m |
| 位置・役割 | 三俣蓮華岳と鷲羽岳の鞍部。鷲羽岳の登りの手前 | 鷲羽岳・水晶岳・雲ノ平などへの起点 |
| 2026年の営業期間 | 7月4日〜10月15日 | 7月10日〜10月20日 |
| 予約 | 完全予約制(長野県表記)。Web予約・60日前正午から | 予約制 |
| 新穂高温泉からの公式の数字 | 大区分の目安で上り10時間(区間別ではない) | 岐阜県の区間値の合計で7.4時間・13.4km |
表の最後の行が、2つの小屋の扱いを分ける一番大きな差です。双六小屋までは、岐阜県の区間表で新穂高温泉→笠新道登山口1.2時間、→小池新道登山口0.5時間、→鏡平3.5時間、→弓折乗越1.0時間、→双六小屋1.2時間という区間値が確認でき、足すと7.4時間になります。三俣山荘までは、双六小屋→三俣蓮華岳の1.9時間の先が公式の区間値で埋まりません。
数字で埋まる区間と埋まらない区間の差は、計画の確かさの差です。到着時刻を公式の数字で説明できる宿を1泊目に、説明できない区間の先にある宿を2泊目に置くという分担にすると、初日の遅れが2日目以降に響きにくくなります。2日目は双六小屋を出発した時点から、日中の時間をまるごと使えるからです。
双六小屋の「2,600m」は小屋の代表標高で、岐阜県の区間表には登山道上の地点標高として2,546.5mが載っています。性質の違う数字なので、この記事では小屋の紹介に公式の2,600mを使っています。三俣山荘の2,550mと双六小屋の2,546.5mを並べて「ほぼ同じ高さ」と読むのは、出典を混ぜた比較になるので避けてください。
双六小屋のFAQには、宿泊者向けの運用も具体的に書かれています。チェックインは12時をめどに清掃終了後に案内、チェックイン前の荷物預かりは可能、朝食は7月中旬〜8月が4時30分〜5時ごろ、秋は日の出に合わせて5時または5時30分ごろからです。三俣山荘について同じ粒度の運用(チェックイン時刻・朝食時刻)は、この記事の確認範囲では見つかっていません。三俣山荘に泊まる日は、到着後の流れを予約時や小屋の案内で確認する前提にします。
編集部の見立て:双六小屋と三俣山荘は、どちらが良い小屋かを比べる相手ではないと考えています。役割が違うので、両方を順番に使う計画のほうが、どちらか一方に寄せる計画より無理が少なくなります。比べる必要が出るのは、片方の予約が取れないときか、片方が営業を終えたときだけです。
何泊目に置くか:双六小屋泊→三俣山荘泊の2泊3日と、その崩し方
基本形の2泊3日を、日ごとに書き出します。1日目は新穂高温泉から双六小屋へ。岐阜県の区間値を合計すると7.4時間・13.4kmです。2日目は双六小屋から三俣蓮華岳(中道ルートで登り1.9時間・3.3km)を越えて三俣山荘へ入り、鷲羽岳を往復します。3日目は三俣山荘から新穂高温泉へ下ります。三俣山荘公式の大区分では、新穂高温泉ルートの下りの目安が8時間です。
この組み方で一番きついのは3日目です。三俣山荘から新穂高温泉までの目安8時間は、区間別ではない大区分の数字で、休憩や写真の時間をどう扱った数字かは公式に書かれていません。下山後に高山方面へバスで戻る場合、濃飛バスの新穂高温泉バス停発の最終は18時36分(2026年4月1日改定)です。目安の8時間をそのまま当てると、計算上は10時半すぎに出れば間に合う数字になりますが、目安に余裕を足さずに組むのは危険です。
新穂高温泉バス停発の最終18時36分と、新穂高ロープウェイ乗り場発の最終16時55分は、別の停留所です。同じ「新穂高」でも時刻が違うので、下山後にどちらから乗るかを事前に決め、濃飛バス公式サイトの最新の時刻表で確かめてください。
3日目を軽くしたい場合の崩し方が、3泊4日です。2泊目を三俣山荘、3泊目を双六小屋に置くと、3日目は三俣山荘から三俣蓮華岳を越えて双六小屋まで戻るだけになり、4日目は双六小屋から新穂高温泉への下りに充てられます。双六小屋から三俣蓮華岳の下りは岐阜県の区間表で1.6時間なので、逆向きの3日目も、少なくとも三俣蓮華岳から双六小屋までは公式の数字で組めます。
もう1つの崩し方は、2泊目と3泊目を三俣山荘に連泊する形です。2日目は双六小屋から三俣山荘へ移動するだけにして、3日目に鷲羽岳を往復し、4日目に下ります。鷲羽岳の山頂日を1日まるごと取れるので、朝の天気を見てから出発を決められます。雨や強風の日に山頂を見送り、翌日の下山に切り替える判断もしやすくなります。連泊の可否と空きは、予約サイトで日ごとに確かめます。
| 日 | 2泊3日 | 3泊4日(戻り泊) | 3泊4日(連泊) |
|---|---|---|---|
| 1日目 | 新穂高温泉→双六小屋 | 新穂高温泉→双六小屋 | 新穂高温泉→双六小屋 |
| 2日目 | 双六小屋→三俣山荘・鷲羽岳往復 | 双六小屋→三俣山荘・鷲羽岳往復 | 双六小屋→三俣山荘 |
| 3日目 | 三俣山荘→新穂高温泉(大区分の下り目安8時間) | 三俣山荘→双六小屋 | 鷲羽岳往復(三俣山荘連泊) |
| 4日目 | ― | 双六小屋→新穂高温泉 | 三俣山荘→新穂高温泉 |
連泊で鷲羽岳を往復する日は、大きなザックを背負ったまま登る必要がありません。雨具・防寒着・水・行動食・ヘッドライトを入れた小さなザックで登る形になります。ただし、三俣山荘で連泊中に大きな荷物をどう扱うかは、この記事の確認範囲では公式の記載を見つけられていません。双六小屋のFAQにはチェックイン前の荷物預かりが可能とありますが、三俣山荘にそのまま当てはめず、予約時に確認します。
サブザックとして持っていく候補に、カリマーの Mars Panel Load 18 があります。商品名のとおり容量18Lで、ポケッタブル(本体に収納できる)の作りです。縦走中はメインのザックの中で小さくたたんでおき、山頂往復の日だけ広げて使いたい人に向きます。雨具と防寒着を入れても底が余る程度の容量なので、山頂往復に何を持つかを絞れる人ほど扱いやすい大きさです。
編集部の判断:日数に余裕が1日あるなら、2泊3日より3泊4日を先に検討してほしいと考えています。延ばした1日は、山頂の天気待ちにも、下山日の短縮にも使えます。北アルプスの奥で「予定どおりに帰らなければならない」という縛りを1つ外せることが、三俣山荘を使う計画の一番の安全策になります。
山頂日の時間で考える:双六小屋から出るか、三俣山荘から出るか
「双六小屋に泊まって鷲羽岳を往復するのと、三俣山荘に泊まって往復するのと、どれくらい違うか」を時間の数字で比べられれば一番わかりやすいのですが、2026年9月17日時点ではそれができません。双六小屋から三俣蓮華岳までは登り1.9時間・下り1.6時間(中道ルート)という岐阜県の区間値がありますが、その先の三俣山荘・鷲羽岳までの区間別コースタイムが公式に見当たらないからです。
数字が足りない中でも、構造の差ははっきりしています。双六小屋から鷲羽岳を往復すると、行きに三俣蓮華岳(または巻道)を越え、三俣山荘の鞍部まで下り、鷲羽岳に登り、帰りにもう一度鞍部から三俣蓮華岳側へ登り返します。三俣山荘から往復すれば、三俣蓮華岳を越える分は前日までに済んでいます。三俣山荘泊は、山頂日の行程から「三俣蓮華岳の往復分」を丸ごと外せるという差です。
山頂日の比べ方:双六小屋発の往復は「双六小屋⇔三俣蓮華岳の区間(登り1.9時間・下り1.6時間、公式)+三俣蓮華岳⇔三俣山荘(公式値なし)+三俣山荘⇔鷲羽岳(公式値なし)」を往復で2回ずつ積みます。三俣山荘発の往復は「三俣山荘⇔鷲羽岳(公式値なし)」だけです。公式値が確認できる1.9時間+1.6時間の区間だけを比べても、三俣山荘発のほうが少なくとも3.5時間分の行程が軽くなります。
時間の差は、秋の日の短さに直結します。双六小屋のFAQは、日没後は救助対応が難しくなるため、日没の3時間前までに到着するよう求めています。秋の到着目安は15時までです。双六小屋を出て鷲羽岳を往復し、双六小屋に戻ってくる計画は、公式の数字で埋まらない区間を往復で2回歩いたうえで、この15時に間に合わせなければなりません。
三俣山荘に泊まる計画なら、2日目の到着先は三俣山荘です。双六小屋を朝食後に出発し、三俣蓮華岳を越えて三俣山荘に入り、荷物を整えてから鷲羽岳へ向かうか、翌朝に回すかを小屋で決められます。三俣山荘の到着目安の時刻は、この記事の確認範囲では公式の記載を見つけられていないため、双六小屋が示す「秋は15時まで」「日没の3時間前まで」を、同じ山域の小屋の考え方として参考にします。
双六小屋のFAQは、双六岳〜三俣蓮華岳方面で強風・雷の心配がある場合は巻道を利用するよう案内しています。稜線上の道ほど天候の影響を受けます。山頂日の朝に風が強い、雷の予報が出ている、という条件がそろったら、鷲羽岳の往復そのものを見送る判断も計画に入れておきます。雷発生時の具体的な退避場所について、公式の指示は確認できていません。
早出を前提にする計画では、ヘッドライトは「予備」ではなく行動用の道具になります。Ledlenser の MH7 は、商品名にあるとおりUSB充電式のLEDヘッドライトです。小屋泊の数日間に充電の段取りを組める人、乾電池を何本も持ち歩きたくない人に向きます。充電できる環境が小屋にあるかは小屋ごとに違うので、充電を当てにせず、満充電で出発して予備の電源も考えておきます。
編集部の見立て:山頂日の行動時間を公式の数字で比べられないのは、この計画の弱点です。だからこそ、公式値が確認できる区間だけを並べて「少なくともこれだけ軽くなる」と言える形で判断するのが良いと考えています。わからない区間を推測の数字で埋めて安心するより、わからないまま余裕を多めに取るほうが、秋の稜線では結果が安定します。
2026年の営業期間:三俣山荘は10月15日、双六小屋は10月20日まで
2026年の営業期間は、三俣山荘が7月4日〜10月15日、双六小屋が7月10日〜10月20日です(いずれも各小屋の公式サイト、2026年9月17日確認)。三俣山荘は双六小屋より6日早く開き、5日早く閉まります。夏の始まりは三俣山荘のほうが早く、秋の終わりは双六小屋のほうが遅いという、ずれた関係です。
新穂高温泉側の他の小屋も、同じ運営グループや同じ山域でそれぞれ期間が違います。鷲羽岳のハブ記事の調査では、2026年の鏡平山荘は7月10日〜10月15日、わさび平小屋は10月20日まで、三俣山荘グループの水晶小屋は7月10日〜9月30日と確認しています。鷲羽岳から水晶岳方面へ足を延ばす計画は、10月に入ると水晶小屋が使えない前提になります。
| 小屋 | 2026年の営業期間 | 秋の計画での意味 |
|---|---|---|
| 三俣山荘 | 7月4日〜10月15日 | 2泊目に置けるのは10月15日泊まで |
| 双六小屋 | 7月10日〜10月20日 | 10月16日〜20日は双六小屋だけで組む |
| 鏡平山荘 | 7月10日〜10月15日 | 下山途中の予備の宿は10月15日まで |
| わさび平小屋 | 10月20日まで | 双六小屋と同じ日まで |
| 水晶小屋 | 7月10日〜9月30日 | 10月は水晶岳方面の宿として使えない |


基本形の2泊3日で10月に計画する場合、三俣山荘に泊まれる最後の夜は10月15日です。この日に三俣山荘へ泊まるには、1泊目の双六小屋を10月14日にします。10月16日以降に出発する計画では、三俣山荘を使えないので、双六小屋を拠点に組み直すか、日程を前にずらすかを選びます。双六小屋から鷲羽岳を往復する形は、前のH2で書いたとおり山頂日の行程が重くなります。
営業最終日の近くは、営業中でも普段と違う点が出てきます。小屋閉めの準備で運用が変わること、周辺の小屋が先に閉まって逃げ込み先が減ること、天候が崩れたときの予備日が取りにくくなることです。山小屋の営業終了の時期と、閉まった後に変わることをまとめた記事で、小屋閉めの前後に計画する場合の注意を扱っています。
営業期間は、天候や登山道の状況で変更されることがあります。この記事の日付は2026年9月17日に確認した値です。出発の数日前に、三俣山荘の2026年の営業情報と双六小屋の公式サイトを開き直し、変更が出ていないかを確かめてください。
営業期間の差をどう使うかは、行きたい時期によって変わります。9月中なら、三俣山荘・双六小屋・鏡平山荘・水晶小屋がすべて営業中で、組み方の自由度が一番高い時期です。10月1日〜15日は水晶小屋が閉まり、三俣山荘・双六小屋・鏡平山荘で組みます。10月16日〜20日は双六小屋とわさび平小屋だけになります。時期が遅くなるほど、使える小屋が段階的に減っていきます。
編集部の見立て:「双六小屋が10月20日まで開いているから、10月後半でも鷲羽岳に行ける」と読むのは早いと考えています。開いている小屋が1軒になる時期は、予備の宿も減り、日も短くなります。三俣山荘に泊まる計画を組みたいなら、10月15日を締切ではなく「これより前に終える日」として見るのが安全側の読み方です。
予約の取り方:Web予約・60日前の正午・団体は7名以上
三俣山荘の宿泊予約は、公式の予約サイトからのWeb予約で、宿泊予定日の60日前の正午から受付です。長野県の山小屋情報の表記は「完全予約制」です。電話で空きを聞いてから決める、当日の夕方に着いて交渉する、といった進め方は前提にできません。三俣山荘に泊まる計画は、予約サイトが開く日から逆に組み立てることになります。
60日前を日付に直すと、たとえば9月26日泊なら7月28日、10月10日泊なら8月11日、営業最終日の10月15日泊なら8月16日が受付開始日の計算になります(前日を何日目と数えるかは予約サイトの表示で確かめてください)。2026年9月17日時点では、営業最終日の10月15日泊までの受付がすでに始まっている計算です。今から秋の計画を立てる人は、受付開始を待つ段階ではなく、空きがあるかを見に行く段階にいます。
| 三俣山荘の宿泊日 | 60日前の計算 | 2026年9月17日時点 |
|---|---|---|
| 9月26日 | 7月28日 正午 | 受付中の計算 |
| 10月10日 | 8月11日 正午 | 受付中の計算 |
| 10月15日(営業最終日) | 8月16日 正午 | 受付中の計算。空きを見に行く段階 |
2泊3日の基本形では、双六小屋と三俣山荘の2軒を予約します。予約の順番は、先に三俣山荘の空きを確かめ、取れた日に合わせて前日の双六小屋を押さえるのが組みやすい流れです。三俣山荘が「鷲羽岳の手前の宿」として日付を決める側、双六小屋が「その前夜の宿」として合わせる側、という関係になります。双六小屋の予約方法は双六小屋グループの公式サイトで確かめてください。
予約サイトが開く時刻に合わせて準備する、満室だったときにどう動くか、行けなくなったときの連絡の仕方など、小屋の予約全般の段取りは山小屋の予約の取り方(いつから空くか、満室のとき、当日行けなくなったとき)の記事にまとめています。三俣山荘だけでなく双六小屋の予約にも同じ考え方が使えます。
人数が多い場合は、団体の扱いに注意します。三俣山荘の予約サイトのFAQでは、7名以上が団体予約で、三俣山荘の団体枠は7〜15名・1日1組とされています。1日1組なので、同じ日に別の団体が入っていれば団体として予約できません。7名以上の山岳会や仲間同士の計画は、個人予約に分けて取るのではなく、FAQの案内に従って団体として扱います。
- 三俣山荘に泊まる日付を先に決め、その60日前の正午を計算してカレンダーに入れたか
- 前夜に泊まる双六小屋の予約方法と開設期間(2026年は7月10日〜10月20日)を確認したか
- 人数が7名以上なら、団体予約(三俣山荘は7〜15名・1日1組)の条件に当てはまることを確認したか
- 3泊4日にする場合、連泊か戻り泊かを決め、2軒目・3軒目の予約日を並べたか
- 予約が取れなかった日に、日程を動かすのか双六小屋拠点に切り替えるのかを先に決めたか
編集部の判断:三俣山荘は「空いていたら行く」ではなく「取れた日に行く」小屋です。行きたい日を決めてから予約を探すより、予約サイトで空いている日を先に見て、その日に合わせて休みを調整するほうが、結果として早く計画が固まると考えています。完全予約制の小屋に合わせた、順番の入れ替えです。
2,500m台の小屋で秋の夜を越すための、寒さ対策の服と荷物
双六小屋のFAQには、標高2,600mで夏の日中は20℃くらい、夜は10℃くらいという気温の目安があります。標高が100m上がるごとに0.6℃下がるという説明もあり、この割合を当てはめると、鷲羽岳の山頂(2,924m)は双六小屋より約2℃低い計算です。三俣山荘(2,550m)は双六小屋とほとんど変わりません。これは夏の目安で、秋の具体的な気温は公式に示されていませんが、秋はさらに冷え込みます。
双六小屋のFAQは、天候不良・強風・朝晩は寒いため、薄いダウンやフリースなどの防寒具を必ず持つよう案内しています。山小屋に寝具があっても、朝晩の移動・食堂・トイレ・早朝の出発で体を冷やす時間は残るので、防寒具は「着て寝るため」より「小屋の外と中を行き来するため」に選びます。テント場にトイレが無く、三俣山荘の建物内のトイレを使う形になるテント泊では、夜中の往復も加わります。
選ぶ基準は4つあります。1つ目は、重ね着の層ごとに役割を分けること(肌に触れる層・保温の層・風を止める層)。2つ目は、汗で濡れても冷えにくい素材かどうか。3つ目は、たたんだときの大きさで、ザックの中で雨具と場所を取り合わないかどうか。4つ目は、行動中に着たまま歩ける服と、止まったときだけ着る服を分けて持つことです。表で役割を並べてから、それぞれの商品を置きます。
| 層 | 役割 | この記事で並べる商品 |
|---|---|---|
| 保温(止まったとき) | 小屋の外に出る時間・山頂での休憩・早朝の出発前 | パタゴニア ナノパフジャケット(84212) |
| 肌に触れる層 | 汗を肌から離し、止まったときの冷えを減らす | モンベル ジオライン M.W. ラウンドネックシャツ(1107704)/スーパーメリノウール L.W. ラウンドネックシャツ |
| 風を止める層(行動中) | 稜線の風を受けながら歩く時間 | カリマー arete LT parka |
パタゴニアの ナノパフジャケット(品番84212)は、止まったときに羽織る保温着の候補です。双六小屋のFAQがいう「薄いダウンやフリース等」の枠に入る、行動を止めた時間のための1枚が欲しい人に向きます。小屋の中で着たまま過ごす時間が長い人も、1枚で済ませやすい服です。
モンベルの ジオライン M.W. ラウンドネックシャツ(1107704)は、化繊の中厚手のアンダーウエアです。汗をかく登りのあとに稜線で冷やされる、という繰り返しがある行程で、肌に触れる層を化繊でそろえたい人に向きます。
同じモンベルの スーパーメリノウール L.W. ラウンドネックシャツは、薄手のウール素材のインナーです。数日間の縦走で着替えの枚数を減らしたい人、化繊の肌ざわりが苦手な人が、肌に触れる層の選択肢として比べる相手になります。
カリマーの arete LT parka は、トレッキング用のソフトシェルです。雨具を出すほどではない風の中を歩く時間に、行動中に着たまま歩ける外側の1枚が欲しい人に向きます。雨の日はこの上から雨具を着る前提で考えます。
小屋で寒くて眠れない、隣の音が気になって眠れないといった夜の問題は、服だけでは解決しきれません。原因ごとの分解と対策は山小屋で眠れない原因5つと、耳栓の選び方をまとめた記事で扱っています。
編集部の見立て:秋の北アルプスの小屋泊で防寒具を削る人は、たいてい「寝具があるから」と考えています。けれど冷えるのは布団の中ではなく、日の出前に小屋を出る時間や、山頂で風を受ける時間です。大事なのは服の枚数より、どの時間に何を着ているかを出発前に決めておくことだと考えています。
テント泊という選択肢:指定日だけ完全予約、それ以外は当日受付
三俣山荘にはテント場(三俣山荘テント場)があります。予約の扱いは、小屋泊とは仕組みが違います。三俣山荘の予約サイトのFAQによると、予約指定日だけは完全予約・事前予約・クレジットカードでの全額事前決済が必要で、指定日以外は事前予約・事前決済は不要で当日受付です。テント泊は「指定日かどうか」で、予約が要るかどうかが丸ごと入れ替わる仕組みです。
2026年のテント予約指定日は、7月18日・19日、8月8日〜10日、8月15日、9月19日〜22日です。各日100張までで、宿泊予定日の60日前正午からWeb受付です。2026年9月17日時点で残っている指定日は9月19日〜22日の4日間で、これらの日にテント泊を考えている場合は、当日受付のつもりで向かうことができません。9月23日以降は、公式に示された指定日には含まれていません。
| テント泊の日 | 予約・決済 | 当日の扱い |
|---|---|---|
| 指定日(2026年は7/18・7/19、8/8〜8/10、8/15、9/19〜9/22) | 完全予約・事前予約・クレジットカード全額事前決済。各日100張まで。60日前正午からWeb受付 | 予約なしでは前提にできない |
| 指定日以外 | 事前予約・事前決済は不要 | 当日受付 |
テント泊でも、食事は小屋に頼めます。FAQでは、テント泊の人も夕食・朝食・弁当を利用でき、希望者は16時までに受付へ申し出るとされています。混雑時は提供を断る場合があるとも書かれています。食事を小屋に頼む前提でテント泊にするなら、16時までに三俣山荘に着いて受付に行くことが条件になります。
テント場の飲用水・水場の扱いは、2026年9月17日時点で公式の現行ページとFAQの確認範囲では断定できる記載が見つかっていません。水がテント場で手に入る前提で荷物を軽くしないでください。水の確保方法は、公式サイトの最新情報と当日の小屋への確認が必要です。
小屋泊とテント泊のどちらにするかは、荷物の重さと予約の取りやすさの交換で考えます。テント泊はテント・寝袋・マットを背負って新穂高温泉から双六小屋、三俣蓮華岳を越えていくことになり、1日目の7.4時間(岐阜県の区間値の合計)を重い荷物で歩きます。その代わり、指定日以外は当日受付なので、天気を見て出発日を動かしやすくなります。完全予約制の小屋泊とは逆の性格です。
テント場での夜と朝は、小屋の中より冷えます。止まっている時間の脚の冷えを減らしたい人の候補に、ザ・ノース・フェイスの マグマパンツがあります。テント場で過ごす夕方から朝までの時間、小屋泊でも早朝の出発前に外で待つ時間に、行動用のパンツとは別に下半身の保温を考えたい人に向きます。
編集部の判断:9月後半から10月前半に鷲羽岳を狙うなら、指定日を外したテント泊は「天気に合わせて日を選べる」という点で、小屋泊にない強みがあります。ただし荷物が重くなる分、1日目の7.4時間がそのまま重くなります。テント泊を選ぶのは、重荷で稜線を歩いた経験がある人に限ったほうが良いと考えています。
食事:ジビエの夕食・朝食と、テント泊の人の16時の申し出
三俣山荘の公式サイトには、夕食・朝食に鹿や猪のジビエを使ったメニューを出していると書かれています。展望食堂の喫茶メニュー、サイフォンコーヒー、スパイスチャイも紹介されています。北アルプスの奥の小屋で、食事や喫茶の情報を公式が具体的に出していることは、三俣山荘を2泊目の宿に選ぶ理由の1つになります。
食事の時刻については、この記事の確認範囲では三俣山荘の夕食開始時刻・朝食時刻の公式の記載を見つけられていません。同じ山域の双六小屋では、朝食が7月中旬〜8月は4時30分〜5時ごろ、秋は日の出に合わせて5時または5時30分ごろからとFAQにあります。双六小屋の夕食の開始・最終受付時刻も明記は見つかっていません。夕食の時間は当日の小屋の案内に従う前提で、到着を早めに組むのが確実です。
食事を頼むか自炊にするかの分け目:小屋泊なら、夕食・朝食を小屋に頼むかどうかを予約時に決めます。テント泊なら、食事を頼むには16時までに受付へ申し出ることが条件で、混雑時は断られる場合があります。テント泊で小屋の食事を当てにする場合でも、1食分は自炊できる食料を持つと、断られたときに行程が崩れません。
基本形の2泊3日で考えると、食事の組み方は次のようになります。1日目の夜と2日目の朝は双六小屋、2日目の夜と3日目の朝は三俣山荘、そして3日目は長い下りの行動食です。3泊4日の連泊なら、三俣山荘で夕食と朝食を2回ずつとることになり、山頂日の昼に何を持って出るかも考えます。テント泊者について弁当の利用がFAQに書かれていますが、小屋泊での弁当の扱いも予約時に確かめます。
山小屋の食事にどこまで頼れるか、弁当と自炊の線引き、予約前に確かめておく項目については、山小屋の食事(夕食・朝食・弁当と自炊の線引き)をまとめた記事で詳しく扱っています。三俣山荘のように食事の特色がはっきりした小屋でも、確かめる順番は同じです。
「小屋で食べられるから行動食は少なくていい」と考えないでください。早朝に小屋を出て山頂を往復する日や、長い下りの日は、食事と食事のあいだが長くなります。さらに天候で行程が延びると、次の食事の時刻がずれます。行動食は、小屋の食事とは別の予備として、1日分に少し足した量を持ちます。
秋の朝、日の出前に小屋を出るときや、山頂で風を避けて休むときに、温かい飲み物があると体の冷えを抑えやすくなります。クリーンカンティーンの クラシックインスレートナロー 20oz は、保冷保温ボトルです。小屋を出る前に温かい飲み物を入れておき、山頂や休憩で口にしたい人に向きます。小屋でお湯を分けてもらえるかどうかは小屋ごとに違うので、予約時か到着時に確かめます。
編集部の見立て:三俣山荘の食事の情報は、泊まる理由として読むと楽しいものです。ただ、食事は行程が予定どおり進んだときのご褒美で、行程の支えは行動食と水だと考えています。テント泊で小屋の食事を頼む計画ほど、16時の申し出に間に合わなかった場合の1食を先に用意しておくほうが、落ち着いて稜線を歩けます。
出発前に確認すること:通行状況・登山届・クマ・当日の情報の探し方
三俣山荘に泊まる計画で、出発前に確かめることは、道路・登山道・届出・野生動物・小屋の運用の5つに分けられます。どれも年や日によって変わる情報で、この記事に書いた値は2026年9月17日に確認したものです。記事の数字は古くなる前提で、出発の数日前と前日に、公式ページを自分で開き直すことを計画の一部に入れてください。
道路については、岐阜県側の国道158号(高山市丹生川町塩屋地区)が、2026年2月25日の土砂崩れで全面通行止めとなり、2026年8月3日更新時点で継続、令和8年度末の解除に向けて工事中と案内されています。国道41号・471号・361号などへの広域迂回となり、バスは迂回運行です。高山方面から新穂高温泉へ入る車・バスは、所要時間が変わる前提で1日目の出発時刻を決めます。
登山道については、長野県の山岳情報ページの緊急情報に掲載されているのは、2026年9月17日確認時点で中房線(一般県道槍ヶ岳矢村線)で、双六小屋〜三俣山荘の区間の通行止め告知は確認できていません。ただし、通行できると断定できる情報でもありません。長野県・岐阜県の登山情報ページと、三俣山荘・双六小屋の最新情報を、出発前に見に行きます。
| 確認すること | 2026年9月17日確認時点 | 見に行く先 |
|---|---|---|
| 道路 | 国道158号(高山市丹生川町塩屋地区)全面通行止め継続(8月3日更新時点)。バスは迂回運行 | 岐阜県の道路情報ページ |
| 登山道 | 長野県の緊急情報は中房線。双六〜三俣区間の通行止め告知は確認できていない | 長野県山岳情報ページ・岐阜県の登山情報・各山小屋の公式サイト |
| 登山届 | 岐阜県・長野県の条例に届出の規定あり(対象区域は各県の指定による) | 岐阜県・長野県の登山届のページ |
| クマ | 長野県が9月11日更新で注意喚起。対象ルートの入山禁止の記載なし | 長野県のクマ情報ページ |
| 小屋の運用 | 三俣山荘10月15日・双六小屋10月20日まで。完全予約制/予約制 | 三俣山荘・双六小屋の公式サイト |
登山届は、条例による届出の対象かどうかを県ごとに確かめます。岐阜県は「岐阜県北アルプス地区及び活火山地区における山岳遭難の防止に関する条例」で登山届の提出を義務付けていて、新穂高登山指導センターの対象山岳表に双六岳が掲載されています。無雪期は要届出エリアとして地図で指定された区域が対象です。長野県は、北アルプス地区の指定登山道の一部を通行する場合に登山計画書の届出が必要としていて、県外から越境して県内の山頂へ向かう場合も対象です。自分のルートがどの県のどの指定区域にかかるかを、各県のページの地図で確かめてから提出します。
長野県のクマ情報(2026年9月11日更新)は、信州の山の多くにクマが生息し、遭遇の危険があるとして注意を呼びかけています。鷲羽岳・三俣山荘の周辺で出没警報・注意報が出ているという記載はありませんが、秋は入山者に向けた一般的な注意が出る時期です。音を出して歩く、食べ物のにおいを外に出さないといった基本を、テント泊ほど丁寧に守ります。
天候の情報は、双六小屋のFAQがゲリラ豪雨などの増水の恐れがあるとして天気予報を十分に確認するよう案内しています。強風・雷の心配がある場合は双六岳〜三俣蓮華岳方面で巻道を使うようにという案内もあります。出発前に数日分の予報を見て、山頂日を動かせる計画(3泊4日や連泊)にするかどうかを最終判断します。
編集部の判断:確認先を並べると多く見えますが、実際に開くページは5〜6枚です。出発の3日前と前日に同じページを開き、前と変わったところがないかを見るだけで十分だと考えています。変わっていたら、変わった項目だけ計画を組み直します。全部を毎回読み直すより、差分を見る習慣のほうが続きます。
笠ヶ岳と迷っている人へ:新穂高から見た2つの目的地の位置関係
新穂高温泉から入る北アルプスの計画で、鷲羽岳と並んで候補に上がりやすいのが笠ヶ岳です。どちらも新穂高温泉を起点にでき、途中まで同じ道を使う計画もあります。三俣山荘に泊まるかどうかを考える前の段階で、目的地そのものを鷲羽岳にするか笠ヶ岳にするかで迷っている人向けに、位置関係を整理します。
鷲羽岳へは、新穂高温泉から小池新道・鏡平・弓折乗越を経て双六小屋に上がり、そこから三俣蓮華岳を越えて三俣山荘・鷲羽岳へ進みます。岐阜県の区間表では、新穂高温泉→笠新道登山口が1.2時間、笠新道登山口→小池新道登山口が0.5時間です。笠ヶ岳へは、名前のとおり笠新道登山口から登る道と、鏡平・弓折乗越側から稜線を回る道があります。同じ新穂高から入っても、鷲羽岳は双六小屋の「奥」、笠ヶ岳は双六小屋の「手前から西」にある目的地です。
岐阜県の75ルート一覧では、笠ヶ岳(新穂高)〈小池新道〉往復が体力度8・技術的難易度B・合計コースタイム18.4時間・ルート長36.3km、三俣蓮華岳(新穂高)〈巻道ルート〉往復が体力度7・技術的難易度B・合計コースタイム16.8時間・ルート長32.7kmとされています。この一覧に鷲羽岳・三俣山荘を含むルートはありません。鷲羽岳は三俣蓮華岳の先にあるので、三俣蓮華岳往復より行程が長くなる、というところまでが公式の数字で言えることです。
| 比べる点 | 鷲羽岳(三俣山荘泊) | 笠ヶ岳 |
|---|---|---|
| 岐阜県75ルート一覧 | 掲載なし(参考:三俣蓮華岳〈巻道ルート〉往復が体力度7・16.8時間・32.7km) | 〈小池新道〉往復が体力度8・18.4時間・36.3km |
| 宿の予約 | 双六小屋(予約制)+三俣山荘(完全予約制)の2軒 | 笠ヶ岳側の小屋の予約条件を別に確認 |
| 考え方 | 公式値の無い区間を含むので、日数に余裕を持たせて組む | ルートと山荘の営業終了日から泊数を決める |
笠ヶ岳のルート、笠新道の往復と鏡平経由の違い、山荘の営業終了日までにどう泊数を組むかは、笠ヶ岳の登山ルートと泊数の組み方をまとめた記事で扱っています。鷲羽岳と笠ヶ岳は、どちらを先に登るかで次の計画の立て方も変わるので、2つの記事を並べて読むと比べやすくなります。
「笠ヶ岳と鷲羽岳を1回の山行でつなぐ」計画を、この記事の数字だけで組まないでください。三俣蓮華岳から先の区間別の公式コースタイムが確認できていないため、合計時間を公式の数字で説明できません。つなぐ計画は泊数を多めに取り、それぞれの小屋の営業期間と予約を個別に確かめます。
編集部の見立て:目的地で迷っている段階なら、「どちらが登りやすいか」より「予約の組みやすさ」と「日数」で決めると、計画が早く固まると考えています。鷲羽岳は三俣山荘と双六小屋の2軒を押さえる前提の山です。休みが取れる日数と、2軒の予約が同じ日程でそろうかどうかが、最初のふるい分けになります。
よくある質問
Q. 新穂高温泉から1日で三俣山荘まで行けますか?
公式の数字で到着時刻を組み立てることができません。新穂高温泉から双六小屋までは岐阜県の区間値の合計で7.4時間・13.4km、双六小屋から三俣蓮華岳までは登り1.9時間・3.3kmですが、三俣蓮華岳から三俣山荘までの区間別コースタイムは公式に見当たりません。三俣山荘公式の新穂高温泉ルートの目安は上り10時間で、区間別ではない大区分の数字です。双六小屋のFAQが示す秋の到着目安15時・日没の3時間前までという考え方と合わせると、1泊目は双六小屋に置くほうが計画を説明しやすくなります。
Q. 三俣山荘は予約なしで泊まれますか?
長野県の山小屋情報では「完全予約制」と表記されています。予約は三俣山荘の予約サイトでのWeb予約で、宿泊予定日の60日前の正午から受付です。予約なしで向かう前提の計画は立てないでください。テント場は仕組みが別で、指定日以外は当日受付です。
編集部の見立て:完全予約制の小屋に予約なしで向かうと、断られたときに下る先が遠いのが北アルプスの奥の難しさです。空きが無い日は、日程を動かすか双六小屋拠点に切り替えるかを、予約の段階で決めておくのが一番確実だと考えています。
Q. 10月に行くなら、三俣山荘と双六小屋のどちらを使えばいいですか?
2026年の営業は、三俣山荘が10月15日まで、双六小屋が10月20日までです。10月15日泊までなら三俣山荘を2泊目に置く基本形が組めます。10月16日以降は三俣山荘が使えないため、双六小屋を拠点にするか、日程を前にずらします。水晶小屋は2026年は9月30日までで、10月は使えません。
Q. テント泊で小屋の食事は頼めますか?
三俣山荘の予約サイトのFAQでは、テント泊の人も夕食・朝食・弁当を利用でき、希望者は16時までに受付へ申し出るとされています。混雑時は提供を断る場合があります。テント場の飲用水・水場の扱いは、公式の確認範囲で断定できる記載が見つかっていないため、公式サイトの最新情報と当日の小屋で確かめます。
Q. 三俣山荘で持っていくべき防寒具は?
三俣山荘の標高は2,550mで、双六小屋(2,600m)のFAQの気温の目安(夏の日中20℃くらい・夜10℃くらい)がほぼそのまま参考になります。秋はさらに冷え込み、双六小屋のFAQは薄いダウンやフリースなどの防寒具を必ず持つよう案内しています。小屋泊で日帰り装備に足すものの全体は、山小屋泊の持ち物(日帰りの装備に足す8点)の記事で確認できます。
編集部の判断:防寒具の相談でいちばん多いのは「寝るときに寒いか」という心配ですが、準備の優先順位は逆だと考えています。先に考えるのは早朝の出発と山頂の休憩で、寝るときの寒さはその服を重ねれば足りる場合が多い、という順番で荷物を組むほうが、重さも抑えられます。
まとめ:今日やることは1つ、三俣山荘の予約サイトで空きを見る
鷲羽岳を登る計画で三俣山荘に泊まるかどうかは、双六小屋との分担で決まります。1泊目を双六小屋(新穂高温泉から岐阜県の区間値の合計で7.4時間・13.4km)、2泊目を三俣山荘(三俣蓮華岳と鷲羽岳の鞍部・2,550m)に置く2泊3日が基本形で、日数に余裕があれば3泊4日にして山頂日か下山日を軽くします。三俣蓮華岳から先の区間別の公式コースタイムは確認できていないので、その区間は数字を作らず、余裕で埋めます。
2026年の営業は三俣山荘が7月4日〜10月15日、双六小屋が7月10日〜10月20日です。三俣山荘は完全予約制で、Web予約・60日前正午から受付。2026年9月17日時点では営業最終日までの受付がすでに始まっている計算なので、秋に行く人がいまやることは、受付を待つことではなく空きを見ることです。
編集部の見立て:この記事で一番伝えたいのは、三俣山荘を「行けたら泊まる小屋」ではなく「予約から組み立てる小屋」として扱うことです。取れた日付が決まれば、前夜の双六小屋、何泊にするか、何を持つかが、順番に決まっていきます。
- 三俣山荘の予約サイトを開き、行きたい時期(10月15日泊まで)の空きを確かめて、泊まれる日付を1つ決める
- その前夜に双六小屋(2026年は10月20日まで・予約制)を押さえ、2泊3日か3泊4日かを決めて残りの宿を並べる
- 出発の3日前と前日に、長野県・岐阜県の登山情報、国道158号の状況、両小屋の最新情報を開き直し、防寒具(薄いダウンやフリース等)を荷物に入れる
編集部の判断:予約が取れなかったときは、無理に日帰りに近い形へ詰めるより、日程を動かすか、双六小屋拠点に切り替えるほうを選んでほしいと考えています。鷲羽岳は来年も同じ場所にあります。秋の奥の稜線で余裕を削るより、取れる日を待つほうが、登ったあとに残るものは大きいはずです。
出典
- 長野県「北アルプスの山小屋情報」(三俣山荘の位置・標高2,550m・完全予約制)https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/sotaikyo/yamagoya/yamagoya_kitaalps.html(2026年9月17日確認)
- 三俣山荘グループ「2026年 営業情報」(三俣山荘7月4日〜10月15日・水晶小屋7月10日〜9月30日)https://mitsumatasanso.com/news/2026-operation-info(2026年9月17日確認)
- 三俣山荘 予約サイト(Web予約・60日前正午受付・テント場・テント予約指定日)https://mitsumatasanso.hutlify.com/(2026年9月17日確認)
- 三俣山荘 予約サイト FAQ(団体予約・テント場の予約・テント泊の食事・トイレ)https://mitsumatasanso.hutlify.com/pages/faq(2026年9月17日確認)
- 三俣山荘 公式サイト(食事・喫茶・ルートの目安)https://mitsumatasanso.com/mitsumata(2026年9月17日確認)
- 双六小屋グループ「双六小屋」(標高2,600m・2026年開設期間・起点としての案内)https://www.sugorokugoya.com/sugoroku/(2026年9月17日確認)
- 双六小屋グループ「よくある質問」(到着目安・チェックイン・朝食・気温・防寒具・悪天候・巻道)https://www.sugorokugoya.com/faq/(2026年9月17日確認)
- 双六小屋グループ「鏡平山荘」https://www.sugorokugoya.com/kagami/(2026年9月17日確認)
- 双六小屋グループ「わさび平小屋」https://www.sugorokugoya.com/wasabi/(2026年9月17日確認)
- 岐阜県「山のグレーディング」北アルプス区間詳細一覧表 https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/460910.pdf(2026年9月17日確認)
- 岐阜県「山のグレーディング」ルート一覧 https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/460911.pdf(2026年9月17日確認)
- 岐阜県 登山届・条例の案内 https://www.pref.gifu.lg.jp/page/11975.html(2026年9月17日確認)
- 岐阜県 国道158号の通行止め情報 https://www.pref.gifu.lg.jp/page/483822.html(2026年9月17日確認)
- 長野県 山岳情報ページ https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangaku/(2026年9月17日確認)
- 長野県 登山安全条例(登山計画書の届出)https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/tozanjorei/tozanjorei.html(2026年9月17日確認)
- 長野県 ツキノワグマ情報 https://www.pref.nagano.lg.jp/yasei/bear.html(2026年9月17日確認)
- 国土地理院 日本の主な山岳標高(鷲羽岳2,924m・三俣蓮華岳2,841m)https://www.gsi.go.jp/KOKUJYOHO/MOUNTAIN/1003zan20250401.pdf(2026年9月17日確認)
- 濃飛バス 公式サイト(新穂高温泉発の最終便・2026年4月1日改定)(2026年9月17日確認)
