12月28日から鶯橋〜鳥居地峠が閉鎖|杓子山(1,598m)へ不動湯・鳥居地峠から登る段取り

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杓子山は、山梨県富士吉田市・忍野村・都留市にまたがる山です。山梨県観光公式のコース案内(山梨県ハイキング100選)では標高1,598mと紹介され、山頂の正面に富士山が大きく見える山として知られています。

ただ、杓子山の情報は登山口ごとに中身が違います。不動湯から登るのか、鳥居地峠から高座山を通るのかで、停められる台数もトイレの有無も所要時間も変わります。ある登山口の値を別の登山口に当てはめると、現地で計画が合わなくなります。

もう1つ大事なのが「今日、歩ける状態か」です。富士吉田市は杓子山のハイキングコースについて倒木による立入禁止を告知しており、12月28日からは鶯橋〜鳥居地峠の冬期閉鎖も始まります。出かける前に見る先を4つに絞り、登山口別に公式の値と、公式に記載が無い項目を分けて並べます。

  • 富士吉田市の「倒木により立ち入り禁止」の告知は、ページ更新日が2025年1月6日で、対象区間と解除の記載が無いこと
  • 出発の朝に見る先は、市の告知・山梨県のクマ出没情報・バスの時刻・富士山ロングトレイルの冬期閉鎖案内の4つであること
  • 不動湯と鳥居地峠では、駐車スペースもトイレも案内ごとに数字や記載が違い、どちらも出典を添えて読む必要があること
  • 不動湯から山頂までは約3時間15分(県)と4時間(休憩含む・観光ガイド)、周回は5時間05分と5時間44分と、資料ごとに時間が違うこと
  • 高座山の直下の浸食、高座山〜大権首峠の岩場、明見尾根の急な下りという、歩きにくい3か所と下山路の選び方
  • 河口湖の平年値では12月から日最低気温が氷点下になり、12〜4月は滑り止めの持参が案内されていること
  • 甲府の日の入から、晩秋〜冬の出発時刻をいつまでに決めるかの考え方

出かける前に確かめる4つ|倒木の告知・クマ・バス・冬期閉鎖

杓子山は、天気より先に「その日に道が開いているか」を確かめる山です。最初に見るのは富士吉田市の告知です。富士吉田市の公式ページには「現在、杓子山のハイキングコースについては、倒木により立ち入り禁止」との文言が載っています(2026年10月25日確認)。

この告知は、ページの更新日が2025年1月6日です。どの区間が対象なのか、いつ解除されるのかは書かれていません。今も立入禁止が続いているとも、もう解除されたとも、このページだけでは読み取れません。出かける前に市の告知と、富士吉田観光ガイドの杓子山のページで現在の状況を確かめてください。

立入禁止の告知は「市の告知」、冬期閉鎖は「ルート運営団体(富士山ロングトレイル)の案内」、林道の通行止めは「県のコース案内の共通の注意書き」と、出どころが分かれています。どれか1つが「問題なし」でも、ほかの3つまで問題なしとは限りません。

2つ目は山梨県のクマ出没情報です。山梨県は「令和8年度ツキノワグマ出没・目撃情報(10月23日16時現在)」のPDFと、県内の出没マップを公開しています(2026年10月25日確認)。3つ目はバスの時刻、4つ目は富士山ロングトレイルの冬期閉鎖の案内です。

確かめる先 2026年10月25日時点の記載 出発前に見るところ
富士吉田市の告知 倒木によりハイキングコースは立入禁止(更新日2025年1月6日) 告知の更新日と、対象区間・解除の記載が増えていないか
山梨県のクマ出没情報 10月23日16時現在のPDFと県内マップ 富士吉田市・忍野村・都留市の付近に目撃が出ていないか
富士急バス・タウンスニーカー 杓子山ハイキングの経路案内あり 出かける日の運行日と時刻
富士山ロングトレイル 12月28日〜4月上旬、鶯橋〜鳥居地峠は冬期閉鎖 今季の閉鎖の日程

山梨県のコース案内には、全コース共通の注意として「登山口に通じる林道は工事や冬季閉鎖のため通行止めになる場合があります」とあります。杓子山向けの個別の通行止めの告知は、2026年10月25日時点で県・忍野村・都留市のページに見当たりません。「告知が無い=規制が無い」とは限らないので、各市村の告知と富士吉田観光ガイドで当日確かめてください。

編集部の見立て:杓子山でいちばん大きな判断は、どの道を歩くかより先の「行けるかどうか」です。市の立入禁止の告知が更新日のまま止まっている以上、出発前にもう一度開いて確かめる手間は省けません。前の晩に4つの確認先を開いておくと、朝の判断が短く済みます。

杓子山・高座山・鹿留山のどこまで歩くか

杓子山の周りには、北西側の高座山と、南側の鹿留山が並んでいます。杓子山だけを往復するのか、高座山を通って歩くのか、鹿留山まで足を延ばすのかで、行程の長さは大きく変わります。

杓子山の標高は、山梨県観光公式のコース案内では1,598mと紹介されています。一方で、富士吉田市の計画資料を検索すると1,597mと表示されるものもあり、案内によって1m違います。国土地理院の地図で山頂の標高を確かめてから出かけると、数字の食い違いに迷わずに済みます。高座山と鹿留山の標高は、ここでは数字を出しません。地理院地図で読んでください。

杓子山の山頂からは、晴れて空気の澄んだ日に富士山が正面に見えます。ただし雲が出れば見えません。見える日の割合を示す公式の統計は無いので、当日の朝に天気予報で雲の出方を見てから出かけるのが確実です。同じく富士山を望む近くの低山を比べたいなら、鳥居から403段で登る石割山の周回と冬の凍結への備えも候補になります。

3山の歩き方で迷ったら、まず「高座山を通るかどうか」で考えてください。高座山を通る道は、山頂直下の浸食で滑りやすい斜面と、大権首峠までの岩場を含みます(富士山ロングトレイルの案内)。高座山を通らずに不動湯から大権首峠を経て山頂へ向かう道なら、その区間を避けられます。

鹿留山や都留市側へ下る道は、2026年10月25日時点で都留市の公式の案内が見当たりません。距離や時間の公表値が見つからない道を、初めての杓子山で組み込むのは避けるのが無難です。

  • 杓子山だけを目指すのか、高座山を通る周回にするのかを決めたか
  • 高座山直下の滑りやすい斜面と、高座山〜大権首峠の岩場を歩く前提で装備を考えたか
  • 公式の区間値が見つからない鹿留山・都留市側の道を、今回の計画から外したか
  • 富士山が見えない日でも、出かける意味があるかを考えたか

編集部の判断:初めての杓子山なら、山を1つ増やすより、公式の数字がそろっている道に絞るほうが計画が狂いにくいと考えます。鹿留山まで延ばすのは、杓子山の道の様子と時間感覚をつかんでからでも遅くありません。

登山口は不動湯か鳥居地峠か|駐車とトイレの違い

杓子山の主な登山口は、富士吉田市側の不動湯と、忍野村側から上がる鳥居地峠です。どちらを選ぶかで、車の停め方とトイレの段取りが変わります。

不動湯の駐車台数は、案内ごとに違います。富士吉田観光ガイドは無料・5〜6台で、登山者専用はP5のみとしています。山梨県のコース案内では約30台です。数えている範囲が同じかどうかは、どちらの案内にも書かれていません。富士山ロングトレイルは、マイカーの場合は第五駐車場に停めて、鉱泉閣まで車道を約1km戻る形を案内しています。

大権首峠に駐車場があるという公式の記載は、2026年10月25日時点で見当たりません。登山口の近くでも、路上や路肩に停めるのはやめてください。停める場所は、富士吉田観光ガイドと富士山ロングトレイルが案内する不動湯・鳥居地峠で確かめ、満車の場合の行き先も前もって決めておきます。

鳥居地峠の駐車スペースは、富士山ロングトレイルの案内で約6台分です。忍野村側からは鳥居地峠まで通年通行できるとの案内があります。一方、富士吉田側の鶯橋〜鳥居地峠は12月28日から4月上旬まで冬期閉鎖で通行できません。冬に鳥居地峠へ車で向かうなら、忍野村側から上がる前提で道を組みます。

トイレも案内が食い違います。富士吉田観光ガイドは、不動湯の駐車場・登山口周辺・ルート上にトイレは無いとしています。富士山ロングトレイルは、トイレを「不動湯」と「大明見林道」の2か所と案内しています。大権首峠のトイレはパラグライダー施設の設備で、普段は施錠されています。山中では携帯トイレの使用が求められているので、どちらの登山口から入る場合も携帯トイレを持参してください。

項目 不動湯(富士吉田市側) 鳥居地峠(忍野村側から)
駐車 観光ガイドは無料5〜6台(登山者専用はP5のみ)、県は約30台 約6台分(富士山ロングトレイル)
トイレ 観光ガイドは「なし」、ロングトレイルは「あり」 公式の記載は見当たらない(携帯トイレを持参)
冬の道路 鶯橋〜鳥居地峠は12月28日〜4月上旬に冬期閉鎖 忍野村側からは通年通行可との案内
バス タウンスニーカーで「不動湯入口」 富士急バスの杓子山ハイキング案内に忍野村役場前バス停を含む経路

どちらの登山口から入っても、高座山の直下の浸食した斜面、大権首峠より先の雨後のぬかるみと、足元の悪い区間に出合います。足首まで覆う防水の登山靴は、こうした道で足首のぐらつきと浸水を同時に抑えます。ローバー(LOWA)のレネゲードX ミッドGT(L510807)は、ゴアテックスを使ったハイカットのトレッキングシューズで、ぬかるみと滑りやすい斜面が続く低山を、初めての1足として固めたい人に向きます。

編集部の見立て:駐車の台数が案内ごとに5〜6台と約30台に分かれているのは、杓子山の計画でいちばん崩れやすい部分です。停められる前提で家を出るより、満車なら公共交通に切り替える、または別の日にする、と決めてから出るほうが、路肩に停める誘惑を断てます。

富士急行線とバスで向かう|富士山駅・不動湯入口・忍野村役場前

車を使わない場合は、富士急行線の富士山駅が起点です。富士山駅からタウンスニーカー(上暮地・明見循環)に乗り、「不動湯入口」で降ります。富士吉田観光ガイドと山梨県のコース案内がこの行き方を紹介しています。

不動湯入口までの所要は、富士吉田観光ガイドで約30分、県のコース案内で約23分と、掲載が分かれています。どちらが今の時刻表に合うのかは、時刻表を見ないと決められません。出かける日の時刻は、富士急バスの案内と富士吉田市のタウンスニーカーの案内で確かめてください。

富士急バスは「杓子山ハイキング」の案内ページを設けていて、富士山駅と忍野村役場前バス停を含む経路を紹介しています(2026年10月25日確認)。このページには運行日と時刻は載っていないので、時刻は路線ごとの時刻表で調べます。山梨県のコース案内も「バスは運行期間が限られ本数が少ない」としています。

公共交通で行く日に気をつけたいのは、帰りのバスです。本数が少ない路線では、下山が遅れると1本逃しただけで次の便までの待ち時間が長くなります。帰りの便を2本書き出しておき、早いほうに間に合わせる計画で歩くと、下りで急がずに済みます。

  1. 前の晩に、富士急バスとタウンスニーカーの案内で、行きと帰りの運行日と時刻を確かめる
  2. 帰りの便を早い便と遅い便の2本書き出し、早い便から逆算して山頂を出る時刻を決める
  3. 当日の朝、富士吉田市の告知と山梨県のクマ出没情報を開いてから家を出る

車で行くか公共交通で行くかは、駐車の不確かさと帰りの本数の少なさのどちらを取るかの選択です。不動湯の台数が少ない側の案内(5〜6台)を前提にすると、週末の朝は公共交通のほうが計画を立てやすくなります。逆に冬の朝早くから歩きたい日は、バスの始発の時刻次第で車のほうが向くこともあります。

編集部の判断:バスの所要が約23分と約30分で分かれているのは、案内が作られた時期の違いと考えるのが自然です。どちらの数字も信じ切らず、乗る便の時刻表で到着時刻を見るのがいちばん確実です。

不動湯から山頂へ|約6.8km・約3時間15分と4時間の読み分け

不動湯から大権首峠を経て杓子山の山頂へ向かう道は、2つの公式の案内に時間が載っています。山梨県ハイキング100選のコース案内は約6.8km・約3時間15分です。富士吉田観光ガイドは、不動湯→大権首峠→山頂で約6.8km・合計4時間(休憩含む)としています。

距離は同じ約6.8kmで、時間に45分の差があります。富士吉田観光ガイドの4時間は休憩を含む値と明記されています。県の約3時間15分は、休憩を含むかどうかがコース案内の値として示されていません。同じ道で時間が違うのは、休憩の扱いが違うと読むのが筋です。

計画に使う時間:初めて歩く日は、長いほうの4時間(休憩含む)を基準にします。そのうえで、県の約3時間15分は「休憩を入れずに歩き続けた場合の目安」として、自分のペースが標準より速いか遅いかを測る物差しに使います。短いほうの数字で予定を組むと、晩秋は下山が日没に近づきます。

この道の途中にある大権首峠には、パラグライダーの離陸場があり、富士山を望めます(富士山ロングトレイルの案内)。峠のトイレはパラグライダー施設の設備で、普段は施錠されています。峠から先は雨のあとにぬかるむと案内されているので、前日に雨が降った日は時間に余裕を持たせます。

「約6.8km・約3時間15分」と「約6.8km・4時間」を、行きと帰りに分けて足し、「往復◯時間」と決めないでください。どちらの案内も往復の時間を示していません。下りの時間は、歩く道(同じ道を戻るか、別の道か)で変わります。

日の短い季節に不動湯から登るなら、ヘッドランプは日帰りでも必ず持つ道具の1つです。ブラックダイヤモンドのスポット(BD8B004)は450ルーメンのヘッドランプで、下山が日没に近づいたときに足元を照らす1台を、軽い日帰りの装備に入れておきたい人に向きます。

編集部の見立て:45分の差は、晩秋の午後なら日没との距離そのものです。歩く速さに自信がある人ほど短い数字を採りがちですが、杓子山は山頂で長く景色を眺めたくなる山です。休憩込みの4時間で組んで、余った時間は山頂か早い下山に回すほうが安全側です。

鳥居地峠から高座山を通る周回と、歩きにくい3か所

不動湯を発着点に、鳥居地峠から高座山を通って杓子山に登り、不動湯へ戻る周回も紹介されています。富士五湖観光連盟の資料は、不動湯~鳥居地峠~高座山~杓子山~不動湯の周回モデルを、総歩行距離9.9km・総歩行時間5時間05分としています。富士山ロングトレイルの案内では、周回は5時間44分です。

同じ周回でも39分の差があり、休憩を含むか、どこを起点に数えるかが資料ごとに違います。公表されている時間は、不動湯から山頂までの約3時間15分〜4時間、周回の5時間05分と5時間44分と、案内ごとに分かれます。周回に行くかどうかは、長いほうの5時間44分で日没までに戻れるかで決めてください。

忍野村も、鳥居地峠から高座山を通って杓子山へ向かうコースを案内しています。ただし、鳥居地峠から山頂までの距離と所要時間の公表値は、2026年10月25日時点で見当たりません。鳥居地峠から入って同じ道を戻る計画では、時間を公式の値で組めないことを前提にします。

周回で気をつけたいのは、富士山ロングトレイルが挙げている歩きにくい箇所です。高座山の山頂直下は浸食で滑りやすく、高座山〜大権首峠には岩場があります。大権首峠より先は雨のあとにぬかるみます。さらに、杓子山から明見尾根を下る道は急で、不安なら大権首峠に戻って林道を下るよう案内されています。

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区間 公式の注意(富士山ロングトレイル) 計画での一手
高座山の山頂直下 浸食で滑りやすい 前日に雨なら時間を多めに取る。ポールで体を支える
高座山〜大権首峠 岩場がある ポールを短くするか畳み、手を使える状態で通る
大権首峠より先 雨後にぬかるむ 防水の靴で入り、足を置く場所を選んで歩く
杓子山〜明見尾根の下り 急な下り 不安なら大権首峠に戻り、林道を下る

明見尾根の急な下りと大権首峠から林道へ戻る道のどちらを使うかは、山頂に着く前に決めておきます。疲れて山頂に着いてから下山路を選ぶと、近いほうの急な道を選びがちです。脚に疲れが出ている日、地面が濡れている日は、林道を下るほうを最初から選んでおくと迷いません。

高座山直下の滑りやすい斜面と急な下りでは、トレッキングポールが膝と足首の負担を分けてくれます。使い方と長さの合わせ方はトレッキングポールの選び方と使い方をまとめた記事にあります。シナノのフォールダー TWIST 115は100〜115cmに調整できる折りたたみ式で、岩場の手前で畳んでザックに収めたい人に向きます。

編集部の判断:周回は景色の変化が多く魅力的ですが、高座山の斜面・岩場・急な下りと、歩きにくい区間を一日で全部通る道でもあります。初めての杓子山で周回にするなら、下りは明見尾根でなく大権首峠からの林道と最初から決めておくのが、編集部の推す組み方です。

晩秋の山頂の風と霜の坂に備える、上着・保温着と背負う道具

杓子山の山頂は、富士山ロングトレイルが「風が強い」と案内している場所です。晩秋〜冬は、高座山の急な斜面や樹林の尾根で汗をかいたあと、開けた1,598mの山頂で冷たい風に当たる、という順番になります。汗をかく登りと、風にさらされる山頂の両方に合わせて、服を重ねて調整できるかが選ぶ基準です。

基準は4つです。肌に近い層は、汗をかいても冷えにくい素材か。中間の層は、歩きながら着ていられる通気のある保温着か。山頂で羽織る層は、風を止められるか。そして、それらを全部入れて背負えるザックの容量があるか。この4つを、下の表のように役割で分けて考えます。

役割 杓子山のどこで効くか 候補(型番と公表の仕様)
背負う 脱いだ保温着と滑り止めをまとめて収める オスプレー ケストレル 36-38L
風を止める 風の強い山頂と、冬の稜線 マムート コンベイ ツアー HS フーデッド ジャケット(ハードシェル)
歩きながら保温 樹林の尾根の登り ザ・ノース・フェイス マウンテンバーサマイクロジャケット(フリース)
止まって保温 山頂での休憩 モンベル プラズマ1000 ダウンジャケット(1000フィルパワー・1101493)
肌に近い層 汗をかく登り全体 モンベル スーパーメリノウール L.W. ラウンドネックシャツ(薄手)

まず背負う道具です。オスプレーのケストレルは36〜38Lのテクニカルパックで、脱いだダウンやシェル、冬の滑り止めまで日帰りの荷物に足していく人に向きます。登山靴や冬の上着をまだそろえていないなら、やまどうぐレンタル屋で借りる方法もあります。

山頂の風には、風を止める上着を1枚用意します。風を通しにくい上着の種類と、雨具との違いは登山用ウィンドブレーカーの選び方とレインウェアとの違いで整理しています。マムートのコンベイ ツアー HS フーデッド ジャケットはフードつきのハードシェルで、雨具と防風の上着を1枚で兼ねたい人に向きます。

樹林の登りで着たまま歩く保温着には、フリースが合います。厚さの決め方は9〜12月の気温から厚さを決める登山用フリースの記事が参考になります。ザ・ノース・フェイスのマウンテンバーサマイクロジャケットはマイクロフリースのジャケットで、汗をかく登りで脱ぎ着の回数を減らしたい人に向きます。

山頂で止まっている時間の保温には、ダウンを足します。モンベルのプラズマ1000 ダウンジャケット(1101493)は1000フィルパワーのダウンを使った防寒着で、山頂の休憩用に軽く畳める1枚をザックに入れておきたい人に向きます。

肌に近い層は、汗をかいたあとの冷えを左右します。モンベルのスーパーメリノウール L.W. ラウンドネックシャツは薄手のメリノウールのインナーで、登りの汗と山頂の冷えの差が大きい晩秋の山に、肌着から替えたい人に向きます。

編集部の見立て:杓子山の寒さは、気温そのものより「汗をかいたまま風に当たる」順番から来ます。厚い上着を1枚持つより、薄い層を重ねて脱ぎ着できる組み方のほうが、この山の登りと山頂の差に合っていると考えます。

秋のクマと11月15日からの猟期|入る前に見る県の資料

山梨県は、ツキノワグマの出没・目撃情報を「令和8年度ツキノワグマ出没・目撃情報(10月23日16時現在)」のPDFと、山梨県内の出没マップで公開しています(2026年10月25日確認)。県は「秋は冬眠前のクマが活発に動きます」と注意を呼びかけています。

杓子山の周辺で目撃があるかどうかは、県のマップで出発前に見てください。目撃した場合は、目撃した地域の市町村へ連絡するよう県が案内しています。杓子山は富士吉田市・忍野村・都留市にまたがるので、どの市村の範囲を歩いているかを地図で把握しておくと、連絡先で迷いません。

クマの出没情報は、都道府県ごとに公開の形も更新の頻度も違います。県の公式マップの探し方と、出発前に見る3段階の手順は登山前のクマ出没情報の調べ方にまとめています。山梨県の資料は「◯月◯日◯時現在」の形で基準の時刻が入るので、開いたときに日付を確かめます。

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もう1つ、秋から冬にかけて意識したいのが猟期です。山梨県の狩猟の案内によると、一般的な猟期は11月15日から翌年2月15日です。2026年度の対象鳥獣ごとの期間と、猟のおこなわれる区域は、山梨県の狩猟の案内で確かめてください。猟期に入る時期は、周りから見て目立つ色の服装を選びます。

  • 山梨県のクマ出没情報のPDFとマップを、出発の前日か当日の朝に開いたか
  • 歩く道が富士吉田市・忍野村・都留市のどの範囲にかかるかを地図で見たか
  • 11月15日以降に出かけるなら、目立つ色の上着か帽子を選んだか
  • 音の出るものを身につけ、見通しの悪い場所で存在を知らせる準備をしたか

山梨県は、マダニが森林や草地に生息し、春から秋に注意が必要だと案内しています(杓子山に限った案内ではありません)。高座山まわりの草地を通る道では、肌の出ない服装で歩き、下山後に服や体を確かめます。

クマの目撃情報が近くに出ている日は、その日の計画を変える判断が先です。道具で対策を足して予定どおり登るより、別の山にする、別の日にするほうが確実な選択になります。

編集部の判断:クマと猟期は、どちらも「県の資料を開けば分かる」ことです。怖がって山を避けるより、出かける前に県のマップと猟期の案内を見る習慣を1つ足すほうが、秋の杓子山には効くと考えます。

12月28日からの冬期閉鎖と霜の朝|11〜3月の杓子山

11〜3月の杓子山で、まず変わるのは道路です。富士山ロングトレイルは、毎年12月28日から4月上旬まで、鉱泉閣すぐ先の鶯橋から鳥居地峠までを冬期閉鎖で通行できないとしています。これは年間の案内に書かれた日程で、今季の個別の告知ではありません。今季の日程は案内で確かめてください。忍野村側からは、鳥居地峠まで通年通行できるとの案内があります。

寒さの目安は、気象庁の河口湖の平年値(1991〜2020年)で見ます。日最低気温の平年値は、11月が2.2℃、12月が-2.9℃、1月が-5.7℃、2月が-4.8℃、3月が-1.3℃です。降雪の深さの合計は11月に1cmから出てきて、1月は37cm、最深積雪の平年値は1月で25cmです。

河口湖の日最低気温(平年値)。左に項目、右に値・条件を並べた対応表の図解。11月=2.2℃/12月=-2.9℃/1月=-5.7℃/2月=-4.8℃/3月=-1.3℃。図の下部に「気象庁 1991〜2020年の平年値(2026年10月25日確認)」と注記。
河口湖の日最低気温(平年値)。左に項目、右に値・条件を並べた対応表の図解。11月=2.2℃/12月=-2.9℃/1月=-5.7℃/2月=-4.8℃/3月=-1.3℃。図の下部に「気象庁 1991〜2020年の平年値(2026年10月25日確認)」と注記。

河口湖の値は観測地点の気象で、登山道の雪や凍結を示すものではありません。登山道がいつ凍るかを示す公式の記載も見当たりません。前日の夜の気温と、当日の朝の路面を見て、凍っているかどうかで判断します。冬の低山を選ぶ考え方は雪のない冬の低山を選ぶ基準と凍結への備えも合わせて見てください。

冬の滑り止めの位置づけ:富士山ロングトレイルは、冬季(12〜4月)は凍結・降雪の恐れがあるため、軽アイゼンやチェーンスパイクなどの滑り止めを持参するよう案内しています。必須とは書かれていません。滑り止めは、登山道が凍結した日に履く道具で、凍っていなければ使いません。持って行き、凍った区間の手前で履く判断をします。

チェーンスパイクと軽アイゼンの違い、どちらをいつ使うかはチェーンスパイクは登山でいつ必要か、軽アイゼンとの使い分けで公式値をもとに整理しています。スノーラインのチェーンスパイクはバックカントリー向けのチェーンスパイクで、霜や薄く凍った土の坂に備えて冬の日帰りの荷物に足したい人に向きます。

高座山の山頂直下は、無雪期でも浸食で滑りやすいと案内されている斜面です。霜が降りた朝や凍った日は、その滑りやすさが増します。凍結した日に高座山を通る周回を選ぶのは避け、不動湯から大権首峠を経る道で往復するか、別の日にしてください。

編集部の見立て:冬の杓子山は、雪山というより「霜と凍った土の山」として準備するのが実態に近いと考えます。河口湖の平年値で12月から最低気温が氷点下になる以上、12月以降は滑り止めを荷物に入れ、凍っていない日はザックに入れたまま歩く、という扱いがちょうどいい位置です。

甲府の日没から決める出発時刻と、冬の持ち物

晩秋〜冬の杓子山で、行動時間を決めるのは日没です。国立天文台の暦によると、甲府(山梨県の県庁所在地)の日の入は、10月31日が16時52分、11月15日が16時39分、11月30日が16時33分、12月15日が16時34分、12月31日が16時42分です(2026年)。1月15日は16時55分、2月15日は17時27分と、年が明けると少しずつ遅くなります。

山の中は、谷や稜線の向きで日の入より早く暗くなる場所があります。そこで、日の入の1時間前を下山完了の目安に置き、そこから行程の時間と休憩を引いて、出発時刻を決めます。行程の時間は、公表されている中で長いほうを使います。

出発時刻の決め方(編集部の計算):11月15日に周回するなら、甲府の日の入16時39分の1時間前は15時39分です。富士山ロングトレイルの周回5時間44分と休憩1時間を引くと、出発は8時55分ごろが遅いほうの限界になります。12月15日(日の入16時34分)なら、同じ計算で8時50分ごろです。日の短い時期ほど、出発の遅れがそのまま下山の暗さにつながります。

日の入の読み方と、季節ごとに引き返す時刻を決める方法は登山の日没は秋に早まる|月別早見表と引き返し時刻の考え方にまとめています。山頂に予定より遅れて着いた日は、景色を眺める時間を削ってでも、決めた時刻に下り始めます。

持ち物 杓子山で効く場面 要る時期
携帯トイレ 山中は使用が求められている 通年
ヘッドランプ 下山が日没に近づいたとき 通年(晩秋〜冬は特に)
防風の上着・保温着 風の強い山頂 晩秋〜春
手袋 山頂の風、岩場で手をつく場面 晩秋〜春
滑り止め 凍結した日の坂 12〜4月(凍った日に履く)

手袋は、風の強い山頂と、高座山〜大権首峠の岩場で手をつく場面の両方で使います。ショーワグローブのテムレス 04advanceは、濡れた手で冷えやすい冬の低山で、手をつく場面の多い道を歩く人に向きます。

登山届の出し方は、山梨県の案内で確かめてください。家族か知人に、登山口・下山予定の時刻・下山路を伝えてから出かけると、予定より遅れたときに気づいてもらえます。

編集部の判断:冬の杓子山で出発を何時にするかは、天気より先に暦で決まります。家を出る時刻ではなく「登山口を歩き出す時刻」を逆算で決め、それに間に合わない日は周回をやめて往復にする、という線を前の晩に引いておくのがいいと考えます。

よくある質問

Q. 杓子山は今、登れますか?

富士吉田市は「杓子山のハイキングコースについては、倒木により立ち入り禁止」と告知しています。ページの更新日は2025年1月6日で、対象区間と解除の記載はありません。出かける前に、市の告知と富士吉田観光ガイドで現在の状況を確かめてください。

Q. 不動湯の駐車場は何台停められますか?

富士吉田観光ガイドでは無料・5〜6台(登山者専用はP5のみ)、山梨県のコース案内では約30台と、案内ごとに違います。満車の場合の行き先も含め、出発前に富士吉田観光ガイドで確かめてください。路上や路肩には停めないでください。

編集部の見立て:駐車とトイレは、杓子山で案内どうしが食い違う代表的な項目です。どちらかの数字を正しいと決めるより、少ないほうの数字と「トイレは無いかもしれない」を前提に準備するほうが、現地で困りません。

Q. 大権首峠のパラグライダーの離陸場はどんな場所ですか?

富士山ロングトレイルの案内では、大権首峠にパラグライダーの離陸場があり、富士山を望めます。峠のトイレはパラグライダー施設の設備で、普段は施錠されています。登山者が使えるトイレとして当てにせず、携帯トイレを持参してください。

Q. 富士山が見えない日に登る意味はありますか?

山頂の富士山は、雲が出ると見えません。見える日の割合を示す公式の統計は無いので、当日の朝に天気予報で雲の出方を確かめて決めるのが確実です。見えない予報なら、日を改めるのも選択肢です。

Q. 冬はチェーンスパイクが要りますか?

富士山ロングトレイルは、12〜4月に軽アイゼンやチェーンスパイクなどの滑り止めの持参を案内しています。必須とは書かれていません。登山道が凍結した日に履く道具で、凍っていなければ使いません。12月以降は荷物に入れて出かけ、凍った区間の手前で履くかどうかを決めます。

Q. 近くの石割山とどう選べばいいですか?

石割山も富士山を望む近くの低山です。杓子山は登山口ごとに駐車とトイレの条件が分かれ、周回には滑りやすい斜面や岩場、急な下りが含まれます。どちらの山も、出かける日の規制と凍結の状況を公式の案内で確かめてから選んでください。

編集部の判断:富士山を見る山を選ぶときは、景色の良さより、その日の道と路面の状態で決めるのが順番だと考えます。景色はどちらの山でも雲しだいで、道の状態は事前に確かめられるからです。

まとめ|杓子山は告知と冬期閉鎖を見てから、不動湯発で長いほうの時間で組む

杓子山は、登山口ごとに駐車・トイレ・所要時間が違い、案内どうしの数字も食い違う山です。だからこそ、出典を添えて読み、少ないほうの台数と長いほうの時間で計画を組むのが基本になります。

編集部の見立て:初めての杓子山なら、不動湯から大権首峠を経て山頂へ向かい、休憩込み4時間を基準に組むのが、公式の数字がいちばんそろった組み方だと考えます。周回と明見尾根の下りは、道の様子をつかんでからの2回目に回して十分です。

冬は12月28日から鶯橋〜鳥居地峠が冬期閉鎖になり、河口湖の平年値で12月から最低気温が氷点下になります。滑り止めを荷物に入れ、甲府の日の入から逆算して歩き出す時刻を決めてください。

  1. 前の晩に、富士吉田市の立入禁止の告知・山梨県のクマ出没情報・バスの時刻・富士山ロングトレイルの冬期閉鎖の案内の4つを開く
  2. 不動湯か鳥居地峠かを決め、駐車できる場所(路肩は使わない)と携帯トイレを用意する
  3. 甲府の日の入の1時間前を下山完了に置き、長いほうの所要時間と休憩を引いて歩き出す時刻を決める

編集部の判断:杓子山で大事なのは、道具をそろえることより、出かける前の確認の順番です。4つの確認先を開き、時刻を決め、凍っていれば高座山を通らない。この3つを守れば、正面の富士山を落ち着いて眺める時間が残ります。

出典

  • 富士吉田市「杓子山のハイキングコースについて」 https://www.city.fujiyoshida.yamanashi.jp/page/1952.html (2026年10月25日確認)
  • 山梨県ハイキング100選「杓子山」コース案内 https://yamanashi-hiking100.jp/course/detail/1 (2026年10月25日確認)
  • 富士吉田観光ガイド 杓子山特集 https://www.fujiyoshida.net/feature/index.php?p=feature-279 (2026年10月25日確認)
  • 富士山ロングトレイル モデルコース https://fujisan-lt.jp/model_course/10_model-course/ (2026年10月25日確認)
  • 富士五湖観光連盟 コースタイム資料 https://fujisan-lt.jp/wp-content/uploads/2026/02/course_time_data_5.pdf (2026年10月25日確認)
  • 富士急バス 杓子山ハイキング https://www.fujikyubus.co.jp/hiking-bus/fujikyu-hiking/shakushiyama (2026年10月25日確認)
  • 山梨県 ツキノワグマ出没・目撃情報 https://www.pref.yamanashi.jp/shizen/kuma2.html (2026年10月25日確認)
  • 山梨県 狩猟の案内 https://www.pref.yamanashi.jp/kt-rinmuk/dousyokubutuhogo.html (2026年10月25日確認)
  • 山梨県 マダニ(SFTS)の注意 https://www.pref.yamanashi.jp/kansensho/sfts.html (2026年10月25日確認)
  • 気象庁 河口湖の平年値(1991〜2020年) https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_sfc_ym.php?block_no=47640&prec_no=49 (2026年10月25日確認)
  • 国立天文台 各地のこよみ(甲府) https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/2026/s2011.html (2026年10月25日確認)

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